流通時評
82歳で運転免許取得した中内さん
2005年12月 8(木)10081号
ダイエーの創業者、故・中内功氏の「お別れの会」がこのほど都内の
ホテルでしめやかに執り行われた。
 日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会など流通関
連11団体と、伊藤雅俊、岡田卓也、堤清二といった故人と縁の深か
った8名の方々が発起人となり、2300名を超える人々が参列して個
人の遺徳を偲んだ。
 中内さんの数々の業績については枚挙に暇もないが、彼が最後まで
心血を注いだのは、昭和63年(1988年)4月、神戸学園都市に開校
した学校法人中内学園「流通科学大学」である。
 同大学からは、すでに1万人を超える卒業生を輩出し、現在様々な
分野で活躍している。商売の神様と言われた故・松下幸之助氏には
松下政経塾があるが、流通革命に奮闘した風雲児、中内さんには、
この流通科学大学がある。
 亡くなられる直前にも、大学構内に立ち寄り、その後受けた定期検診
の最中に倒れ、再び意識を回復されることなく、9月19日に急逝された。
 この意味でも、この流通科学大学は、中内さん畢生の大業だと言えよう。
 お別れの会の会場には、故人の遺品の数々が展示されていたが、その
中に、何と82才のときに受かった運転免許証があった。
 流通科学大学の流通調査隊で企画した、アメリカ大陸縦断の旅に備えて
取得したとのことで、中内さんのいつまでも衰えなかった行動力の片鱗を
窺わせた。
 生前、浜松町の通称“軍艦ビル”にあったダイエー本部で、中内さんに
何回かインタビューしたが、その都度、テーブルの上のポットから気軽に
お茶を紙コップに注いでくれたことを思い出す。
 彼の創設した流通科学大学は2007年、創立20周年を迎える。

世界初のSMが誕生して75周年
2005年11月 11(金)10063号
 スーパーマーケットがアメリカで誕生して今年がちょうど4分の3
世紀、75周年となる。
 A&Pやクローガーなどグローサリーストアで30年間の経験のあ
るマイケル・カレン(Michael Kullen)が、現在のJFK国際空港
に近いニューヨーク州ロングアイランドのジャマイカに1930年8月
4日、売場面積3万6000平方フィート(1011坪)の「キング・カレン」
(King Kullen)をオープンした。彼が46才のときである。
 カレンはそれ以前、当時勤めていたクローガーのCEOに手紙を書
き、自ら描いている画期的なスーパーマーケットの構想について提
案した。
 この中で彼は、「アメリカのどこでもよいから5店のパイロットストア
を開設して欲しい。売り方は80%がセルフサービス、300アイテム
は原価で、200アイテムは5%、300アイテムは15%、さらに300
アイテムは20%の値入れで販売する。投資額は1店当り3万ドルで、
私自身も1万5000ドルを投資する考えだ」と説明している。
 だが残念ながらこの手紙は、官僚的社員によってクズ籠に捨てら
れ、結局CEOの手に渡らなかった。
 このためカレンは一念奮起し、空き家だった大きなガレージを改
造して、この歴史的な店をオープンした。店名をCullenでなく、Ku
llenとしたのは、彼の息子がスペルを間違えて絵に描いたためという
から面白い。このキング・カレンは開店から大盛況で、小売業界の話
題を独占した。このため次々と大手グローサリーチェーンが参入し、
いまではSMはアメリカ人はおろか、世界の人々にとってなくてはな
らない存在となった。現在、同社はやはりロングアイランド中心に49
店を展開しており、創業者の第2世代、第3世代のファミリーが引き
続き経営している。

最激戦地に新興SMが登場
2005年11月 8日(火)10060号
 スーパーマーケットの最激戦地の一つ、テキサス州ダラス郊外
の新興住宅地、プラノに注目のニューフェイスが登場した。
 アリゾナ州を拠点とする「スプラウト・ファーマーズ・マーケット」
(Sprout Farmers Market)が、13番目の店舗を売場面積
3万3000平方フィート(927坪)規模でオープンした。
 スプラウトとは、発芽する、成長するといった意味で、文字通り
の新興勢力である。
 会長のスタン・ボニィー氏は、99年にワイルド・オーツが買収し
たヘンリーズ・ファーマーズ・マーケットの創業者である。古きよ
きアメリカの農場の雰囲気を漂わせるヘンリーズは、ナチュラル、
オーガニックフーズに特化したワイルド・オーツとはひと味違い、
非常にアットホームな売場づくりで人気が高い。ちなみに現在ヘ
ンリーズは、ロサンゼルスを中心に南カリフォルニアに21店、ア
リゾナに5店の計26店を展開している。
 このボニィー氏が、ヘンリーズ時代の仲間と一緒に、ヘンリーズ
をさらに進化させたスーパーマーケットを立ち上げた。それがスプ
ラウトである。現在スプラウトは、アリゾナに10店、カリフォルニア
に2店を展開しており、前述のようにテキサスにこのほど初進出
した。 最大の特徴は、地元農家と契約した新鮮な野菜、果物が
売場の3割以上を占めるなど、新鮮な生鮮やデリ、 ベーカリー
を、陳列棚を低くして見やすく、買いやすく提供していることである。
価格も通常のスーパーマーケットと比べて高くはない。
 スプラウトは今年、ダラスなどテキサスに2店、タクソンなどアリ
ゾナに3店をオープンする計画で、2010年までに50店を全米有
力都市にチェーン化する構想だ。
 このヘンリーズの“改訂版”がこれからどう成長するか楽しみ
である。

“日本の流通は私がつくった”
2005年11月 7日(月)10059号
 ダイエーの創業者、故中内氏の葬儀が3日、神戸市西区の流
通科学大学で学園葬として執り行われた。同業のトップを含め、
流通業界の多くの関係者が参列し、故人に別れを告げた。
 中内氏は流通科学大学の創立者であり、学園長を勤めていた。
学園葬の当日、式場に隣接して、故人を偲ぶ「メモリアル展示会
場」が併設された。故人は予てより、学生への授業が最優先とし、
その遺志に沿って休講日が学園葬の日となった。
 メモリアル展示会場は、思い出の写真・自筆の書、愛用品など
のほか、故人の年表とその時代に沿って、写真・記念品などが、
展示された。また故人はダイエーの役職を離れた2001年の秋
から、中小・中堅企業の後継者や起業家を育成する目的で、「創
成塾」を開講した。今年8月までの4期で、延べ93人が受講し、
プログラムの内容なども紹介された。 周知のとおり、ダイエーの
OBは流通業界で幅広く活躍しており、現役のトップも多い。学園
葬の参列者のなかにもみられた。
 数年来、ダイエーの再建問題がクローズアップされてきたなか、
常に営業力が最大の課題だと指摘されてきた。だが、中内氏のD
NAは生き続けており、優れたリーダーによって、明確なビジョン
が示されれば、復権のための爆発的なパワーが発揮されるとい
われている。
 記者会見や懇親会の席で、中内氏の最も印象に残っている言
葉がある。“日本の流通は、私がつくった”大店法の見直しなど、
流通業が転換点を迎えた時、数回、耳にした。中内氏が逝去され
