<イーグルス "Farewell 1 Tour">
来日公演記 2004年11月3日 大阪ドーム
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昔、ちょうど学生の頃はコンサートといえば数日前からワクワクして仕方がなかった、しかし最近はいっちょ前に疲れてきたのか(笑)、そんなことが全然ない。会場に入り、1曲目が始まってやっとコンサートに来たことを実感するようになってしまった。
今回のイーグルスも全く同じ。特に大阪ドームのだだっぴろい空間で、私の席はバックネット裏の高いところというはっきりいって悪い席で、余計にそんな気がした。
今回はドームツアーである。ロックオデッセイではあるまいし、いやロックオデッセイも満員にはほど遠かったのだからイーグルスで客が入るのかなどとも思ったが、これがスタンドまではほぼ満席状態で驚いた。
以上、始まるまでは冷静モードだったが、始まってからはそんなことは全部吹っ飛んでしまった。
→来日前の情報で書いたものをこちらに掲載しています。
<第1部> 約54分
ドラムのカウントで幕開け、「The Long Run」だ。いきなりドン・ヘンリーがドラムを離れて歌っているので違和感があるものの、ボーカルの調子は低音から高音まで非常によい。新たに加わった4人のブラス隊によりサウンドが新鮮で厚みがある。アウトロではジョー・ウォルシュが早速スライドソロを披露。
続いてグレン・フライの陽気なあいさつの後、「New Kid In Town」。1曲目は冷静に聞いていたのだが、もうだめだった。ヘンリーとフライのハモり、そしてサビで4人の声が重なるところで大きな感動が押し寄せる(涙でちゃったよ)。アウトロのハーモニーの厚みがたまらない。そう、今回のイーグルスはコーラスにしっかりと取り組んでいるのである。3曲目「時は流れて」はフライがエレピに回り、ヘンリーが再びドラムを離れてじっくりと歌う。ドン・フェルダーのギターパートはサポートのスチュワート・スミスが巧みにきかせる。また、今回は「Reprise」まで演奏したのが驚きだった。アル・ガースのバイオリンソロで締めくくっている。
4曲目「Peaceful Easy Feeling」。今回の公演ではフライのイーグルス曲、つまり「ホテル・カリフォルニア」より前の曲が充実しておりこれも楽しみの一つだった。期待通り、クリアーなコーラスを惜しげもなく披露してくれる。間奏ではスミスがバーニー・レドン風のカントリータッチあふれるソロとガースのバイオリンの二重奏でこれまた素晴らしい。
さて、その充実したコーラスワーク、その要はもちろんティモシー・B・シュミットだ。私はボックスセットに収録されたミレニアムライブ(2000年12月31日)を聞いて「イーグルスはますます歌がうまくなっている」と思ったが、それに当てはまらないのがこの人。「衰えることが全くない」というのが正しい。5曲目「言い出せなくて」でも見事なハイトーンボイスで大人のAORバラードを聞かせる。ウォルシュとフライはキーボードでサポート。観客からも大きな歓声が上がったのが印象的だった。
6曲目は「呪われた夜」。いよいよヘンリーもドラムを叩きながら歌う(そうこなくっちゃ)。ヘンリーのファルセットを多用した官能的なボーカルはさすがだ。シュミットのベースのうねり具合がスタジオテイクの持つうねりを伝え、さらにブラス隊が加わり迫力を増している。7曲目は同じアルバムからの「いつわりの瞳」。ここでも大きな歓声が上がる。フライがアコースティックギターを弾き、温かみのあるボーカルで歌う。これこそ、イーグルスだ。しつこいようだが、サビのコーラスの厚みは絶品である。バイオリンのバッキングが温かみのある世界を作っている。
8曲目は「Boys Of Summer」。「おいおい、もうヘンリーのソロかよ」と思った。冷静に書いておくと、95年来日公演の時のような感動はない。スミスのギターが活躍しすぎというのも疑問だ。しかし・・・・白状すると実はこの曲は大好きなのである。だから許してしまおう(笑)。
フライの「オレの友達だ」と紹介されて登場するのはそう、ジョー・ウォルシュだ! ここまでは地味なバッキングに徹していたのだがいよいよ爆発するときがきた、「In The City」! ダミ声のあいさつの後は、イーグルスのコーラス(つまり最高のコーラス)をバックに自在に歌い、ブラス隊をバックにここ一番のスライドソロを、リフを繰り出す。その興奮を逃さずに第1部最後の曲は「過ぎた事」でロックンロールパーティ。フライのノロノリのリードボーカルの後、アウトロではウォルシュとスミスのツインリードでがっちりと締めくくった。
(第1部のまとめ)
グレン・フライ(の曲)こそがイーグルスの顔であると改めて実感した。コンサート全体では、「ホテ・カル」以降の曲が、それより前の曲より多い。しかし穏やかな、温かみのある曲調は、間違いなくヘンリー(の曲)のダークな世界と双璧をなすものである。どちらが欠けてもイーグルスではない。そんな意味で、第1部でフライ活躍の場面を増やしたのは大正解だったと思う。
<第2部> 約1時間10分
第2部は昨年のアメリカツアーと異なり、アコースティックセット(11〜14曲目)とソロコーナー(15〜20曲目)を明確に区別していた。
