Roger
Nichols & The Small Circle Of Friends
(ロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズ)
<ソフトロックとの出会い>
ソフトロックなるジャンルとの出会いは「ミレニウム」のページでも述べたが、レコード・コレクターズ誌2000年7月号の特集を読んだことによる。非常に気になったために早速中古屋(ここが極めてせこいところなのだが)へ出向いてみると、巡り合わせともいうべきか、ここで紹介する「ロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズ」(以下、SCOF)が置いてありすぐに購入した。
私はドゥービー・ブラザーズやブルース・スプリングスティーンのような力強いボーカルやコーラス、サウンドの中心はギターといったストロングスタイルのアメリカンロックを長く聴いてきた。しかしSCOFはアメリカ産ながら全く異なる表情をもつ音楽で、その新鮮な響きに「こんなのもあるのか!」と感動し、しばらくはSCOFばかり聞いていた。その後ミレニウムなども聞くようになった。もともとロックの中のコーラスの部分が特に好きだった私が、SCOFやミレニウムといったソフトロックのメジャーどころを好むようになるのは必然だったのかもしれない。
「新鮮」とは書いたものの、J-POPの世界ではピチカートV(小西康陽氏)らが90年代に入ってそのオマージュともいえるサウンドを展開しており、「渋谷系」といわれる音楽を好む若い人達の間では密かな人気だったようだ。それから遅れること10年、私もSCOFとの出会いを果たしたことになる(笑)。
さて、解説によればロジャー・ニコルズはカーペンターズのヒット曲「雨の日と月曜日は」の作曲家として知られている。「ネスカフェ」の有名なCMソングもこの人の作曲だそうだ。SCOFの唯一のアルバムは68年に発表されたが、これが日本で初めて発売されたのは87年で、しかも世界初CD化である。それまでは、熱心なファンは輸入盤(の中古盤)を探して聞いていたらしい。当時のファンの方々の熱意やCD化に際しての尽力には頭が下がる思いである。
そしてSCOFはこの基本的にこのアルバムと、このアルバムにシングル曲を追加したコンプリート盤のみであり、どちらも国内盤で購入できる。ミレニウムのように関連作品だらけということもないし、入手困難盤はない。安心して聞いていただけると思う。
(2001年12月)
<プロフィール>
<CDの発売状況>
以下のアルバムは国内盤で入手可能です。
1968:「Roger Nichols & The Small Circle Of Friends」(POCM-2047)
2001年12月8日に限定紙ジャケット仕様リマスター盤(POCM-2065)で再発されました。
1997:「The Complete Roger Nichols & The Small Circle Of Friends」(POCM-2065)
上記オリジナル収録曲にボーナストラックを収録。
95年にニコルズはSCOFを再編成してアルバムを発表しましたが、現在廃盤状態です。
1995:「Be Gentle With My Heart」
また、ロジャー・ニコルズとポール・ウィリアムスによるデモ録音盤が限定盤でCD化されています。
1970:「We've Only Just Begun〜Songs Composed by Roger Nichols and Paul Williams」
(UICY-1070)2001年12月8日発売
<中古CD状況>
ごくまれにあります。人気作品のためか、値段は1,400円を上回る場合が多いです。
<おすすめアルバム>
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「Roger Nichols & The Small
Circle Of Friends」 (1968) 国内盤 ユニバーサル(UICY-9184) 限定紙ジャケット仕様リマスター盤 2001年12月5日発売 01. Don't Take Your Time 02. With A Little Help From My Friends 03. Don't Go Breaking My Heart 04. I Can See Only You 05. Snow Queen 06. Love So Fine 07. Kinda Wasted Without You 08. Just Beyond your Smile 09. I'll Be Back 10. Cocoanut Grove 11. Didn't Want To Have To Do It 12. Can I Go |
