楽家 BookReview
2005年版
Last Modified 2005/12/31

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Attention
  • 文章に明らかなネタバレがあるときはそのままでは読めないように してあります。すでにその本を読んでいる場合はマウス等を利用して、 文字が途切れている領域を選択すると反転して読むことができるようになっています。

  • ★4つ以上はお薦めです。★4つと★5つは個人的な好みや、 読んだ時の感情によって違っているだけで、ほとんどの場合は差がありません。 ただし、楽也の特徴として「初読の著者の評価は特に甘い」、「簡単に★5つがでる」 という特徴があります。

  • 右端の「有」は所有、「借」は図書館から借りた本、「古」は古本屋で買った本、 「貰」は人から貰った本であることを意味しています。


  • 2005年12月31日
    ★★★☆☆ グインサーガ97「ノスフェラスへの道」栗本薫早川文庫
    ★★★☆☆ グインサーガ98「蜃気楼の旅人」栗本薫早川文庫
    ★★★☆☆ グインサーガ99「ルードの恩讐」栗本薫早川文庫
    ★★★☆☆ グインサーガ100「豹頭王の試練」栗本薫早川文庫
     なんていうか、はがゆい話ばかり。グインが弱っているところはあまり面白くない。なんか自信たっぷりでないと。(1月から10月ぐらいにかけて読んだ。)

    2005年12月30日金曜日
    ★★★★☆ 「ぼくのキャノン」池上永一文藝春秋 2003年12月10日 p317
     その村には守り神としてのキャノン砲がグスクにある。ここは沖縄において戦後、奇跡とも言われる復興をとげた村であった。ここの村民の団結力は凄まじく、大手のリゾート開発業者を追い出してしまうほどであった。そんな村にキャノンで遊ぶ3人の子供達がいた。元気なオバア・オジイなど多彩な登場人物を揃えた、著者独自の沖縄小説。

     相変わらずの著者の大ボラ吹き加減が面白い。それをオバアにさせてこそ、この作家の真骨頂である。だが今回は少し単純でなく、過去の沖縄戦も舞台の一部になっている。キャノン砲そのものや、オジイオバアの過去がそれである。
     この村に移り住んできたヤマトンチュの女がいる。いかにもいそうなタイプである。彼女のエピソードはたいしてあるわけではないが、自分と重ね合わせていたせいか、よく覚えている。

     実はこの本を読むのに1年半くらいかかっている。ちょっとつらい場面が多いからともいえるし、単純に他の本を読んでいた場合もある。つまりはそういうことだ。

    2005年11月24日木曜日
    ★★★★☆ 「新・世界の七不思議」鯨統一郎創元推理文庫 2005年2月25日 p327
     場末のバーで語られるホラ話のような真実?ライター宮田の再登場。邪馬台国はどこですかの続編というか姉妹編。

     前作に比べるとパワーが少し落ちた感じ。正確には面白い話とそうではない話が半々くらいだからそう思うだけかもしれない。個人的にはストーンヘンジ編がもっとも面白い。ネタバレ→まさか鳥居にたどりつくとは。←ここまで。

     前作に比べると新鮮さが無くなったせいもあるし、ネタ切れ?のせいか多少無理矢理感が強くなったことが原因かもしれない。あと静香さんがちょっとメロメロになりすぎていて。もう少しがんばってほしかった。

    2005年10月30日日曜日
    ★★★☆☆ 「暗闇の中で子供」舞城王太郎講談社ノベルズ 2001年9月5日 p471
     すべての謎は解けていなかった、連続主婦殴打事件。そしてマネキンを捨てる少女を見かけた三郎の取った行動は・・・前作「煙か土か食い物」に続く問題作。

     正直に言ってあまりお勧めできません。バイオレンス好きな人以外は控えたほうが賢明です。次郎の残酷さがいやというほど分かります。下手すると18禁にしたほうがよいくらいに。舞城王太郎の想像力の凄まじさというか、よく思いつきます。いやなことを想像する力が作家には必要なんでしょう。

