ボーナスDVD事件

<音楽ファンの視点にたったソフト化を!>

現在はVTRソフトの売り上げを抜いたDVDソフト。ロックミュージシャンも過去のライブ作品が続々とDVD化再発されるなどうれしい(財布にキビシイ!?)状況が続いている。
また新譜CDに「ボーナスDVD」が付属するのも増えてきた。
以前のCDのおまけとしては、「エンハンスドCD」としてプロモビデオやWEBコンテンツなどが収録されていることがあったが、より画質の高いものが提供されるということで歓迎している。ミュージシャンの表現の方法も広がり、よい傾向ではないだろうか。
ただ過渡期なためか、いくつか気になることがある。今回はCDのおまけとしてのDVDについて述べてみたい。

<その1:初回限定特典としてのボーナスDVD>

「初回限定特典」、以前からボーナスCDがついたり豪華装丁だったりいろいろあるが、DVDもこの例外ではない。
私はどうしても「初回限定」というのが好きになれない。誰もかれも発売情報を素早く入手できるわけではないし、後で気がついて買い損ねたという事実をつきつけられるのも無念だ。それ以上に、レコード会社の単なる販促の手段としてミュージシャンの表現方法が利用されているというのも、子供っぽい考え方かもしれないが何となく許せない。
もちろんDVDなどに興味のない方もいるだろう。あるいはミュージシャンは音で勝負、映像は不要と考えている方もいるかもしれない。実は私もそうだった。しかし数年前にイーグルスの再結成ライブ(「Hell Freezes Over」(94年))を購入して考え方が変わり、それ以来好きなミュージシャンのライブ作品は購入するようになってしまった。DVDになり画質や耐久性が向上したのはさらにうれしかった。

確かにDVDを必要としない方には恒常的におまけDVDが添付されることにより価格が上がるのは、もっと許せないだろうと思う。
そこでレコード会社の方には、是非太っ腹なところを見せていただき、ボーナスDVDは本当の「おまけ」として扱っていただき、価格の安値安定にがんばっていただきたい。特にキャリアの長いミュージシャンのファンなら、価格面を含むソフトの質を上げるだけで満足度が高まり、自然と売れ行きもよくなるはずである。
期待しています。


<その2:輸入盤にのみ付属しているボーナスDVD>

これがもっともややこしい。しかも「輸入盤」の「初回限定」としてのボーナスDVDが多く、インターネットで情報の垣根がなくなった今、さらにややこしい状況になっているような気がする。
結論から言えば、外国のDVDソフトは国内向けDVDプレイヤーで見られないことが非常に多い。つまり輸入盤CDのみにボーナスDVDが付属するという情報を入手しても、それが見られるかどうかを正確に判断しなければならないということである。
私が直面した事例は次の通りである。

今年の2月に、妻がポール・ウェラーの新譜「Illumination」を購入するといった。妻はウェラーのファンなのだが、2002年9月にこの新譜が発売されたときはちょっと見送っていたのである。
そこで輸入盤と国内盤の違いを調べるべく、ネット通販サイトで調べてみた。
すると、オーストラリア盤とヨーロッパ盤にはライブ映像を収録したボーナスDVDが付属していた。各国盤の仕様と価格は次の通りである。

・ヨーロッパ盤   2,800円 13曲収録+ライブ3曲入りDVD付属
・オーストラリア盤 3,400円 13曲収録+ライブ3曲入りDVD付属
・日本盤      2,500円 13曲+ボーナストラック2曲の計15曲収録。DVDなし

さらにオーストラリア盤には、「NTSC方式でリージョンフリー。日本のDVDで再生可能」と記載されていた。ヨーロッパ盤には断りがなかったので(当然見られないとは書いていない)、ヨーロッパ盤を購入した。4日後に到着した。
早速DVDを見ようとしたところ、DVDプレイヤーに「NTSC方式(=テレビ方式)ではないので再生できない」とメッセージが出て、再生できない。ひょっとしてサイトに再生不可の断りが書いてあったのかと思い、すぐに購入したサイトのヨーロッパ盤掲載ページを見ようとしたら、ページが削除されていた。
おかしいと思って、すぐに通販サイトに問い合わせのメールを送った。

