環境と環境税の部屋


目次



エッセ・プリウス,省エネ比較(2007年1月)


 ドイツとドイツ語の部屋に軽自動車に乗るようになった話を書きましたが,その続編です。我が家では乗用車が2台あり,用途に応じて使い分けています。1台は4年ほど前に購入したハイブリットのプリウス,もう一台は昨年買ったダイハツの軽自動車エッセECO(僕が調べた中では,軽自動車としては2番目に燃費が良かった)です。以前は,一台の車を家族で仕事と家庭用に使っていましたが,僕が仕事で車を使うことが多くなったので,家族用に軽自動車を買ったものです。ですので,プリウス=仕事(僕)用,エッセ=家事(家族)用,というのが,基本的な使用パターンなのですが,このエッセとても気に入ってしまい仕事でも使っています。さすがに高速道路を使うときは危ないのでプリウスですが,それ以外でそれ程遠出をしないときはエッセにも載っています。長く走るときはやはりプリウスの方が楽ですが,仕事ではたいがい一人なので軽自動車で充分ですし,小回りがきくのでかえって乗りやすいぐらいです。マニュアル車で何となく「車を運転している」という感じがあって,なかなか良いです。(運転は下手なのに変ですね。)軽自動車の方が道路の傷みも少ないかな?なんて思えるし。

 車を選ぶときは色々な観点がありますが,僕の場合は燃費も主要な判断基準の一つです。ハイブリットのプリウスが燃費がよいのは,当然といえば当然ですね。エッセも何種類かありましたが,燃費の一番良かった(かつ一番安かった!)5速マニュアル車のECOになりました。さて本題ですが,

①プリウス(カタログ上の燃費:29Km/l)
2006年の燃費,20.5Km/l
2006年6月~12月の燃費,20.9Km/l
記録が不確かな部分もあるのでだいたいの数字です。

②エッセ(カタログ上の燃費:26Km/l)
2006年6月~12月の燃費,20Km/l

 車の燃費は,運転の仕方や,走行距離,道路の状況にも依存すると思います。プリウス・エッセのどちらの車にも複数の人間が乗車しており,乗り方も違うので正確な比較はできませんが,少しだけプリウスの方が燃費が良いようです。ただ,それ程大きな違いはありませんね。ハイブリットエンジンを積み,自動的なアイドリングストップ等様々な工夫を凝らしたプリウスと,そのような装備のないエッセの燃費にほとんど差がなかったので,改めて軽自動車を見直しました。

 プリウスは特に冬は燃費が悪くなります。昨年の1月から2月は平均すると17Km/l~18Km/lでした。逆に夏は燃費が良く平均で23Km/l~24Km/lぐらいまでなります。エッセの冬のデータがまだないので確実には分かりませんが,寒くなってからは(少なくとも遠距離運転をしない限り)エッセの方が燃費が良いのでは?と乗っていると感じます。逆に夏場のエッセの燃費は(少なくとも2006年は)21Km/l~22Km/lだったので,プリウスとの燃費の差が比較的大きいですね。

 エッセとプリウスを比較して感じることは,多分乗り方の影響がエッセの方が大きいだろうということです。プリウスの方は,信号で止まれば車が自動的に判断してアイドリングストップするし,ギアチェンジも車が勝手にやってくれます。エッセの場合は,自分で判断して運転するので,運転の仕方がより大きく燃費に影響すると思います。もちろん,プリウスでも,急発進・急ブレーキを控えれば燃費が良くなりますが,その差はマニュアル車ほどではないのではないでしょうか。カタログ上の燃費と実際の燃費(我が家の場合)の差がエッセの方が小さいのは,このせいかもしれませんね。停車中にエンジンを切るだけでなく,信号待ちの間のアイドリングストップも比較的良くするようになりました。ただ,エッセの場合は手動でエンジンを切り,さらにマニュアル車での発進なので,これが結構難しい。遠くの信号を見てスピードを加減しできるだけ,ブレーキも使わないようにします。発車するときも早めにギヤを変えますし,もちろん急発進急ブレーキは極力避けています。よく言われるエコドライブには努めているつもりなので,燃費も少しはカタログ値に近いのでしょう。

 エッセの冬の燃費データがまだありませんが,どれぐらい走るか楽しみです。



ごみの有料化有料化について-より公平で実効性のある有料化の制度とは?(2006年5月)