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「The Complete
Roger Nichols & The Small Circle Of Friends」 (1997) 国内盤 ポリドール(POCM-2065) 上記12曲に7曲追加収録 13. Our Day Will Come 14. Love Song, Love Song 15. Just Beyond your Smile (single ver.) 16. I'll Be Back (single ver.) 17. Let's Ride 18. The Drifter 19. Trust |
SCOFの基本的に唯一のアルバム。メンバーは、ロジャー・ニコルズとマレイとメリンダのマクレオド兄妹の3人組である。
偶然にもネット上の友人がこの作品の大ファンであった。その友人氏がこのアルバムの真髄ついて一言で喝破したのが「繊細さ」である。それはビーチボーイズの、更に言えばブライアン・ウィルソンの「ペットサウンズ」に見られるような、内面からにじみ出る繊細さを反映したものとは少し違う。曲作りやアレンジが実に繊細で、現在のJ-POPの主流を占めるような音づくりを行うと曲のよさを生かすことができずに台無しになってしまうだろう・・・・友人氏の言葉を借りれば「ガラス細工」、そんな「繊細さ」なのである。
また同じソフトロックでも、次の2点でミレニウム系の音づくりとはまるで違う。
まずニコルズには独特の「間」がある。例えばブラスとストリングスが絡む瞬間、ボーカルが次のヴァースへ移る瞬間の、その絶妙な「間」。マンガでいえばあだち充氏作「タッチ」のような感触を持つといえばおわかりいただけるであろうか。
次にハーモニーはもちろんのこと、それ以上にボーカルアレンジそのものが精巧に練られており、それでいて難しくなくいやみにならない。「繊細さ」が生きているのだ。もちろんサイケっぽさもない。
ついでにミレニウムではギターが中心になる曲も多かったが、SCOFではストリングスやブラス隊が中心である。
プロデューサーはソフトロックの重要人物であるトミー・リピューマ、アレンジャーにはニック・デカロも参加している。
では、オリジナル盤(写真上段)の曲から。
1曲目「Don't Take Your Time」の短いながらもワクワクさせるイントロ、中盤でマレイとメリンダの声が重なってくる瞬間、アウトロのハーモニーなど全てが恋の始まりの胸騒ぎを見事に表現している。2曲目「With A Little Help From My Friends」はご存じビートルズのカバー。原曲のもつ淡々とした感じをうまく活かしつつ、コーラスを巧く配しSCOFらしさを出している。3曲目「Don't Go Breaking My Heart」はなんとフレンチポップス風に仕上げている。メリンダのボーカルの奥の深さ、そしてハープをうまく使うアレンジの斬新さを思い知らされる1曲だ。
ここから3曲は「季節シリーズ」ということでいかがだろうか(笑)。
4曲目「I Can See Only You」は秋の夕暮れといったところ。間奏でのストリングスのアレンジと演奏における繊細さはニコルズならではである。5曲目「Snow Queen」ではシティ時代のキャロル・キングの名曲に挑戦。ベースのリズムにメリンダのボーカルとストリングスがうまくのせている。サビでの厚みのあるコーラスとパーカッションのアクセントもよい。それにしてもアコーディオンを使うなんて、本当に見事なアレンジだ。一転して6曲目「Love So Fine」でのはじけるポップス! まさに恋の季節は春!といったところだ。わずか2分で終わるのも見事としかいいようのない展開だ。
7曲目「Kinda Wasted Without You」は下で述べるパレードも演奏しているが、SCOFの方がカバーある。パレードより若干テンポを緩くしつつ、コーラスのアレンジはSCOFが上である。8曲目「Just Beyond Your Smile」はアルバム中最もリズミカルな曲。間奏のリフレインが楽しい1曲。珍しくギターも前面に出てくるが、主役はブラス隊か。9曲目「I'll Be Back」は再びビートルズを意表をつくアレンジでカバー。11曲目「Didn't Want To Have To Do It」はラヴィン・スプーンフルのカバー。トランペットとマレイを中心にしたボーカル&コーラスが何とも言えない寂寥感を表現している。
