ル・テアトル銀座 アンナ・カレーニナ」   06/02/26


 原作: レフ・ニコライビッチ・トルストイ
 脚本・作詞: ピーター・ケロッグ
 音楽: ダン・レヴィーン
 修辞・訳詞: 小池修一郎
 演出: 鈴木裕美


 

 19世紀末のロシア、ペテルブルク駅。 モスクワへ向かう列車の中、ロシア高官カレーニンの妻アンナと、若き陸軍士官・ヴロンスキーが出会ってしまう。 突然起こる列車事故、、。

  モスクワ駅では、兄・スティーバがアンナを出迎える。その兄の家では又、ヴロンスキーに恋する、アンナの義理の妹・キティ。 キティに求婚する純朴な青年レイヴィン。 そしてアンナとヴロンスキーが再会する。

 アンナを忘れる事が出来ず、ペテルブルクに彼女を追って行く、ヴロンスキー。 厳格で体裁を重んずる歳の離れた夫との生活に、淋しさと空しさを感じていたアンナもまた、熱情的なヴロンスキーに惹かれていく。

  やがてアンナとヴロンスキーの中はペテルブルクの噂の種となり、アンナの夫・カレーニンにも知られてしまう。 ヴロンスキーの子を宿すアンナ。 二人はイタリアへ駆け落ちをしてしまう。 

 異国の地で、つかの間の幸せな時間をもつ二人。 けれどアンナは、息子・セリョージャへの断ち切れぬ思いから罪に苛まれ精神のバランスを崩していく。 そんなアンナを目の前にし、やはり良心の呵責に苦しむヴロンスキー。 

 一方、キティとレイヴィンの二人は幸せに結ばれる。 対照的な二組のカップル、、、、。
 

 

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とてもいい舞台でした。とてもせつない大人の作品です。

 DIVA2001(一路コンサート)でみたアンカレダイジェスト版が、凝縮されて密度の濃い心に染みる舞台・楽曲の数々でしたので、その香りがそこなわれるのではないかと、多少の危惧はあったのですが、、、無駄な心配に終わりました。

 

 舞台は3〜4段の階段がある長方形のせりあがった壇上。 その上などに、カウチやテーブルなどが置かれたり、カレーニン家では、その横に階段が設置されたりしていました。  舞台後面は大きなやや円形の窓枠のような形の枠が設置され、その後ろにはオケピ (6〜7人で演奏されていたようですが、またこれがいつもの東宝ミュージカルのように音がいいの)。  屋敷内の時には舞台半分に豪華なカーテンがかかったりします。

 オレンジ〜黄色の照明がなんとなくロシアっぽさ (どんなかんじや(^^;) を醸し出しています。 オープニングの駅に白い雪が降り注ぐ場面も印象的でこれから起こる何かを象徴しているようでとても素敵でした。

 なんといっても曲がよく胸に染みて、DIVAの時にすでに刷り込まれてしまっていたので、音を聞いただけで、パブロフの犬状態、涙腺が刺激されてしまいます、、。 特に1幕ラスト、ここでアンナ・ブロンスキー二人の美しい歌声に感情をのせて歌われたらもう心がえぐられるようにせつなく泣けて泣けてしかたがなかったです、、、。もうラストにこの曲を使うなんて、、卑怯よ〜(^^;、、 ただ二人の台詞だけだとこんなには泣かされなかったのではないかと思ったものでした、、。 ここで客電つけんといて〜って思ったのは私だけなのかしら、、?

 一路、井上が感情をのせて歌うことが突出しているので、春風さんをのぞき、ほとんどのメインキャストの方がミュージカル初挑戦のようでしたので、本当に皆さん大変だったことと思われますが、歌は皆それぞれ健闘されていたように感じられました。 男性陣は皆とても声がよくて、そのまま素直に歌を歌われていて、聞きやすかったです。 (キティは多少高音が不安定ででていない面もありましたが) ただ、ソロだとまだよいのですが、この二人とデュエットとか、一緒に歌われる方はかなりのプレッシャーを感じていただろうな〜と思わされました。

 ミュージカルだけれども、音楽劇というかストレイトプレイっぽい印象も残ります。 ミュージカル畑ではない出演者の方たちのお芝居のためでしょうか? アンサンブルの歌が短かったためでしょうか?

