●旅程を組む(1)

さて、旅程を組むにもある程度のノウハウが必要だ。ここではその課程をステップ・バイ・ステップで追ってみよう。実例として、私たちがドイツに旅行するための旅程をあげて一緒に作ってみよう。



[1]行く先の情報を集める
あなたの回りには、旅行先の写真を見せたがる友達がきっといるに違いないし、しゃべりたがりの先輩やら物知り顔のおじさんもいるに違いない。知は力なり。話を聞き、どん欲に調べよう。あなたが見たいものは、あなたが知っている所に限られる。または知らないということを知っている場所に限られる。何が見たいのか、何をしたいのか、まずそれをはっきりさせることだ。知らないところには行けないのだよ。

「好きこそ物の上手なれ」の例え通り、自分が好きなことや興味があることはよく知っているものだ。Gucciファンはどこのお店の何が狙い目かをよく知っているだろうし、ドイツ機甲師団のファンはアルデンヌの戦いの場所をよく知っているだろう。焼き物ファンは景徳鎮の名も知っているし、ドイツのマイセンの名も知っているだろう。

でも、ではそれがどこにあるのか、どうやっていくのかとなると話は別物だ。そこから調べてみよう。景徳鎮は中国読みでチントーチェン、上海から鉄道で南昌へ行く途中にあると言うことがわかる。調べれば調べるほど興味はつのる。次から次へと興味が沸いてくる。行きたいところが増えてくる。この段階の調査と読書が旅を豊かにする。一冊の本でもいい。これはという本を見つけたら旅は俄然おもしろくなる。

本屋でガイドブックを全て調べてみる。ためしに小さな気になる観光地か町をいろんなガイドブックで片っ端から調べてみよう。同じ項目をまとめて比較してみると、このガイドブックは写真だけ、高いホテルだけ、観光地だけのおざなりという役に立たないガイドブックがよく解る。目的地への行き方、歩き方、泊まる、食べる、買うがバランスよく丁寧に詳しく書いてあるかどうかをチェックしよう。

各国の観光局を活用しよう。必ず自分で実際に訪ねてみること。そこに置いてあるパンフレット、ポスター、そして図書。これらは情報の宝庫だ。また必ず職員に話を聞いてみよう。知っていると思っていることでも聞いてみると思わぬことが解ることが多い。祭り、イベントなどの生の情報はこういうところで聞くしかない。

インターネットでの検索は情報の範囲が広すぎるか狭すぎるかして使いにくい。ホテルもインターネットに出てくるようなホテルは高すぎて、しかも世界中どこにいっても同じ部屋というビジネス用ホテルが多くてつまらない。ホテルは地元の観光協会がやっているHPを覗いてみよう。これは意外と使える。実際に使えるのは格安切符検索、飛行機、汽車の時刻表。各国の時刻表は実におもしろい。どの国でも大体フル表示で見ることが出来る。出発地と到着地を入れると自動的に全ての列車名、時刻が出てきて時間を忘れてしまう。(インターネットで旅情報を探す、は別項目で)

[2]見たいところをリストアップする:

さあ、行ってみたいところ、やってみたいことをリストアップしよう。ただし、これだけは注意すること。

1)重複を避ける:
忙しい日程では同じようなところは極力一カ所で済ませる。

ロンドンパリはいずれも大きな街だ。今回はどちらか一つにしておこう。
アルプスはスイスから見てもフランスから見てもイタリアから見ても同じようなもの、スイスを選ぶ。
富士山は箱根から見ても西伊豆から見ても同じようなもの、温泉に安く入れて魚がうまい西伊豆を選ぶ。
カテドラル(教会)は一つ見ればあとは似たようなもの、という人にはパリのノートルダムで十分だろう(実際は見れば見るほど違いが解っておもしろくなるのだが)。
2)行くには理由が必要だ:
ただ有名だからというだけでカサブランカに行かないこと。映画のカサブランカはスクリーンだけのこと。どこに行くのでもなにかを見る、何かをする、または何もしないために行く、という明確な理由付けを持っていたいものだ。限られた時間しかないのだから。
3)必要な移動時間を減らす:
どこかをカットしなければならないときは遠いところ、行くのに時間がかかる所からカットしよう。例えばアムステルダムとベルリンの内どちらかをカットしなければならない時は、行くのに時間がかかるほう、ベルリンを割愛しよう。ベルリンはドイツでも北東部にあり、夜行列車でも一晩かかるからだ。

4)無駄を省く:
ある観光地に立ち寄ってしまったために、一日で行けるコースが2日に分割されてしまったりすることがある。例えば、パリからロンドンまで直通電車で海底を通っていけば半日で行けるコースなのだが、途中でノルマンディに立ち寄ると一日ではちょっとむつかしい。結局二日になってしまうのだ。ノルマンディはそれだけで充分楽しめるところだ。ロンドン−パリの途中下車ではもったいない。
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