 僕の住んでいる町では(も?),家庭系ごみの有料化を(財政問題とも絡んで)以前から検討しています。昨年環境省が有料化の基本方針を打ち出したこともあり,一挙に検討が進んだようで,市は春に(僕にとっては突然)「家庭系ごみ有料化に係かる基本方針」をとりまとめてパブコメにかけました。(この田舎町でもやっと最近パブコメを行うようになりました。これはこれで一つ前進だと思います)。以前,市のごみ関係の審議会にいたこともあり関心もあったので意見を提出しました。国の包装容器リサイクル制度に関するパブコメはそのままこのホームページに載せましたが,田舎町にのパブコメをそのまま載せてもしょうがないので,ここでは手直しして特に有料化の方式について論じてみます。

有料化の方式として,ここでは次の二つについて議論します。
①均一重量制(単純方式) ゴミの排出量に応じて手数料を払う方式
②累進従量制(二段階方式) 基準量までのゴミ排出量は無料又は手数料程度の低額とし,それを超える部分については高額な料金を払う方式
(なお,ゴミの排出量にかかわら,一定の手数料を支払う定額制という方式も考えられますが,これではごみを減量しようというインセンティブが働きませんので,論外としてここでは議論しません。)

 この単純方式及び二段階方式について,公平性,削減効果,及び,管理コストの3点から考えてみます。比較に移る前に,その前提をはっきりさせたいと思います。一つは,ごみ処理関連費の全てを市民が負担するのではなく,一部は公的負担(税金による負担)によること。更に,いずれの方式を取った場合でも,公的負担の総額が同程度(市民負担の総額が同程度)という条件の下に比較したいと思います。

 僕の結論を先に述べると,詳しい内容を見ないことにはどちらの方式が優れているかは一概には言えないが,総合的に判断すると二段階方式が優れていると考えます。

① 公平性について
結論:累進従量制が優れている。
 均一従量制については,市民は各自のごみ排出量に比例して負担をすることから負担の公平という点で優れているという考え方があるます。しかし公的負担の観点から見ると,均一従量制を取った場合には,ごみを多量に出す市民に対しては税金からより多くの補助がなされ,ごみの減量に努力しごみをあまり出さない市民に対しては税金による補助が少なくなり,不公平でもあります。これでは,(もちろんごみの量には色々な要因があり,努力だけの問題でもないでしょうが)ごみ減量に努力する市民の税金で,浪費する市民のごみを処理することにもなってしまいます。これに対して累進従量制を取った場合には,市民に対する補助額はゴミ排出量に依存せず一定となり(基準量以上のゴミに対して公費負担を行わない場合),基準量以上のごみを出す市民は,そのごみの量に応じて処理費の全てを負担することになります。また,基準量以上のゴミに対して公費負担を行った場合であっても,均一従量制よりも累進従量制の方が,ごみを多く出す市民と,少なく出す市民に対する補助額の差が少なくなります。ごみを多く出す市民に対して公的負担がより多くなる制度は公平とは言えないでしょう。市民の負担の点からは,ごみを多く出す市民と少なく出す市民の負担の差は均一従量制より累進従量制を取った場合の方が大きくなり,ゴミ排出量と負担の対応関係が強くなります。
 なお,均一従量制によるごみの有料化はごみの減量に努める市民に対しても必然的に新たな負担を強いる事になります。これに反し累進従量制は,基準量の設定によってはごみの減量に努める市民にとってほとんど新たな負担をうまず,努力が報われる制度といえます。更に,累進従量制で基準量より少ないごみを出す市民についてはその差額分を還元する方式を採る場合には,ごみの減量に努める市民にとっては追加的な負担が少なくなるだけでなく,負担が減少することもありえます。これこそ努力する市民が報われる公平な制度と言えるでしょう。

