楽家 BookReview
2009年版
Last Modified 2009/11/16

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  • 文章に明らかなネタバレがあるときはそのままでは読めないように してあります。すでにその本を読んでいる場合はマウス等を利用して、 文字が途切れている領域を選択すると反転して読むことができるようになっています。

  • ★4つ以上はお薦めです。★4つと★5つは個人的な好みや、 読んだ時の感情によって違っているだけで、ほとんどの場合は差がありません。 ただし、楽也の特徴として「初読の著者の評価は特に甘い」、「簡単に★5つがでる」 という特徴があります。

  • 右端の「有」は所有、「借」は図書館から借りた本、「古」は古本屋で買った本、 「貰」は人から貰った本であることを意味しています。


  • 2009年11月16日月曜日
    ★★★★☆ 「覇者と覇者」打海文三角川書店 2008年10月31日 p483
     内戦状態となった日本において着々と勢力を広げてきた孤児部隊「常陸軍」。そのリーダーである海人と、女だけのマフィアのボス椿子。多くの戦乱を越えてきた少年少女達の最後の戦いを描く最終巻。

     作者が亡くなったために本来の長さの約3/4で終わっている。もったいない、もったいなさ過ぎる。ここまで血沸き肉踊る話は久しぶりだったのに。だから評価がマイナス1となっている。ここまで丹念に描いているのだから面白いのは間違いないのだ。
     毎回そうであったが今回も多くの人が死ぬ。最終巻であるために主要人物近くの多くの人が亡くなった。逆に脇役の人物が意外なクローズアップを受ける。パンプキンガールズの幹部でもある死体屋だ。文中でもずっと本名がでないが、清楚なワンピースで颯爽とした姿をひるがえすお嬢様のような振る舞いは名前とのギャップがあって素敵過ぎる。

     内容がかなり重い(戦争や死体はともかくドラッグが凄まじい・・・)のでどうがんばってもライトノベルにではできないが、若い人にも読みやすいような表紙にしたのは読者層の開拓といった点からも正解だと思う。

    2009年11月14日土曜日
    ★★★★☆ 「脇役スタンド・バイ・ミー」沢村凛新潮社 2009年4月20日 p254
     不可思議な事件に関わってしまった一般人。その正義感も混じったモヤモヤ感のままで警察署に行くといつも脇田刑事がいた。6つの事件と出来事を扱った短編集。

     最初の一篇目がよくわからないスタートをするので最初不安だったが、そのパターンに慣れると、傑作と言いたくなるような展開ばかりで面白かった。「大したことじゃないんですが・・・」と、そんな小さいことが解決へのヒントになるということは世の中ではよくあることだから。

     名言(名セリフ)もあった。個人的なメモだが、
    などなど。謎解きとして面白い話もあれば、逆に社会人として身をつまされる話もあったりとバラエティに富んでいて面白かった。そして最後の種明かし。コレ自体はあくまでもオマケと考えたほうがよいだろう。それでもこの種明かし編があったのはよかったと思う。

     作者のファンタジー系作品の面白さは知っていたが、今回のミステリファンタジーと言った内容でも十分やっていけることを本作で示したと思う。

    2009年10月5日月曜日
    ★★★★☆ 「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹東京創元社 2006年12月28日 p309
     山陰地方の山あいにある紅緑村では「たたら」によって製鉄業をずっと営んできた。戦後のある日、一人の少女が村に置き去りにされていた。その少女が嫁いだ赤朽葉家一族のその後の半世紀を描いた「女の一生」のような三代記。

     ネタバレ→万葉と毛鞠は特に面白い。万葉は確かに神話のすごさ、そして毛鞠は昭和の凄さを感じた。このハイテンションのノリのままだったら、熱烈な面白さで終わったと思う。ところがそこまでの異常な盛り上がりに比べて、本来の語り部である瞳子は、彼女自身があまりにフツーだったため、物語としては後日談という感じでちょっと話がボケてしまった。人生としては彼女が一番まっとうなのはわかるけど確かに物語の主人公の一人としては弱すぎる。おかげで最後のミステリ部分が残念だった。←ここまで。

