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食卓
一本の木から 一体の仏を掘り出す匠のように 僕は座っている 食卓の前 形はできた あとは 心を入れるだけなんだ
いい飲み屋
焼酎をひとり飲むカウンターに 流れてくる有線放送は 長渕剛の「HOLR YOUR LAST CHANSE」 梅干しを割り箸でほぐしながら 僕は何か 思い出している 長渕を すごい好きだった頃もあった 長渕を 鼻で笑っていた時期もあった 感傷を垂れ流すことは 是か非か 感傷に流されることは 是か 非か 僕は酔っぱらっている 焼酎2杯くらいで 酔っぱらって 君と久しぶりに 話をしたい気持ちになっているけれど
食卓の詩2
ここに座ろう この場所が 僕の食卓だから ここに腰を下ろして 食事をしよう ここで食べよう 日々の喜びを 感謝を込めて ゆっくりと食べよう 変わらない痛みを 舌の上で溶かしながら 不安もおそれも 精一杯の勇気で包み込んで 外を歩けば 色々なことがあるさ 一日 歩いてみたら そりゃあ どんなことだってあるさね でも僕は ここに座って食事をしよう みんな食べてしまおう 理由なんて知らない ゴールなんてわからないよ でも僕は 知ってるんだ 僕は もっと もっと 大きくなんなくちゃ いけないんだ
背中の炎
炎を背にしろ 常に 炎を背にして撮れと まずそう教えられたのだと 報道の世界で 神様と言われた カメラマンが語った 火事の現場に駆けつけた 新人時代のその巨匠は ただ炎だけを撮っていたのだと言う フィルムを持ち帰って ただ炎 それだけが映っていたフィルムには 周りの状況も 焼け出された人々の悲しみも 何も映ってなかったのだと その人は 笑い話に語った どこで起こった火事なのか どういう状況で起こった事件なのかを 客観的に伝えるためには 炎を背にしろ と 教えられたのだと 異国の言葉のインタビューでも 頬の筋肉のわずかな動きで 感情が波立った その瞬間を察知して 的確にレンズをズームインしたという 伝説を持つカメラマン 炎は常に その人の背にあったのだろう 僕は たぶん もっと手前から 始めなければならないのだ 炎はどこにあるか 背にすべき炎を 僕は 持っているのか
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