Boston (ボストン)
<頑固な職人率いるアメリカンポップロックバンド>
86年頃より、MTVでヒットチャートを追いかけることを断念した私は、新しいミュージシャンを捜すのに、「週間FM」という雑誌でたまに掲載される70年代名盤特集を利用していた。ボストンも、きっとその記事から発見したのであろう。
ボストンはギタリストのトム・ショルツが率いるバンドである。このショルツという男、ギターが天才的にうまく、彼の作る曲はアメリカンロックのポップな部分を凝縮しており、洋楽が苦手な方でも、結構好きになるはずだ。
しかし、一筋縄ではいかないのがショルツだ。
とにかく完全主義者。アルバムを発表すれば必ずミリオンセラーという実績があるにもかかわらず、76年の1stアルバムから現在に至るまで、たった4枚の作品しかリリースしていない。レコーディングにかける時間が半端ではないのだ。
最新のデジタル楽器を用いないのはともかく、アルバムには必ず「No Synthesizer Used」とか「ハンドクラップは全て本物の手拍子」などと、くどいくらいにクレジットされている。アナクロリズムの方も半端ではないらしい(笑)。
最近、75〜76年及び86年ころの、ボストンの未発表曲及び未発表テイクの海賊盤を聞いた。音質もよく海賊盤の鑑のようなブツであったが、今ひとつおもしろくない。
よく考えれば、ショルツが没にしたテイクだからであろう。
頑固な職人が公式リリースしなかった曲に感動があるだろうか・・・・そんなことを改めて考えた、ちょっとした事件だった。
(2000年7月)
<プロフィール>
1976: 1stアルバム「Boston」発表
1978: 2ndアルバム「Don't Look Back」発表
このころ来日する。
1986: 8年ぶりとなる3rdアルバム「Third Stage」発表
1994: またしても8年ぶりとなる4thアルバム「Walk On」発表
<CDの発売状況> →CDの発売状況(詳細)へ
オリジナル盤は国内盤で容易に手に入ります。
<中古CD状況>
「Walk On」はたまに並んでいます。お持ちでない方は是非どうぞ。
<おすすめアルバム>
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Boston 「Boston」 (1976) 01. More Than A Feeling 02. Peace Of Mind 03. Foreplay/Long Time 04. Rock & Roll Band 05. Smokin' 06. Hitch A Ride 07. Something About You 08. Let Me Take You Home Tonight |
デビュー作であるにも関わらず、すでに芸風を確立していることにまず驚かされる。
最大の聴きどころはショルツのギターである。キャッチーかつハードな楽曲に何重にも重ねられたギター・オーケストレーション。これが完璧な録音に裏打ちされ、迫力のアメリカンロックとなる。
とはいえアメリカンロックの汗臭さや泥臭さを極力排除し、爽快さ、豪快さのみを追求している。
忘れてはならないのは、ギターに魅力だけではなく、コーラスワークも凝りに凝っていることである。高音と声の伸びがすばらしいブラッド・デルプのボーカルのボーカルも見事だ。
1曲目は彼らを代表するバラード「宇宙の彼方へ」。「Peace Of Mind」「Something About You」ではアコースティックギターが効果的に使われている。そして「Foreplay/Long Time」のメドレーでは、EL&Pのような前奏でショルツのオルガンプレイを堪能し、本編では中盤にギターソロが用意されている。起伏に富んだ構成がすばらしい。
ハードなブギ「Smokin'」もよい。という訳で全曲よい(笑)。
クイーンの影響も見られるが、いかがだろうか。
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Boston 「Walk On」 (1994) 01. I Need Your Love 02. Surrender To Me 03. Livin' For You <Walk On Medley: 04-07> 04. Walkin' At Night 05. Walk On 06. Get Organ-ized 07. Walk On (Some More) 08. What's Your Name 09. Magdalene 10. We Can Make It |
まず1枚、といえばもう7年も前になるが最新作であるこれをお勧めしたい。
本作品のクライマックスは4部構成の組曲「Walk On」である。この曲においてショルツは今までのボストンの魅力を総括して見せた。
ギター1台のみのインプロビゼイション「Walkin' At Night」に続いての「Walk On」で彼らならではのハードロック。ベースやドラムもスピード感をあおり、痛快だ。「Get Organ-ized」ではギターと並ぶ見せ場であるショルツのオルガンプレイが堪能できる。圧巻は「Walk On (some more)」でのギターオーケストレイション。緻密さから生まれる豪快さ。再びボーカルに戻って興奮の内に終わる。
その他も佳曲揃いである。彼等らしい大げさなイントロが魅力のロックバラード「I Need Your Love」、プロ野球ニュースの好プレイコーナーのBGMに使用された(笑)「Surrender To Me」はサビのコーラスからブレイクを置いてギターソロへ突入する部分がゾクゾクとする、スピード感あふれる出来映え。「We CanMake It」はエンディングにふさわしい泣かせる展開だ。