ダンサー・イン・ザ・ダーク

★★★

◆監督:ラース・フォン・トリアー
◆出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・モース
ジャン・マルク・バール

セルマは、幼い息子ジーンと暮らすチェコ移民のシングル・マザーだ。
警官ビル夫妻の庭先でトレーラーハウスに住み、昼も夜も働き詰めに働いている。 彼女は目の病気で光を失うのは時間の問題。自分の病が遺伝している息子の失明を防ぐため手術費用 を貯めている。それは友人のキャシーにも秘密だ。
彼女の楽しみは、ミュージカル映画を観ることと地元劇団でのミュージカルの稽古。そんなささやかな生活 も、あることをきっかけに一変するのだった。

ラース・フォン・トリアー監督の映画って何故こうなんだろう。
「奇跡の海」を観たときも辛過ぎて途中で逃げ出したくなったけれど、この映画も新年早々に見る映画じゃ なかった。「無償の愛」が、ただただ悲惨で苦しいものになっているのだ。「無償の愛」は、そういうもの だろうか。相手の幸せだけではなく自分の幸せにも繋がるのが無償の愛なのではなかろうか。

ミュージカルシーンは素晴らしい。だけどそれらは全て苦しい現実から逃れるセルマの空想として使われて いる。そりゃないんじゃないの!という感じだ。自分にとって”大好きなこと”は、ただの現実逃避のため の道具であるはずがない。何かを吸収し糧として力となっているはず。

私にはセルマが選択した結果が最良だとは思えない。息子に手術を受けさせるために、そしてその時機を 逸したら手術は成功しなかったのだろうけれど。自分の命と引き換えに息子に手術を受けさせる。 それは素晴らしく強い母の無償の愛かもしれない。だけどこの映画の状況設定では、息子ジーンは本当に 幸せになるとは思えない。「視力を失う」ことより辛い現実がきっと待っているに違いない。
セルマは「人間の尊厳」や「誇り」を賭けて闘っても良かったのではなかろうか。
2001年1月1日@WMC江別(デンマーク・フランス・スウェーデン合作)

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