当方からの問い合わせ その1 2003年2月18日
1.断りがないにも関わらずDVDが再生できない。返品と返金を希望します。
2.オーストラリア盤が再生可能なら、差額を払うので交換してください。

すると翌日に回答をいただいた。

通販サイトからの返信 その1 2003年2月19日
1.返品を受け付けます。到着次第、返金処理します。
2.オーストラリア盤も同じ仕様のため再生できません。

そこで手元のヨーロッパ盤は即返送することにし、改めてオーストラリア盤ページを見た。
すると、やはり「日本のプレイヤーで再生可能」と掲載されている。そこでもう一度問い合わせのメールを送った。

当方からの問い合わせ その2 2003年2月19日
1.御社のオーストラリア盤のページには確かに再生可能と書いてある。是非御社で購入したいので、確認してほしい

すると翌日に回答をいただいた。

通販サイトからの返信 その2 2003年2月20日
1.オーストラリア盤は一度ページを削除しましたが、内容更新が間に合わず、再度そのまま掲載してしまいました。オーストラリア盤のDVDも国内向けプレイヤーで見ることはできません。

とあり、早速そのページを見ると、ページそのものが削除されていた。 再生不可能なソフトの販売は行わないというしっかりとした方針らしい。

念のため書いておくが、この文章はネット通販サイトの落ち度を突くつもりは全くない。むしろ誠実かつ迅速な対応で、このサイトへの信頼感がむしろ高まり、その後も安心して利用している。

問題は、やはり「輸入DVDが国内向けプレイヤーで再生できない」というところにある。
私はリージョンコードについては知っていた。リージョンコードは国によって異なっており(リージョン6まであるらしい)、コードが異なればその国向けのプレイヤーで再生することはできない。なぜこんなことになっているのかといえば、輸入盤で価格が安いソフトが流通したり、自国で発売する前に発売の早い輸入盤が流通するのを防止するためだそうだ。
実はこれ以外にも「テレビ形式」という壁があるのをすっかり忘れていた。日本とヨーロッパではテレビ形式が異なっており、DVDに限らずビデオソフトも見ることができない。
DVDの場合は「リージョンコード×テレビ形式」を見極めないと、国内向けDVDプレイヤーでは再生できないという、ややこしいことになっている。
具体的には、代表的なところで以下のようになっている。

・日本 リージョンコード=2  テレビ方式=NTSC
・アメリカ リージョンコード=1  テレビ方式=NTSC
・ヨーロッパ リージョンコード=2  テレビ方式=PAL
(注)リージョンコードは「フリー(またはオール)」があり、これはリージョンコードに関わらず再生可能

せっかくの高画質ソフトなのになぜここまで規制をかけなければならないのだろうか。
さらに不愉快なことを発見した。国内向けDVDプレイヤーを生産しているメーカーは、当然輸出用プレイやーも生産しているが、この中には「リージョンフリー(リージョンコードを無視)」でかつ「NTSC/PAL互換方式」、つまり夢のマルチプレイヤー(笑)タイプがある。こうした輸出用プレイヤーは一般の家電量販店で購入することはできない。輸出代理店などがインターネット上のショップで販売している(つまり国内でも使用することができる)。価格は国内向けDVDプレイヤーより10,000円程度高いだけである。
なぜ輸出モデル用プレイヤーでだけこのような仕様にするのだろうか。
念のため、もちろん私は純粋な国内向けDVDプレイヤーを持っているのみ。

