2001月8月(第91号)



蒼馬社

蒼馬社コミックス
ヤングサクセスシリーズ

648円+税/B6判/150頁前後 /並製

 

 私が少年の頃、夢と希望を胸一杯に与えてくれたのが立志伝や偉人伝、探検物語などの本でした。とりわけ「銭五(銭屋五兵衛)」「津田梅子」「野口英世」等を学校の図書館で読んだときの、あの血の騒ぐ思いを、何十年も経た今でも思い出します。
 己の人生の目的を見いだし、その実現に向けて全力を挙げる姿が、少年の純な心に限りない感銘と勇気とを与えてくれたのでした。
 その熱い思いを、今の少年少女たちにも感じてもらいたい! しかし、今の時代に昔のままの内容、切り口で「偉人伝」「立志伝」を出版しても、少年少女たちにその意図が伝わるかというと、それは難しい。ではどうすればいいのか。
 それなら「偉人伝」「立志伝」の息吹を残しながら、少年少女たちの興味を引く仕立てにするしかありません。
 そこで、今の少年少女たちの憧れや共感の対象のアーティストやアイドルを題材にし、そして手に取りやすいコミックで、彼らの成功までの過程を描くことで、夢を持つことの素晴らしさや、夢の実現に向けて努力していくことの重要さ、そして夢を達成できたときの充実感などを伝えたいと考えたわけです。
「蒼馬社コミックス ヤングサクセスシリーズ」は、今の少年少女たちに向けての、現在的な「偉人伝」であり「立志伝」の息吹を籠めたメッセージとして、1999年12月に第一弾として3冊同時発売でスタートを切りました。
 そして2001年7月発売の『宇多田ヒカル THE PURE SOUL』、8月発売の『モーニング娘。ハート・ドロップス』で12巻のシリーズに成長します。
 愛読者の少年少女たちからは多くのアンケートを頂いていますが、99%の皆さんが「このシリーズを読んで勇気が湧いた」「華やかな姿の陰に、一杯の苦労があることを知りました」「夢に向けて、私も頑張ります」等、ポジティブな感想を抱いているのです。
 コミックによる、現在的な「立志伝」「偉人伝」を目指したこのシリーズの羅針盤は、少年少女たちの心に向けて、方向性を正しく指し示している、と、私は確信しています。
 終わりに、このシリーズの大きな特徴として、執筆漫画家が若いということがあります。「サクセスシリーズ」という名前には、色々な苦難を乗り越えて成功したアーティストやアイドルに向けた意味がまずありますが、若い漫画家たちが150頁書き下ろしのコミックにチャレンジし、漫画家として成功していってほしいという意味も籠められています。

蒼馬社コミックス ヤングサクセスシリーズ11
『宇多田ヒカル THE PURE SOUL』
定価648円+税/B6判/166頁/並製
尾花有理・著/2001年7月25日発売
蒼馬社コミックス ヤングサクセスシリーズ12
『モーニング娘。ハートドロップス』
定価648円+税/B6判/166頁/並製
亜都夢・著/2001年8月8日発売





あけび書房

「小泉改革」に異議あり

久慈力・著

1600円+税/四六判/208頁/上製
2001年6月20日発売
<好評発売中>

小泉純一郎関連本が氾濫し、食傷気味と言われるなか、手前味噌で恐縮だが、小泉「改革」なるものを真正面から検証し、その危険性に警鐘を鳴らしているということなのか、本書は好評を博している。
異常な「小泉人気」を冷静に見つめなおし、小泉「改革」の真相、ネライ、本音をつぶさに明らかにし、小泉人気の裏で何が進行しているのか、誰のための何のための「改革」なのかを明らかにすること――これが本書刊行の趣旨である。
筆者は実に短日時に、小泉純一郎の生い立ちから、過去・現在の言動、そして、小泉内閣の政策、小泉の背景人脈などをたんねんに調べあげ、そこから小泉「改革」の本質・問題点を浮き彫りにする。その結果見えてきたものは、憲法9条改悪、集団的自衛権、靖国神社公式参拝、歴史・公民教科書問題など小泉純一郎の超タカ派的国のあり方「構造改革」であり、中小企業つぶし・失業者大量創出の経済「構造改革」、社会的弱者切り捨ての社会保障「構造改革」、一層の消費不況・デノミ不況をもたらす消費税率大幅アップの税制「構造改革」など、反国民的「改革」の姿である。
ところで、小泉人気も異常なら、本書に対する反応も今までに経験したことのない異常さである。ほとんどの書店さんは「なかなかいい企画ですね」と話題書コーナーに平積みしてくれるのだが、「今の時期、小泉さんを批判する本なんて置けませんよ」と、いかにも、「小泉改革にタテつくとは何たる非国民」と言わんばかりのニュアンスをこめた返答にいくつか出遭ったのである。そして、そのうちの数店は「リベラルな書店」と定評のある老舗のナショナルチェーンのメイン店。小生、愕然とした。これは一種の言論・出版妨害ではないか。
そうこうしているうちに今度は読者を名乗る数人からの「抗議」の電話である。要するに、先の書店さんと同じく「非国民」的罵声を当方に浴びせるのである。
日本の侵略戦争を告発する本、天皇制を批判する本、権力犯罪を究明する本などを出版した際に右翼から露骨に脅されたり、権力筋からの妨害・圧力を受ける経験をしてきた小社ではある。しかし、今回の「非国民」的呼ばわりは初めてだ。
ポピュリズム、草の根ファシズムの恐ろしさを感ずる。