まず、短いインスト「Silent Spring」(フライの92年のソロ「Strange Weather」に収録)をキーボードが奏で、そのまま「Tequila Sunrise」へ、そして「Love Will Keep Us Alive」。この2曲も素晴らしかったが、次の2曲が圧倒的だった。13曲目「Hole In The World」(昨年の新曲)。またかと言われるだろうが書かずにはいられない・・・・なんと素晴らしいハーモニーだろう! 4人の個性あふれる声の力とその結合に圧倒されてしまう。歌詞はわからないのだが、説得力を持って胸に響く。スタジオテイクを遙かに上回る出来映え、ライブでこれだけ歌えるのだからイーグルスの実力は半端なものではないと実感した。14曲目「Take It To The Limit」。オリジナルを歌ったランディ・マイズナーはステージにはいない。しかしフライが自分流で味わいのあるボーカルを聞かせる。名曲の持つ力というものを、フライが、そしてバンドがイーグルスとして再演している。アコースティックセットにしたのも正解。前述したボックスセットのライブ盤にも収録されているが、それを上回る演奏だったと断言したい。
ここからソロコーナー。15曲目はフライの「You Belong To The City」。フライはキーボードを弾きながらファルセットを取り入れて歌う。前半はサックスを全面に出しアダルトは雰囲気を作り、一転してアウトロではウォルシュのソロをたっぷりとフィーチュア。フライのソロでこの曲はもちろん好きだが、ライブで、それもウォルシュのソロつきとは贅沢すぎる。そのウォルシュ、控えめだった第1部とはうってかわって第2部では縦横無尽の大活躍である。16曲目「Walk Away」。「In The City」ではやや不安定さもあったボーカルだが、ここからは全開だ。アウトロではフライと並んでをかき鳴らすドライブ感たっぷりのリフが快感だ。そしてヘンリーのドラムがまたかっこいい! ヘンリーはウォルシュのソロの時が一番よいドラムを叩いていたような気がする。17曲目はヘンリーの「Sunset Grill」。これもブラス隊の参加によってスタジオテイクよりよくなっている。キーボードやブラスが中心となる演奏の中で、シュミットのベースが豊かな表現力を見せている。
サポートメンバー紹介の後、18曲目はウォルシュの「この人生に駆けて」。おおっと、ここでウォルシュの18番「ヘンな帽子」を持ってくる。今回はヘルメット。普通じゃないかと思ったら、カメラつきで会場の映像が駆けめぐる。いやー、ものすごい盛り上がり。まさかウォルシュの曲でここまで盛り上がるとは思わなかった。ボーカルはますます冴え見せ、ギター弾きまくり、燃えるソロを連発する。これこそ、ウォルシュのハードロック魂だ。
19曲目はヘンリーの「Dirty Laundry」。ヘンリーはエレキを弾きながら歌う。ウォルシュはもともとスタジオテイクにも参加していたが、今回はドラムのお返しとばかりにここでもよいソロを弾く。またフライも渾身のソロを披露、イーグルス曲にとっておいてほしいくらいのかっこいいソロだった。ラストはスミスがこれまた粘りあるソロを弾き、意外やギターロックの仕上がりをみせ、うれしい発見となった。
続いてウォルシュがブラス隊とともにブルースを弾く。うーん渋い! と思ったのもつかの間、飛び出すリフは「Funk #49」だ! フライのサイドギター、そしてファンキーでごきげんなブラス隊を従えて轟音勝負のギターで暴れ回る。ボーカルもシャウトしまくり。
次もブラス隊、ピアノのセッション風の演奏から始まり・・・・一瞬のブレイクの後「Heartache Tonight」! にくい演出だ。4人一体となるイントロのコーラスがこれまた最高、ブラス隊がリズム&ブルース風にきめ、ウォルシュがスライドを弾きまくる。続いて第2部のラスト「駆け足の人生」。ヘンリーはもちろんドラム。リズムをびしっと決めつつ、ヘンリーならではのボーカルを見せる。コーラスのアクセントはシュミットが活躍。ギターはウォルシュとスミスでスリリングなツインリードで締めくくった。
(第2部のまとめ)
前述したようにアコースティックセットの充実ぶりが素晴らしい。たった4曲だったが、間違いなく95年公演を上回る感動を届けてくれた。昨年、新曲「Hole In The World」のスタジオテイクを聞いたとき、ボーカル、コーラスへ力点を置いていたのに驚いたが、それをそのままライブに反映させるという、まさに「イーグルス復活」という感じがする。
次に、ジョー・ウォルシュの活躍がよかった。イーグルスはあくまでもロックバンドである。ロックのステージには「破綻」や「爆発」がかかせない。それを一手に担うのがウォルシュである。フェルダーがいない今、ギターのかっこよさも欠かせない。バンド内での異質ぶりも、再結成以降は本当に必要不可欠な要素となった。さすがウォルシュ、そしてイーグルスである。
最後に、これはアンコールも含めてのことだが、ドン・ヘンリーがいい意味でバンド内の1メンバーに徹することによってイーグルス感をぐっと増した。94年の再結成ライブ盤「Hell Freezes Over」は素晴らしかったが、ヘンリーだけが目立った曲もありその点だけが残念だったのだ、しかし今回は違う。バンドのドラマーとして、またドラムを叩きながらボーカルを担当し、イーグルスの一員、またはフロントマンとして素晴らしいポジションについた。ヘンリーについてはちらちらと偉そうなことを書いてきたが、完全に見直してしまった(というか、反省しました)。
<アンコール> 約31分