1カ月半が経過するが、学園葬も密葬と同じく親族で行われた。
 ダイエーの社葬というわけにはいかないだろうが、日本の流通
の創業者に別れを告げるための儀式が、第3者の主催で行われ
ていないことに疑問を感じる。
SM業界で全国規模の再編成進む
2005年10月25日(火)10051号
 02年11月1日、ラルズと福原が経営統合し、共同持ち株会
社「アークス」を設立してから丸3年が経過した。
 “会社を寄せ集めただけでは、うまくいくはずがない”とまで一
部に酷評されて船出した同社だったが、前期に続き今期も増収
増益を見込んでいる。売上高も前期、横山清社長の言う「北海
道で必要最小限のスケールメリットを享受できる規模」(クリティ
カルマス)とする2000億円を超え、今期は2260億円、経常利
益73億円をめざしている。
 中期計画では、「年平均6%の伸び率でいけば、2010年、売
上高3000億円、経常利益100億円の実現は、そう無理とは考
えていない」(同社長)という。
 また、年平均10%で売上が伸び、企業統合もさらに進めば、
グループ売上高5000億円実現も視野に入る、としている。
 アークスには、小売業界における持ち株会社方式のパイオニ
アとしての自負があり、それなりの業績も着々と積み上げている。
 「非公式だが、全国規模の持ち株会社を設立しないか、との要
請も受けている。グループ統一の受発注システム『e−ARCS』
を使えば、東北であろうが、九州であろうが、距離は関係なくな
る」と、横山社長は、いよいよ津軽海峡を超えての経営統合に
も意欲を見せる。
 「北海道には34市あり、うち29市には出店しているが、残る5
市にも進出を果たし、道内全ての市をカバーしたい。またSM以
外の異業態との経営統合の可能性も探っている」(同社長という。
 アークスに続き、新潟県を地盤とする「原信」と「ナルス」が来年
4月1日、共同持ち株会社方式で経営統合し、1000億円に迫る
グループを誕生させる。中国地方では、イズミと丸久が資本提携
するなど、再編成は全国各地で進行している。
アルバートソンズに企業売却の動き
2005年 9月22日(木)10029号
 全米第2位のスーパーマーケット、アルバートソンズの経営
陣がこのほど、株主価値を最大にすることを理由に、会社全
体を売却する意思があることを明らかにした。
 アルバートソンズ全体を1社が単独で買収するのか、アクメ、
ジュエル・オスコー、スターマーケット、セーブオン・ドラッグ、
オスコー・ドラッグ、ショーズ、ブリストル・ファームなどのディ
ビジョンを複数の企業が買収するのかは未定だ。
 ゴールドマン・サックスとブラックストーングループが、この
売却計画をサポートする。
 売却総額は67〜111億ドル (7370億円〜1兆2210億
円)という巨額となる見通しだ。
 有力なバイヤー(買い手)候補と見られているのは、イギリ
スのテスコ、ベルギーのデレーズといったヨーロッパ勢、ある
いはクローガー、セーフウェイ、スーパーバリューといったラ
イバル、さらにKKRなどの投資ファンドなどが取り沙汰され
ている。
 全米を代表するスーパーマーケットだったアルバートソンズ
にとって大きな転機となったのが、小が大を食う形となった19
99年6月のアメリカンストアーズの吸収合併である。規模は
一挙に拡大したものの、不採算店舗の急増で、財務体質が急
速に悪化し、収益性が低下した。
 そこで同社は2001年4月、GEの幹部だったラリー・ジョン
ストン氏を会長兼CEOに招聘し、抜本的なリストラ策を打ち
出した。だがウォルマートスーパーセンターや他の大手SM
との厳しい競争に加え、南カリフォルニアで発生した141日
間に及ぶ長期ストなどが影響し、業績の低迷が続いた。
 今年8月中間決算は、何とか増収増益を達成したが、それ
が売却の絶好のタイミングと現経営陣が判断したようだ。アメ
リカのSM業界で巨大な再編成が近く現実となりそうだ。
ダイエー創業者、故・中内功氏を偲ぶ
2005年 9月21日(水)10029号
 ダイエーの創業者、中内功元会長兼社長が19日、脳梗塞の
ため入院先の病院で逝去された。享年83才である。
 昭和32年(1957年)、大阪・千林駅前に「主婦の店ダイエ
ー」を創業し、翌年、神戸・三宮に2号店を開設、本格的なチェ
ーン化を開始した。
 GMSと呼ばれる、食品、衣料、住関連をワンストップショッピ
ングできる総合的なディスカウント業態は当時、世界で類例が
なく、中内氏が創造したものである。
 あのカルフールでさえ、パリ郊外に世界最初のハイパーマ
ーケット1号店をオープンしたのは、ダイエーに遅れること6
年後の1963年である。
 アメリカでは、衣食住をフルラインで扱うフォーマットは、ス
ーパーマーケット出身のフレッド・マイヤーやマイヤーなどが
あり、60年代初めから徐々に店数を増やしていたが、強力
なスーパーマーケットの存在が壁になり、リージョナルチェー
ンの域を抜け出せなかった。ちなみにウォルマートのスーパー
センターの展開は、ダイエーに30年近く遅れた1988年から
である。
 中内氏無くして、日本に消費者主権に根ざす「流通革命」の
実現はあり得なかった。
 だが、90年代半ばからダイエーの業績は低迷し、凋落が
始まる。自らが創造したGMSが、時代の変化に適合できず
急速に陳腐化していった。肝心なバイイングパワーにしても、
リベート依存など悪しき体質に染まり、急速に競争力を失った。
 中内氏が93年、勲一等瑞宝章を受章されたとき、流通報
道記者会でお祝いの会を開き、記念にブレザーを贈った。照
れくさそうな笑顔で袖を通した中内さんは数日後、そのブレ
ザーを着て記者会見に現れた。こうしたこまやかな気配りの
人でもあった。心からご冥福をお祈りしたい。
着実に力蓄えるSuC新興勢力
2005年 8月18日(木)10006号
 ベイシアやPLANTに比べて派手さはないが、居抜き物件を
中心にスーパーセンターを着々と多店化している企業が「トラ
イアルカンパニー」(本部福岡市)である。
 昨年11月にオープンした「酒々井店」(千葉県印旛郡酒々井
町、売場面積2300坪) をこのほど訪れたが、1階の食品、雑
貨売場は、平日の午後4時頃にも関わらず、15台あるレジの
うち12台が開いており、平均3人ほどが並ぶ盛況だった。
 2階部分は衣料、住居関連で、ダイエーのハイパーマート跡
に居抜きで出店したものである。
 出店者が代わると、店はこんなにも変わるのかと実感させる
ほど、無駄を一切省いた店内は、毎日安売りの商品で埋め尽
くされている。
 極端に安い商品はあまり見当たらないが、競合店の売価を徹
底して調査して売価を打ち出しているだけに、価格設定に説得
力がある。お客はよく知っており、駐車場は平日でもほぼ満杯
状態だ。
 トライアルカンパニーは31年前に福岡市で創業され、現在の永
田久男氏が81年に社長になってチェーン化を本格化している。
現在、九州を中心に、中国、山陰、関東にスーパーセンターを
27店、スーパーマーケットを10店展開するほか、ディスカウ
ントストアやバラエティストアも数店出している。
 関東では、スーパーセンタートライアルを、南アルプス店(山梨
