投資利回りとレバレッジ効果
2007/7/17
タイトルを見る限りでは何だか金融商品や信用取引のお話のようですが、れっきとした不動産投資のお話です。
不動産の利回りについては“収益物件ブームの落し穴”の項目で以前お話しましたが、それは借入金を加味しない相対的な金額に対する利回りであり、単純に『年収÷物件価格』で求めた数値です。
ところが、投資利回りとは
『(年収−年間ローン支払額)÷(物件価格−借入金)』
で求めた数値となります。
言い換えると『実収入÷実投資金額』となり、こっちのほうが実際のキャッシュフローに基づいてますので理にかなっているといえますよね。
さて、続いてレバレッジ効果の話ですが、直訳すると「てこの原理」ということになり、金融の世界では少ない投資金額でお金を大きく動かす信用取引などでよく使われます。
これを不動産投資に当てはめてみると、借入れの市中金利が物件利回りより低い現在はオールキャッシュで収益物件を買うよりもそれを元手に大きく借入れをしてより大きい収益物件を買うことによって収入も投資利回りもより大きくなる、ということになります。
では、本当にそうなんでしょうか?検証してみましょう。
物件価格:1億円
利回り :7.2%(実質)
手取年収:720万円(所得税・住民税は加味せず)
という設定の物件を1億投資して(オールキャッシュ)で買えば利回り、年収とも設定の数字のままですよね。
ところが、その1億円を元手に2億円借入れて3億円で上記と同じ利回りの物件を買うと、
物件価格:3億円
利回り :7.2%(実質)
手取年収:2,160万円(所得税・住民税は加味せず)
投資金額:1億円
借入金額:2億円
借入条件:金利4%、返済期間25年、元利金等方式
とすると、年間手取収入は
2,160万円−1,266万円(年間ローン返済額)=894万円
となり、投資利回りは
894万円(手取年収)÷ 1億円(投資金額)= 8.94%
よって、同じ1億円を投資したのに収入は+174万円、投資利回りは+1.74%となりめでたくレバレッジが効きました。
さらにメリットもうひとつ。
借入金利分が必要経費にできる点です。ちなみに先の借入条件だと25年間の合計支払利息は1億1,670万円となり年平均で466.8万円になります。
これが控除できるとすれば例えば個人の場合で所得税・住民税の実効税率が30%だとすると年間約140万円の節税となります。
次に注意点を少し。
借入れの際、金利変動リスクをとらないように長期固定金利型のローン商品を選択すること。当然ですが、変動金利により借入金利が上がればレバレッジが効かなくなってきます。最悪、金利負担が大きくなりすぎて本来の実質利回り、上記の例でいうと7.2%を割り込む危険性もありますよ。あと、借入れ時には抵当権設定費用、銀行の事務手数料等がかかりますので...。念のため。
それと、先ほどチラッと出た実効税率について。個人の場合、日本の税制は累進課税制度をとっているため収入が増えれば税率も上がります。大きい物件を買って収入は上がったものの所得税率・住民税率も一気に上がったんでは大きいのを買う意味がありません。いくら支払利息分が控除になるといっても「焼け石に水」では困ります。よって、税理士さんなどと相談し物件の購入パターンによってシミュレーションしてもらう必要があります。
ちなみに上記の例でレバレッジが効かなくなる金利、いわゆる損益分岐点金利は5.26%です。今はアパートローンが長期固定型で4%の前半から半ばくらいなのでもう少し大丈夫そうかな!?とは思いますが、物件自体の利回りも下がってますので借入によるご購入はより慎重に....。





