楽家 BookReview
2008年版
Release

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Attention
  • 文章に明らかなネタバレがあるときはそのままでは読めないように してあります。すでにその本を読んでいる場合はマウス等を利用して、 文字が途切れている領域を選択すると反転して読むことができるようになっています。

  • ★4つ以上はお薦めです。★4つと★5つは個人的な好みや、 読んだ時の感情によって違っているだけで、ほとんどの場合は差がありません。 ただし、楽也の特徴として「初読の著者の評価は特に甘い」、「簡単に★5つがでる」 という特徴があります。

  • 右端の「有」は所有、「借」は図書館から借りた本、「古」は古本屋で買った本、 「貰」は人から貰った本であることを意味しています。


  • 2008年12月30日火曜日
    ★★★★☆ 「映画篇」金城一紀集英社 2007年7月30日 p363
     映画だけは2人で見続けた2人、夫を亡くした女とビデオ屋の店員、現実からの逃避を計る若い男女、ハードボイルドおばちゃんとユウくん、そして鳥越家の面々。彼ら個々の映画と、彼らをつなぐ映画をめぐる短編集。

     いろんな人生を体感できる一品。
     ネタバレ→最後の鳥越家の話を除くと実はかなりハードボイルドな展開だらけで、最後だけはほっこりできる。そんな中でも一番よかったのは最初の僕と龍一の2人。僕はずっと忘れていた夢をある日どうしても実現させることにして会社を辞めて、そして作家になってしまう展開とか、その僕がヤクザものになってしまった龍一のその後の半生を妄想する幸せな展開とか。
     これらの話がすべて「ローマの休日」上映会につながっていく展開は面白いが、少し冗長な展開もあったりしてそれがちょっと残念かも。短編ごとのつながりへの展開をもう少し重視して、細かい枝葉は切り落とし、その分もう一話上映会につながる新たな短編を入れたほうがもっと綺麗な流れになるような気がする。だからといって本作の面白さが損なわれるわけでないのは当然だけれど。
    ←ここまで。

    2008年12月29日月曜日
    ★★★★☆ グインサーガ外伝20「ふりむかない男」栗本薫早川文庫 2006年1月15日 p334
     安楽椅子探偵ナリスによる探偵簿シリーズの2作目。

     珍しく面白くて3章まではほとんど一気読み。ナリスによる的確な指示とか、更に起きる事件とか。そしてカラム水に関する薀蓄!これが本書の見所である。架空世界の経済システムの説明がうまい!

     ネタバレ→惜しむらくは解決結果に一度も俎上にあがっていなかった人達が多すぎたこと。安楽椅子探偵だから仕方ないのかもしれないけど、もうちょっと関係者をうまく使って欲しかった。←ここまで。

    2008年12月29日月曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ121「サイロンの光と影」栗本薫早川文庫 2008年6月15日 p304
     次はソレかよ!という驚愕の展開。今までのことを考えればありえなくない展開けど、これは英雄にムチ打ち過ぎ。思わず読み進むパワーが減退し、読み終わるのに2ヶ月かかった。

    2008年12月29日月曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ120「旅立つマリニア」栗本薫早川文庫 2008年4月15日 p309
     クム篇のまとめ。グインがアレなのでテンションは下がったけど、悲しみの気持ちで読み進めた。

    2008年10月25日土曜日
    ★★★★☆ 「ねじまき鳥のクロニクル 第2部予言する鳥編」村上春樹新潮社 1994年4月12日 p356
     間宮中尉の下から家に帰り着いたときには僕はクミコを失っていた。より深みへと落ちていく第2部。

