ご感想をお寄せいただきありがとうございます。ご感想をいただける事は何より
の喜びです。心からお礼を申し上げます。なお、折角いただいたお便りを机の中で
朽ちさせるのはもったいないので、代表的なご感想をこのページでご紹介させてい
ただきます。
連載は読者を五十歳以上に定めていましたので、若い世代からの反応は想像も出
来ませんでした。しかし、思いがけず、この本とは関係のない出版社の、若い編集
者(女性)が原稿に目を通したその印象が----「自分の経験したことのない生活につ
いて書かれているので、とても面白かったです。島田さんの他の著書の名前も教え
て欲しいのですが----。こうしてお電話でお話できて、ほんとによかったと思いま
す」----という、その率直な響きと瑞々しい印象に有頂天。
「今度の島田さんは遠慮して書いている。このような揉め事は珍しくないのに」と
少しきつい物言いは、私が原稿を持ち込むたびに、編集の仕事でお忙しいのに、乱
れた御髪(おぐし)をとっさに整え、原稿の入った封筒を両腕で胸に押しつけ、「ま
た○○印刷さんでよいですね」と笑顔で迎えてくれる爽やかさん。私は随想を書く
たびに「自己嫌悪」に陥りますが、随想を読み返すことと、この笑顔を思い起こす
ことで、やって平常心に戻れます。この人は、このMLが対象にしている世代でも
上のお齢、と言ったらどやされました。
私よりひとまわり上の世代の、やはり出版界の人が、「私の父はバクダイショウ
(莫大小)と呼んでいました。家には緯(ヨコ)編機を入れ、使用人も使っていました」
と懐かしそうに話されたにはこちらも驚きました。「ツーと言えばカー」なのです、
イトヘンの世界で育った同士は。
丁寧な筆跡で「ルソーの名作を想起させる内容と思います。私自身も----文章に
引き入れられ、少年時代、神田、本郷を歩きまわったのを思い出して居ります。若
い学生諸君にも読書会などを通して推薦致します。」というお葉書をいただいて初
めて安堵できました。さらに「創作のような感もありますね。珍しいタイプの本だ
と思います。」というお便りに接して、この本、売り込むのは至難の技でも、出版
したことは無駄ではなかったと、ようやく腹も据わりました。
私の随想は、過去には知識人の読者を想定しておりましたが、当然のことながら、
献本してもご返事をいただけるのはごく稀のこと。しかし「例外」だからだったの
でしょうか。ご批評を、それも献本のたびにお寄せいただいた中に、日々、郵便物
の山で忙殺されている方がいらっしゃいました。もう「過去形」になりますが、今
でも感謝の気持ちで一杯です。
電子メールでいただいた最初のご感想が「本八幡付近の記載が出ているのを発見
して驚きました。私の実家----最寄り駅は京成八幡とJR本八幡なのです。----明治
----生まれの祖母などは、『省線』と言っていましたが、省線時代の面影を偲ばせ
るものは見つけにくいようです。----の路地は相変わらず狭いまま残っております
----」。まだ文は続きますが、見も知らずの関係なのに、一瞬、気持ちが通ったよ
うに感じました。私は、大昔はともかく近年は、今で言うSOHOの一人ですが、
このお便りの主(あるじ)にも、ニュービジネスに従事する気迫とご苦労が伝わって
きます。
次に、最も感銘を受けたご感想をご紹介します。「----読みはじめはすぐになじ
めませんでした。電子メールの関係か、文章が短く途切れる独特な筆運び、----、
淡々とした地味な文章の流れ----、しかし読みすすんで行くうち、次第にその流れ
の中に引き込まれて行きました。作者の感性と読者の感性が、ある時ふと触れあっ
て、不思議なハーモニーをかなでる瞬間があり、読み終わった後、しみじみとした
充足感と回想の快さを感じました。----」
表現に年齢は関係ない、いや、「完成された世代」の、なお未完の作品にこそ頂
点がある、と私は常々思っております。この方も表現に携わっている故なのでしょ
うか、面識のない方(年齢の高い女性)ですが、このご感想を知って、なお一層、そ
の確信を強めました。
「丁寧な文章ですね。----、格調高い。」はまだ連載半ばでのご発言でした。出版
後も「読者に媚びない、格調高い作品と思います。」というご感想によって、この
本を出版できたメーリングリストというシステムに、未知の可能性を改めて感じて
いる次第です。[09-Oct-98]
その後、アクセス向上委員会の橋本さんからは「私は昔日本橋の元呉服問屋さん
が経営するテレマーケティングの会社で学生時代に4年間アルバイトをしておりま
した。また--------神田周辺で一年間過ごしましたので、このご著書の神田の繊維
問屋の昔話は雰囲気が想像しやすくてとても楽しめました」「このような小説を部
分的にメーリングリストへ投稿し、最終的に書籍にまとめあげるという事例は海外
を見ても希なのではないでしょうか。」 また産經新聞1998-09-15の書評には「--
------表現・伝達の新しい可能性を探っている」「------みずみずしい感性が表れ
新鮮」とありましたので、本書の文章表現は、ほぼ執筆者の意図通りに受け入れら
れていると思います。[10-Nov-98]
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