北海道のアサリ〜厚岸湖・野付湾
1980年代後半、全国各地のアサリ生産量が減少する中、北海道だけは生産量を伸ばし、2001年現在まで1,000〜1,400トンで推移しています(漁業・養殖業生産統計年報(農林水産省編))。
全国生産量(3〜4万トン))から見れば割合としてはわずかですが、他地域の生産量減少著しい中で、一定量以上の生産が維持されているのは頼もしいことです。
北海道のアサリは本州で見るものよりひとまわり大きく、殻は厚めで黄みがかった白、三角模様などは見られませんが、身が大きく食べ応えがあります。

北海道のアサリは道東、特に厚岸湖が主産地です。厚岸湖は海とつながる水深浅い汽水湖です。厚岸と聞くとカキを思い浮かべられるかもしれませんが、
アサリも昔から獲られていました。漁師さんによると、1982〜83年にこの地で養殖されていたカキが斃死したことがあり、そのカキ礁に砂を撒いたところ、
アサリが大発生したそうです。厚岸湖のアサリは、今も稚貝放流せずとも自然発生し、収穫まで最低5年は置くそうです。
また、別海町野付湾でもアサリが生産されています。ここも稚貝を放流しているわけではなく、漁場造成をし、アサリを移植しながら殖やしています。
厚岸町と別海町はともにそれぞれの漁場である内湾に注ぐ河川の流域の森林整備に熱心な町です。
ともに漁業が昔からの基幹産業ではありますが、1960年代〜70年代の急速な開発の過程で、
漁場である内湾・沿岸海に注ぐ河川の上流域では森林が皆伐されて草地となり、酪農がさかんにおこなわれるようになりました。

1992年、厚岸漁協の青年漁師有志は「昔と同じ環境に戻そう」と「緑水会」(代表:神聖悟さん)を結成し、植林を始めました。発起人のひとりである漁師の溝畑静男さんは、「生物を取り巻く環境の復元があってこそ、カキ・アサリの生産が続くのではないだろうか」とおっしゃっています。
厚岸町も放牧地として皆伐された土地を購入して造林をおこなうなど、緑水会などの団体と協力しながら森林整備に力を入れています。
緑水会の取り組みに共感し、有機食品団体「大地を守る会」では年に1度、会員さんが厚岸を訪れて一緒に植林をしているそうです。
一方、別海町は北海道漁協婦人部による「お魚殖やす運動」(1988年)発祥の地です。
現在も、町の二つの漁協、野付漁協・別海漁協(婦人部)は精力的に植樹を行い、別海町もよくこれを支援しています。
(K.M)
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