県)、結城店(茨城県)、 宇都宮店(栃木県)、大田原店(同)、
酒々井店(千葉県)と計5店を展開している。
 そのほとんどが居抜きで出店しており、売場面積は2000坪
前後で、多くは2フロアスタイルである。徹底した計数管理で一
切の無駄を省き、毎日安売りに徹する。ウォルマートを徹底して
学ぶため、大勢の社員をアメリカに派遣して教育している。こう
した侮り難い新興勢力がいま着々と力を蓄えつつある。
イオンのスーパーセンター開発本格化
2005年 7月12日(火)9983号
 イオンのスーパーセンター開発が本格的になって来た。
 今月29日には、宮城県石巻市にグループ11店目となる「イ
オンスーパーセンター石巻東店」(売場面積4191坪)をオー
プンする。
 同店は、グループのホームセンター「サンデー」がコンセッシ
ョナリーとなり、ハードライン全般を担当する。
 イオンは今期、単体でマックスバリュを7店、GMSを6店新
設するが、スーパーセンターは最も多い10店のオープンを予
定している。
 すでに三笠店(北海道)を開設しており、続いて石巻東店、
真岡店 (栃木県)、石狩店(北海道)、十和田店(青森県)、
一関店(岩手県)、新大館店(秋田県)、加美店(宮城県)、涌
谷店(同)、鏡石店(福島県)と、まさに踵を接するように連続
開設する。
 いずれも売場面積4000坪を超えるスケールで、立地によ
っては、50店前後のテナントを導入したエンクローズモール
方式のSCで出店することも大きな特徴だ。
 前述の三笠店などは、周囲に何もない全くの“原野”に突如
として出現したという印象で、イオンのスーパーセンターの中
でも、最も足元商圏が薄い立地だ。このため50店を超えるテ
ナントを配置し、三笠市内をもちろん、周辺の岩見沢市など広
域からの集客を期待しているが、週末と平日の格差が大きい
のが現状だ。
 なおイオンは、スーパーセンター事業部長にこのほど、イオ
ンマレーシア前社長の岡崎双一執行役を就任させた。海外で
15年の赴任経験を持つ同氏のグローバルな視野に立つその
経営手腕に期待している。
 前期下期からは、スーパーセンター専門の商品部も発足さ
せており、地域別に50名のバイヤーを配置し、MD力の強化
をめざしている。物流、情報システムも、スーパーセンター独
自の仕組みを構築していく方針だ
バロー伊藤会長が相談役に
2005年 7月 4日(月)9977号
 バローの創業者、伊藤喜美代表取締役会長(84)がこのほど
開催の定時株主総会で退任し、相談役名誉会長に就任した。
 総会後の株主懇談会で伊藤名誉会長は、「バローのDNAと
も言うべき、『創造』『先取』『挑戦』という創業の精神を、後継者
にうまくバトンタッチすることができ、田代正美社長に全てを任
せる体制にした。思えば昭和33年(1958年)、乏しい資金力
ながら、生活民主主義の実現のため、真の商人道をめざして、
岐阜県恵那市に200坪足らずのスーパーマーケット『主婦の
店恵那店』を開業した。開店初日の売上は36万円で、終礼で
それを従業員に報告しながら号泣した。バローには今日、モラ
ルの高い、しっかりした見識と倫理観を持つ社員が数多く育っ
て来た」と挨拶した。
 伊藤名誉会長は、もう何年も前になるが、当社主催のヨーロ
ッパ流通視察セミナーにご夫妻で参加され、ご案内したことが
ある。
 お二人とも非常な健脚で、巨大なハイパーマーケットなどを
熱心に視察されていた。伊藤さんは陸軍中野学校出身だけに、
我々とは何か目のつけどころが違う。それこそ“隠し撮り”など
は朝飯前で、的確に売場の特徴を掴み、頭の中にたたき込ん
でおられた。
 山武ハネウエル(現山武)で将来を嘱望されていた娘婿の田
代さんを、地方スーパーの後継者として入社させるには、ご両
親の説得など、なかなか苦労があったようだ。しかし入社を決
断した田代さんは、自分のチームの上司も引き連れてバロー
に入った。その一人が川野篤之専務だ。
 バローは前期、売上高2000億円を超え、今期は経常利益
100億円をめざす。今期から3カ年の中期経営計画では、売
上高3250億円、経常利益150億円をめざしており、M&Aに
も意欲的に取り組む姿勢を明確にしている。
多様化進む日本のスーパーマーケット
2005年 6月29日(水)9974号
 スーパーマーケットも最近、様々な新しい業態が次々と産声
を上げ、消費者の選択肢は確実に広がりつつある。
 生鮮、惣菜、日配を主力とするオーソドックスなSMは、大型
化傾向も一段落し、600坪から800坪スタイルに収斂しつつ
ある。これからも当分の間、このタイプがSMの主流となること
は間違いない。今後は、中身(マーチャンダイジング、オペレー
ション)をいかに磨き上げるかが課題だ。
 都心回帰や高齢化社会を背景とした都心型の24時間営業の
小型SMも店数を増やしつつある。簡便ニーズに対応した商品
づくりも進んでおり、オペレーションの効率化の壁を克服出来れ
ば、これから一定の位置を占めるようになろう。
 この延長線上に、コンビニエンスストアの生鮮部門への参入
がある。最近のコンビニは、一部生鮮を扱いだしているが、それ
をやや広げ、前面に打ち出すことで新しい便利性を強調してい
る。ただ、このタイプはあくまで立地次第で、前述の都心型小型
SMが近くにあれば、客足は奪われるだろう。マーチャンダイジ
ングについてもまだ新しさはほとんど見いだせない。
 最近新興チェーンが力をつけつつあるのがディスカウント型S
Mである。代表的なチェーンが岡山県南部を中心に20店以上
を展開する大黒天物産である。徹底した業務の標準化、ローコ
ストオペレーションの追求で、6%を超える経常利益率を確保し
ている。
 この対極が、いわゆる上質化、高質化を志向する質を重視し
たSMである。当然ながら設定する商圏によって業績が大きく
左右される。
 そして巨大なスーパーセンターが各地で相次いで開設されて
いる。広過ぎて買物に不便だ、とまだあまり評判はよくないが、
MD力が伴って来れば、大きな脅威になろう。
中国で商売の原点を再確認
2005年 6月20日(月)9967号
 イトーヨーカ堂グループの中国戦略を統括する塙昭彦専務中国
総代表(中国室長)に北京で3年振りにお会いした。
 3年前に訪問した際は、北京市内にGMS(華糖商場)はまだ2
店舗だったが、すでに5店体制となり、北京オリンピックが開かれ
る08年までには最低でも10店をめざすという。またヨークベニマ
ルのノウハウを全面導入したスーパーマーケットの1号店もこの
ほどオープンした。
 日本の上場企業の専務で、中国に居を構えたのは塙氏が初め
てである。「中国側との交渉に際して、一々日本の本社にお伺い
を立てているようでは、そのうち相手にされなくなる。当グループ
の場合、中国における戦略については、私が全ての責任を負って
おり、即断即決で事に当たっている」(塙専務)という。
 同専務は、イトーヨーカ堂労組の2代目委員長の経験もあり、
“親分肌”で、そのリーダーシップは誰しも認めるところだ。
 今年1月の年賀状に彼はこう書いている。
 どんな小さな店でも良い。こんな店を作って見たい。
「この店があって本当に良かった」と言ってもらえる店。まだまだ
