Bud Powell Bud Powell's Moods"

(ポリドール POCJ-2740)

 1954年6月2日のセッションが1~4、8日が5~8、翌年1月12日のセッションの9~11で構成されたVerve期のBud Powellです。

1.Moonlight In Vermont
2.Spring Is Here
3.Buttercup
4.Fantasy In Blue
5.It Never Entered My Mind
6.A Foggy Day
7.Time Was
8.My Funny Valentine
9.I Get A Kick Out Of You
10.You Go To My Head
11.The Best

 Bud Powellは1924年生まれですが、絶頂期は40年代後半から50年代初めにかけてといわれます。そして、このアルバムは20代後半から30代初めの録音であるにもかかわらず、精神病や麻薬の影響ですでに衰えが見られ始めた時期でもあり、1955年のセッションでは充分に弾けていない姿も捉えられています。
 ところで、私がJazzを耳にすることはあまりありません。とくに1950年代以降はBluesとJazzの間に大きな溝が出来てしまったようで、このあたりで嗜好が大きく分かれるようです。では、違いは何だったのかということを言い表すことは感覚的なもので難しいのですが、敢えていうならば南部的な感覚の有無ではないかという気がします。泥臭いようでありながら繊細な感性とでもいうのでしょうか、そういったディープなものがJazzからは失われていったような気がしています。
 Bud PowellはまさにJazzの側に居たわけですが、しかし、1954年のセッションなどはそれまでのテクニックが衰えてしまったからなのかもしれないのですが、トリオでの演奏にBluesとは違う表現ですが何か深く沈んだものをバラード・ナンバーで示しているような気がします。テクニック的にはコードを叩き出して不協和音を響かせるという技巧なのですが、個人的には「何か深く沈んだもの」とした方がBud Powellが表したかったものがよく伝わるように思います。
 印象に残るのは6月8日のセッションの方で、5・7・8がバラード・ナンバーですが、"It Never Entered My Mind"と"My Funny Valentine"が充実しているようです。

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(C)2005 Solomon Yi