◆3◆
「
っっ!!」
「樫……宮くん?……」
「携帯にも繋がらないし…自宅にもまだ戻ってないっていうから…もしかして…と思っていたら、まだここにいたんだな」
「……うん……。プラネタリウム、結局最終公演まで見ちゃった…」
そういえば…あの夏の海の日も、ずっと俺のことを待っていてくれたんだよな、こいつは…。俺を信じて……俺のために…。
「そ、そんなことより…どうして…んっ!!!」
俺は、俺に尋ねる
の言葉も何もかも欲しくて、そのまま口付けた。
閉館間近で閑散としたプラネタリウムの会場の前で俺は何度も
にキスを重ねた。
「辛い想いをさせて…すまない…」
「…ううん……いいの……樫宮くんが…好きだから…だから……気にしないで……」
は自分にそう何度も言い聞かせてきたのだろう。思いを抑えながら…。
でも溢れる涙は
の心の叫びを現しているかのように、とめどなく流れてくる。俺もずっと
と同じ気持ちだったから、苦しい胸の内は痛いほど分かる。
「辛い思いは…もう…終わりなんだ…。もう我慢しなくていい……。本当の気持ちに正直にいればいいんだ…」
「樫宮くん…?」
「遥香が目覚めた」
「!!遥香さんが…?」
「ああ…。そして……怒られた」
「え?」
「本当に愛している人の側にいろってさ…。長い間眠っていたくせに、いきなり目覚めて俺に説教だぜ……。参ったよ…」
「樫宮くん…」
「遥香は…俺の心を分かっていたんだろうな。眠っている時も……俺の心がどこにあるのかを……。目の前で眠っている遥香じゃなくて……
、お前を想っていることを」
「…………」
俺は大きく息を吸って、そして の両肩に手を置いて の瞳を見つめた。
「
………。
さん……これからずっと俺の側にいてくれますか?俺だけを見つめていてくれますか?」
「……樫宮くん……。それって……営業用の…セリフ?」
が微笑んでくれた。そして…瞳からまた涙を零す。
「……いや……プライベートの……それもプロポーズなんだが……」
「……くす………」
「可笑しかったか?」
「ううん………」
「…で……返事は?」
「………ノー……の訳ないでしょ……樫宮くん……。私も…ずっとあなたの側にいたい………一緒にいさせてください……」
「ありがとう…」
抱き締める腕の中の の全てが愛おしい。
「外…出よう。家に送っていく前に少し寄り道してもいいか?」
「うん」
すっかり夜も更けた街中で俺はタクシーを拾った。
タクシーの中でも
の手を握りしめたまま、ぼんやりと窓の外を見ていた。
見慣れたこの光景も、今はなんて輝いて見えるのだろうか…。
都会のざわめきも…色とりどりのネオンも…いつも鬱陶しいとさえ思っていたのに、今はこんなにも優しい気持ちで見つめることができる。
と一緒にいるこの空間全てが俺を穏やかにさせてくれる。
「樫宮くん…」
「 …」
名前を呼ばれ
を見つめる。穏やかな笑みでお互い微笑みあって…。
握りしめていた の手にそっと力を加える。
あたたかくて………優しい温もりを感じながら幸福感に浸る。
首都高を抜け、しばらくして、俺達はタクシーを降りた。
季節外れの海岸には静まり返っていて、俺達二人だけの砂浜を歩く音だけが波音に優しく溶け込むように聞こえる静かな空間。
「こんな星空だったんだ…」
「ああ…。さすがに都会のど真ん中ではこんな星空は見えないだろう」
「…………綺麗…。プラネタリウムで見た人工的な星空よりも…すごく綺麗…」
「ああ…。…すごく綺麗だ…」
俺は
を背中から抱き締めながら、星空を見上げた。
「
…」
「ん?」
「幸せにするよ。今まで辛い思いをさせてしまった分だけ
のこと…。大切にする」
「……うん……でも…」
「でも?」
「今までも幸せだった…。樫宮くんと一緒に過ごした時間……。私は幸せだったよ。彼女のことが分かっても…私は樫宮くんと過ごす時間はすごく…幸せだった…」
「……
…」
星の輝きよりも眩しい位に煌めく涙を流しながら
は微笑んでくれた。
その笑顔に…俺はいつも甘えていた…。
そして…遥香の存在があっても俺はその笑顔を諦められなかった…。
何度諦めようとしても…できなかった。
「愛してる……。俺の愛は永遠に
、お前だけのものだ…」
「樫宮…くん…」
!?
は、突然つま先立って俺の頬にキスをした。
いや…頬に伝う涙を唇で拭ってくれたのだろう……。
「大好き……」
「
……」
この涙は
への愛の誓いの涙…。
永遠の愛を…
だけのためにこの涙に誓う。
だからもう一度囁いても…いいだろう?
そして…誓いのキスを贈らせてほしい……。
「
、愛してる」
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<ひとこと>
辛い思いをしてきた時間の分だけ、
カズマには幸せにしてもらいたいものですなあ(現実的な私・笑)。
カズマのギャグのお話も書いてみたいな〜と思う今日この頃(笑)。
読んでくださった皆さん、ありがとうございます。