② 削減効果について。
結論:制度設計案による。
 炭素税に関しては炭素税研究会で削減効果のモデル分析についてかじったことがあります。しかし,ごみの有料化の削減効果については全くの素人ですし,もちろん定量的な分析など出来ません。以下は推測です。
 均一従量制または累進従量制と一口に言っても,累進従量制での基準量の設定やその価格,基準量を超えるごみに対する料金の設定等々,その制度如何によって削減効果は異なってくると考えます。しかし,公的負担の総額が一定という条件の下では,削減効果はそれ程大きな違いはないようにも思えます。この場合,累進従量制では均一従量制に比較して,基準量までは削減インセンティブが小さいでしょう。その反面,基準量以上のゴミについてはより強い削減インセンティブが働きます。市民の負担額と削減インセンティブとにはある程度相関系があると思いますので,その負担額が同じならば削減量もだいたい同じであろうとの予測です。詳しくはそれぞれどのような制度にするかによってくると思います。
 また,累進従量制においても,基準量より少ないごみを出す市民に対してその差額分を還元する方法をとると,基準量までのごみに対してもそれなりの削減インセンティブが働きます。この場合は公的負担は同じでも,累進従量制の方が削減効果が高いと言えると思います。これは,その還元分が追加的な削減インセンティブとなりますのでその分削減効果かも高くなると考えられるからです。もちろんこの場合でも詳細については細かい制度案を考えなければなりません。均一従量制では,このような追加的なインセンティブを得る方法が僕には思いつかないので,ある程度の公的負担をする場合にはこれが一番削減効果のある方法に思えます。

③ 事務処理について
結論:均一従量制が勝っている。
 制度の簡素さという点では均一従量制が勝っていると思います。行政コストも少なく済むと思います。

まとめとして-均一従量制と累進従量制の比較
 議論された有料化方式の内どの方式がどのように優れているかは,ゴミ一単位あたりの価格,累進従量制における基準量の設定など,具体的な制度設計によると思います。具体的な制度設計案を前提とせずにどの制度が優れているかを判断することはかな困難ですが,上記の議論をまとめると。
○公平性については,制度設計に依存するが,一般的には累進従量制が均一従量制より優れている。
○削減効果については,制度設計に大きく依存する。費用対効果を考えれば,累進従量制のほうが均一従量制より優れた制度とすることが出来る。
○事務処理については,均一従量制が累進従量制より優れている。
 総合的に判断すると有料化の際には均一従量制ではなく累進従量制を採用すべきと考えます。ごみ有料化の本来の目的はごみの削減と公平性の確保であると考えますので,公平性及び削減効果に重点を置いて判断すべきです。事務コストについてはもちろん判断材料ですが,それに過度に重点を置くべきではないでしょう。また,累進従量制を採用している自治体が現実に存在するということは,この制度が事務コストの点からも実現可能であることを示しています。

 個人的に議論のたたき台としたい提案は,累進従量制の一種として,基準量を超えるゴミについてはごみ処理コストの全て(又は大部分)を市民負担とし,基準量までのごみについては全て(あるいは大部分)公費負担するような制度です。この場合でももちろん基準量をどのように設定するかは大きな議論となります。基本的には,意欲的なごみ削減の長期計画にをたて,その中での年次目標を達成できるような基準量を設定することになると思います。最低限度のごみの量は生活する上で不可避でもありますので,ここは公的負担でも良いと考えますが,もちろん議論の余地があるところでもあります。

 最後に一言。実は市がパブコメに付した提案では,ほとんど議論することなく均一従量制が公平性,削減効果,及び,事務コストの全ての面で優れていると決めつけていました。素人なので間違っているかもしれませんが,僕にはその決めつけ方があまりにも一方的に感じられ(少々腹を立て),それに対する反論としてパブコメを書きました。このホームページはだいぶ冷静になって書きましたがいかがでしょうか?



環境省「環境税の具体案」対するコメント(2005年11月)

 10月25日環境省は「環境税の具体案」を発表しました。(詳細については下記のサイトを参照)
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6480
 今回の案は、化石燃料に対して2,400円/炭素トンの税金をかけ、その税収を全て温暖化対策に使用するというものです。ただしガソリン、軽油、ジェット燃料については当分の間課税せず、一定の削減努力をした企業へに対して軽減措置を設けています。
 これに対しては、僕も属する炭素税研究会として①税率が低すぎ価格インセンティブ効果が不十分であること。②ガソリン・軽油・ジェット燃料の課税を当分の間適用を停止するとしたのは、温暖化対策と公平性の観点から問題であること。③極力限定的に適用されるべき減免措置については、「一定の削減努力」等が曖昧な表現で内容が不明確であること。④単純な増税案で、二酸化炭素排出の少ない企業・個人がより得をする税収中立的な制度も同時に検討し、また、税収を温暖化対策に使用する場合には、使途精査の必要性とそのための仕組みが明記すべききこと。等を問題点として指摘しています。炭素税研究会のコメント及び関連した一連の提案等につきましては、気候ネットワークの下記のホームページを参考にして下さい。特に、現在の原油高と炭素税の関係に関するペーパーもありますので(原油高でも炭素税の導入を躊躇する必要はありません)、是非一度目を通して下さい。
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2005-10-26.html