     誰が読んだとしても、ネタバレ→第2部の主役は井戸になると思う。井戸の底での沈思。恐怖感さえなければ、確かにここに勝る思考場所はないかもしれない。蓋さえ閉じられなければ。そしてそんな状況下でも動じない僕。
     笠原メイがまるで敵のような行動を取るのは予想外であった。でも自分の責任ではないけど人の命を握りたいという気持ちは分からないでもない。笠原メイが離れていくところが僕のダメっぷり現われだろうか。そして笠原メイに対しては全く性欲(描写はあるが)を感じていない風な僕。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」でもそうだったけど、村上春樹の描く主人公は意外にも誰彼にでも性欲を見せることはない。僕と笠原メイの2人は関係を持つのではないかと思わせるくらい、女の子の描写だけはしつこいのだけれどね。そんなことを思った。
    ←ここまで。

     どうでもよいけど「ねじまき鳥」の個人的イメージが「四角い枠に収まる鳥」というイメージ。しいてあげれば「すかいらーく」のマークが最も近い。石像という時点でこのイメージが頭から離れない。

    2008年10月22日水曜日
    ★★★★★ 「サクリファイス」近藤史恵新潮社 2007年8月30日 p245
     チーム・オッジに所属するチカはエース石尾をアシストする、まだ若手のレーサーだった。日本でも指折りのビックレース「ツール・ド・ジャポン」で彼は先頭集団から抜け出した。それはチームのためエースのために自らを犠牲にしてチームが有利になるように。自転車レースを舞台にしたスポーツミステリ。さわやかミステリではないよ。

     最初のプロローグ?が、暗然たる結末を呼び込むのではないかとビビリながら読み進めた。すっかりそんなことを忘れるくらいに面白い展開の連続!久々に引きこまれた。ネタバレ→そして意外な事故。結末かと思ったらさらにどんでん返し!←ここまで。自転車レースでこんなミステリが書けるとは思わなかった。自転車レースの骨太さも見事に書ききった上でのミステリであるし。泣けるエピソードもうまく配置している。何よりも自転車レースそのものが面白そう。暗峠も実在するのでさらにビックリ。

     最近自転車に乗るようになったので(今やブームだし)、なんとなく分かる気分も多い。まーでもあの速度はさすがにでないよ。でもロードにも乗りたくなってしまったよ。



    2008年7月6日日曜日
    ★★★★★ 「GOTH リストカット事件」乙一角川書店 2002年7月1日 p332
     その手帳を森野は喫茶店内で拾ったという。その中には連続殺人犯らしき犯人の手記が細々と書かれていた。その手記に従って静かな山にある神社に向かう2人。そこには手記どおりの新たな死体があった。ダークさ全開の傑作ミステリ。

     実は長編かと思ったら連続短編集だった。でもそれがよい。そして2人の趣味っぷりがよい。ネタバレ→警察に届けないとか。庭には手がたくさん埋まっているとか。
     「声」のトリックはよかった。もしかして彼が犯人かと思っていたら・・・そうくるとは。そして初めて明かされる彼の名前。ここまで引っ張った甲斐があるというもの。「犬」もこれに近い手法で面白い。これも意外すぎたけど。彼女の歪みっぷり以上の彼の歪みっぷり。
    ←ここまで。これを素で描ける乙一はだからすごいのかもしれない。

    2008年6月8日日曜日
    ★★★★☆ 「対話篇」金城一紀集英社 2003年1月30日 p221
     彼と関わった人はどんどん死んでいく。そのため大学生になった彼には一人の友人も恋人もいなかった。そんなある日、階段から落ちてくる彼女を助けた。それがきっかけとなって二人はついに付き合うことになるのだが。中編集。

     死の匂いが漂う3篇が収められている。細かい描写、とくに人の心の動きをうまくとらえていると思う。3篇とも傑作だと思うが、特にミステリ要素もある「永遠の円環」がオススメ。特に主人公が傷跡を見せるために友人達にそれを見せ付けるシーンが非常に印象的。それに対して「花」は少しありがち過ぎる展開だったかも。まあそれでも面白いのは事実だと思う。

