持ち家の売却


査定と業者選定

2004年に入り、マンションの引渡しも3月26日と決まりました。 2002年秋の購入契約の時点では、マンションに引越してから売却しようと話していたのですが、入居を控えた2004年2月に母がガンで亡くなるという思いがけない事態が起こり、相続の問題が急浮上してきました。

そこで、ゴールデンウィーク後に引渡しという条件で、早めに売却することに決めました。 新聞の折り込み広告に入ってくる不動産会社の中から、大手のT社、S社、M社の3社を選び、その広告の「簡易査定」の欄に記入してFAXを送りました。

記入項目は

1.氏名・住所・電話番号・メールアドレス
2.物件の住所と概要(土地・一戸建て・マンションなど)
3.目的(売却・購入)
4.面積
5.希望価格

不動産会社は水曜日が定休日のことが多く、木曜の夜にメールが届いたのはM社でした。 しかも、昼のうちに我が家を下見し、法務局や区役所で謄本を入手し、近隣の売却実績価格と共に「簡易査定金額」を綴じこんだファイルと手続について説明されたパンフレットを我が家のポストに投函していました。この迅速な対応には驚くと共に好感を持ちました。

次はT社。この担当者はメールではなく電話で連絡がありました。「3社に声をかけているので、日程を調整してご連絡しますから、お知らせしたメールアドレスに希望の日時を書いてメールをいただけませんか? 返信しますから」と伝えたところ「わかりました」と答えてけれど、メールも届かずそれっきり。

S社の担当者も電話をかけてきたときにはM社の担当者同様、我が家の下見や謄本の入手は済ませていました。

土曜日の午後にM社、日曜日の午後にS社とアポをとりました。
こちらで用意していた書類は、権利証です。両者とも、土地家屋だけでなく、接地道路の謄本のコピーなども持参していました。電話でアポをとったとき、「私道ですね」と2人に言われ、「いいえ。20年以上前に横浜市に寄附して公道になっているはず。受領証みたいなものもあります」と話したので、確認の意味もあったと思います。その結果、条件付になっているという事実が判明しました。

【M社】
私は急用ができ、弟に応対してもらいました。 担当者は20代の若い男性。挨拶を終えると家の中を全て見せたところ、「家屋の査定はゼロですね」とこちらの思った通り。我が家を中心に半径3キロ周辺の販売実績価格を元にはじき出した土地の査定額は、こちらの希望とほぼ一致していました。「当初の販売価格は2割増しからスタートしてはいかがでしょう?」という提案されました。「検討してご連絡いたします」

【S社】
担当者は私や弟と同年代と思われる男性。 挨拶を終えると「室内を拝見したい」。 その後はM社とほぼ同様でした。 

その結果、S社にお願いすることにしました。決め手となったのは、S社の担当者による相続などに関してのアドバイスが的確だったことと、査定が高かったこと。M社の簡易査定額はこちらの売却希望価格とほぼ同じでしたが、S社はそれより25%も高かったのです。「購入希望者は当然値下げ交渉をするから、最初の設定は○千○百万円(売却希望価格より40%上乗せした額)で初めましょう。」その金額でも半信半疑でしたが、高く売れればこちらとしても願ったり叶ったりですからね。

不動産仲介会社に依頼するときの契約は「媒介契約」というそうです。 媒介契約には3種類あります。 一般媒介契約、専任媒介契約、専属選任媒介契約。

一般媒介契約
専任媒介契約
専属専任媒介契約
依頼できる会社 何社にでも頼める 1社にしか頼めない
自ら発見した相手との契約 契約できる 契約できない
媒介業務経過報告書 報告義務なし 2週間に1度 1週間に1度

S社との契約形態は「専任委託販売契約」です。期間は3か月。



販売開始

最初の折り込み広告が入ったとき、片面に我が家と売りマンションの2物件が載っていたのですが、マンションの方が我が家の土地だけの価格より安かったのです(冷や汗)。

我が家の場合、土地は狭いのですが、南西の角地(微妙に西よりに角度が振れているが)で長方形という立地条件としては良いほうなので、問い合わせは何件かあったようですが、希望価格が折り合わず、担当者が断ってくれたそうです。 第2週、反応なし。 第3週のチラシが配布された直後に進展がありました。

担当者から「お隣のSジュニアさんが家つきで買いたいとおっしゃっています」という連絡がありました。 しかも、こちらの希望価格そのままで値下げもなし。 願ったりかなったりです。 実は以前から「お宅がもしここから引越しするなら、ぜひ買いたいから声をかけて」と互いの親の間で話をしていたようなのです。 隣家のご主人Sシニアさんは2年前からガンの告知を受けて入退院を繰り返し、私達の母が2月はじめにガンで亡くなった、その2日後に同じ病院で亡くなりました。 私達が声をかけなかったのは、そんな事情のほかに個人売買は後でもめるらしいと見聞きしていたためです。

