初版作成日2004年10月24日
最終更新日2005年01月02日

  Top Studio Labo. Music Blog Link  

■Do it yourself ! Synthesizer - Vol.9■

MinimoogクローンVCFの製作

 現在作成しているモジュラーシンセには、すでにSSM2040を使用したVCFモジュールがありますが、 モジュラーシンセと言えばやっぱりmoogということで、moogタイプのVCFモジュールを製作することにしました。
moogタイプのVCFの特徴といえば、やはりmoogの特許ともなったトランジスタラダーを使った回路でしょう。
 今回、モジュラーシンセ用ということで3バンド仕様の904Aクローンを製作しようかと思いましたが、回路的にちょっと複雑なので、 もう少し簡単そうな?minimoogタイプVCFのクローンを製作することにしました。

トランジスタの選別

 トランジスタラダーVCFを製作する上で重要なポイントは、実装するトランジスタはVbe電圧特性がそろっているものを選別することです。 minimoogのサービスマニュアルには、マッチドペアトランジスタを選別するVbe電圧の相対誤差を測定する方法と測定回路が載っていますが、 takedaさんのホームページには、 さらに詳細なレポートが掲載されており、参考にさせて頂きました。
選別に使用したトランジスタは全部で30個ほどで、takedaさんの方法と同様、2SC1815をテーピングされた状態のまま測定いたしました。 このVbe電圧は温度に非常に敏感なため、周囲温度がかわらないように一気に測定する必要があります。 また測定中に、トランジスタを手で触ったりすると、測定値が大きく変化してしまい、正確な測定が出来なくなるので注意が必要です。

トランジスタVbe特性特定の結果

トランジスタVbe特性測定中 

測定の結果は、想像したよりバラツキが少なく、約2/3が601〜602mVの1mV誤差の範囲内にありました。 takedaさんによるとこのバラツキはトランジスタのhfeが高くなるほど大きくなる傾向があり、今回はYランクを使用したためこのようにバラツキが少ないのだろうと言うことです。

回路シミュレーション

 トランジスタラダーによるVCF回路は、非常にトリッキーで、なかなか理解するのが難しいです。 しかし、実際に製作する場合、ある程度回路の動きが理解できていないと、トラブルがあった場合や調整にとまどうので、 と禁断?の回路シミュレータを使って回路の動きを理解することにしました。
 回路シミュレータにはOrCAD評価版を使用しました。 この評価版は、トランジスタの素子数は10個までの制限があるため、moogフィルターの「核」となるTRラダーについては、minimoogの回路をそのままに、 後は定電流源と理想OPアンプによるインスツルメンテーションアンプを使ってシミュレーションすることにしました。

シミュレーション回路図
MiniVCFシミュレーションデータファイル(別途OrCad9.2LEが必要です)

タイムドメイン解析 信号周波数=1kHz、レゾナンスVR=50k(つまみ位置0)、定電流源=1000uA
入力電圧=2Vpp時の波形
入力電圧=5Vpp時の波形

AC解析 入力電圧=2Vppとして、定電流源をパラメトリックに1uA、3uA、10uA〜1000uAと変化
レゾナンスVR=50k(つまみ位置0)
レゾナンスVR=10k(ツマミ位置8)


発振波形(レゾナンス最大時、100uA、300uA)

回路

 基本的にはminimoogのVCF回路そのままですが、電源電圧を±15V対応化し、さらにモジュラータイプとするため、 接続する機器の影響を減らすため入出力にバッファアンプを設けています。 部品は、特殊なものは全くなく、感光基板を含めても\1500以下(パネルなどの実装部品を除く)で製作出来ると思います。

minimoogクローンVCF回路図
プリント基板パターン

 

完成したMinimoogクローンVCFモジュール(拡大写真
SSM2040を使用したものとパネルデザインはほぼ同じです

<仕様>

  • CUTOFF FREQ.
  • EMPHASIS
  • CV1〜CV3入力 (CV2,3はVR付き)
  • AUDIO IN A,B (VR付き)
  • AUDIO OUT A,B
MinimoogクローンVCFの基板

基板の部品配置を見ても、トランジスタラダーになっているのがわかります(笑)

モジュール入出力波形の比較
(上:入力波形、下:出力波形)

カットオフは全開、エンファシスは0の状態
出力波形が若干サグっています

カットオフを入力信号の基本周波数(約500Hz)程度よりちょっと上ぐらいまで絞った状態

カットオフ周波数を下げるに連れ、出力波形の位相が遅れるのが観測できます

エンファシスをかけてみました

 


 <<Vol.8に戻る  Vol.10に進む>>

Laboratoryに戻る

トップに戻る


©2004 RJB. All rights reserved