     話が重めだからかもしれないけど、薄い単行本の割りに充実した内容だった。

    2008年6月1日日曜日
    ★★★★☆ 「神様がくれた指」佐藤多佳子新潮社 2000年9月20日 p376
     やっとシャバへ出たその日、辻牧夫は向かいに来たおばちゃんと西武新宿線で久々の帰宅のはずだった。あのスリ団を見るまでは。一方、昼間薫は赤坂ではそれなりに知られた占い師として生活をしていた。奇妙な二人の友情?を描く小説。

     スリの生活とテクニックがなかなか面白い。実はこの小説を新幹線の移動中に読んでいたのだが、ちょうど新幹線という箱でのスリの話を読んでしまったので思わず何度も財布の位置を確かめたりした。一流のスリの人にとっては内ポケットなんて見えない場所ではなくて、取りやすい場所のひとつだったなんて。なんというかちょっと怖くなった。
     マルチュラも面白い。ただの男性にすぎないのに女装しての占い、というのがよい。占いの裏側の事情も見えて、これはこれで面白かった。ネタバレ→ただし、占いの内容が当たり過ぎでそれが物語の進行元になっているのは、ちょっとフィクション過ぎたと思う。
     後半が怒涛のイベントだった気もするけど、まあこのくらいなら許容範囲かも。
    ←ここまで。

    2008年5月25日日曜日
    ★★★★☆ 「ビールボーイズ」竹内真東京創元社 2008年2月25日 p316
     茜が新山市から引っ越した日、秘密基地に集まったのは正吉、広治郎、ユウと薫の4人だった。そこで彼らは人生初めてのビールを飲み干すことになる。彼らの成長と友情を描いた、いかにも竹内真らしい小説。

     そんなに自分はビールを飲むほうではないが、この話を読んだ出張帰りの新幹線のなかで思わずビールを買って飲んでしまった。まあピルスナーなのでエールではないけれど。
     どの話を読んでもほとんどの主人公達が作者と年代が近い人達が多いのが竹内真の特徴かもしれない。同年代の人たちには、うなずけるものがあるのではないだろうか。ただちょっとパターン化が過ぎてきたような気もしている(ネタバレ→最後にみんなそろってハッピーエンドとか・・・もちろんハッピーエンドのほうが好みだけど。←ここまで)。もうちょっと異なる書き方をしたお話も読んでみたいのだが。それと作者ブログによると何度か出版が出来ずにいた作品らしい。たぶん、最近のお酒がらみの情勢を気にした出版社が躊躇したためだと思われる。

    2008年5月12日月曜日
    ★★★★☆ 「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子新潮社 1997年8月30日 p337
     二つ目の落語家「今昔亭三つ葉(こんじゃくていみつは)」は、優男だけど気弱な良(りょう)、美人だけど口の悪い十河(そがわ)、関西弁でしゃべる小学生村林、元プロ野球選手湯河原の4人に落語を教えることになった。自分自身もまだ半人前の落語家でありながら。「一瞬の風になれ」でメジャー作家の仲間入りした作者の初期?作品。

     まだメジャーでなかった頃の作品だが、やはりよく取材されているような気がする(落語業界を知らないので何ともいえないが)。ネタバレ→最後の最後は、安っぽい?ような終わり方だけど、落語発表会はよく考えてあり、そして本当にありそうな結末でよい。実際、イベントがあってもほとんどの場合、人間は変わることが出来ない場合が多いから。そんなリアルさが佐藤多佳子の取材力の一端かもしれない。ただ逆に主人公のうまくいかない部分の解決していくさまに関しては、まだ十分で無い部分を感じた。まだ初期作品だからかもしれない。

     郁子さんがどうなったのか気になる。確かに途中からはメインキャラではなくなったけど、放置されてしまうと余計に気になる。黒猫もいいけど正統派和服美人のその後も一男性読者としては気になって気になって。
    ←ここまで。