マイケル・マクドナルドのDVDのページでも書いたが、外国のファンと日本のファンで差があるということは、やはりおもしろくない。いったい何のためのリージョンコードなのか、あるいは音楽ソフトなのか。
ほかにも外国ではDVDで発売されているものが日本では発売されておらず、上記のリージョンやテレビ方式の壁のためみることができないライブ映像が結構ある。
レコード会社の方には今一度ファンの視点になって商品展開をしてもらいたい。
(2003年5月)


<関連作品>

Pul Weller   「Illumination」  (2002)
国内盤 SMJI(EICP132)
01. Going Places   02. A Bullet For Everyone   03. Leafy Mysteries   04. It's Written In The Stars
05. Who Brings Joy   06. Now The Night Is Here   07. Spring (At Last)   08. One X One   09. Bag Man
10. All Good Books   11. Call Me No.5   12. Standing Out In The Universe   13. Illumination
(bonus track for Japan only)
14. Horseshof Drama   15. Push Button Automatic

輸入盤(ISOM33CDL)
(disc1)
国内盤の1〜13曲目を収録
(disc2:ボーナスDVD)
01. You Do Something To Me   02. Standing Out In The Universe   03. t's Written In The Stars
*国内向けDVDプレイヤーで再生できません。

上記のポール・ウェラーの2002年9月の新譜。限定輸入盤のボーナスDVDには3曲のライブが収録されている。
ウェラーは日本でも非常に人気の高いミュージシャンである。なぜ国内盤ではDVDがつかないのか、全く理解できない。ひょっとして来るべき来日公演の際の「来日記念盤」の隠し球にしているのだろうか。そういう「重複買い」を煽るようなことはやめてほしい。来日記念盤を出すならば、フルライブCDやDVDをあててくるなど、王道勝負を期待している。

 

 

Bruce Springsteen   「The Rising」 (2002)
国内盤 SME(SICP203)
01. Lonesome Day   02. Into The Fire   03. Waitin' On A Sunny Day   04. Nothing Man
05. Countin' On A Miracle   06. Empty Sky   07. Worlds Apart   08. Let's Be Friends (Skin To Skin)
09. Further On (Up The Road)   10. The Fuse   11. Mary's Place   12. You're Missing
13. The Rising   14. Paradise   15. My City Of Ruins

輸入盤(5080003)
(disc1)
国内盤に同じ
(disc2:ボーナスDVD)
01. The Rising (Live 2002 MTV VMA Performance)
02. Waitin' On A Sunny Day (The Risng Tour Barcelona, Spain 2002)
03. Lonesome Day (Music Video)
04. Mary's Place (The Risng Tour Barcelona, Spain 2002)
05. Dancing In The Dark (The Risng Tour Barcelona, Spain 2002)
*国内向けDVDプレイヤーで再生できません。

ブルース・スプリングスティーンの2002年7月の新譜。今年4月からのヨーロッパツアーに合わせてヨーロッパではDVD付き限定版が発売されている。実は購入を検討したのだが、ウェラーの輸入盤のことがあるので、慎重を期して通販サイトにあらかじめ問い合わせをした。その結果、PAL方式であることがわかり、国内向けDVDプレイヤーでは再生できないので断念した。
収録曲はライブ4曲にプロモビデオ1曲。このライブがファンにはたまらない。新譜から3曲(1,2,4)に加えて、人気の高い「Dancing In The Dark」の最新ライブバージョンだ。この曲は「Live In New York City」をはじめ、スプリングスティーンのライブものには未だ収録されていない。これらを見ることができないとは、日本のファンとして実に悔しい。
ボーナスDVDはあきらめるので、早く最新ツアーのフルライブCD&DVDを公式発売してもらいたい。
→「The Rising」の感想文はこちらで。

 

 