 いずれにしても、環境税本来の効果である価格インセンティブ効果を重視し、更に原油高の折からも増税としない税収中立型の環境税の導入をすすめるべきです。制度上ことなど細かい点は上記の炭素税研究会の資料に譲って、ここでは環境省案の「基本的な考え方」について個人的な意見を一つだけ述べたいと思います。

 環境省案の「基本的考え方」を見てみると、
<以下引用>
○ 環境税は、二酸化炭素の排出量に応じ、工場や企業、家庭などから幅広く負担を求めることにより、広く国民に対し温暖化対策の重要性についての認識を促し、排出量の削減を推し進めるものである。また、京都議定書目標達成計画の実施に当たり必要な安定的財源の確保も可能とするなど、各種温暖化対策の実効性を確保することができる有力な手段である。
<引用終わり>

 これを素直に読むと、環境税の本来の効果である価格インセンティブ効果をほとんど無視しているように思えます。「負担を求めることにより」、「温暖化対策の重要性についての認識を促し」、更に「(温暖化対策に必要な)安定的財源の確保も可能にする」。きっと、2,400円/炭素トンの税率では価格インセンティブ効果は見込めないと、自ら認めているのでしょうか?更に、ガソリンや軽油を当分の間課税停止するとしたことから、いわゆるアナウンスメント効果にも非常に疑問が残ります。すると残りは税収による効果です。要するに今回の案は、温暖化対策のための財源確保の案と言えると思います。(あるいは、消費税のようにとりあえず低率で入れて後で税率を上げようと考えているのかもしれません。もっともこの場合は、将来税率を上げると明言すべきです。)

 更に、環境省案は次のように続きます。
<以下引用>
○ 環境税は、市場の力を活かしつつ、中長期的には、国民のライフスタイルや事業活動を環境に優しいものへと変え、優れた環境技術を生むなど、美しい環境を将来の世代に残しながら発展する社会経済を具体化する新しい政策手法でもある。
<引用終わり>
 確かに環境税(炭素税)にはこのような優れた性質がありますが、これは価格インセンティブ効果によるものです。(税収を使って環境対策を行うなら、別に環境税の税収を使わずとも、他のより必要のない予算を削ってくればよいはずです。)今回の環境省の案(低税率増税型)のような制度では、このような効果が期待できるとは思えません。

 このサイトの「増税なき環境税のすすめ」にも書きましたが、環境税は非常に公平で有効な制度です。制度設計をうまくすれば、環境に優しい生活をする人・企業が得をするような制度となります。しかし、今回の環境税案からは、このような展望が見えてきません。また、環境税(炭素税)の他にも最近の森林環境税等の議論を見ているとどうしても「税を取り易いところから(あるいは、取りやすい名目で)取る」という疑惑が払い切れません。このような疑惑をもたれないためにも、また、環境税が上記引用のような優れた政策手法であるためにも、もう一度原点に戻って、環境税本来の効果を十分に引き出せるような環境税の導入が必要であると思います。

 なお、僕は環境税の税収を全く温暖化対策に使ってはいけないと主張しているわけではありません。上手に予算を使えば効果的な温暖化対策も行えるでしょう。僕が言いたいのは、環境税は価格インセンティブ効果を発揮して、初めてその長所を引き出せるということ。そして価格インセンティブ効果を引き出すためには、ある程度の税率が必要なこと。更に、十分に高い税率の環境税の場合、全て増税であっては、現状では理解を得るのは難しいだろうということです。