 でもやはり完成度の高い作品だと思わされました。

 アンナの兄の明るさ、コミカルさ。 アンナとブロンスキー、そしてカレーニンの深刻なお芝居。 それと相反して、キティとレイヴィンの明るさ、コミカルさ。 セリョージャの可愛さ。 そして5人の召使の方がそれぞれ、皆主人思いのいい人達で、キャラクターがあって、楽しくてほろっとさせられたり、この作品の中でいいエッセンスになっているようでした。

 ただ、カレーニンがいい人に書かれているのが、少し納得できないというか、もっと冷徹でなければ、アンナが家に帰ってきてから歌う「なにひとつ変わらない」などの曲の歌詞が浮いてしまうような気がしましたし、ただアンナの身勝手さに思えてしまうような気がしてしまいます、、。

 また、列車事故の際に、アンナが「何かしてあげられないかしら?」という台詞もちょっと浮いているような気がしました、、。

 アンナに呼ばれた間男のブロンスキーが(^^;、急に屋敷に戻ってきたカレーニンに、胸倉をつかみかかっていって、それもにらまれただけで、すぐに手を離してしまうのもなんだかちょっと、、、という気もしましたが、、、。

 ラストは、衝撃的な電車の音で終わらなくてよかった、、、。 最後にほんわかしたムードのキティとレイヴィンの芝居があって、ほろっとさせられました。

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 アンナ・カレーニナ 一路真輝
 

 まるで宝塚の舞台のように素敵なロシア風ドレスを何着も着こなされ、そのつど髪型も工夫され、美しかったです。鎖骨のラインはいうまでもなく、ウエストの細さ、フードつきコートからみせるサービスショット((^^;?)の白く細い腕の美しさ、そして後ろ姿のとても美しいこと (それってほめ言葉か(^^;) 。 ダンス姿も素敵でした。

 セリョージャとのやりとりも本当にほほえましいです。 明るく聡明で貞淑な妻、知性と優雅さと美貌、誠実さ。いつくしみ、ふくよかな愛情、、、。 一転して後半、転げ落ちていく人生、、、。

 精神が崩れていくいき方、アンバランスさを保つ芝居はうまいというかあっているな〜と思わされました。

 そして安定した歌声、気持ちや感情を歌にのせていくのはやはり絶品だな〜と思わされました。 宝塚時代に言われていたという-情感の一路-という言葉を歌を聴きながら思い出してしまいました。

    
 この役は演じ続けていると結構きつい役でしょうね〜、、。

 

○アレクシス・ヴロンスキー 井上芳雄

 

 以前も何度か書いているような気がしますが、一路さんとの歌の波長が絶品。 もう二人の美しい歌声を聴くだけで、誰も間には入れないと思ってしまいます。 もちろん、一人の時ののびのある素敵な歌声もいいですが、、。

 前半のキティとのやりとりもそれらしくて好きです。 そしてまっすぐ突き進む若さ、純粋さ、、そして困惑、、もうヴロンスキーそのもののようです。

 軍服やマント姿がとても似合っていて、サーベルをもつ姿がさまになっています。

 

 地位もお金も若さも美しさももちあわせたこんな男性に熱いまなざしで見つめられたら、誰しもおちてしまうでしょうね〜、、、アンナがあんなにまじめで、自分を責めなければ、結論も変わっていたかもしれないでしょうにね、、、。

 

 ニコライ・カレーニン(アンナの夫)山路和弘  

  渋くて素敵でした。いい男に描かれていました。

 3人の歌もどうなっているのだろうと思っていましたが、健闘されていました。 声がいいって本当に素敵ですね。

 

 コンスタンティン・レイヴィン 葛山信吾

 2枚目の葛山さんですが、一生懸命なまっすぐさできちっと2枚目半を演じられていて面白かったです。 声がよくて、無理せず歌も素直に歌われていて好感がもてました。

  


○スティーバ(アンナの兄)小市慢太郎

 いい味だしていました。スティーバのように生きられるといいな〜と思わせてくれるような心温かい素敵な人物でした。

 

○キティ・アレクサンドロヴィーナ(アンナの義理の妹)新谷真弓

  最初みたときはアニメ声やその表情や動き、お化粧などに少し驚きましたが、ともすれば重い作品の中のクッション的役割としての彼女の起用だったのでしょうか。 

 最初はあまり美しくもないし、立ち居振る舞いも雑だし、どうしてブロンスキーやレイヴィンや男達が彼女にいいよるのかよくわからず不思議だったのですが、後半いい人でしたね〜、、、。 

 多少鈍感さもあるのかもしれませんが、誰もよりつかなくなったアンナ、それも自分の恋人をとった人妻に対してあんなに優しく振舞えるなんて、、そして夫に対してもおおらかな愛で包み込む素敵な女性でした。

 あの明るさややさしさが後半好きになりました。

 

○ プリンセス・ベッティ(ヴロンスキーの従妹)春風ひとみ

 あのダンスの背中のそり具合がさすがです。 噂好きなご夫人をときにコミカルにそして、シリアスに演じておられました。   



○召使達 

 ・カレーニン家-福麻むつ美 

 いい味出していました〜、、さすがむっちゃん (いや、現役時代は知らないけれどさ〜(^^;)。 セリョージャに遊ばれてほとほと疲れている様子とか、アドリブだったでしょうか?負けたとぼそっというところもつぼでしたし、、本当に奥様思いのいい召使です。 夜中、アンナがでていこうとする時のあわてっぷりと必死でとめようとする様子、そして、セリョージャの誕生日夜中に戻ってきたアンナに接する接し方には、涙がこぼれてしまいました。 とても人間味あふれたいいアンヌーシュカでした。

 

 ・キティ家- ももさわゆうこ

 台詞はほとんどなかったけれど、もうお嬢様思いのいい役でした。 レイヴィンが突然きたのをみつけると、キティの背中をばんばんたたくところや、他のところのリアクションもとても面白くて、笑いながらもほろっとさせられました。

 

 ・レイヴィン家- ひのさん?

