北の十字軍―「ヨーロッパ」の北方拡大

山内 進 (著)   講談社選書メチエ  価格: ¥1,995   ISBN: 4062581124



時は中世、11世紀から13世紀にかけてローマ教皇によって聖地エルサレムを目指した十字軍が組織されたのは比較的有名な出来事です。
しかし、この時東欧方面に向けて組織された「もう一つの十字軍」があったのはあまり知られていません。
その「もう一つの十字軍」こそこの本で取り上げられている北方十字軍です。

聖地エルサレムを目指した十字軍がエルサレム陥落の際に市民を虐殺したとの話はかなり有名になっていますが
こちらの北方十字軍の主力となる刀剣修道会(後にドイツ騎士修道会)も聖戦の名の下に殺戮を繰り返します。
もちろん目標となった東欧諸民族も反撃を行い、彼らとの戦いの様はまさに泥沼の様相を呈すことになります。
自分がこの本を読んだときに改めて宗教の名の下に行われる戦いに恐怖感を感じました。

この時代、特に悲惨な目にあったのはプロイセン人で、彼らは数度に及ぶ反乱を鎮圧された結果、ほとんどが難民と化してリトアニアに逃亡することになり、後に文化的にもほとんど抹殺されることになっています。
この結果プロイセンの土地にドイツ人が入植することになるのですがこのあたりの事情は初めて本で知りました。

その後ドイツ騎士修道会はリトアニアーポーランド王国(ヤゲウォ朝)とタンネンベルクの戦いで激突、
大敗することになるのですがこの敗北はドイツ人にとってかなりのトラウマになったのですね。
WW1におけるヒンデンブルク将軍の勝利が大々的に「タンネンベルクの戦い」と呼称されたのは中世のこの戦いが
ドイツ民族の汚点として意識されていたからというのはあまり日本では知られていないと思われます。

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