    2005年9月26日月曜日
    ★★★★★ 「煙か土か食い物」舞城王太郎講談社ノベルズ 2001年3月5日 p365
     天才外科医四郎は、サンディエゴのERで超絶多忙に働いていた。そんなとき家族から母親が殴られて倒れた、という連絡を受け、しぶしぶ日本に帰ることに。ファッキン!なミステリ。

     正直言って最近ミステリに興味を無くしていたが、そんな自分がほとんど一気に読んでしまった。なんというか文章に勢いがある。野獣探偵とでも言ったほうよいような、最近見たことがない破天荒な主人公の探偵役が物語を強引に引っ張る。ハードボイルドというわけでもないし、小難しい謎解きも多くはない。繊細な探偵に飽きている人にはオススメ。

     過去に2冊ほど舞城王太郎を読んだけど、これが確かデビュー作。最近の作品にもチロチロと暴力性がないわけではないが、今思うと近作は暴力性をわざと薄め、それを作品の奥行きに使っている感じがする。でもこのガンガンと力押しなデビュー作は逆に非常に気持ち良くて楽しい。舞城王太郎は何度か芥川賞候補になっているが、確かにこれだけの力があれば受賞して当然。受賞出来ないのは、他の候補者の出来が良すぎる場合か、それを受賞させない選考者の力量が落ちているかのどちらかだ。

    2005年9月23日金曜日
    ★★★★☆ 「この本が、世界に存在することに」角田光代メディアファクトリー 2005年5月21日 p237
     エッセイのように見せかけた本にまつわる短編小説集。

     最初は自分のことを書いたエッセイなんだー、と思いながら読み始めたら、いくらなんでもコレは違うだろー、と思いながら読み進めたら、もう普通に小説になっていて、それはそれで面白かったのでヨシとしよう。

     まあ一番最初の「旅する本」と最後の「あとがきエッセイ」がエッセイぽくてよかった。

    2005年9月18日日曜日
    ★★★★☆ 「永遠。」村山由佳講談社 2003年2月28日 p117
     閉館間近の水族館で弥生を待つ徹。彼は、弥生とその母である葉月との思い出の中にいた。短編。

     すっと入ってきて、すっと過ぎ去っていく。そんな清涼感が村山由佳に対する自分の評価。つまりとても読みやすい。刺激が強すぎる作家だと、実はそこで読み止ってしまうことがある。でも村山由佳にはそれがない(内容は刺激が強い)。軽いのかもしれないが、これって精神的には重要なことだ。いつも重い本ばかりだと疲れるし。

    2005年9月11日日曜日
    ★★★★☆ 「私が語りはじめた彼は」三浦しをん新潮社 2004年5月25日 p251
     村川教授の弟子である三崎は、夏の暑い日に教授の家に赴こうとしていた。目的は教授への誹謗中傷ビラの正体を探るため。意外な連作短編集。

     実は前提知識無しに読み始めたので、最初の1つめの短編は鬱陶しいだけだった。ところが2作目を読むと「アレッ」という感じに。実は連作であったこと、そして主人公ではない人物がすべての軸となっていることに気付くと俄然面白くなってきた。特に「水葬」は秀逸というか単純に面白い。各短編がそれぞれ違った趣向があり楽しめた。

     欠点はほとんどの話が少し昔の話であること。いや別に悪くはないんだけど、20代の作家が書く内容にしては渋すぎて。携帯電話も全くといっていいほど活躍しないし。

    2005年9月4日日曜日
    ★★★★★ 「ほうかご探偵隊」倉知淳講談社 2004年11月22日 p345
     ある冬の朝、学校に登校したら自分の机の上に縦笛の上の部分(口をつける部分)と一番下の部分だけが2つ置いてあった。でも真ん中(指で押さえる部分)の部分は無くなっていた。不用物連続消失事件の被害者となった”僕”が仲間達と探偵をして事件の真相をあばく少年小説。講談社ミステリーランドシリーズの一冊。

     ページ数が多いけど、子供でも読めるように大きな字で書いてあるので実際は中編程度の長さのお話。小学校で起きる事件、ということを良く考えて作ってある。大きすぎない事件で、そして小さすぎない事件。別に少年探偵団ような派手な活躍もない、現実的なところがとても好感が持てて楽しかった。それでいて、なかなか思いがけないどんでん返しとか。一杯食わされたという感じ。子供向けでもあるので、読者である自分でも犯人を当てられるかと思ったけど、全くダメだった。