Bob Dylan   「The Rolling Thunder Revue」 ( 2002)
国内盤 SME(SICP296)
(disc1)
01. Tonight I'll Be Staying Here With You   02. It Ain't Me, Babe   03. A Hard Rain's A-Gonna Fall
04. The Lonesome Death Of Hattie Carroll   05. Romance In Durango   06. Isis
07. Mr. Tambourine Man   08. Simple Twist Of Fate   09. Blowin' In The Wind
10. Mama, You Been On My Mind   11. I Shall Be Released
(disc2)
01. It's All Over Now, Baby Blue   02. Love Minus Zero/No Limit   03. Tangled Up In Blue
04. The Water Is Wide   05. It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry
06. Oh, Sister   07. Hurricane   08. One More Cup Of Coffee (Valley Below)
09. Sara   10. Just Like A Woman   11. Knockin' On Heaven's Door
(disc3:初回限定盤のみボーナスDVD)
01. Tangled Up In Blues   02. Isis   03. Isis(DVDオーディオ)

2002年12月に発売されたボブ・ディランの「公式ブートレッグシリーズ」第5弾。ファンの間でも評判の高いという75年の「Rolling Thunder Revue」というライブツアーを収録している。
私はディランはほとんど聞いたことがないのだが、ザ・バンドとのライブ盤「Before The Flood」を気に入っており、このライブ盤も挑戦してみることにし、発売時に購入した。その「Before・・・・」とはまったく異なる内容、雰囲気ながら、私のようなディラン初心者にも十分楽しめる熱い演奏である。カントリーやフォークといったディランのルーツもかいま見える演奏もすばらしい。
ここで紹介する初回限定版のボーナスDVDには、2曲のライブ映像と、DVDオーディオでの1曲が収録されている。このためか、限定版は速攻で売り切れたようで、中古屋で8,000円という高値になってしまった。初回限定版ゆえの出来事である。
見方を変えれば、「限定」という希少価値を抜きにしても、ディランの昔の映像は非常に商品価値が高いということにもなる。ファンのためにも、早くフルライブ映像を発売してもらいたいものだ。

 

 

George Harrison   「Brainwashed」 (2002)
国内盤 東芝EMI (TOCP67074)
01. Any Road   02. P2 Vatican Blues (Last Saturday Night)   03. Pisces Fish
04. Looking For My Life   05. Rising Sun   06. Marwa Blues   07. Stuck Inside A Cloud
08. Run So Far   09. Never Get Over You   10. Between The Devil And The Deep Blue Sea
11. Rocking Chair In Hawaii   12. Brainwashed

輸入盤(初回限定版) (43352)
(disc1)
国内盤に同じ
(disc2:ボーナスDVD)
レコーディング風景などを収録

ジョージ・ハリスンの最後の新譜。2002年11月発売。
輸入限定版はボックス仕様の装丁となっており、さらにボーナスDVDが付属していた。私の持っているものはヨーロッパ版ながら、ボーナスDVDは国内向けプレイヤーでも再生が可能(リージョンフリー、NTSC方式)だった。
ライブ映像などはないものの、レコーディング風景やインタビューなどが約10分間収録されている。ここでの元気な、充実したハリスンの表情を見ていると、まだまだこれからだったという思いが強くなる。
これも国内盤に付属されなかったのが残念でならない。そもそもこの新譜の国内盤はCCCD(コピーコントロールCD)で発売されるという噂があり、それは回避されたのでレコード会社の英断に感謝したいが、もう一歩踏み出して日本のファンのためにハリスン最後の雄姿を見ることができるこのボーナスDVDを付属してほしかった。国内向けプレイヤーでも再生できるので「初回限定輸入盤国内版仕様(国内販売用に、輸入盤に帯や解説を添付したもの)」での発売でもよかったかもしれない。
なお、このヨーロッパ版と同じ仕様で、さらにギターピックがおまけになっているアメリカ版もある。ヨーロッパ版とともに、2002年5月現在、大型輸入CD店の店頭でまだ購入することが可能である。
→「Brainwashed」の感想文はこちらで。


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