    2008年4月30日水曜日
    ★★★★☆ 「青年のための読書クラブ」桜庭一樹新潮社 2007年6月30日 p231
     聖マリアナ学園。女子のためのカトリック系女学校である。生徒の多くは元華族、政治家、官僚、大企業令嬢で占められ、外からは絹のカーテン越しに礼儀正しい女生徒たちが集う学び舎。その学校の一画には今にも壊れそうなビルがあり、そこに「読書クラブ」なる集団がいた。それは学園のはみ出し者が集っていた。

     一般的に読書クラブというと逆に「お嬢様的」なイメージがあって優雅な正統派クラブかと思ったらその全くの逆。しかも生徒会と演劇部が学校の表の主役って・・・なんつーか悪い面をトコトン強調したお嬢様学校過ぎて面白かった。ネタをネタとしてやりきるところがさすが直木賞作家。そして内容も容赦ないのがすごい。確かにお嬢様学校にいる人すべてが「お嬢様お嬢様」していないのは、よく考えたら当然だ。世間のイメージはそうではないのだけれど。それをバラしてしまったのかもしれない。

     前に読んだ本は個人的にはヒットしなかったけど、今回はオススメ。

    2008年4月29日火曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ119「ランドックの刻印」栗本薫早川文庫 2008年2月15日 p315
     それはないだろ!と突っ込みしかない。そんなタイスでのこととかすべてを無かったことにするなんて・・・ガンダルやブラン達の立場は・・・
     まあそれはともかく久々のネタバレモード全開。SFネタになったときのパターンだけど。

     でも最大のトピックスは作者が重病だということ。結果として手術は成功したようだけど、死ぬまでに全巻書いて欲しい(作者の家族には悪いのですが、読者としてはね)。できればシューティが活躍するであろう、後伝も含めて。本当にヤバそうなら息子宛てでもよいのでこれ以降のお話のプロットを書き残しておいて欲しい。

    2008年4月28日月曜日
    ★★★★★ グインサーガ118「クリスタルの再会」栗本薫早川文庫 2007年12月15日 p305
     ブランとの別れのシーンはグッと来た。やっぱり男はこうでなくちゃ!パロとリンダのことはともかく(もしかすると最終巻の花嫁って・・・)、この巻はブランに限る。ヴァレリウスが完全に悪人モードだし。まあ仕方ないけど。

    2008年4月20日日曜日
    ★★★★☆ 「ねじまき鳥のクロニクル 第1部泥棒かささぎ編」村上春樹新潮社 1994年4月12日 p308
     仕事をやめてクミコの代わりに家事をするようになった30歳になった僕は、いなくなった猫を探す羽目になった。やれやれ。

     間宮さんの話は面白い。これだけ別の話にしても村上春樹のネームバリューだけで売れるんじゃないか。暗い戦争時代の話だというのに(だからこそ?)グイグイ引きこまれ、すっかり僕が主役だったことを忘れてしまった。

     なんというかクミコさんが怖い。次巻の展開が怖いというのもあるけど、猫に対する執着心が怖い。現実世界で他人の土地に入ってまで猫を探すのは相当な覚悟が必要のはずだから。それと終わり方が不吉過ぎる。第2部は暗雲立ち込める世界かもしれない。

    2008年4月14日月曜日
    ★★★★☆ 「東京奇譚集」村上春樹新潮社 2005年9月18日 p210
     小説家の僕はパーティである女性と知り合った。彼女はとても魅力的なのだけれど、どんな仕事をしているかは教えてくれず、朝になるといつもいなくなっていた。淡々と少しだけ不思議な世界を描く短編集。

     作者自身が登場するという変わった構成の「偶然の旅人」、過去と名前と猿が交錯する「品川猿」、青い空と壮大な海とバーとピアノが聞こえる「ハナレイ・ベイ」、他に長いタイトルの2作の合計5作品。どれもそれぞれ違った味わいで面白い。どれが突出するわけでもなく、そしてつまらない作品が一つも無い、というのが村上春樹作品らしい。
     長いタイトルの短編で「趣味で探偵?」をしているキャラクターを見ていて伊坂幸太郎を思い出した。本来は逆に思い出すべきなのかもしれないが、なんとなく。