 高税率・税収中立型の環境税を現実を無視した理想論と捉える方もいるかもしれません。しかし、僕自身としては、上手に説明すればこの案の方がよっぽど現実的だと思います。最近また官製談合がメディアで話題になりました。多くの市民は、税の使い方に疑問を持っていると思います。無駄に使っている予算もたくさんあるのではないかと?無駄を省けば、財政赤字だって減るし、温暖化対策予算だって捻出できるよと。このような状況のなか、中途半端で本来の効果はほとんど期待できないけど、とにかく予算が必要だからという理由で課税すると環境税と、効果もあるしかつほとんど増税でもなく、省エネをして環境に優しい行動をする市民・企業はかえって負担減になることさえある環境税案を選択肢として出されたとき、皆さんはどちらを取りますか?僕は後者を選ぶ方が多いと考えます。つまりこっちの方がずっと現実的であると考えます。

来年度の税制改正はこれから12月にかけてその大筋が決まります。今年は昨年ほど環境税が話題になりませんが、


増税なき環境税のすすめ(2005年9月)

 環境税や炭素税という言葉を聞くことも多くなりました。今年の2月には京都議定書が発効しましたし、日本でも欧州でもこのところ大雨や干ばつ等による災害が多いこともあり、地球温暖化に対する関心も高いようです。これから年末にかけて、来年度の税制改正の内容が決められます。環境省もまた環境税の案を出してくると思いますが、ここで一つ基本的な考え方等をおさらいしておきたいと思います。
 皆さんは、環境税と聞くとどのようなものを想像しますか?
「温暖化対策にお金が必要なので、その財源を確保するためのもの」とお考えではありませんか?実はこれは適切ではありません。しかし、環境省の説明やマスコミの報道でも環境税をこのように説明していることも多く、このような誤解が広まっています。このような性格の税では、そんな税を導入する前に、予算の無駄遣いをやめれば温暖化対策費は捻出できるよ、との声が聞こえてきそうです。
 では、環境税って何でしょう?
 環境税とは、環境負荷が大きいものに課税してその価格を上昇させ、使用を抑制する政策手法です。ここでは、温暖化対策としての環境税に限定しますが、これは石油や石炭等の化石燃料に対して、そこに含まれる炭素の量に応じて課税します(例えば含有炭素1トンあたり1万円とか)。これにより化石燃料の価格が上昇し消費を抑制します。この効果を価格インセンティブ効果といい、環境税とは価格インセンティブ効果により二酸化炭素排出を減少させるものです。早い話が、課税によりガソリンや灯油あるいは電気の値段が上がれば、人々はより省エネに気をつけて、その消費量も減るだろうということです。最近聞いたニュースでは、原油価格の高騰でガソリンの小売価格が急激に上昇していることを受けて、消費者のおよそ半数が、車で出かける回数を減らすなどして、ガソリンの消費を節約しているそうです。理由は違いますが、環境税の導入により価格が上昇しても、消費量はやはり減るでしょう。
 このように、環境税とは本来温暖化対策の財源確保のためのものではなく、それ自体が温暖化対策なのです。しかも公平で非常に有効な温暖化対策なのです。そして、環境税がそれ自体が有効な温暖化対策で、課税すること自体により効果が得られるということから出発すれば、税収を必ずしも温暖化対策に使う必要はないことに気がつきます。つまり、必ずしも増税する必要はないのです。環境税の導入にあわせて、その税収分を他の税や公的負担の減額に充て、トータルでは税負担を増加させないことも可能です。トータルに見れば国の収入が変化しないことを税収中立といい、ドイツ語ではAufkommensneutralitätです。ドイツの環境税制改革ではこの税収中立を基本として、環境税の税収の大部分を年金保険料の減額に充ています。ドイツでは、課税による価格インセンティブ効果により二酸化炭素の排出量を減少させ、かつ税収を年金保険料の減額に充てることにより、企業の労働コストを下げ雇用の増加につなげています。これを一石二鳥ならぬ、二重の配当といいますが、ドイツの著名な経済研究所であるDIWの分析では、この二重の配当が確認されています。
 ここで、環境税に対する賛否両論の内代表的なものを見てみましょう。先ず、環境税の主な長所を列挙すると、
1.全ての主体に作用する:温暖化対策としては、規制や排出量取引等もありますが、環境税は、近年CO2排出量の伸びが著しい民生部門(一般家庭等)を含む全ての主体に作用するほぼ唯一の政策手法です。
2.削減効果の持続性:目標値を設定して行う規制等では、その目標値をクリアしてしまうと、それ以上の削減インセンティブは働きませんが、環境税では常に削減を促す作用が働きます。
3.公平性:化石燃料を使えばそこに必ず環境税が含まれていますので、さぼって得をするいわゆるフリーライダーがでません。また、削減に努力した企業や個人が得をし、そうでない企業や個人はそれ相応の負担をするという非常に公平な制度です。環境に優しい生活をする人が、経済的にも得をするというある意味当然の形に社会・経済の仕組みを変え、地球温暖化防止実現に向けた経済・社会全体の変革につなげます。
 逆に、環境税に対して批判的な意見もあります。その代表的なものと僕の答えは
1.環境税には効果がない(はっきりしない)
 例えばDIWやRWI等のドイツの主要な経済研究所がその効果を示しています。環境税に効果がないといって反対する人たちは、効果がないことを証明するか、あるいは、それ以外のより効果的な対策を示すべきです。(反対だけして、対案を示さない、あるいは実効性のないもしか示さないのは無責任)
2.景気や雇用に悪影響を及ぼさないか?
 DIWはドイツ環境税制改革の影響をモデルで計算しています。それによると、経済への影響は軽微で無視できる範囲であること、逆に雇用は増加することを示しています。いずれにしても制度設計により、雇用、経済への影響は軽微に抑えることが可能と考えます。
3.低所得者に対して相対的に高額な課税を強いる逆進性の問題はないか?
 逆進性の問題は消費税ほどではありませんが存在します。しかし環境税は税収が目的ではありませんので、環境税の税収により低所得者対策をすることは可能と考えます。
 ここでもう一度強調したいのは、上記の環境税の長所は環境税本来の効果である価格インセンティブ効果によるもので、税収による温暖化対策によるものではありません。よって、環境税本来の効果を得るためには、ある程度の税率が必要です。しかし、環境省や与党の環境部会等が昨年発表した案は、財源確保を主要な目的としており、税率を極端に低くして、温暖化対策は主にその税収を使って行うというものでした。これでは環境税本来の効果を十分には発揮できません。もちろん高い税率の税を突然入れるだけでは、私たちの負担も急激に増えてしまいます。しかし、同時に他の公的負担を減少させて税収中立の制度とすれば、結局環境に優しい生活をする人の負担は減少することとなるでしょう。
 環境税は、本来公平で有効な制度です。ただ、同じ環境税とは名が付いても、結局は取りやすいところから取るような税では、多くの市民の賛成は得られません。新税は悪税という言葉がありますが、各種のアンケートを見ると環境税は比較的市民の賛成を得ている非常に奇異な税です。この市民の期待に応えるためにも、公平で実効性のある制度で環境税を導入する必要があると思います。そして、そのためには先ず税収中立で高税率の環境税を基本とすべきであると確信しています。
 このホームページの下の方には、DIWの報告書の日本語訳や日本での環境税の詳しい制度設計案等が載せてあります。詳しくはこちらをご覧下さい。


