Huey Lewis & The News (ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)

<ウエストコーストロック最後のランナー>

私が聴いているメジャーどころのミュージシャンは、解説やロック評論集を見て「後追い」で聞き始めたものが多い。そんな中でヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(以下、HL&N)は80年代のアメリカで相当な人気を誇ったバンドであり、リアルタイムで聞いていた思い入れのあるバンドである。

リアルタイムで聞いていたとはいえジャーになる前から目を付けていた訳では、もちろんない。
彼らが83年に発表した「スポーツ」が全米で大ヒットし、その人気が日本にもやってきて一躍人気者になった。さらに映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主題歌「パワー・オブ・ラブ」も映画と共に日米で大ヒットした。
また彼らのユーモラスで陽気なキャラクターも日本での人気向上に一役買ったのではないだろうか。
80年代半ばのアメリカのヒットチャートは、ブルース・スプリングスティーン「Born In The U.S.A.」のヒットでアメリカンロックが復権した。詩の内容はアメリカの現状を憂う、訴えるものが多かったようだ。HL&Nもそうしたブームの一翼を担ったが、少し違っていたのは徹底的にロックンロールの楽しさ、素晴らしさを歌い上げていたことだ。これはプロモーションビデオにもよく表れており、センスの良いコミカルな映像で勝負した。
一方でHL&Nを「単なる売れ線屋」みたいに言う人がいるが、それは大きな間違いだ。彼らは曲作りのつぼをつき、演奏もサウンドの構成も徹底的に巧い。巧くなければここまでセンスの良いロックンロールバンドにはならなかっただろう。
また珍しいことに彼らは非常に仲のよいバンドとして知られている。もちろん仲が良くなくても素晴らしいバンドはたくさんあるが、仲がよいということは「メンバー間の不仲のため解散」「メンバーが脱退」というファンにとって最も悲しむべき事態が起こりにくいということである。

私は、過去3回来日コンサートに行った。いずれもギミックなし、ロックンロール一本勝負である。またいかに彼らが日本のファンを大事にしているかもわかった。
90年代以降、残念ながらその勢いは失速してしまった。しかし実力派の彼らのこと、きっとシーンに復帰してくれると信じている。
(2001年6月)

<プロフィール>

1977: ヒューイ・ルイスがジョン・マクフィー(ドゥービー・ブラザーズ)らと「クローバー」として活動。
1979: ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース結成、翌80年に1stアルバム発表。
1983: 3rdアルバム「スポーツ」発表、世界的に大ヒット。
1985: 映画「Back To The Future」のサントラに提供した「The Power Of Love」が大ヒット。
1986:  4thアルバム「Fore!」発表。
1994: 現在のところ最後のアルバムとなっている7thアルバム「バック・トゥ・ザ・ルーツ」発表。

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オリジナルアルバムは全て国内盤で容易に手に入ります。
国内盤と輸入盤では仕様が大きく異なるものがあります。詳細コーナーをご参照ください。

<中古CD状況>

結構あります。1,000〜1,400円くらいです。

<おすすめアルバム>

Huey Lewis & The News  「Picture This」 (1982)
01. Change Of Heart   02. Tell Me A Little Lie   03. Giving It All Up For Love 
04. Hope You Love Me Like You Say You Do  05. Workin For A Livin  
06. Do You Believe In Love  07. Is It Me  08. Whatever Happened To True Love 
09. The Only One   10. Buzz Buzz Buzz 

邦題は「ベイエリアの風」。もしHL&Nを聞いたことがない方がいれば、まずはこのアルバムからお勧めしたい。
私は上の文章で「センスがよいバンド」と書いたが、このアルバムにはそれがよく表れている。彼らの出世作ととなった6曲目「ビリーブ・イン・ラブ」、このセンスの良さはたとえようもない。クラビネットから軽快に始まるイントロ、力強く歌うルイス、そして全編を埋め尽くす楽しいコーラス。間奏でのおしゃれなサックス。さらにコーラスを全面に出す曲作りは70年代ウエストコーストロックのよき伝統である。私がHL&Nを「ウエストコーストロックの最後のランナー」だと思うのはこのためである。
彼らが得意とするパワフルなポップロックが1曲目「チェンジ・オブ・ハート」や8曲目「トゥルー・ラブ」。キャッチーな曲作りはよく計算されていると思うのだが、それを全く感じさせないのが見事である。9曲目「オンリー・ワン」、これがまたかっこいい。スローテンポとアップテンポをうまく組み合わせており飽きさせない。
4曲目「サンフランシスコ・ラブソング」では、80年代を通じてHK&Nのツアーをサポートするタワー・オブ・パワーのホーンセクションがフィーチュアされており、単なるバラードに終わらないこだわりを見せる。
ルイスのブルースハーブをソロもついてくる、やたらテンポがよく思わずノセられてしまう5曲目「ワーキン・フォー・ア・リヴィン」。軽快なギタードゥーワップ調べのうまいコーラスをきかせつつ、ルイスのボーカルが光るとにかく楽しい10曲目「バス・バズ・バズ」。この2曲はライブの楽しさをレコーディングに反映させることに成功した。彼らが80年代にライブバンドとして君臨するのを予見するような重要な曲でもある。

