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クリスマスの季節 −145−
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私もあなたから教えてもらったことがあるのですよ。あなたが
女学校の休み時間、一心に刺していた絽(ろ)刺しを修得するた
め進学しました。刺繍科を選びましたが、教壇に立ち、被服を
教えることになってしまい、刺しかけがそのまま残っています。
十年前に定年を迎え、今は手分けして、江戸時代の被服の本を
現代語に訳しています。引用箇所は原典を探し出し、内容の正
誤も調べていますので時間がかかります。同窓会、なくなって
寂しいですね。ご一緒に開きましょうよ。
※
八十三歳や八十四歳が開く同窓会には、壮年期では期待できな
い美しさがあります。美術の美と同窓会の美は同じ概念・同じ
感覚……
風土の傑作を美術館ごと覆(くつがえ)し、今様だか前衛だか知
りませんが、同時代の浅知恵で建設した高度掘り起こし文明の
粗大ゴミに……
主体性の発揮と、選択の自由を限りなく享受できる体制であり
ながら、一人一人の絶対多数は微塵も制作に手を染めず……
他者の傑作を壁に掛け、崇拝し講評し耽溺する涙国現代の美意
識を、過去数十世紀の歴史に照らし、これから数十世紀の折々
に回顧しますと、いかように賞賛できるのやら……
風土を根絶やしにしなくても技術は成長できるのですよ。むし
ろ風土の自然美に「拘束」されれば、技術と創意はより高度に
発展します。その必要性が増します。なのに嗚呼!関東平野で
は、豪華絢爛たる租界の民も老後は海外へ逃避……
生まれ育った風土で自己を表わし、国際社会の一員として主体
的地方的に暮らす豊かさ」を感受できない社会構造……
今は島嶼の隅々まで選択の余地がありません。権限と予算を委
譲しても伏魔殿と異国の風車が乱立するだけ! 単一では判り
ませんよ。暮らし部分は独立して欲しい。暮らしの独立国相互
で優劣を競って欲しい。立法にも司法にも行政にも、優劣を比
較する競争原理が要るのですよ……
なんて想いながら濃霧の中を一時間、走っていました。走って
いる感覚はありません。作品の片付けで痛みが増した腰も、世
田谷店の脇で車から降りる際、反射の老化で前扉の端をかわし
きれず、こすってしまった足の出血も忘れていました。
林と田圃(たんぼ)の境で、危うく水溜まりに落ちるところでし
た。濃霧の闇は雲上人の天下ですから、足許の不如意は気にな
りません。明後日(九日)は選挙。北側の林で久しぶりに奇声。
以前は走路脇だった鳴き声が、ず〜っと奥に遠退(の)いていま
した。
畦(あぜ)道を抜ける一帯があまりに暗く車道を走路に。通学路
を分かつ白線はありますが初心者はすれ違いを嫌がる道幅。滲
(にじ)んだ光は畑で回避。
異邦から カラスウリ
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