「道尚遠し」である。
 灯を揚げて歩み続ければ、いつかは到達する。しかし、道はも
っと先まで伸びている。それでも歩み続けねばならない−−。
 最新の「西直門店」を取材したが、活気ある売場、よく声が出
ている従業員、ぴかぴかに磨き抜かれた床、ビジュアルな売場
提案型の売場など、かって日本でイトーヨーカ堂が伸び盛りだ
った当時の状況を彷彿させた。
 まだまだ釣銭を投げてよこすような店が圧倒的に多い国で、
“自分たちの給料はお客さまから頂いている”という教育を徹底
させるのは並み大抵ではない。改めて商売の原点をそこに見た。
セブン−イレブンが生野菜のコールドチェーン
2005年 5月31日(火)9953号
 ローソンが子会社バリューローソンを通じ、生鮮を取り込んだ新
形態の100円ショップ「STORE 100」の展開に乗り出した。
 退店したコンビニエンスストアに居抜きで出店し、急速に店数を
増やしつつあるショップ99に刺激を受けて、am/pm、スリーエ
フなどコンビニエンスストアが次々に生鮮分野に参入している。
 しかし、こうした動きに対して、スーパーマーケット側の反応は
いまのところ冷静だ。高齢化などを見据えた、あくまでもニッチ(隙
間)をねらった動きであり「スーパーマーケットが本来果たすべき
役割をしっかり担っていればそう心配することはない」という声が
多い。
 だが、セブン−イレブンが今年4月から導入している、サラダや
サンドイッチ、冷し中華などに使う生野菜の産地から店頭までの
全国規模でのコールドチェーンは、スーパーマーケットにとって
は大きな脅威だ。
 独自に生産農家を開発して、収穫した野菜を選別、洗浄後、速
やかに5℃にまで予冷し、低温チルド車で全国9カ所にあるプロ
セスセンターの冷蔵倉庫に運び、そこで調理工場ごとに仕分けし
て、低温チルド車で調理工場に運び、調理して店舗に配送する仕
組みだ。
 この間、生野菜の温度は常に5℃に保たれ、しゃきしゃきした食
感と味わいを楽しむことができる。
 セブン−イレブンはこれまで、弁当やチルドビールなどで、温度
帯別の配送システムを次々と構築して来ており、今回の生野菜
でも、こうしたノウハウを存分に活用している。
 全国1万1000店近くあるセブン−イレブンだけに、こうした生野
菜のコールドチェーン導入は、スーパーマーケットなど他業態に
少なからぬ影響を及ぼすことだろう。
 生野菜で実現できた仕組みを将来的に、他の生鮮にも活かすこ
とになるのかどうか、見守りたい。
ダイエー、現場重視の組織変更
2005年 5月30日(月)9952号
 ダイエーは26日、林文子会長兼CEO、樋口泰行社長兼COO
を軸とする新経営体制を発足させ、同時に抜本的な組織変更を
行なった。
 新組織の最大の特徴は、これまで商品部機能が主導していた
営業体制を抜本的に改め、GMS事業担当、SM事業担当の2つ
に大きく分け、従来の商品部機能を解体して、それぞれの事業
担当にラインスタッフとして配置したことである。
 しかも名称を商品供給本部として、GMSは食品、衣料品、生活
用品の3グループを、SMは食品、生活用品の2グループを統括
させる。
 現場重視の姿勢を掲げる新経営陣の考え方がこの組織変更
に顕著に表れており、商品部機能を完全に現場のサポート役に
徹しさせるねらいがある。商品部機能の解体とラインスタッフ化
は、もちろんダイエー始まって以来であり、「もう後がない」(樋
口社長)ダイエーにとって、まさに背水の陣で再建に臨む決意の
現れでもある。
 GMSの営業機能は、地域別を基本としながらも、関東、近畿、
北九州については、大型店と標準店といった規模別に管理する
ことにした。ディスカウント店については、デイリーストア地区とし
て一つにくくっている。
 SMは、北海道、関東、近畿、九州の4事業本部に分けている。
 撤退が噂されている北海道については、GMS、SMとも継続し
て保有する姿勢を示している。
 「お客さま本位の基本をベースに、過去から訣別し、現場からの
意識改革を全社に拡大して、真にお客さまから評価されるダイエ
ーをめざす」(林会長)という新経営陣の考え方が、今回の新組織
を軸としてどのように現場の隅々にまで浸透していくのか注目した
い。
 また、財務経理と合わせ総務人事も管掌する高橋義昭取締役
の役割も、 ますます重要になって来る。
GNX とWWREが合併
2005年 5月18日(火)9944号
 グローバルソーシングの2大ネットワーク、「GNX」(グローバ
ルネットエクスチェンジ)と、「WWRE」(ワールドワイドリテイル
エクスチェンジ)が合併することでこのほど合意した。
 合併のねらいは明瞭だ。世界最大の小売業、ウォルマートの
強大なグローバルソーシング力に対抗する世界最大規模のリテ
イラーネットワークの構築である。
 GNXには、カルフール、クローガー、メトロ、セインスベリー、
シアーズ、ウォルグリーンなどが加盟しており、WWREには、
テスコ、アルバートソンズ、アホールド、CVS、イオンなどが参
加している。GNX、WWREが統合することで、ウォルマートを
除く、世界の主要な小売業とメーカー45社を網羅する一大ネッ
トワークが形成される。参加する小売業、メーカーの総数は80
00社を超える。
 統合後の新会社の会長には、WWREのクリストファー・セラ
ーCEOが、CEOにはGNXのジョー・ラーリンCEOがそれぞれ
就任することになる。
 GNX、WWREが設立されたのは、インターネットビジネスが
ブームになり始めた2000年に入ってからで、それぞれが当初
からウォルマートのバイイングパワーを明確に意識した活動を
展開して来た。
 設立5年を経た今日、ウォルマートはますますその規模を拡
大し続けており、世界最大の小売業どころか、 世界最大の企
業にまでなっている。同じような活動を2つに別れて展開してい
ても、この先、ウォルマートに対抗する強力なバイイングパワー
を発揮できるかどうか、今回の合併の真の動機はそこにある。
 だが、ウォルマートと言えども、全米でのスーパーセンター展
開にはいずれ限界が来る。インターナショナル展開も、業績の
凹凸が著しい。将来は必ずしも明るいものではない
FMI新会長にスーパーバリューCEO
2005年 5月17日(火)9943号
 全米食品マーケティング協会(FMI)の新会長に、スーパー
バリューの会長兼社長兼CEOのジェフ・ノデル氏がこのほど
選出された。
 スーパーバリューは、04年度の年商が195億ドル(1ドル
105円換算で2兆0475億円)の全米最大の食品卸でもある。
 このうち54%の105億ドル(1兆1025億円)は、リミテッド
アソートメントストアのセイバーロット(Save−A−Lot)1287
店を含め、全米40州に展開する1549店のスーパーマーケッ
トによる売上である。
 同社はセイバーロットのほか、カブフーズ(Cub Foods)、
ストップンセイブ(Stop'n Save)などの店名で展開するディ
スカウントタイプのスーパーマーケットと、ファームフレッシュ
(Farm Fresh)などの店名で展開するクオリティータイプの