     製鉄所が年とともに変化を遂げていく様は涙をさそうものがあり、そういった時代背景と比べながら読んでいくのも面白い。巻末の参考文献からも作者がかなり調査したことがわかる。読んで損はしない小説ではある。

    2009年10月4日日曜日
    ★★★☆☆ 「天使の梯子」村山由佳集英社 2004年10月31日 p284
     カフェでバイトしている俺は、ある日客としてきていた斉藤先生をみつけた。高校生のときの憧れの先生だったが、そのときもそして今も声をかけることはできなかった。そんなある日、先生とカレらしき人がカフェで喧嘩をはじめた。「天使の卵」のもう一つの物語。

     それなりに面白くはあったが、すっかり「天使の卵」の細かい展開を忘れていた(大雑把は覚えていた)ので、あくまでも別小説として読んだ。実際ほとんどのところは全く前作と関係ない。
     ネタバレ→一本槍の登場以降が本来なら本作の見せ場なんだろうけど、実はそれ以降が痛くて読んでいて面白くなかった。それが低評価となっている。本作を読むと、この人はキャラクタを捨てきれないのかも、と思った。これはBAD KIDSでも別視点小説書いているし。妄想が激しいとそうなるんだよなー。個人作家が二次創作をしているとも言えるのかも。←ここまで。

     久々に村山由佳を読んだけど、まだまだ恋愛小説を書いているのがさすがという気がした。なかなか続けるというのは大変だから。

    2009年8月12日水曜日
    ★★★★★ 「荒野」桜庭一樹文藝春秋 2008年5月30日 p506
     中学生となって電車で入学式に向かう山野内荒野(やまのうちこうや)。ところが乗った電車でドアにスカートをひっかけてしまう。そんなとき助けてくれたのが同い年の悠也だった。青春モノ。

     中学高校というのが最も人として成長する時期なのかもしれない。それを体現するお話である。1年前の自分が幼く感じることができるということ。特に男子に比べて成長が早い女子はよりそうなんだろうと思う(野郎である自分にはそんな記憶は無い!)。
     ネタバレ→女というものの凄さを見せ付けられた気がする。特に男(山野内正慶)に惹き付けられる女達が。その熟れた感情を嫌悪する幼い頃の荒野と、そして打算的に受け止めることができる成長した荒野。16歳の荒野が戻れない13歳の頃を懐かしむ、これが成長なのだろうか。←ここまで。

     これって対象読者はどうなんだろう。もともとはヤングアダルト向けなんだろうけど、この「大人になって分かる」という部分を考えると中学生よりは、社会人のほうがノスタルジックな意味で楽しめる小説かもしれない(だからファミ通文庫から単行本へ格上げ?)。それでもあくまでも本当の対象読者は中学生か高校生なんだと思う。そのときには価値が分からなくても。

    2009年8月11日火曜日
    ★★★★☆ 「名探偵症候群」船越百恵カッパノベルズ 2005年3月30日 p345
     腐れ縁の幼馴染の結婚式。32歳独身茅乃はカレに振られたばかりで、同行する恋人を探していた。そこで偽の恋人として雇ったのが美形の刑部芯(おさかべしん)だった。そして山荘での結婚式に向かう。閉鎖環境での殺人事件ミステリ。

     正直謎解き型ではなく、それを目的に読むべきミステリではない。だがそれを補って余りある主人公のパワーに魅せられた。ネタバレ→自分が優秀な探偵だと思い込んだり、真の探偵の邪魔をしたり。ここまで的外れな主人公は珍しい。この手の主人公は、うざったくて物語に没頭できなくさせてしまうこともよくあるので、物語をつまらなくしてしまうこともあるのだが、あまりにも精神破綻気味な主人公のおかげでガンガン読めた。←ここまで。