 台詞の間とか、言い方、笑わせてもらいました。少ない場面でもインパクトのあるいい味だしていました。

 

 ・イタリアでの二人の家- BELLE

 病んできているアンナに対していやな表情も見せず、使えてくれていました。

 

 ・ヴロンスキー家- 佐久間義也

 間とか面白かったです。 佐久間さんはウエイターの時もなんだかみていて面白くて目が離せなかったですね。

 

○ヴロンスキーの友人役 繩田晋

 フエッンシングきまっていてかっこよかったです。

 

○セリョージャ

 わたしがみたときは確か、夏目卓実ちゃんだったと思うのですが、うまくて、子供らしくて賢くて、本当に可愛くて、抱きしめてあげたくなりましたね。 素晴らしかったです。

 

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楽日のご挨拶

 カーテンコールでは、一路さんは確かセリョージャの手をとってでてこられたような気がします。

温かな拍手と歓声の渦の中、出演者の方が勢ぞろいされ、一路さんがご挨拶されました。

「本日はアンナカレーニナの千秋楽、お足元のお悪い中おいでくださりありがとうございました。本当にあっというまの公演でした。東京千秋楽ですが私たちはこれから各地を色々まわり名古屋が最後で、まだ続くので今日が中日という気もします。でも本当に今日は東京最後ということで寂しいです。」

そして「ダーリン」と甘く呼ばれた山路さん 「どうもありがとうございました。 楽しい役、、、(ここで思わず一路さんは山路さんが何を話されるのだろうというような表情をされていたような気がします。) 哀しい役、、。 楽しくやらせてもらいました。長く役者をやっていると年をとっていまして、稽古場では長老と呼ばれるようになってしまいました。 (笑い) 今後は風邪をひかないように身体に気をつけてやっていきます。またお会いしましょう」


葛山さん - 「ありがとうございます。レイヴィンという役を演じられることを本当に幸せに思っております。名古屋まで体調を崩さないよう頑張りたいと思います。ありがとうございました。」


新谷さん - 「本格的なミュージカルが初めてでしたが、わたしは一生懸命頑張りました。 (拍手) 最後で感激して泣きそうになりましたが、まだ一ヶ月以上あるので頑張ります。ありがとうございました。」


春風さん - 「毎日毎日反って反って反って、金メダルをとった荒川静香さんのイナバウアーのように (笑い) 反っていました。また各地で噂話に花を咲かせていきたいと思います。」


小市さん - 「おかげさまでミュージカルデビューできました。 (拍手) またやりたいです。よろしくお願いします。」

芳雄くん - 「大人の役で頑張りました。一路さんのおっしゃったようにまだ中日という感じで、もっともっとステキな作品になるのにお見せできなくて残念です。是非来月頭までやっておりますので、全国各地までみにきていただければと思います。お待ちしておりますので、いらしてください。」 というようなことを話されたので、一路さんに広報部長と言われていたようでした。


楽日らしいなごやかな雰囲気での皆様のご挨拶でしたが、出演者の方たちが面白いことを話されて、客席が笑いの渦になるたびごとに、一路さんは山路さんの顔をみていたようでしたが、山路さんは照れなのか、そういうことはしない主義なのか(^^; ほとんど一路さんの方に顔を向けることはありませんでした(^^; それをわかっていてなおさらなのか、何度も繰り返し見続ける一路さん、、と山路さんの表情をみているのがなんだかおかしかったです。

一路さんは何度も両子役の頭をやさしげにぽんぽんとしていてほほえましかったです。

一路さんの両手に子役で、下手に何度かはけて、またカーテンコールの繰り返しだったのですが、そのはけるたびごとに、一歩前を行く山路さんが心配でもないだろうに(^^; 振り返って3人をみながらはけていく姿もなんだかおかしかったですね。

上手に一人ではける井上君は、明るかったです(^^;。 (それでこそめげない若さよ(^^;)

 

何度目かのカテコでは、オケピの方も揃われて、また、出演者後列のアンサンブルの方たちも前列にでられ1列になったこともあって、皆さんにこにこと手を振られていました。

 

そして何度目かのカーテンコールのあと、一路さんが最後に 「あっという間でしたが良い時間をすごさせていただきました。 これも連日来て下さった多くのお客様のおかげだと思っております。本当に本当にありがとうございました。」 というようなことを話され、客席熱い余韻を残しながら、東京すべての幕が閉じられました。