契約前に必ず行ってくださいと担当者から出された条件は2つ。 Sジュニアさんが融資を受けるために銀行が出した条件です。

  1. 土地家屋を私と弟の名義に変更登記すること(相続手続)
  2. 両家および、2軒に接地する家の人間の立会いのもとで測量をし、互いに違法建築となっている増築部分があるので、その部分を登記すること

司法書士事務所を紹介してもらい、一つ目の登記はすぐに行った。 二つ目は3軒の都合もあるので調整して3月中旬の日曜日の午後に測量の日を設定してもらった。 この測量中に、現在登記されている道路地図及び土地家屋の境界標識と実際の位置にズレがあることが判明。 そのことによって生じる微妙な面積の増減は互いの損得 → 紛争の種にもつながるため、三家の立会い者を呼び集めての説明があり、無事承諾をとりつけて登記に進むことになった。

登記にかかった費用は、相続手続きが約89,000円、測量・登記が約170,000円。 蛇足ですが、これ以外に添付用の住民票(母の除票も)や登記簿謄本の費用がかかりました。



売買契約

契約はS不動産販売の事務所で行われることになりました。 会議室に通されると既にSジュニアさんが来ていました。 担当者が「このたびはご契約おめでとうございます」と口上を述べ、宅建のIDを見せ、さっそく重要事項説明が始まりました。

いよいよ契約です。 持参したものは実印、固定資産税の納付書(引渡し日は5月31日なので、5月分まで支払い済)、私と弟の登記簿謄本、それに収入印紙代金の一部です。 

契約書は3通。 我が家の控え用、隣家の控え用、そして仲介者の控え用。 その他にもたくさんありましたが忘れました。 印紙への割り印などもあり、ハンコ押しマシンになった気分。 手付金は百万円。 そのうち仲介手数料を差し引いた現金を受け取りました。 契約書を受け取り、粗品をもらって解散。



引渡し

引渡しは5月31日。 我が家は4月29日にマンションへ引越すので5月1日でもよかったのですが、先方もやはり相続登記を行う必要があり、日程に余裕を持たせました。

引越しの翌日、ハウスクリーニングを行いました。 弟の友人に仕事として依頼したのですが、古いなりにピッカピカにしてもらえたそうです。 家の中は言うに及ばず、雨戸に窓、そして網戸もはずして外で水洗いし、すっかり見違えたらしい。 弟はその足で玄関の鍵を仲介会社に届けに行き、友人を夕食に招待しました。 弟の友人は経費だけでいいと言ったらしいけど、いい仕事をしてくれたのだし、マンションのワックスかけもしてもらったので、ダスキンなどの業者の見積金額よりは少ないけど、それなりの代金を振り込みました。

仲介会社を通して、お隣さんが家の中を見たいというので、鍵だけは早々と渡したのです。 きれいに掃除されたとはいっても、カーテンは必要だし、畳も交換するだろうし、キッチンとお風呂は交換すると思うので、Sジュニアさんはそれなりの出費は覚悟していると思います。

引渡しは平日にSジュニアさんが融資を受ける銀行で行われたので、午前中に半休をとりました。 当事者以外の同席者は仲介会社の担当者、銀行の融資担当者、そして司法書士。 持参したものは実印、私と弟名義の権利証。 例によって多数の書類に捺印しなければなりません。 代金から手付金を差し引いた残金から、さらに権利移転の登記費用を差し引いた金額が支払われるのです。 その振込用紙の金額記入は営業マンが行い、融資担当者と当事者が確認してOK。 私名義の住宅ローン用の口座に振り込んでもらうことにしました。 これで無事に引渡し完了。 スピーディでスムーズに終えることができてよかった。 



感 想

ベテランのS社の担当者を見込んで仲介契約を結んでよかったとつくづく思います。 それは、我が家が接地する二方向の道路のこと。 最初の方に書かれていますが、「条件付」の私道だったことが判明したのです。 これは、4メートルにわずか足りないので、建替えや増築などを行う場合はセットバックしなければならないということ。 片方の道路は測ると4メートルあったので、この担当者が法務局・横浜市役所の2つの部署を駆け巡り、公道として認めさせ、登記してくれたのです。 

以前は私道だったのを、今となっては誰が音頭をとったのかわかりませんが、それぞれの私道の持分(それぞれの家が飛び地のように権利を有していた)を横浜市に提供して舗装してもらったので、町内の人間全員が公道になったと信じていたはずです。 少なくとも、両家及びお向かいの家も知りませんでした。 両家の玄関側の道幅は我が家側が3センチ、隣家側が7センチ足りないということで、このことは重要事項説明書にも記載されています。 隣家が将来2軒分の家を壊して建て直すときには、そのセットバックが必要になるということです。

もう一社と仲介契約を結んでいたら、若い担当者はここまでやってくれず、そのために隣家のSジュニアさんも融資がおりず、我が家も買い叩かれていたに違いありません。 我が家の場合、売却は大成功でした。