スーパーマーケットを262店保有している。
 このほか、全米最大のフードホールセラーとして、約3200店
のスーパーマーケットに商品を供給している。ディストリビュー
ションセンターは全米に24カ所ある。
 スーパーバリューからFMIの会長になるのはノドル氏で3人
目であり、同氏は六月に退任するリズ・ミンヤード現会長の後
を継いで第19代の会長に就任する。
 ミンヤード会長は、FMIで初の女性会長として注目されたが、
北ダラスを本拠とする名門スーパーマーケットのミンヤードが
昨年、テキサス州を拠点とする投資会社に買収されたことなど
もあり退任する。
 かなり以前、北ダラスにあるミンヤード本部を訪れ、当時のト
ップにインタビューしたが、本部の前に創業時の店舗をそのま
ま再現していたことを思い出す。ダラスの激甚な競争は、名門
SMの灯し火を保つことを許さなかった。
新たな競争時代の幕開け
2005年 5月16日(月)9942号
 流通小売業界の競争が新しい局面を迎えつつある。
 ヨークベニマルは4月22日、茨城県内1号店となる赤塚店(水
戸市)をJR常磐線赤塚駅前にオープンした。3月25日にはカス
ミがフードスクエア水戸赤塚店を同駅前にオープンしたばかりで
ある。
 この2店は駅前通りを挟んで至近距離にある。周辺は新興住
宅地でもあるため、それぞれ広い平面駐車場を備えている。
 この2店で買物をするとよくわかるが、スーパーマーケットは、
メニューのバラエティーと味の競争に入りつつあるという感を一
層強くする。
 カスミのサラダ、ヨークベニマルの揚物は、それぞれ商品化に
工夫を凝らしており、味もよい。ベーカリーもいい勝負だが、カス
ミの方が売場づくりの面ではやや上回っている。
 ヨークベニマルはこの店から、衣料品の取り扱いを本格化して
いるが、果たしてどのような成果につながるのか、注目したい。
 両社とも、ノウハウを集大成した旗艦店をぶつけており、お互
いの切磋琢磨の中で、今後も新たな取り組みが次々と生まれて
来るだろう。
 ヤオコーの川野幸夫社長は「これからスーパーマーケット同士
の本格的な競争がはじまる」と語る。これまでの競争とは一段レ
ベルが違う、他との差異をより明確化した新たな競争が展開され
ようとしている。
 ヨークベニマル、カスミ両店ともそれぞれNSCを形成しており、
ヨークベニマルにはツルハが、カスミにはマツモトキヨシがそれ
ぞれ出店している。この至近距離にはカワチ薬品の大型ドラッグ
ストアもある。
 ツルハも東北から関東へと着々とドミナントを構築しつつあり、
カワチ薬品、マツモトキヨシをはじめとする関東勢との競争が本
格化する。
 一方イオンは北海道、東北でスーパーセンターを今期、10店
連続開設する。新しい競争時代の幕開けだ。
日本市場の厳しさを再認識
2005年 3月15日(火)9903号
 カルフールの日本からの事実上の撤退が発表された。全8店舗を
引き受けることになったイオンが、店名と従業員をそのまま引き継ぐ
形で、ハイパーマーケットというイオンとしては初めての業態に挑戦
する。
 カルフールは、ウォルマートに次ぐ世界第2位の小売業とは言え、
規模が急拡大したのは、90年代後半のプロモデスとの合併からで
ある。ウォルマートのヨーロッパ進出に脅威を感じたカルフールが、
自分より大きなプロモデスと一体となることで、グローバル競争にお
いて優位に立とうとした。
 カルフールの本拠地であるフランスは、シラク保守党政権による
大型店規制が徹底しており、スーパーマーケットやハードディスカ
ウントはともかく、ハイパーマーケットの出店は事実上凍結されてい
る。
 ハイパーマーケットで活路を見いだそうとすると、国外に進出する
しか方法はない。
 このためカルフールは早くからグローバル展開に乗り出し、ヨーロ
ッパ諸国をはじめ、南米、アジアなどで着々と地盤を築きつつある。
 80年代後半から90年代初めにかけては、イギリス、アメリカにも
進出したが、いずれも4、5年で撤退に追い込まれている。
 消費の成熟度が高いこの両国では、なかなかカルフール本来の
力を発揮できず、店数を思うように増やすことができなかった。日本
の場合も同様である。
 筆者は毎年、欧米の流通小売業を取材しているが、イギリスやア
メリカの消費者と比べても、日本の消費者の選択眼はさらに厳しい。
 例えば賞味期限一つとっても、日本は惣菜など「賞味時間」で表
示しているケースが増えている。こんなことをやっている小売業は
世界で日本しかない。カルフールの事実上の撤退は、改めて日本
市場の難しさを再認識させた。
業態進化に遅れとったダイエー
2005年 3月 9日(水)9895号
 ダイエーの再建に向けた方向づけがある程度見えてきた。
 丸紅とアドバンテージパートナーズ(AP社)が事業スポンサーと
なり、5月中旬までにダイエーの第三者割当増資620億円を引き
受けることになった。産業再生機構も五百億円を出資する。これに
よりダイエーの持株比率は、丸紅が10・9%、AP社が23・4%、産
業再生機構が33・4%となる。
 ダイエー凋落の原因はこれまでいろいろ論議されているが、最も
根本的な問題は、激しく変化する生活者ニーズに対応するための
業態進化に大きく遅れをとったことである。
 日本で初めて、衣食住フルラインの総合スーパー(GMS)を開発
し、一挙に時流に乗って急成長した同社だが、売上高1兆円に到達
し、日本の小売業No1に上り詰めたあたりからおかしくなり、自らの
業態進化のスピードに急ブレーキが掛かった。
 ウォルマートのハイパーマートUSA、スーパーセンター、サムズ
クラブのフォーマットを一つの教科書にして、折角自ら手塩にかけ
て開発 して来たGMS路線から大きく方向転換させ、結局大失敗
に終わったことは記憶に新しいところだ。
 生活者の価値観は急速に変化しており、それに合わせて自己を
革新するためには、それこそ全速力で駆け続けねばならない。それ
が競争である。ある時点で自己満足して顎を上げれば、アッという
間に追い越される。それは何もダイエーだけに限らず、あらゆる企
業について言える。
 いまGMSは、あのイトーヨーカ堂やイオン(ジャスコ)でさえ、業
績悪化に苦しんでいる。SPAに代表される専門店チェーンに押され
気味の衣料品がとくに深刻だ。
 これからダイエーは、食品SMに特化するというが、SMこそ、変
化のスピードが速く、様々な業種業態が競争に参入している最も難
しい業態の一つなのである。
相鉄ローゼン横川元常務が写真集出版
2005年 3月 3日(木)9895号
 相鉄ローゼンの元常務、横川健氏(72)がこのほど、朝日新聞社
から写真集「越後村上三面川(みおもてがわ)の鮭」(1600円)を出
版した。
 横川さんは千葉県野田市の出身だが、95年に同社を退職後、趣
味の写真の腕を磨くため、生活の拠点を新潟県村上市に移し、1年
8カ月にわたり、村上の四季の自然と人々の暮しを撮りつづけた。
 その成果として97年6月、朝日新聞社から「写真 にいがた 村
上の四季」として出版している。今回はその姉妹編である。
 横川さんは、相鉄ローゼンが株式上場する前後に総務部長とし
