「だめっ……しゅ、修司さんっ…や、やめてくださいっ!」


 静寂に包まれた桜井家にか細い叫び声が響く。
 時計は12時を回り、窓の外には深い闇が降りていた。




「どうして?」

 桜井修司は一階にある両親の寝室で、小刻みに身体を震わせて怯えている一人の少女に向かって優しい瞳で尋ねた。



 彼女の名は

  は旧姓で、今は桜井 となった。


 そう、 は修司の父と再婚したばかりで、自分よりも年上の修司が戸籍上息子となったのである。




「だって…こんなことしちゃ……修司さんは…私の…」



の息子になるからかい?まあ、戸籍上はそうだろうけど…でもそんなことは俺には関係ないし興味もない……」






  の母と修司の父は昔からの知り合いだったが、 の母が亡くなり、天涯孤独の身となった を、妻として桜井家に迎えたのだ。
 修司の母親は彼がまだ幼少の頃他界していた。

 そんな が初めて桜井家にやってきた時、修司は出来の良い一人息子を演じていた。




「修司、こちらが さんだ。お前より2つ年下だが……」


「あ、そうなんだ。よろしく」

 そう爽やかな笑顔で握手を求められた は、この家で家族として楽しく暮らすことができる喜びでいっぱいになり、幸せそうな瞳でゆっくりと挨拶をした。





「よろしくお願いします、修司さん」



 天使のような無垢な笑みに、この瞬間、修司の奥深くで何かが壊れる音がした。





「何て呼べばいいのかな……母さんじゃ…ちょっとイメージ違うし…。 さんでいいかな?」

 修司は頬を赤らめながら にそう尋ねた。まるで何ごともなかったかのように。



「はい」





 そう、修司は を普段は『 さん』と呼んでいた。


 しかし二人きりになると、甘く低い声で囁くようにこう彼女を呼んだ。



』と……。







 修司は乱暴にボタンを引きちぎってほとんどはだけかけた のパジャマを剥ぐと、剥き出しになってしまった胸に手を添えた。
 絹のような触り心地が修司の行動をさらにエスカレートさせる。



 形のよい二つの膨らみが露になると、そっとその先端を舌先で弄ぶ。


「きゃっ……っっ!!」


 跳ね上がる体を無理矢理押さえ込んで、下のパジャマも下着ごと抜き去ると、 の瞳からは涙が溢れた。



「お願い…やめ…て…いや…いやぁ…」

 拒む両手を大きな手で一纏めにして頭上で拘束すると、修司は溢れる涙を舌で舐め取って、悲鳴を上げる唇に入り込む。



「んぅ…っ?…っ……んッ…」


 その間も修司は、 の痴態を見逃すまいとばかりに、じっとその顔を見つめ、切なそうに瞳を細くする。
 やっと唇が開放されたときには、 の息はあがり、その口からは弱々しい吐息が漏れるだけだった。




「…親父と俺…どっちが上手…?キス…」



「な…?…そん…な…ことっ…」





「…昨日も…してただろ…?親父と…。俺が知らないとでも思ってた…?」
 

 そう、昨夜、受験勉強に疲れた修司が、飲み物でも…と思ってキッチンのある一階に降りようとした時、階段の脇にある両親の寝室から、聞いたことも無いような自分の父親の甘く低い声と、それと重なるような押し殺した声が聞こえてきたのだ。




「やっ…声…あぁっ…しゅ…ち…さんっ…」



「…いい子だから…声を殺す必要はないよ…もっと…。さ、…こうしてみたら…ん?」




「…はぅ…ッ…だ、駄目…だめ…もう…」



 年が離れているとはいえ、自分の父親と結婚した が、父親と抱き合うのは当然の事なのだろう。
 それでも、修司は甘く父親の名を呼ぶ が許せなかった。

 その白い体を父親に差し出しているであろう の痴態を思うと、体の奥から自分でも理解できないほどのどす黒い思いが噴出してくるのがわかる。




 父親は年の離れた若妻の をそれはそれは大切に扱っていた。 の方も自分に父親がいなかったせいもあるのか、理想の父親を修司の父親の修一に重ねているのか、いつも頬を染めて愛しそうに修一を見ていた。



 父親は父親、自分は自分なのだと言い聞かせてきた への止められない思慕が、掠れて聞こえる甘い声でもう堰き止められないくらいに高まって溢れ出すのを、自分でもどうする事もできなかった。

  



 そして、今日、病院を経営している修一への接待とかで、父親が一晩留守にするのを見計らって、修司は両親の寝室で一人眠る の所に忍び込んだのだ。


「…親父がどんな風に を抱くのか教えてくれないかなぁ…」



「…っ…ぁ…い、いやぁっ…っ」


 修司が の下半身に手をのばし、そっと敏感な花びらに触れると、 は体を震わせて反応する。




「……俺が…怖い…?まだ濡れてないけど…。傷つくなぁ…これでも の息子なんだから…もっと優しくしてくれてもいいだろう…?」


 そう言いながら、大きな逞しい体を居って、華奢な細い両足首を掴むと、高々と自分の肩に乗せてしまう。




「い、いや…いやっ…!修司さん、お願いっ…」




「…もう…親父には舐めて貰った?…せめてそれだけでも、俺がはじめてだといいんだけど…」




 
 修司は弱々しく抵抗する の力などものともせずに、今だ自分を拒もうとする花弁にそっと口付けた。

 

 




−禁断の木の実 1−

(作/橘 妹&橘 姉)