続いてコンプリート盤(写真下段)は68年に発表されたLP収録曲(1〜12)に、シングルで発表された曲やアルバム収録曲のシングルバージョン(モノラル)(13〜19)が加えられている。ここでは新たに収録されたシングル曲(13,14,17〜19)がとても素晴らしい。
13曲目「燃ゆる初恋」、ドリーミーなイントロをストリングスが奏で、すぐにメリンダとマレイによるダブルボーカルがスタート。グループ初期のシングルだが男声女声を巧みに組み合わせるボーカルアレンジがすでに完成されている。14曲目「Love Song, Love Song」、これがまた珠玉のポップスとなっている。17曲目「Let's Ride」はサビで盛り上げながらも、マレイのボーカルが何ともいえない切なさを表現している。
そして18曲目「The Drifter」、シンプルなリズムとバックの演奏、ボーカルとハーモニーで表現された切なさ、美しさ。本作品のベストトラックに間違いない。ソウル感のあるバックコーラスはメリンダではない別の人物だと思うのだがいかがだろうか。もしこれがメリンダだとするとそれまでの歌い方と全く異なる唱法を披露していることになり、あまりのうまさに脱帽するしかない。
<関連作品>
2001年12月31日追加
「愛のプレリュード」
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Roger Nichols and Paul Williams 「We've Only Just Begun 〜Songs Compsed by Roger Nichols and Paul Williams」 (1970) 国内盤 ユニバーサル(UICY1070) 01. After All 02. So Many People 03. Somebody Waiting 04. Time 05. The Drifter 06. We've Only Just Begun 07. Someday Man 08. Let Me Be The One 09. When Love Is Near 10. Do You Really Have A Heart 11. I Kept On Loving You 12. Out In The Country |
長門芳朗氏によるこのアルバムの解説で初めて知ったのだが、ソングライターが自分の曲を自ら録音してレコード会社に売り込むというシステムがあるらしい。そしてレコード会社が曲によってミュージシャンに正規録音させたりするそうだ。このアルバムはロジャー・ニコルズとポール・ウィリアムスによるデモ録音であり非売品だった。私は「ソフトロックA to Z」などでその存在を知ったが、まさか聴くことができるようになるとは思わなかった。
デモ録音なので演奏はいたってシンプルである。解説によればニコルズのピアノをバックにウィリアムスが歌い、それにニコルズが生ギター、ベース、ピアノなどをかぶせていったそうだ。ドラムにはまたまたハル・ブレインらが参加しているらしい。シンプルとはいえ、曲のよさが実に引き立つものとなっている。ウィリアムスもシンプルに歌っているのもよい結果になった。つまりデモ録音でも十分に聴き応えのある作品になっているのである。長い間コレクターズアイテムとして高値になっていたそうだが、今回デジタルリマスター化されて手軽に聴けるようになり、本当によかったと思う。
収録曲中、2,4,7,10曲目はウィリアムスの「Someday Man」に正規録音が収録されている。
1曲目「After All」はニコルズによるさりげないメロディが、ウィリアムスによる片思いの苦しさを描いた歌詞をうまく引き立たせている。なるほど、これが売り込み用のデモ録音の力なのかと納得させてくれる。3曲目「Somebody Waiting」ではサビのメロディの美しさが、孤独と向き合う感情を表現しているがさすがだ。5曲目「The Drifter」はSCOFでも録音されていた曲で、ウィリアムス本人による貴重なテイクである。間奏がSCOFによるテイクと若干違い、スタジオライブのように聴くこともできる。ひょっとするとドラムはハル・ブレインではないだろうか?