て、広報担当も兼務していたこともあり、筆者も親しくさせていただ
いた。
 いまも年賀状をやり取りしているが、全日本写真連盟会員で、こ
れだけ写真がお上手だったとは改めて知った。
 三面川は、鮭の自然ふ化増殖に世界で初めて成功した地として
知られている。朝日連峰に源を発し、朝日村を通り、村上市の瀬
波と岩ケ崎の間で日本海に注ぐ、全長50kmの二級河川である。
 受精卵を人口ふ化させ、毎年2月初めから4月初めにかけて放流
する稚魚の数は昨年で12回、800万尾以上に達する。
 その鮭が元気に戻って来るのは毎年10月から11月にかけてで、
昔からの伝統的な漁法を守りながら、この天からの授かり物を収
穫する。横川さんのカメラは、人口ふ化する直前から収穫までを、
豊かな自然をバックとして克明に追っている。
 そればかりではなく、村上の歴史と文化についても、かなりのスペ
ースを割いて紹介している。
 素朴で美しい風景を数々見ると、横川さんがどれだけ村上の自然
を愛してやまないかがよくわかる。
 悠悠自適で、こうした高尚な趣味に生きる素晴らしい人生を送ら
れていることを、つくづくうらやましく思うのは、筆者ばかりではある
まい。
めざすはペット版ホールフーズ”
2005年 2月16日(水)9884号
 商品単価の下落に歯止めが掛からず、既存店が毎年前年を割
り込んで苦戦が続く小売業界にあって、独り気を吐く絶好調チェー
ンがある。
 ペットのプレミアムショップを展開する「ペットフォレスト」(田代正
美社長)がそれである。
 同社は現在、関東から関西にかけて17店を展開している有力ペ
ットチェーンである。その最大店の一つが昨年4月オープンした「あ
ざみ野店」(横浜市青葉区)である。一戸建てが並ぶ新興住宅地に
2階建て、売場面積400坪の規模で出店した。
 ペットに関する商品はほとんど揃っているが、ペットフードでも、骨
を強くするとか、人間顔負けの健康食品などプレミアム商品が並ぶ。
 シャンプー、リンスは2000円台の商品ばかり、ペット用の香水や
オーデコロンまである。
 ペットの洋服はもちろんのこと、カラフルな靴の品揃えも豊富だ。
 「ペットを“擬人化”すればするほど、マーケットは広がり、しかも
価格競争とは無縁だ」と、田代社長は言う。
 このペットフォレストを展開するのは、中京圏の高収益スーパー
マーケット「バロー」である。バローはスーパーマーケット、ドラッグ
ストア、ホームセンターを展開しており、生産から販売までのロー
コストな仕組みづくりを徹底して進め毎年最高益を更新中だ。
 そのバローが、全く視点を180度変えて新しいビジネスに挑戦し
た。 それがペットフォレストなのだ。
 あざみ野店には、ペットの病院はもちろん、美容院、癒し教室ま
である。田代社長はいずれ、ペットの霊園も考えているようだ。
 扱っている商品の多くはプレミアム商品で、しかもPB商品が目立
つ。 「将来的には100%PB商品にしたい」(同社長)という。めざ
す方向は、ペット版“ホールフーズ”である。
ウォルマートによる買収が噂されるカルフール
2005年 2月 8日(火)9879号
 カルフール(Carrefour)は4日付で、会長兼社長兼CEOのダ
ニエル・ベルナール(Daniel Bernrd)氏(58)が退任し、取締役
のリュック・ヴァンデヴェルデ(Luc Vandevelde)氏(53)が会長
に、CFOのホセルイス・デュラン(Jose Luis Duran)氏(40)が
社長兼CEOに就任する人事を発表した。
 退任したベルナール氏は、カルフール在職13年間で、ウォルマ
ートの世界戦略に対抗するため、フランス国内でカルフールよりも
企業規模が大きかったプロモデス(Promodes)との巨大合併を
実現させ、カルフールをヨーロッパ最大、世界No2の小売業に育て
上げた。
 この13年間でカルフールは、売上は4倍、利益は8倍に急成長し
た。またラテンアメリカ、アジアでのグローバル展開も加速させ、日
本にも進出した。
 しかし、大合併による歪みも抱え込み、シラク保守党政権による
大型店の厳しい出店規制もあって、肝心なフランス国内での売上
が伸び悩み、収益を圧迫している。グローバル展開も、日本市場
からの撤退も検討するなど、厳しい局面が続いている。 とくに最
近では、ドイツ、イギリスに続き、ヨーロッパ戦略の新たな拠点とし
て、ウォルマートのカルフール買収によるフランス進出が噂される
など、同社をめぐる動きは、きな臭い匂いも漂いはじめている。
 こうした中でのトップ交代だが、新会長に就任したヴァンデヴェル
デ氏は、2000年にプロモデスからイギリスのマークス&スペンサ
ーの会長兼CEOに就任して同社の抜本的リストラを断行し、昨年
5月、カルフールの取締役に就任している。言わば元の古巣に戻っ
た形だが、今後、同社のグローバル戦略を含めた経営再建にどう
取り組むのか、その手腕が注目されるところだ。
セインスベリーが支払いサイト延期を通告
2005年 2月 7日(月)9878号
 イギリス第3位のスーパーマーケット、セインスベリーはこのほ
ど、2000社に達する同社のサプライヤー(取引先)に対し、事前
に何らのネゴシエーションもなく、支払サイトの4週間延期を文書
で通告して来た。いまイギリスの流通業界は、てんやわんやの大
騒ぎである。
 No1のテスコは、最高益を更新し続け、その底力を内外に誇示
している。ウォルマートが買収したアズダは、徹底した価格攻勢に
打って出ており、セインスベリーを抜いてNo2に躍り出た。
 この2強に挟まれる形で、セインスベリーの業績はこのところ下
降線を描いており、価格競争の激化が収益を圧迫している。
 同社の04年3月期業績は、2・4%の増収とはなったものの、
営業利益は0・7%減、純利益は12・8%減と2ケタの落ち込み
となった。 今期の業績も振るわず、10月から12月までの第3
四半期の売上高は、2・4%増だったが、既存店は1・2%減と苦
戦が続いている。
 昨年は6000アイテムのプライスダウンを実施し、テスコ、アズ
ダに対抗しているが、一向に業績は上向いていない。
 昨年4月には、アメリカ東部のスーパーマーケット、ショーズを
アルバートソンズに売却したのをはじめ、デベロッパー会社も手
放し、財務体質の改善に必死になっている。
 だが、同社をめぐる買収の噂は跡を絶たず、このためか皮肉な
ことに最近、株価が急上昇している。
 イギリスの小売業界は昨年、No4のスーパーマーケット、セー
フウェイを、No5のモリソンが買収するという大きな再編成があっ
たばかりだ。マークス&スペンサーの業績もこのところ低迷が続
いており、買収の噂が飛び交っている。大手チェーンの寡占化が
進み、高収益体質を維持していたイギリスの小売業界はいま激
動の時代を迎えている。
組織の創造的破壊で食のプロを
2005年 2月 1日(火)9874号
 島根県の「たんぼ原徳」、菱食が出資していた「バリュー」な
どを次々と傘下に収め、04年2月期の店舗数18店から、05
年2月期は 38店と店舗数を倍増させた「さえき」は、創業25
周年となる今年度(06年2月期)、売上高を400億円の大台に
乗せる見通しだ。