     個人的にはこういった謎解きミステリではなくて、キャラで読ませるようなミステリも好きである。ただ一般的にはメジャーになりにくいので今後が大変そう(主に作家が)。

    2009年7月28日火曜日
    ★★★★★ 「少女七竃と七人の可愛そうな大人」桜庭一樹角川書店 2006年6月30日 p273
     川村優奈は25歳のとき、突然色に走った。7人とかかわり、そして七竃が生まれた。そして17年後、美貌の少女「七竃」がいた。彼女を取り巻く世界を描いた青春小説。

     ちょっとゴシック調な文体で、美人なのにちょっと野暮ったい七竃が話す、その小説手法にメロメロだぜ!まあ最初は「かんばせ」の意味がよく分からなくて「何を言っているんだ」だったけど、読み進めていくと雪風にも同じ「かんばせ」を当てていたことから内容が少しずつ推察できた。
     ネタバレ→美男美女の悩みというのも面白い。世の多くの人がなりたいと思ってもなれないのに、その当の本人達は、そのこと自体が悩みの種となっているというパラドックス。そして同じ悩むをかかえる2人の愛憎劇が時間と共に高まっていく。その展開を和ませる存在としての老犬ビショップとおじいさんにも泣かせてくれる。

     そして最後に七竃が街から巣立っていくシーンがいい。特に決然と髪を切り落とすところがカッコイイ。まあ綺麗にまとまりすぎな所があるけど、爽快で楽しかった。
    ←ここまで。

    2009年7月19日日曜日
    ★★★★☆ 「暗黒童話」乙一集英社 2001年9月30日 p357
     事故により眼球と記憶を失った私は、眼球移植手術を行い、見た目は以前と同様になったが、両親や友人には性格や能力まで変わってしまったと言われ、毎日惨めな気持ちでいた。そんなある日、移植した眼球が熱を帯びる。乙一らしい日常からシミ出てくるミステリ。

     タイトルから多少のグロさは覚悟していたが、実際かなりグロい。自分は本来グロいのは無理な性質だが、乙一のグロさはなんとか容認範囲。おかげでかなり楽しめた。
     ネタバレ→三木の能力を良く考えたと思う。確かに漫画チックだが、それを小説でやって実際に生々しさを感じさせられるということは、成功しているのだ。やられた人間に悲壮感が無いのが、読みやすくしているともいえる。そして年齢と作家であることから三木はある意味乙一自身がモデルかもしれない。高校生デビューとか。←ここまで。

     本作が作者初の長編だったそうだが、間延びしていたりもするけど乙一らしい面白い小説であった。

    2009年7月12日日曜日
    ★★★☆☆ 「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎新潮ミステリー倶楽部 2000年12月 p346
     伊藤は目覚めると不思議な島にいた。日本のようで日本で無いような場所、萩島。車も走っているし、警官もいるし、商店街もある。ただちょっとだけ服装の雰囲気が違うとか住宅のセンスが異なっている。それでも、あくまでも日本であった。ただし、しゃべるカカシの優午がいることを除いて。伊坂幸太郎のデビュー受賞作であるミステリ。

     あれだけたくさんのリョコウバトが絶滅したことや、オーデュボンという動物学者も初めて知った。オーデュボンという言葉に対して、実は読むまでは化粧品の名前か何かと思っていた(恥)。  ネタバレ→事件が発生して解決していく過程が、探偵が頼りないことも含めて、ちょっと強引すぎる気もするが、実は伏線を上手く張っていたことに後で気付かされた。難しいことはしていないけど、よく考えてはある。
     城山は不快すぎた。最後にたぶんカタルシスがあるのは分かっていても怖すぎた。警官なのに確信的に不法なことをやる人間は怖すぎる。逆に桜という人物は望みうる範囲での神のような人物で、カカシを除けば彼こそが、萩島を萩島たらしめていることは間違いない。
    ←ここまで。

