<ドゥービー・ブラザーズ 5年ぶりの来日>

来日公演記 2006年7月23日 泉大津フェニックス
ウドー・ミュージック・フェスティバル
7月22日 静岡・富士スピードウェイ
7月23日 大阪・泉大津フェニックス

今年の3月ごろだったと思うが、ウドー音楽事務所主催の「ウドー・ミュージック・フェスティバル」の開催が発表された。富士スピードウェイ(静岡)と泉大津フェニックス(大阪)で、7月22日と23日に行われるという。
この泉大津フェニックスは私の住んでいるところからたっぷり2時間はかかる。しかもチケット代は高価、真夏の炎天下(または雨天決行)。出演者で見に行きたいのはジェフ・ベックだけだったが、昨年見たし、残念だが今回は行かないでおこうと決めた。
しかし、その後ドゥービー・ブラザーズの出演も発表された。これは絶対に行かなければならない。幸いにもドゥービーとベックは同じ日(23日)である。早速チケットを購入した。

前日22日は曇り、富士も晴れだったという。しかし当日23日は今にも雨が降りそうである。フェスに行くのは初めてのため一体何時頃に行けばいいのか、会場ではどうやってみるのか(並ぶのか?)などなど全くわからない。とりあえず登山用の雨具をもって13時30分頃に会場に入った。既に会場ではプリテンダーズが演奏していたが、案の定雨がパラパラと降ってきた。
この後、友人と落ち合った。友人はステージ最前列で見ていたため、私もご一緒させていただくことができた。最前列でのドゥービーはもちろん初めてである。

15時過ぎにドゥービーの登場・・・・奇跡的に雨が上がり、アコースティックギター3台を軽快にならしつつ、いきなり轟音「Dangerous」! 立て続けにおなじみの「Rockin' Down the Highway」「Jesus Is Just Alright」。なんとなくもやもやとしていた気分はすっかり吹き飛び、ドゥービーとのエキサイティングなレースに参加だ! 

今回は5年ぶりの来日である。セットリストは2001年公演を踏襲しており、2004年暮れに出たライブ盤「Live At Wolf Trap」(CD、DVD)とも基本的に変わっていない。しかしなんと言っても5年ぶり。休むことなくライブを続けている彼らの分厚い演奏の迫力が直に伝わってくる。
昨年キース・ヌードセンの死去があったものの、メンバーが10年近く固定化されているのもライブバンドたる彼らにとってはプラスに働いている。トム・ジョンストンの咆吼は70年代の全盛期より素晴らしく、パット・シモンズのこれまた素晴らしい声量のボーカル、ジョン・マクフィーの要所を締める多彩なギターワーク。マイケル・ホサックのボトムの効いたドラムに、新加入のエド・トスはユニゾン重視で呼応している。このトスのドラムは、特にパワフルな曲で真価を発揮してくれそうだ。またサポートメンバーも、2001年公演よりうねりを増したスカイラークのベース、時にアグレッシブに、時に鮮やかにステージを彩るマーク・ルッソのサックス、そしてステージの進行をしっかりと握るガイ・アリスンのキーボード。この8人が結束の固い演奏を聴かせてくれる。

さて、セットリストに変化がないと書いたものの、「お宝ソング」を必ず取り上げるのが毎回のお楽しみである。今回はいきなり4曲目に来た。「This Train I'm On」である。私はこの曲が好きで好きでたまらない、一度でいいからライブで聞いてみたいと思っていたが、まさか今回実現するとは。しょっぱなからパット、トム、マクフィーの3人によるコーラス。来日のたびにコーラスが厚みを増しているような気がしてならない。音楽の楽しさを詰め込んだようなドゥービーならではの隠れた名曲。アウトロではマクフィーがさすがのスライドギターを披露し、パットを中心にまたコーラス。そこへルッソがにぎやかに切り込んで来る。続いては日本でも10年ぶりの演奏になる「Excited」。トムのうなるボーカルを中心にしたハードロックだが、ルッソのサックスが活躍しスタジオ録音よりはるかに厚く、素晴らしい。

次は2000年よりステージでのスタンダードとなった「Five Corners」。パットとマクフィーのアコースティックデュオに、アリスンが静かなキーボードでバックアップする。今回は演奏時間が短い(80分)ので、アコースティックな曲はこれだけにしたようだがドゥービーのさわやかな一面を見せてくれた。この後は、アリスン、ルッソ、スカイラークを中心にしたインプロビゼイション風の演奏・・・・「来るな」と思ったら来ました、「Takin' It to the Streets」! 落ち着きあるパットと、アグレッシブなスカイラークの対照的なダブルボーカルである。
続いてブルースのカバー、「Don't Start Me Talkin'」。2001年公演やライブ盤と同じく、メンバーのソロをふんだんにフィーチュアするコーナーを設けて、じっくりと、それでいて熱い演奏を繰り広げる。ギターソロを次々と繰り出し、ベースソロ、サックスソロ・・・・個人的にはアリスンのソロも非常によかった。エンディングでメンバーそろっての演奏は本当に興奮する。その熱気を壊さずに「君の胸に抱かれたい」に突入。

