題名 ナイル河の少年

作者 安藤富 あんどうとみ 1920〜



絵の説明

 八十九年にエジプトを旅行した際、父親から舵を託され、
十七、八人の観光客を対岸に渡した少年です。航行中、少
年の父親は、身じろぎもしないで我が子の操船を見ていま
した。

                  2002-10-14 膠彩




係から

 九十三年に仕上げた「ナイル河」では、釣り人の上衣が
はっきりせず、上着だけハーフコートに替えています。富
は半世紀間、重衣料のデザイン・型紙制作・縫製指導に従
事してきましたので、岩絵の具で描いた衣服も、企画書の
デザイン画に見えてしまいます。

 あっさりした彩色に苦しみ、勉強になったと話す「せい
」のスラックスは、ニットの素材をジーンズに替えてい
ます。ステッチの描き方は、仕様書を起こしている雰囲気。

 高年になりますと選択範囲が狭まります。隅々まで克明
に描く画風には、水彩風や淡色の画題は、描くのが無理と
思えるほど疲れてしまいます。

 伴侶の介護が引き金で、生命の仕組みに、戻ることので
きない変化が現われたのでしょう。これからは「奥入瀬
や「戦場ヶ原」あるいは「ナイル河」の描き方に画題を絞
る必要を感じています。

 素人が、風景画で「独自性」を出すのは簡単ではありま
せん。「戦場ヶ原」では、記憶にない風景を、想像で描く
のが負担でした。そこで前々から準備していた「イギリス
の田園風景」と「スペインの淡色の風景」は留保、富が当
時を記憶、しかも気に入った画題となりますと、「ナイル
河の少年」か、説明「パリの市街で乗り物を待つ父と幼年」
に絞られます。街路で、子の背丈に合わせ、屈んでいる父
親のトレンチ・コートは、型紙を昭和三十年代には手がけ
ていますので、比較的描き易いと思います。

                     2001-10-28


 「スペインで乗った観光バス」の下描き
 「ナイル河の少年」の下描き       2002-07-22
 「ナイル河の少年」の文章(係の文)
 「ナイル河の少年」の仕掛かり      2002-08-31
 「ナイル河の少年」の仕掛かり      2002-09-07
 「ナイル河の少年」の仕掛かり      2002-09-23
 「ナイル河の少年」の仕掛かり      2002-09-29
  搬入の一週間前