6曲目「愛のプレリュード」はカーペンターズの大ヒット曲としてあまりにも有名。私もSCOFを聴くようになって、この曲がニコルズ=ウィリアムス作であると知ったときは本当に驚いた。なんと、200組以上のミュージシャンにカバーされている超名曲なのだそうだ。軽く歌ってはいるもののウィリアムスのボーカルもなかなか、ニコルズ本人によるバックボーカルも聴ける。9曲目「朝やけのふたり」のサビのメロディは素晴らしい。厚みのあるコーラスをつければさらにすごくなりそうな出来映えだ。
11曲目「愛し続けて」もカーペンターズによって歌われている。甘く切ないメロディの多いこのアルバムの中で、アップテンポで快活さにあふれた1曲となっている。こういう曲は生ギターの伴奏がとても似合う。最後の「Out In The Country」はスリー・ドッグ・ナイトによって大ヒットした曲。いかにも3DNが選びそうな、Bメロからサビにかけての盛り上がりと躍動感あるメロディがよい。
例によって私の筆力ではこのアルバムの素晴らしさを一つも表現し切れていないのが残念でならない。しかし、ニコルズ&SCOFを聴いて気に入られたならば次はこのアルバムを是非、と断言できる。
通常仕様(プラケース)であるが限定版扱いなのでお早めにどうぞ。
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The Parade 「The Parade」 (1967) 国内盤 ポリドール(POCM-2014) 01. Sunshine Girl 02. She Sleeps Alone 03. THe Radio Song 04. Lovers 05. Kinda Wasted Without You 06. Frog Prince 07. Welcome, You're in Love 08. Hallelujah 09. She's Got The Magic 10. A.C./D.C. 11. Lullaby 12. This Old Melody 13. Laughin' Lady 14. I Can't See Love |
パレードはSCOFのマレイ・マクレオドが参加していた3人組グループである。他の2人は、フィル・スペクターのもとでロネッツのレコーディングにも参加していたジェリー・リオペル、そして元俳優の経歴をもつフレッド・ロバーツである。
パレードの魅力は、SCOFに勝るとも劣らないハーモニーにある。それもそのはず、マクレオドはSCOFと平行して参加していたそうだ。SCOFではメリンダと男性2人のボーカルコンビネーションであったが、こちらは男性によるマイルドなコーラスワークを聞かせる。またサウンドはスペクター関係者であるリオペルがプロデュースを務めているためか、「ウォール・オブ・サウンド」を彷彿させる場面もあり興味深い。レコーディングにはハル・ブレイン、レオン・ラッセルといったスペクター縁のスタジオミュージシャンやジム・メッシーナなどが参加している。
解説によれば、録音当時未発表のままになっていた幻のアルバムに既発シングルを全て収録した日本独自のパレードのアルバムだそうだ。ソフトロック大国・日本ならではのうれしい企画である。
1曲目「Sunshine Girl」はグループ唯一のヒット曲。アコースティックギターを基調としたシンプルなサウンドに、SCOFを越えるはつらつ感のあるボーカルをのせている。このはつらつ感がSCOFとは異なるパレードの魅力ではないだろうか。3曲目「The Radio Song」は私の最も好きな曲。ブリッジでのわくわくするようなコーラスからサビへとつながるのだが、ここで恋の甘さを感じさせるのは彼らならではのうまさだと思う。ブラス隊さりげなくアクセントを入れているのがよい。
4曲目「Lovers」はマクレオドによるギターの弾き語りでとても丁寧に歌っているがわかる。5曲目「Kinda Wasted Without You」はSCOFでも取り上げているが、実はこちらが最初。SCOFより勢いのある歌と演奏になっている。12曲目「This Old Melody」はカントリータッチながら、ボーカルやギターのアレンジやサウンドプロダクションで明らかに「ウォール・オブ・サウンド」を再現している。13曲目「Laughin' Lady」はアップテンポにのせるロック的メロディをうまくソフトロック的に仕上げているのお見事。
SCOFとは異なる個性を見せる曲も多い。6曲目「Frog Prince」は遊び心にあふれているアウトロのボーカルがとても楽しい。10曲目「A.C./D.C.」はベースの音も太く、意外と渋い仕上がりになっている。