 佐伯行彦社長は今年度の基本的な課題として「人を磨く」「商
品を磨く」の2点を強調しており、「本当の意味での食のプロを
育てることに全力を挙げる」と語る。
 日本スーパーマーケット協会に加盟する同社は、マルエツ、
ライフコーポレーションが共同で設立した 「日本流通未来教育
センター」を活用し、目下主として店長教育に力を入れている。
 「同センターで最も人気の高い教育プログラムは、店長に対
する生鮮や惣菜の技術教育という。当社も、店長にもう一度、
スーパーマーケットの基本である生鮮と惣菜についての知識を
再度たたき込み、店長が先頭に立って、食のプロとして通用す
る従業員を一人でも多く育てて行きたい」(佐伯社長)という。
 そのためには、現在の組織を一度破壊し、改めて集中と分散
を明確にして、“指示待ち”人間が一人もいないような店づくりを
めざさねばならない、と強調する。
 「ヨークベニマルの店長は、自ら産地を開発し、自分の店に合
った商品を仕入れている。同社の店長は、それだけの責任と権
限を持っており、その高い能力は、同社が積み上げて来た人材
教育にある」(同社長)という。
 これまで救済型のM&Aを主体として成長して来た「さえき」だ
が、「今後は、政策で一致した同士による戦略型の提携に踏み
込みたい」という。同社がめざす方向は、美と健康を志向する提
案型SMである。その実現に向け、どう組織を破壊し、再構築し
て行くのか注目したい。
競争に敗れた「ブーメランの法則」
2005年 1月19日(水)9865号
 「素晴らしい品質の商品を、どこにも負けないサービスで提
供して、お客さまに本当に満足していただければ、そのお客さ
まは必ずまた、その店に戻って来る」
 この「ブーメランの法則」を実践するアイルランドのスーパー
マーケット「スーパークィン」の全株式を、このほど地元投資会
社「セレクト・リテイル・ホールディング」が買収した。
 アイルランドの上院議員でもあるファーガル・クィンCEO(68)
は、社長としてスーパークィンに残り、引き続き同チェーンの経
営にあたる。またクィンファミリーも、セレクトの株主に連なる。
 スーパークィンの会長兼CEOには、セレクトの大株主の一人
であるサイモン・バーク氏が就任する。  ファーガル・クィン氏
は、「今回の選択は、激しく変化するアイルランドのグローサリー
マーケットにおいて、長期的な視野から決断した」と語っている。
 同氏にはこれまで、アイルランドの首都ダブリン近郊にあるサ
ービスセンター(本部)や店で2回インタビューしている。
 いつも笑顔をたやさず、小さい子供連れのお客にはポケットか
らドーナツのサービス券を取り出し、気軽に話しかけていた彼の
ホスピタリティー溢れる姿をいまでも思い出す。
 だがダブリン中心に19店を展開するスーパークィンをめぐる
環境は一段と厳しさを増している。
 イギリス最大の小売業テスコは、アイルランドでもNo1のシェ
アを持ち、このほどダブリンにハイパーマーケット「テスコ・エク
ストラ」もオープンした。これに地元SMのダン、マスグレイブ、
スーパーバリュー、さらにドイツのディスカウンター、アルディ、
リドルが加わり、価格競争は激烈だ。このためスーパークィンの
シェアは9%から8・7%にダウンし、苦戦が続いている。
アホールドUSAがSM2社売却
2005年 1月17日(月)9863号
 オランダのグローバルリテイラー、ロイヤルアホールドのア
メリカの子会社「アホールドUSA」はこのほど、アメリカ南東
部を中心に455店を展開する同社傘下のスーパーマーケッ
ト「バイロー」「ブルーノ」の2社を、テキサス州ダラスを本拠
とする投資会社「ローンスター」に売却することで合意した。
 アホールドUSAは、グループのフードサービス会社、US
フードサービスの粉飾決算問題などに加え、ウォルマートス
ーパーセンターをはじめとする競争激化の影響を受けて業
績が悪化しており、第3四半期までの営業利益は35%も落
ち込んでいる。
 2チェーンの売却額は5億6000万ドルから6億ドルと予想
されるが、そのほとんどを借入金の返済に当てる見込みだ。
 バイローは、サウスカロライナ、ノースカロライナ、ジョージ
ア、テネシーの4州に287店を展開しており、03年度の売上
高は32億ドルである。
 ブルーノは、アラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシシッピー
の4州に168店を展開しており、売上高は18億ドルの規模
だ。2社を合計した売上高は50億ドル(約5250億円)となる。
 この2チェーンの売却により、アホールドUSA傘下のスー
パーマーケットは、ストップ&ショップ(マサチューセッツ)、
ジャイアントフード(メリーランド)、ジャイアントフード(ペンシ
ルバニア)、トップス・マーケット(ペンシルバニア)の4チェー
ンとなり、ここに投資を集中させる。
 ローンスターは、1億ドルをかけて二チェーンの活性化に取
り組むことにしているが、ウォルマートスーパーセンター、パ
ブリックス、フードライオンなど強豪がひしめく地域だけに、
果たして復活できるかどうか厳しい状況である。
チラシを月1回にして固定客つかむ
2005年 1月 7日(金)9858号
 週1回のチラシを月1回にし、それを「お買い得情報カレ
ンダー」方式にして着実に効果をあげているスーパーマー
ケットがある。
 甲府市など山梨県内に5店舗を展開する「アマノ」(店名
アマノパークス)がそれで、毎月25日に翌月のお買い得
情報を折込みのカレンダー方式のチラシにして配布し、毎
日5品目程度紹介している。
 導入に際しては、社内からも猛烈な反対があったという。
「1カ月間の特売情報を事前に知らせるなどとんでもない」
というわけである。
 しかし、これを考え出した天野彰専務は譲らなかった。周
囲の猛反対を押し切って導入しては見たが、3カ月経っても、
4カ月経っても一向に効果が表れない。だが、5カ月を過ぎ
たあたりから着実に手応えが出て来たという。
 実は、折込みで配布してもすぐに捨てられてはかなわない
ということで、チラシの一番下に、プレゼント応募券を印刷し、
月5万円分の商品券を特等から3等に分けてプレゼントする
と同時に、その用紙に意見や要望を書き込む欄を設けたの
である。
  「最初は私も予想していなかったが、お客さまから“今月
は何日に何が買い得かが予め分かるため、予定購買ができ
るようになり、無駄な買物をしなくなった”という言葉が多く寄
せられたことである。月間の生活リズムがこのカレンダーに
よって作られたということで、これが着実に固定客づくりにつ
ながっている」(天野専務)という。
 22年前に開設した売場100坪の本店(甲斐市)に先頃、あ
る有名なスーパーマーケットのトップが見学に訪れ、感激して
帰ったという。ピカピカに磨き抜かれた売場を見て商売の原点
を再認識したようだ。
 「開店当初の店は実は一番汚い。それを毎日毎日、磨き込
む気持ちで取り組めば自ずと商売の道が開けて来るのでは
あるまいか」(同専務)
日本でEDLPは定着するか
2004年11月22日(月)9833号

 ウォルマートの世界市場からの商品調達(グローバル・