     選評にあるように伊坂幸太郎にしては、文章が荒削りなのはやっぱりデビュー作だからだろう。不完全燃焼がなところがあるけれど、やはり伊坂幸太郎はデビュー作から伊坂幸太郎な文章(スタイル)を書いており、面白かった。ミステリの部分も十分にあっと言わせてくれたし。望むべくは萩島はずっと平穏の中にあったほうがよいのかもしれない。

    2009年7月5日日曜日
    ★★★☆☆ 「秋期限定栗きんとん事件」米澤穂信創元推理文庫 上2009年2月27日 p254
    下2009年3月13日 p242
     小鳩君と小佐内さんは互恵関係を高校2年生の夏に解消した。それぞれの道を歩き出したころ、ちょうどその秋から冬にかけて街では放火事件が起きていた。2人とその周辺をめぐる青春ミステリ。

     ネタバレ→今回は長編といえば長編なんだけど、少しダレ気味な感じが・・・たぶんこれは瓜野君のせいに違いない(笑)。なんていうか「若いよ、若すぎるよ、君!」と言ってやりたくなる、「俺だ!俺をもっと知ってくれ!」という自意識過剰な高校生だからだ。ニヒルな小鳩君と小佐内さんに慣れていたから、なんというか恥ずかしいやら、ウザイやら。おかげで狂言回しの彼が出るたびに、話が青くなる。そして犯人は予想の範囲内。でもメイン推理話より、サブのバスの席取りの推理や、トマト嫌いのほうが面白いと思ったのは自分だけだろうか。瓜野君が嫌いだったので、こっちのカップルにしか興味がなかったせいもある。←ここまで。

     たぶん次は冬期限定なんだろうけど、これでシリーズ終了となるのかな?まあ大学生でも同じネタで続けることは可能だろうけど、ちょっとつまらないかも。やるなら社会人編があったりすると面白いかも(個人的願望)。

    2009年7月4日土曜日
    ★★★☆☆ 「セカンドウィンドU」川西蘭ピュアフル文庫 2009年1月18日 p420
     高校二年生となった洋は南雲学院自転車部の主力メンバーとして戦っていた。ただ結果は期待されているほどではなかった。自転車青春スポーツ小説の第2弾。

     一部のキャラの造形がなんというか昭和っぽい。解説者も書いているけど確かに「お蝶夫人」というのが的を得ている。大企業とかお嬢様とか代議士の娘とか一族とか、まるでコミック過ぎるのがちょっと残念。
     それとまた結果を次巻へ持ち越しとなっているのは止めて欲しい。TVじゃないんだから、広告主でもなかろうに。
     全体としては残酷なチーム体制というところが一番面白かった。今までエースだったものが、補欠として荷物持ちになることなど。それと新キャラ後藤のいろんな意味での大活躍はたぶん自転車を知らない人にとっては非常に分かり易いシーンでよかったと思う。説明キャラがいてくれると専門用語も分かり易い。

    2009年5月2日土曜日
    ★★★★☆ 「セカンドウィンドT」川西蘭ピュアフル文庫 2007年11月18日 p418
     中学三年生となった洋は雲見峠を今日もお古の自転車で走りこんでいた。その横を通り過ぎる自転車プロチームとそのジュニアチームの走りを見かけることになる。

     「ありえねー」と言いたくなるくらい贅沢な自転車トレーニング環境。こんなジュニアの自転車チームって実際どのくらい存在するのだろうか。自転車文化の進んだヨーロッパならともかく、日本ではほとんど存在しないのではないだろうか。だいたいジュニアOKの草レースがそんなにあるのかとも思うし、都会(でもないが)と田舎の隣接さとか、海沿いと山沿いの近接さとかがちょっと非現実的。

     とまあそのあたりはおいておくとしても、青春小説として読んでも面白い。幼馴染の多恵の描写がなんというか中学生ぽくてよい。美人ともなんとも書かれていないところとか、ナイト2人とサイクリングに行くところの親御さん達の対応とか。また、自転車が激坂を登っていくシーンは良く書けていると思う。体を上げてしまうと転げ落ちてしまう表現を天狗を使ってうまく表現している。