またビーチボーイズの影が感じられるもある。7曲目「Welcome, You're in Love」のAメロは「California Girls」の影響が見られる。9曲目「She's Got The Magic」のイントロは「Good Vibration」にそっくりだ(笑)。ソフトロック勢はビーチボーイズにインスパイアされたという評論もある。ゲイリー・アッシャーとブライアン・ウィルソンの関係などミレニウム系にもその影響が見られるが、ロジャニコ系にもその影響があったとは興味深い。パレードによるビーチボーイズのカバーを是非聞いてみたかったところだ
なお、ドラムのハル・ブレインだが残念ながら曲ごとのクレジットがないのでどの曲で叩いていたのかがわからない、しかし1や7ではブレインのドラムパターンがはっきりとわかる。
以上、もしSCOFを聞いて気に入られたら、次は是非この作品をお勧めしたい。
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Paul Williams 「Someday Man」 (1970) 国内盤 ワーナー(WPCR-1958) 01. Someday Man 02. So Many People 03. She's Too Good To Me 04. Mornin' I'll Be Movin' On 05. Time 06. Trust 07. To Put Up With You 08. Do You Really Have A Heart 09. I Know You 10. Roan Pony |
ポール・ウィリアムスはスリー・ドッグ・ナイト「Old Fashined Love Song」の作者として知られる。またカーペンターズ「愛のプレリュード」を作詞している。この曲を作曲したのがロジャー・ニコルズである。ウィリアムスとニコルズはヒット曲を担う作詞作曲チームとしてよきパートナーであった時期があった。SCOFでの「Let's Ride」「The Drifter」「Trust」はこのチームによる曲であった。
このアルバムはプロデュースにニコルズ、全曲がウィリアムス−ニコルズによる作詞作曲、多くの楽器でニコルズが演奏しているという、ウィリアムスファンにとってもニコルズファンにとってもこれ以上ない作品となっている。余談だが発表当時全く売れず、世界初CD化は日本で、それも98年になってからであった。(とはいえ、私も初めて聴いたのは昨年なのだが)
このアルバムはSCOFと異なりコーラスはほとんど使われていない。これはウィリアムスの個性的なボーカル、思い入れたっぷりの歌い方の魅力を全面に出すためと思われる。つまりシンガーとしてのウィリアムスのボーカルアルバムとしても楽しめる。コーラスが少ないということでソフトロック的には物足りなく感じられる方もいるかもしれないが、そこはニコルズの繊細で美しいメロディがしっかりと支えているので安心だ。
1曲目「Someday Man」はこのアルバムを象徴する1曲。ベースがリズムを引っ張り、Bメロからさびげないストリングス、サビではブラス隊が盛り上げる。3曲目「She's Too Good To Me」も素晴らしい。ウィリアムスの情感あふれるボーカルに、これまた美しいストリングス。やはり太いベースがリードしている。このように、このアルバムではギターの活躍が少ない分、ベースが目立っているのも特徴的だ。
4曲目「Mornin' I'll Be Movin' On」では間奏から突然入ってくるリズミカルなピアノが印象的だ。バックの女性コーラスもウィリアムスのボーカルを盛り上げている。6曲目「Trust」はSCOFのバージョンよりストリングスが迫力を増して迫ってくる。ウィリアムスのボーカルも繊細さと静かな力強さを交互に使い分け、実に巧い。この曲のように「男っぽいロジャニコ」として聞くこともできるのが、このアルバムのおもしろみでもある。8曲目「Do You Really Have A Heart」のようなスローテンポで表現されるポップ感覚も実にうまい。サビでアップテンポに転じるところがとても好きだ。
バラード感を強調した9曲目「I Know You」では、ウィリアムスのボーカルをじっくりと堪能できる。ストリングスもあくまでも控えめにウィリアムスのバッキングに徹している。10曲目「Roan Pony」は、アルバム中最もよい出来映えではないだろうか。歌詞も自らの不安感からの脱却を歌っており、思わず共感してしまう。ウィリアムスも緩急つけたボーカルを披露。このようにウィリアムスのボーカルは強弱、または緩急を巧みに使い分けるのが実にうまい。
以上のように、ウィリアムスのボーカル、ニコルズのメロディ、そしてストリングスの三位一体となった見事な旋律が素晴らしい。お勧めの1枚である。ドラムにはハル・ブレインが参加していることも付け加えておきたい。
「ニコルス&SCOF、そのCD化の変遷」はこちらへ
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