容器包装リサイクル制度の見直しに対するパブコメ(2005年8月)

 この夏、環境省と経産省で、容器包装リサイクル制度の見直しに関してパブコメをやっていました。廃棄物に関してはほとんど素人なのですが、少し前まで市の審議会で関わっていたり、もっと以前に仕事でドイツの似たような制度の基となるVerpakungsverordnungを日本語に訳したことがあったりで、関心があります。それで今回パブコメに参加しました。
 今回の見直しの大きな論点の一つは、処理費用の負担分担の見直しだと思います。現行の容器包装リサイクル法においては、再商品化に係る処理コストを事業者が負担し、分別収集・選別保管に係るコストのを市町村が負担することとなっています。この市町村が負担しているコストの全部または一部を事業者が負担するように見直そうというわけです。同じテーマを取り扱っていても、環境省と経産省とでは、ずいぶん書き方が異なっており(当然ですか?)、ここのところも環境省の中間とりまとめでは、分量も多く細かく検討されています。拡大生産者責任の考え方や、さらにはゴミを効果的に減量するため、個人的には事業者が負担するのは当然と考えますので、パブコメにもそのように書きました。環境省の方が経産省よりも、事業者の負担増に対して前向きの書き方でした。
 また、3R(リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル)の内、リデュース及びリユースがリサイクルより優先されるべきことは、循環型社会形成推進基本法にも明記されているそうです。これについても、環境省のとりまとめの方がよりはっきりとかかれています。しかし、いずれにしてもリデュース・リユースを進める制度が不十分のように思います。
 なお、今回パブコメに参加して分かりましたが、この容器包装リサイクル制度は結構複雑な制度なのですね。見かけない用語等もあり、勉強しながらでしたので、本当に素人の意見となってしまいました。で、少し恥ずかしいのですが、提出した意見を載せました。勘違い等もあるかと思います、気がつきましたら、ご意見・ご指摘をいただきたいと思います。
 環境省に対するもの
   環境省包装容器リサイクル制度見直しに対するパブコメ
 経産省に対するもの
   経産省包装容器リサイクル制度見直しに対するパブコメ
 なお、パブコメの基となったとりまとめは次のサイトからダウンロードできます。
 環境省
   容器包装リサイクル制度見直しに係る中間取りまとめ
 経産省
   容器包装リサイクル制度の評価・検討に関する中間取りまとめ


