散歩者の夢想
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編集中記:0204

久しぶりの温泉宿


一泊ですが、家族で温泉に出かけました。

高二の子の「ニューヨークの美術館」見学旅行が刺激になって、その年の十一月、この子の祖父母が、ニュージーランドとオーストラリアに何年ぶりかの海外旅行。

実は高齢の夫婦のこの旅行、代理店の計らいで、なんと、新婚旅行の扱いでした。

出発日の午後三時まで、仕事に追われていた七十七歳は、往路の機内で熟睡し疲れがとれ、

衰えを心配されていた八十一歳も、旅行中に元気を回復しましたので、今度は家族一緒で出かけましょう、となりました。

帰国直後に「おとうさんは衰えた」と言われた時は、旅行をすすめたのが悪かったかと、一瞬、血の気が引きました。

得意だった暗算を億劫がり、簡単な手続きにも立ち往生したのですが、それは旅行以前も同じであって、あまり心配は要りますまい。

再び旅行に?

そう、今だから行くのです。

明日のことはわかりません。それは半世紀にわたって事業に携わり、明日が常に闇であり続けた二人が、誰よりもよく知っていることです。

同時に、行けるときに行って欲しいが家族の願いでもあります。

子らが幼かった頃は、三世帯十数人で温泉に出かけたこともありましたが、今は働きはじめた子もいますので、六人集めるのがやっとでした。

手洗いの都合を考え、鉄道を使うため、動きまわるのは不便です。

前回の家族旅行はいつだったか。本当に久しぶりです。

日本画を描くのが好きな一人、平面デザイン志望が一人、大昔に、高校の美術部に所属していた一人、美術好きのオジサン一人、美術より温泉好きが一人、この日に限って合宿もバイトもなかったので、行けと言われ渋面の一人。

旅館は美術館から徒歩十分、部屋数十一の純和風でした。