    2008年4月7日月曜日
    ★★★★☆ 「オリュンポス」ダン・シモンズ 酒井昭伸訳早川書房 2007年3月20日 上p518下p510
     アカイア勢とギリシア勢はモラヴェックの仲介もあり、手を結んで神々との戦争を始めた。そのころ地球にいる古典的人類達も日々ヴォイニックスたちとの戦闘を行っていた。そんな状態が続くと思われたが・・・前作「イリアム」の続編である壮大なSF超長編。

     確かに上下巻で2段組で1000ページを超える長さなんだけど、飽きがこない面白さは筋金入り。ネタバレ→「イリアム」以来、ずっと2つに分かれていた世界が合一するところはやはり良い。
     とはいえ、欠点も多い。訳者あとがきにもあるとおり、なんというかちょっと無理矢理な展開や積み残しが多いこと。キャリバンの対決とか、シコラックスの立ち去り方。もう続編があるとしか・・・他にも納得できない点はたくさんあったけど、それでもそれらを差し引いても面白いことには変わらないのだけれどね。
    ←ここまで。

     なんというか、いつも穏やかなマーンムートがいたのがよかったな。ロボット的?な冷静さがあるので彼が登場しているときは安心できた。人間はそれに比べると感情的過ぎて物語に波乱ばかりを持ち込んでいる。人間らしいけれど。

    2008年3月9日日曜日
    ★★★★☆ 「ワンダー・ドッグ」竹内真新潮社 2008年1月20日 p283
     空沢高校入学式のさなか、遅れてきた新入生の源太郎は1匹の子犬を手にして体育館の中に入ってきた。これがワンダーとの出会いであった。犬とそれを取り巻く人々の物語。

     ネタバレ→主人公はあくまでもワンダーとなっている。そのため主要登場人物たちは高校卒業に伴ってどんどん変わっていく。そのためにもったいない、というか人物の深堀が出来ていないような、未消化な感じが残念。でもどんどん新しい人が出てきたり、過去の登場人物がひょっこり現れたり、とそれはそれで面白いんだけど。
     それと物語は1998年で終わっている。エピローグとして晩年のワンダーのことが出るかと期待していたんだけど・・・作者ホームページを見るに、このお話は2000年ごろには書かれていたものらしい。だから時間軸が古い模様。
    ←ここまで。

     これを読むと犬と一緒に運動するのが凄く楽しそう。竹内真の小説はいろんな方向に目を向けさせてくれるのが面白い。犬はともかくボルダリングというスポーツがあることを初めて知った。フリークライミングかと思ったらちょっと違っていた。いろんなスポーツがあるものだねー。

    2008年3月2日日曜日
    ★★★★☆ 「悦楽の園」木地雅映子ジャイブ 2007年10月13日 p415
     ちょっと変わった男の子のナンチこと南一(みなみはじめ)は、やっぱりクラスのつまはじきものでいじめられたりもしていた。対して孤高の存在となっている真琴は誰にも邪魔されず今日も読書にいそしんでいた。そこにナンチがやってきて彼の描いた絵を見せた。子供社会とその困難な世界を描いたお話。作者の10年ぶりくらいの新作。

     子供社会のヒエラルキーなんて多くの大人は忘れている・忘れたがっているものだからそれを思い出させてくれる良作ではある。ネタバレ→特に途中の新たな世界創造のところは面白い。悪ノリ感がゾクゾクとして。でもそんな状態が長く続かないのは分かっていたからこその面白さ。
     最後のまとめ方は想定内だったけど、その手前あたりがちょっと。最後の大団円への持っていき方としてはちょっとありがちな展開である。これが響いて-1としていたりする。たしかに真琴にも変化と時間が必要だったとはいえだ。
    ←ここまで。