ここらあたりで気がついたのだが、ドゥービーのステージは、ベック、サンタナという2大トリの前なので、彼らのファンの場所取りが多いだろうと思っていた。しかしありとあらゆる曲で合唱がまきおこり、客席が熱くなっているのが伝わってきた。これには感動した。ここ数年のドゥービーは、今回のフェスのように本来のファンではない観客の前でプレイすることも多いそうだが、その真価を発揮し、泉大津の観客も全員味方につけたようだった。ライブバンドとしての実力は並大抵ではない。

この後は「Little Bitty Pretty One」をはさんでエンディング。まずは「Black Water」。歌詞を「オサ〜カ(大阪)」に変えるお約束から、アウトロでパットが素晴らしい喉を披露。最後の「Long Train Runnin'」では、トムが「Everybody, OK!」と徹底的に煽り、興奮のうちに終了。

ここからアンコールである。2001年公演ではなかった「Dark Eyed Cajun Woman」をバックにメンバー紹介から、観客を一気に虜にする「China Groove」へ。「次はいつもの曲で終わりだろう」と思ったら、なんと「Without You」が始まるではないか! これにも驚いた。2001年公演はホサックが怪我で不参加だったので演奏されなかったし、今回も時間に制約あるのでないだろうと思ったら、不意打ちだった。そのホサックと新加入のトスが徹底的に激しいビートを繰り出し、メンバーを煽り観客を圧倒する。「ドゥービーはツインドラムでなければならない」、そんな掟が演奏に反映されている。それに応えて、トム、パット、マクフィーがトリプルギターを放つ。サビはもちろんコーラスだ! いやーすごい。
本当の最後になる「Listen to the Music」。おおっと、ステージにはタンバリンを持った若い女性と、ギターを弾く若い男性が飛び入りしているではないか。女性は「Like A Lazy Flowing River〜」でリードボーカルも取った。男性は少し緊張しつつマクフィーやパットとにこやかにギターを弾いている。どうも女性はトムの娘さんのようだ。トムに全く似ていない(笑)金髪の美人。男性の方は、トムかパットの息子さんではないかということだった。メンバーと一緒に観客も大合唱となり楽しいクロージング。

5年ぶりのドゥービーは、「ファンでよかった」との思いを改めて強くしてくれた。観客と一体になり、ロックの楽しさを伝えてくれるプロの集団である。来年も単独公演で是非来日してもらいたい。待ってます。

(2006年8月)

 

<来日メンバー>
Tom Johnston (g, vo)
Pat Simmons (g, vo)
John McFee (g, vo)
Michael Hossack (ds)

Skylark (b)
Guy Allison (kbd, vo)
Marc Russo (sax)
Ed Toth (ds)
<セットリスト> 
 

曲目

主な収録アルバム(発表年)
青字はライブ盤

01 Dangerous Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Brotherhood (1991)
02 Rockin' Down the Highway Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Toulouse Street (1972)
03 Jesus Is Just Alright Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Farewell Tour (1983)
Toulouse Street (1972)
04 This Train I'm On Brotherhood (1991)
05 Excited Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)
Brotherhood (1991)
06 Five Corners  Live At Wolf Trap (2004)
Sibling Rivalry (2000)
07 Takin' It to the Streets  Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)
Farewell Tour (1983)
Takin' It to the Streets (1976)
08 Don't Start Me Talkin' Live At Wolf Trap (2004)
Farewell Tour (1983)

Toulouse Street (1972)
09 Take Me in Your Arms Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)
Stampede (1975)
10 Little Bitty Pretty One Live At Wolf Trap (2004)
Sibling Rivalry (bonus track Japan only)(2000)
11 Black Water Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Farewell Tour (1983)
What Were Once Vices Are Now Habits (1974)
12 Long Train Runnin' Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Farewell Tour (1983)
The Captain & Me (1973)
  (encore)
  band introduction 〜Dark Eyed Cajun Woman〜 Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)
The Captain & Me (1973)
13 China Groove  Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Farewell Tour (1983)
The Captain & Me (1973)
14 Without You Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)
The Captain & Me (1973)
15 Listen to the Music Live At Wolf Trap (2004)
Rockin' Down The Highway : The Wild Life Concert(1996)

Farewell Tour (1983)
Toulouse Street (1972)



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