     ちょうど良いところで終わってしまうので、次へ期待。

    2009年4月30日木曜日
    ★★★★☆ 「ねじまき鳥のクロニクル 第3部鳥刺し男編」村上春樹新潮社 1995年8月25日 p492
     僕とナツメグ・シナモンとの出会いが新たな生活を呼び、そしていなくなった猫が帰ってきた。そしてシナモンがコンピュータ上に残した物語。はたしてクミコは戻ってくるのか。ねじまき鳥シリーズ最終巻。

     村上春樹のペンの力に屈服させられた。どう考えても突飛な展開であっても許してしまえる話の展開が書けるのは筆の力によるものだと思う。
     満州とソビエトの話はまるでその時代に取り込まれたような気分にもなった。精神世界の話ばかりになるとダレてしまうので、ちょうどピリリと効くスパイスの役割もあった。
     「想像する」という話が出てくるが、現実世界では想像できない人間はダメだったりする。これは空想ではなく、想像である。先を見通す力というべきか。ただし雑念としての想像力はいざというときに邪魔かもしれない。
     ネタバレ→ラストは難しい。こうするしかないのだろう。これでもハッピーエンドなんだと思う。←ここまで。

     さすがに最終巻は長すぎて読むのにてこずった。章立てで話を区切って読めるけど、逆にそのせいで一気読みがやりにくいところもあった。メイの手紙がもっともホッとした。これがなかったらかなり厳しすぎる話だと思う。

    2009年3月22日日曜日
    ★★★☆☆ 「儚い羊達の祝宴」米澤穂信新潮社 2008年11月20日 p253
     一部の上流階級の子弟のみが入ることを許される読書クラブ「バベルの会」。この会に関わった人達とその周辺の人達の儚い連作物語。

     米澤節炸裂の一冊。なんとかなってくれと少しだけ願うけど、そんなことにはやはりならない。
     短編集でもあるので、その中でどれがよかったかと言えば、タイトルの「儚い羊達の祝宴」か。確かに帯にあるとおりの衝撃のラストでもあるし。その他の短編もやはりいつも通りに小瓶に毒が入っているので、飲んでみるとよいかもしれない。

     これはやっぱり人には薦められないし、読み返しもあまりしないかもしれないけど、ファンなら読むべき、という位置付け。まあボトルネックほどではないですよ。

    2009年2月17日火曜日
    ★★★★☆ 「テンペスト」池上永一角川書店 2008年8月31日 上p426,下p427
     19世紀も半ば、世界が近代化へ向かい始めた頃、雷雨の琉球王国に一人の赤子が生まれた。男子を強く強く望まれて生まれたのは女子であった。彼女と琉球と世界を結ぶ大スペクタルロマン伝奇小説。

     読み終わるのに3ヶ月かかった・・・時間と体力がある人は一気読みが本来はオススメです。一気に読めばもっと評価を高くしたかもしれない。
     いろんな視点が楽しめるスペクタル振りは「シャングリ・ラ」系統。だけど沖縄ネタでもあるというところが作者渾身の一作なんだと思う。そしてそれにふさわしい出来だと思う。

     琉球王朝の制度がどのように成り立っているのか、そして実際にどんな末期を迎えたのか、人名はともかく、歴史物語として読んでも興味深い。
     特に外交というのはこうやってやるのか!ということがはじめて分かった。交渉術とは相手の利害を見極めて逆にそれを利用してこちら側の利とする、ということが良く分かった。清や薩摩との駆け引きも面白かったが、ネタバレ→ペリー提督との駆け引きのところはそこにいたる状況も含めて本書の頂点の一つだと思う。←ここまで。前作の炭素経済という考察といい、作者はただ単に文学ができるだけでなく、政治や経済をきっちり学ぶ努力をしているのがさすが。
     池上永一お得意の特殊キャラは今回は聞得大君こと真牛。いやー最後までやらかしてくれて一番いいキャラだった。いやなキャラだけど憎みきれない、という感じ。  







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