遠くで風が吹く


スパイ

じっとしているおれは
本当は
何をしたがっているんだろう
 
たばこでもくわえさせて
さぐりを入れてみる
 

墓場からの手紙

君は今どこにいるのだろう
僕はまた墓場にいる
墓そうじのアルバイトなんだ
働くのも仕事のひとつだ。
 
こっちはいい天気だ
墓の間を風も吹く
こんな日は落ち葉を追いかけるだけで大変だ
君ならどうする?
 
昼めしは弁当だ
梅干しまでほかほかだ
てきとうな墓にすわって食う
ぼくたちはもうそんな仲だ。
 
君は当分そこにいるのか
墓参りには来ないのか
 
ほんとは君が来た方がいい
 
いや
やっぱり来なくてもいい
 
どっちかっていうと
このままでいい
 

雨は夢

雨が降ってた
夢の中。
 
ぼくはどっからやってきたのか
部屋の中で
雨の止むのを待っている。
 
たしかどこかへ
行きたっかたんだが
目が醒めたまま
思い出せなかった。


ひとりごと

夜
壁に向かって
インスタントラーメンをゆでながら
まだ同じことを考えている人に
つくづくアホらしくなった。

 


爆走!!愛のけん血車

 

ワレワレは愛のけん血員である。

ワレワレは本日午後3時までに

1000リットルの鮮血を必要としている。

時計を見るがいい

あと5分しか時間は残されていない。

ワレワレはいまの今まで諸君らの愛に期待をかけてきた。

おみやげも用意して待っていた。

だがもう待てない

もう待っているわけにはいかない。

ワレワレはもう愛を信じることができない。

ワレワレはもう愛を分かち合うこうとができない。

ワレワレはいよいよ

次のステップに入らなければなるまい

さまざまな障害をのり越えて、

最後の手段を使わねばならない。

老人と子供は危ないから下がっていなさい。

飛んできた手や足は

のちほど係りのものが回収にうかがいます。

そこのズベ公!

今頃うでまくりして甘えてきたっておせえんだよ!

諸君。

そんなに逃げまわってもだめだ。

この駅周辺は地元商店会の協力によって

ワレワレが完全に包囲した

ではこれより作業に入る。

諸君らの死は決してムダではない。

................


確か、新宿御苑の近くのミニコミばかりを売っている本屋で買ったんだと思う。

フォークっぽいイラストが描かれた表紙に、手書きの詩が27編、時折入っている日付は80年代の後半のものだ。背表紙には、500円の値段と杉並区西荻の住所が、やっぱり手書きで書かれている。

この人がどんな人で、部屋に住んでいたか、どんな音楽を聞いていたか、どんな飲み屋で飲んでいたか、どんな悩みをもっていたか、僕は知っているような気がする。

こんな人はたくさんいた。こんな気持ちはたくさんあった。そんな気持ちがする。

同じようなことが、同じような場所で、今も繰り返されているのだろうか...........

 


 

 

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