     同じ登場人物で続編のようなものを作って欲しい、と思うくらいキャラクター達に魅力があった。機会があったら著者の別作品でも読んでみようかと。

    2005年9月2日金曜日
    ★★★★★ 「パレード」川上弘美平凡社 2002年5月5日 p77
     ツキコさんとセンセイの日常を描いた、「センセイの鞄」の外伝ともいえるお話。

     極めて短いお話です。忙しい方にはもってこい!の作品です。なにせ20分くらいで読み終えていたし。夜、寝る前のまったりした時間に読むのがオススメ。それが無理なら昼下がりの夏、そうめんを食べながら。子供時代の話はいつでもなごめてしまうもの。それが好きな人と一緒なら、なおさら。

    2005年8月28日日曜日
    ★★★★★ 「孤独か、それに等しいもの」大崎善生角川書店 2004年5月1日 p222
     孤独に落ちた、かれらを救う物語。5編からなる短編集。

     身近な死。昔は「死」は特殊なものだと思っていたけど、実は「死」は世の中にありふれている。ありふれ過ぎて特殊ではないものであることに気付いた。5編ともすべて「死」がからんでいる。そして、どの話も甲乙つけがたい良さがある。全編にわたって静謐な一本の線が走っているお話ばかり。孤独にひたりながら読むのをオススメする。

     その他に気になったことといえば、南仏の田舎に行ってみたくなった。できれば夏かな。のん気な風情がいい。また双子は友人が少ないという話はなるほどと思った。これ以上自分を理解してくれる人がいない以上、普通の友人は不要になってしまうのだろう。

    2005年8月20日土曜日
    ★★★★☆ 「好き好き大好き超愛してる。」舞城王太郎講談社 2004年7月30日 p275
     階層化された病気の彼女と彼の物語。未然・進行・その後。表題作と「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」の2つの中編と作者のイラスト!を集めた作品集。

     才能がある作家ってこうして無駄に才能を垂れ流せる。俺みたいなニ流読者は、その才能ばかりを愛してしまうのだろうな。小説の中の作家が書く小説「ラリアットポイント」なんてまさにそのもの。作家が主人公なだけ手をつけられない。あーもったいない。ライトノベルで書けばよいのに。

     もう1作のドリルホールは、設定の突拍子のなさが冒険モノのようだが、それだけでないのがさすが。「脳みそセックス」の気持ち良さが、強烈。
     イラストそのものはプロのような上手さはないけど、迫力のある良いイラストばかり。たぶん作者は、こんな情景を思い浮かべながら作品を書いているのではないだろうか。

    2005年5月18日水曜日
    ★★★★☆ 「海辺のカフカ」村上春樹新潮文庫 2005年3月1日 p486/p528
     父から逃れようと少年はもがく。カラスと呼ばれる「少年」と共に。村上春樹お得意の青春小説。小笠原の行き帰りで読んだ。

     村上春樹によくあるパターンかもしれないが、2つの局面が徐々に近づき、そして交差する展開。離れていたときはなんでもないお話達が近づいてきたときの緊張感の持ち上げ方が、この書き方の焦点。そしてそれがウマイのも村上春樹の特徴でもある。

     ネタバレ→登場人物が少なめだったため、主人公の若さゆえのカラッポさが目立ってしまい、浮いてしまった気がする。もちろん、そこは大島さんが重しとなっていたのでそれほど目立ったわけではない。少年らしいカラッポさ、単純さが好ましい。
     ナカタさんの話は最初は不気味な始まりだったが、猫と話すあたりからはとても面白く、そして淡々とした部分をホシノさんのお気楽さが、それを埋めていた。
     佐伯さんは透明すぎて印象が薄い。つまり彼女の「本当」に気付かない人にとってはそんな印象しか持たれない人なのかもしれない。最後のノッペリとした真っ白な空間と同じように。
    ←ここまで。

     この本を読んだ人のほとんどが、あの図書館に行ってみたくなるはずだ!あー、でもモデルになった図書館は村上春樹ファンで一杯なんだろうな、と思う今日この頃。









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