プロキュアメント)の威力が、西友の売場でじわじわと浸
透しつつある。
 例えば、同社のコーポレートブランド「グレートバリュー」
の中国製トイレットペーパー(197円)は、定番とエンドで
大量陳列している。今年8月の導入以来、月ごとに売上を
伸ばし、現在は週3万個以上を販売しているという。
 このほか、99円の懐中電灯、1個49円、2個95円の電
球も、レジ前陳列で訴求しており、売れ行きも好調のようだ。
 まだグローバル・プロキュアメントの売上比率は全体の僅
か2・1%に過ぎないが、その比率は今後徐々に上昇してい
くだろう。
 単品大量は、こうした直輸入品に限らない。
 ウォルマートには、VPI(ボリューム・プロデュースィング・
アイテム)と称する取り組みがある。
 拡販したいと思う商品を選び、それを様々な手段を使って
自分が先頭になって売り込んでいくやり方だ。 ウォルマー
ト・インターナショナルのジェフ・マカリスターCOOが選んだ
商品は、西友のストアブランド「ファインセレクト」の台所用ス
ポンジ(128円)である。今年3月の社員集会で同COOは、
全店での売り込みを促し、大量陳列を呼びかけた。
 それまで週に1000個程度しか売れていなかったが、週2
万個の販売をめざして売り込みをPRしたところ、週1万個ま
で売れるようになった。そこで9月から売価を99円に引下げ、
現在では週3万個以上売れているという。そのスポンジメーカ
ーとは、他の商品でも新たな取り組みをいま計画中という。
 日本でEDLPを定着させるのは難しいと言われる。しかし、
こうした商品を一つ一つ積み上げることがその突破口になる
かも知れない。

名門SMの灯がまた一つ消える
2004年11月19日(金)9832号
 ダラス・フォートワースエリアで72年の歴史を持つファミリー
オウンの名門SM「ミンヤード」(69店)がこのほど、地元テキ
サスをベースとする投資会社に買収された。
 テキサス州ではさきごろ、ヒューストンをベースとする「フェス
タ・マート」(14店)も地元グローサリー企業に買収されたばか
りである。
 ミンヤードは、オーソドックスなフード&ドラッグを26店展
開しているほか、ヒスパニックを対象とした「カーニバルフー
ドストア」を 24店、価格訴求型の「サックンセーブ・ウェア
ハウスストア」を19店展開しており、03年度の年商は9億
1000万ドルの規模である。
 ダラス・フォートワースは、ウォルマートがスーパーセンタ
ーをすでに48店展開しており、フード&ドラッグのネイバー
フッドマーケットも20店近くある。
 これに加え、クローガー、アルバートソンズ、セーフウェイ
(トム・サム)と、スーパーマーケット大手3チェーンが勢ぞろ
いしており、激しい価格競争を展開している。
 とくにウォルマートは、ダラスでのシェアをこの3年間で11、
15、18%と毎年伸ばし、ついにトップに躍り出た。フォートワ
ースでも、11、13、15%と着々とシェアを獲得し、現在はア
ルバートソンズに次いで2位である。
 これに対してミンヤードは、ダラス、フォートワース共、10%
前後とシェアが低迷している。
 同社は88年に亡くなった創業者の2人の娘さんがこれまで
経営しており、姉のリズ・ミンヤードCEOは、FMI初の女性会
長に就任している。会長の任期は来年5月まであるため、彼女
は来年6月まで、同社の副会長として社内にとどまることにな
る。これに対して妹(副会長)とその夫(社長)は退社する。
 ミンヤードの店名はそのまま残るが、一抹の寂しさを禁じえ
ない。

アルバートソンズが対照的な2業態を展開
2004年10月26日(月)9815号

 アルバートソンズがこのほど、2つの対照的なフォーマット
の展開に乗り出した。
 同社はこのほど、日本からの流通視察でもなじみ深い、南
カリフォルニアで11店を展開するアップグレードスーパーマ
ーケット「ブリストル・ファーム」買収した。
 ブリストル・ファームの平均店舗面積は353坪だが、最近
の店は 562坪とやや広い。同社は、ミドルからアッパーの
所得層を対象として、グルメアイテムを豊富に揃え、日本の
流通小売業者の間でも人気の高いスーパーマーケットであ
る。
 年商も1億5000万ドルと、アメリカのスーパーマーケット
としてはまずまずのレベルである。 アルバートソンズは今
年4月、東部6州で200店以上を展開する「ショーズ」を買
収しており、M&Aを連続させている。 一方同社は9月、
プライスインパクトストア「スーパー・セイバー」の1号店を
テキサス州ダラス郊外のダンカンビルにオープンした。
 店舗面積は1405坪で、スーパーマーケットとしてはフル
バラエティーだが、アイテムを絞り込み、プライスオリエンテ
ッドに徹している。
 同社は、南カリフォルニアで同じ店名の店を3店すでに展
開しているが、ヒスパニックを対象とした言わば例外的な店
であり、今回のダラス郊外の店とはコンセプトがやや違う。
 アルバートソンズはさらに6店のスーパー・セイバーを、テ
キサス州のメスキュート、ガーランド、ロサンゼルス郊外の
バトン・ラウンジ、ゴンザレスなどにオープンする計画である。
 同社はこのフォーマットを、既存店の業態転換と、他店の
買収を中心に急速にチェーン化していく考えをすでに明らか
にしている。
歴史の大きな皮肉、ダイエーの凋落
2004年10月15日(月)9808号
 ダイエーは14日、主力3行並びに関係先と協議し、13日
開催の取締役会で、経営再建について産業再生機構を活
用することを決議したと正式発表した。
 1957年(昭和32年)、大阪・千林駅前に「主婦の店ダイ
エー」をオープンして以来、日本の流通近代化の先陣を切っ
て来た企業だけに、わが国流通小売業界にとって大きな歴
史の転換点である。
 衣食住フルライン型のディスカウント業態を創造したのは、
世界でダイエーが最初だった。
 ウォルマートの展開で有名になったスーパーセンターのパ
イオニアであるフレッドマイヤーが、同社で言うマルチプル・デ
パートメントストアの1号店をオレゴン州にオープンしたのが
1962年である。
 ちょうどその年、ウォルマートのディスカウントストアの1号
店がアーカンソー州にオープンしているが、食品は扱ってい
ない。
 翌年、1963年にはパリ郊外にカルフールが、ハイパーマ
ーケットの1号店をオープンしている。ダイエーに遅れること
6年である。
 ウォルマートがスーパーセンターの1号店をオープンしたの
は、1988年になってからである。その数年前には、ハイパ
ーマーケット業態に挑戦し、ハイパーマートUSAの店名で4
店をオープンしたが、結局うまく行かず、スーパーセンターに
切り換えている。
 このダイエーが、日本で言うGMSを進化、発展させる道を
自ら閉ざし、衣食住フルライン型業態としては遙かに後発組
であるウォルマートの、しかも失敗作のハイパーマートの物
真似に突っ走った。ウォルマートは現在、30兆円を超える
規模だが、本業のみに徹している。
 企業を伸ばすのも、潰すのも、最終的にはトップの責任だ。
このウォルマートがダイエー支援に名乗りを挙げている。歴
史の大きな皮肉だ。