アンコールの1曲目は「Hotel California」。素晴らしい演奏だった。何も言うことはない。だから、もう一度だけドン・フェルダーのことを書いておきたい(ベタなファンモードは百も承知ですがお許しください)。
今回のサポートギタリスト、スチュワート・スミスはイーグルスが選んだだけあって素晴らしかった。フェルダーのロックギターのみならず、バーニー・レドンのカントリータッチも完璧にこなして見せ、名曲の再演に大きく貢献した。しかし・・・・うますぎる。おかしな話だが、うまければうまいほど、フェルダーの不在を強く感じてしまう。「フェルダーよ、その程度のギタリストだったのか(そんなはずはない)」と。その思いが強くなったのが「ホテ・カル」だった。アウトロのツインリードがこれまた見事だ。しかし、フェルダーの不在が、スタジオテイクにある官能と苦悩の交錯が表現されていないような気がしたのだ。
スミスには何の不満もなく、ここまで素晴らしいステージになったのはこの人のおかげだと思う。その一方でフェルダーの存在の大きさもまた実感することになった。イーグルスが本当に解散ツアーを行うのなら、フェルダーと一時的にでも和解して呼び戻すべきである。
気を取り直して2回目のアンコール。まずはウォルシュのソロ曲「Rocky Mountain Way」。ここ大阪公演は観客の平均年齢が高くて驚いた。どう低く見ても40台前半である。その私もふくめたおっさんどもに「喝!」を入れるような、気合いの入ったハードロックだ。今年は「オレ流」という言葉が流行ったが、ウォルシュにこそふさわしいような気がする。今時トーキングモジュレーターである。しかしこれこそ、我が道を行くロック人生をまざまざと見せつけるウォルシュの1曲である。続いてヘンリーのソロ「All She Wants To Do Is Dance」。フライはエレピに回るのだが、そこで"She"に成り代わってダンスを披露しているのが爆笑モノ、意外と芸達者なフライであった(笑)。
そして最後のアンコール。26曲目「Take It Easy」。この日一番盛り上がったのは彼らのデビュー曲でもあるこの曲。私の席は、ほとんどバックネット裏で、ステージはほとんど見えない。ステージ上の大画面テレビがやっと見られるくらい。そんな席なので、盛り上がる曲でも誰も立たない。しかし「もう我慢できない!」と思い、勇気を出して立ち上がると、会場も総立ちになっていた。フライの陽気な歌声とメンバーのかわらぬハーモニー。イーグルスファンとしては完全に後追いの私が「リアルタイム」を実感するかけがえのない瞬間だった。
本当の最後となる「ならず者」。ヘンリーがここ一番のボーカルを披露する。長かったライブの締めくくりにふさわしい心にしみる歌声。ヘンリーと、そしてバンドに感謝せずにはいられないエンディングだった。
最後は4人で肩を組んで一礼して去っていた。意外だったのだがチームワークのよさを見せた今回のステージを象徴する1コマだった。
これだけのライブをできるバンドが解散してしまうのは惜しい。ベテランロック勢の一角として、まだまだやれることはたくさんあるはずだ。「来日はしんどい」というならあきらめるが、今さら解散声明を出すなどはやめてほしい。夢、ロックの夢、イーグルスはまた活動するという期待、それだけは残しておいて欲しい。ほら、出すといって全然出してくれない最新スタジオアルバムもまだじゃないですか(笑)。そんなファンモードで、長かったライブの締めくくりとしたい。
(2004年11月)
<来日メンバー>
Don Henley (ds)
Grenn Frey (g)
Timothy B. Schmit (b)
Joe Walsh (g)
Steuart Smith (g, vo)
Scott Crago (ds)
Michael Thompson (key, vo)
Richard William Dohr (key, vo)
Al Garth (tenor sax, violin)
Chris Mostert (tenor sax)
Bill Armstrong (trumpet)
Greg Smith (baritone sax)
<セットリスト>
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曲目 |
主な収録アルバム(発表年) | |
| 01 | The Long Run | Eagles Live (1980) The Long Run (1979) |
| 02 | New Kid In Town | Live (1993) ※2 Eagles Live (1980) Hotel California (1976) |
| 03 | Wasted Time 〜Wasted Time(reprise) |
Hell Freezes Over (1994) Eagles Live (1980) Hotel California (1976) |
| 04 | Peaceful Easy Feeling | Selected Works 1972-1999 (2000) Live (1993) ※2 Eagles (1972) |
| 05 | I Can't Tell You Why | Anthology...So Far (2001) ※5 Hell Freezes Over (1994) Eagles Live (1980) The Long Run (1979) |