2005年の始まりに当たり

 結局昨年は、炭素税が導入されませんでしたが、大きく話題になり議論されたことは一歩前進だったと思います。環境省案や、与党税調で議論された案には、課税インセンティブが低い等多くの問題がありました。多くの市民が賛成している炭素税が、できあがったら結局期待はずれでは、税制に対する信頼が更に揺らいでしまいます。基本的には賛成でも、現実の炭素税には反対というドイツの図式が日本でも再現されないよう、これから一年かけてより良い制度での導入を目指したいと思います。  (2005年1月)


環境税関連の資料

環境税関連の資料をいくつか用意しました。長文ですが参考にして頂ければ幸いです。


1. ドイツ環境税制改革の影響

 ドイツでは1999年にいわゆる環境税制改革が実施されました。これは、エネルギーに対する課税を強化し、その税収の大部分を年金保険料の減額に充てたものです。いわゆる二重の配当論に基づき、環境保護と雇用促進を意図したものでした。これについてドイツの6主要経済研究所の一つドイツ経済研究所(DIW)がその影響を分析しました。これによると、二酸化炭素排出量が減少し、雇用が創出され、更に経済への影響がほとんどないことが示されました。この分析の概要版を日本語に訳しました。

   DIW週報Nr14Jr2001.pdf


2. 日本における環境税の制度案

 ドイツにおける環境税制改革を参考にしながら日本における制度を考えてみました。2004年11月に入り環境省が具体案を発表しましたが、こちらは2004年の3月にまとめたものです。環境省案が、炭素税本来の価格インセンティブ効果を軽視し、基本的には低税率で税収を温暖化対策に使うのに対し、高税率かつ税収中立型で炭素税本来の価格インセンティブ効果を重視したものとなっています。参考になれば幸いです。
 なお、この論文は財団法人日本税務研究センターの日税研究賞入選論文集に収録されたものです。

   公平で実効性のある炭素税の制度設計案.pdf

2005年3月に上記の論文の要約版が雑誌「税研」に掲載されましたので、こちらにも載せておきます。だいぶ短くなっていますので、少しは読みやすくなったかもしれません。

   公平で実効性のある炭素税の制度設計案要約.pdf


3. 炭素税研究会の制度案

 僕も参加している炭素税研究会で作った制度設計案です。炭素税研究会は日本ではまだ制度案がほとんどなかった、1999年に制度案を発表しました。同研究会及びその制度案は日本における炭素税を巡るの議論の中核の一つをなすものです。やはり、炭素税本来の価格インセンティブ効果を重視したものとなっています。
 なお、炭素税には、近年二酸化炭素排出量の伸びが激しい民生・運輸部門を含め全ての主体に対して排出抑制を誘導することができる、社会全体としては最小の費用で削減を行うことができる経済的合理性等の長所があります。しかし、これらの長所は価格インセンティブ効果によるものです。よって、環境省案のように、税収を財源として対策を行う場合には、これらの炭素税の長所を十分に引き出すことはできません。「炭素税本来の価格インセンティブ効果」とはよく聞く表現ですが、これは炭素税の長所を引き出すことために必要なわけです。

   炭素税制度設計案Ver5.pdf



トップ アイコン トップページへ アイコン ドイツとドイツ語の部屋
アイコン 趣味と遊びの部屋 メール アイコン イベント情報・リンク集