Huey Lewis & The News  Sports (1983)
01. The Heart Of Rock & Roll   02. Heart And Soul   03. Bad Is Bad    04. I Want A New Drug
05. Walking On A Thin Line   06. Finally Found A Home   07. If This Is It
08. You Crack Me Up   09. Honky Tonk Blues 

輸入盤 米Capitol(72435-20669-2-6)  (1999)
上記9曲に次の5曲を追加収録、リマスター化
10. The Heart Of Rock & Roll (Session Take)   11. Walking On A Thin Line (Session Take) 
12. If This Is It (Live)    13. Heart And Soul (Live)    14. I Want A New Drug (Live) 

80年代アメリカンロックを代表するアルバムで、HL&Nの代表作でもある。前作より自分たちのルーツであるリズム&ブルースや50年代後半のロックンロールをより多く織り込んでいる。
1曲目「The Heart Of Rock & Roll」と2曲目「Heart And Soul」での、ルイスの入魂のボーカルを中心にしたロックンロールが素晴らしい。特に1曲目、このアルバムがリリースされたときはMTV全盛期でありHN&Lもそれをうまく利用したのだが、この曲ではMTVにはえる曲作りをするのではなく、ロックンロール賛歌を高らかに歌い上げている。ギターの音もサックスの音も「古めかしい」が、それが実にかっこいいのだ。ブカブカと盛り上げるタワー・オブ・パワーのホーンセクションもよい。
3曲目「Bad Is Bad」はディープな世界だ。ドゥーワップ風のコーラスにルイスがダークに歌うスローな曲である。しかしステージでは異常に人気が高く、1曲目と共に必ずセットリストに加えられている。ルイスがブルース風ハーモニカを加えている。
4曲目「I Want A New Drug」は何とも意味深なタイトルだが、恋をドラッグにたとえるというひねたセンスを見せる。ライブではセッション風の演奏に力点をおいて長尺で演奏される人気曲である。
逆に5曲目「Walking On A Thin Line」は反戦をテーマにしたメッセージソングと言われている。7曲目「いつも夢みて」はHL&Nのバラードの代表作。甘く仕上げるのではなく、ブルースのリズムをベースにあくまでも軽やかに、楽しげに。最後の「ホンキートンク・ブルース」は彼らのルーツミュージックそのままで勝負。ペダルスティールではドゥービーのジョン・マクフィーが客演している。
先にも書いたようにこのアルバムでは随所で自分たちのルーツを披露しているが、もちろん80年代的洗練を貫いている。そのポイントは全曲彩りを添えているキーボード、そして彼らの持ち味であるウエストコースト風コーラスであろう。
また、このアルバムのCDは国内盤と輸入盤で仕様が異なり、国内盤はオリジナルLP通りの9曲収録、輸入盤はリマスター化され、さらにデモトラック2曲とライブ3曲の計5曲がボーナストラックとして追加収録されている。

Huey Lewis & The News  Hard At Play (1991)
01. Build Me Up   02. It Hit Me Like A Hammer   03. Attitude    04. He Don't Know
05. Couple Days Off   06. That's Not Me   07. We Should Be Making Love   08. Best Of Me
09. Do You Love Me, Or What?   10. Don't Look Back   11. Time Ain't Money 

HL&Nは88年「SMALL WORLD」で従来の路線を方向転換し、ジャズ寄りのアプローチを見せるようになった。ルイスというたぐいまれなボーカルを擁しながらもタイトル曲はインストだった。しかし今ひとつファンの支持が得られなかったようで、再び自分たちの強みを全面に出すアルバムを制作する。それが「Hard At Play」である。残念ながらセールス的にはやはり全盛期の作品に比べて今一歩だったようだが、彼ら流のパワフルなポップロックを自信をもって披露している。「SMALL WORLD」でやきもきしたファンも大満足だったに違いない。
ルイスのブルースハーブに導かれて力強いイントロから始まる「Build Me Up」はこのアルバムを象徴する1曲。続く「It Hit Me Like A Hammer」は早くも彼らお得意のポップバラードを持ってきている。サビでのコーラスも見事、私は彼らのバラードではこの曲が最も好きだ。
5曲目「Couple Days Off」は日本でもビールのCMソングになるなどおなじみの曲。ライブの迫力を余すところなく閉じこめることに成功し、ドライブ感満点だ。8曲目「ベスト・オブ・ミー」は大ヒット曲「パワー・オブ・ラブ」をうまく踏襲している。10曲目「Don't Look Back」ではギターサウンドが光る。そして最後の「Time Ain't Money」で楽しくしめくくる。これもライブで盛り上がりたい曲。カントリータッチはじけるギターを披露しているのはドゥービーのジョン・マクフィーである。
また新しい曲作りにも挑戦し、3曲目「Attitude」や7曲目「Do You Love Me, Or What?」など私になじみのないジャンルも演奏している。

 


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