     この作者は前作もそうだけど学校嫌いが激しいので(ある部分真実だが)そのあたりをもうちょっと弱めるといいんだけど、それが作品への原動力となっているのでそれを否定することは無理だけど、やっぱりなあ・・・いや学園部分は面白いし、別に問題解決にだけ全力疾走というわけではないのだしね。ただ次作があるのならちょっと違うものを期待したくなる。

    2008年2月24日日曜日
    ★★★☆☆ 「どすこい。」京極夏彦集英社文庫 2004年11月25日 p545
     「地響きがする・・・」という書き出しで始まる、連作お相撲さん小説。

     パロディ小説を一流作家がやるとこうなるのだ!という見本。悪ノリしているともいえるけど、確かにお相撲さんが47人もやってくる図は有り得ない構図で面白い。
     「脂鬼」とか「パラサイトデブ」とかタイトルも秀逸。でもなんというか読者が京極先生に期待していることはこんなことではない!というのがあるので評価は低くなってしまう。あと、同じ描写を何度もやられるのもちょっと。

    2008年2月17日日曜日
    ★☆☆☆☆ 「天体観測」秦建日子河出書房新社 2005年1月20日 p287
     大学時代の天体観測サークルの仲間達7人が、仲間の一人の結婚式にために卒業以来3年ぶりに全員が集まった。ドラマのノベライズ。

     タイトルに惹かれて(Bump of chickenの楽曲と同名)中身を知らずに借りたけど、イマイチだった。セリフばかりでドラマのまま。確かに映像は目に浮かぶけどテレビドラマのままの忙しすぎる「流れ」しか見えない。これでは小説ではない。一昔前の出来の悪い映画ノベライズそのもの。最近は結構レベルの高いノベライズもあるのに・・・
     内容もあまりにも一昔前のドラマ的展開。やっぱり1人死んでしまうし。なんていうかご都合主義的。誰も成功以前で終わっている点は評価できるけど。ドラマのキャストが書かれているが、確かにキャストは今考えると豪華。それだけだ。

    2008年2月10日日曜日
    ★★★★★ 「黄金の王 白銀の王」沢村凛幻冬舎 2007年10月25日 p410
     元々は同じ翠の大王の末裔である凰穐(ほうしゅう)の櫓(ひづち、漢字は禾ヘンを使うのが正しい)と旺廈(おうか)の薫衣(くのえ)。王である櫓は、虜としていた薫衣を王宮に置くことに決めた。ちょっと苦めのファンタジー小説。

     前作に続くファンタジー物。争いをいかに収めていくか、そのプロセスが淡々と描かれていく。特に迪学(=どのように人は生きていくべきかを説いた学問)の「なすべきことをなす」という言葉に、何度も自分自身と照らし合わせてしまった。

     ネタバレ→とくに最後がよい。薫衣が死んで終わるという終わらせ方がよい。だらだらと良い関係だけで終わりにするのではなく、緊張感のある終わらせ方。まあお話としては必然であったけど、惜しい人物を亡くすのは作者にも難しいはず。←ここまで。

     本作唯一の欠点は、漢字が難しすぎること。読めない。振り仮名があってもたくさんの登場人物が出てくると主役クラス以外はどんどん忘れてしまう。このために何度か思考の中断が起きてしまった。

    2008年1月28日月曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ117「暁の脱出」栗本薫早川文庫 2007年11月15日 p307
     グインのこんな状態は初めてかも。というかまだ闘いが続いていたことにびっくり。まあ、だいたいグインサーガではタイトルはその巻の最後のほうのことを書いているケースが多いのはわかっていたが。

    2008年1月27日日曜日
    ★★★★☆ グインサーガ116「闘鬼」栗本薫早川文庫 2007年10月15日 p307
     決勝戦を読みたい、読みたい、というだけで最後まで読んだ。確かに達人同士の戦いでは、意外にあっけない終わり方が多いようだ。







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