| 06 | One Of These Nights | One Of These Nights (1975) |
| 07 | Lyin' Eyes | Live (1993) ※2 One Of These Nights (1975) |
| 08 | Boys Of Summer | Building The Perfect Beast (1984) ※1 |
| 09 | In The City | Anthology...So Far (2001) ※6 Hell Freezes Over (1994) The Long Run (1979) |
| 10 | Already Gone | On The Border (1974) |
| (intermission) | ||
| 11 | Silent Spring (intro) 〜Tequila Sunrise |
(Silent Spring) Strange Weather (1992) ※2 (Tequila Sunrise) Hell Freezes Over (1994) Desperado (1973) |
| 12 | Love Will Keep Us Alive | Hell Freezes Over (1994) |
| 13 | Hole In The World | Complete Greatest Hits (2003) |
| 14 | Take It To The Limit | Selected Works 1972-1999 (2000) Dallas (1983) ※5 Eagles Live (1980) One Of These Nights (1975) |
| 15 | You Belong To The City | The Allnighter (1984) ※2 |
| 16 | Walk Away | You Can't Argue With A Sick
Mind (1976)
※3 Live In Concert (1971) ※4 Thirds (1971) ※4 |
| 17 | Sunset Grill | Building The Perfect Beast (1984) ※1 |
| (band introduction) | ||
| 18 | Life's Been Good | Eagles Live (1980) But Seriously, Folks... (1978) ※3 |
| 19 | Dirty Laundry | Selected Works 1972-1999 (2000) I Can't Stand Still (1984) ※1 |
| 20 | Funk #49 | Selected Works 1972-1999 (2000) Rides Again (1970) ※4 |
| 21 | Heartache Tonight | Live (1993) ※3 Eagles Live (1980) The Long Run (1979) |
| 22 | Life In The Fast Lane | Anthology...So Far (2001) ※5 Hell Freezes Over (1994) Eagles Live (1980) Hotel California (1976) |
| (encore-1) | ||
| 23 | Hotel California | Selected Works 1972-1999 (2000) Hell Freezes Over (1994) Eagles Live (1980) Hotel California (1976) |
| (encore-2) | ||
| 24 | Rocky Mountain Way | You Can't Argue With A Sick
Mind (1976) ※3 The Smoker You Drink, The Player You Get (1973) ※3 |
| 25 | All She Wants To Do Is Dance | Selected Works 1972-1999 (2000) Building The Perfect Beast (1984) ※1 |
| (encore-3) | ||
| 26 | Take It Easy | Live (1993) ※3 Hell Freezes Over (1994) Eagles Live (1980) Eagles (1972) |
| 27 | Desperado | Anthology...So Far (2001) ※5 Hell Freezes Over (1994) Live (1993) ※3 Eagles Live (1980) Desperado (1973) |
※1 ドン・ヘンリーのソロ作品です。
※2 グレン・フライのソロ作品です。
※3 ジョー・ウォルシュのソロ作品です。
※4 ジェイムズ・ギャングの作品です。(ウォルシュ参加)
※5 ランディ・マイズナーのソロ作品です。
※6 リンゴ・スター&オールスターバンドの作品です。(ウォルシュとシュミット参加)
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