点子ちゃんとアントン

★★★★★

◆監督・脚本:カロリーヌ・リンク
◆出演:エレア・ガイスラー、マックス・フェルダー、ユリアーネ・ケーラー、アウグスト・ツィルナー

予告編とチラシからすでに私のハートをガッチリ掴んでしまった「点子ちゃんとアントン」ですが、期待を 少しも裏切らない素敵な映画になっていたので感激でした。私がケストナーのファンであり、彼を尊敬して いることを差し引いても、こんなに人を惹きつける予告編というのは珍しいような気がします。
青い空をバックにジャンプする点子ちゃんとアントンの元気いっぱいの姿。
大きな観覧車が見え隠れ。
それが、僅かに残っている「子供心」を刺激するのかもしれません。

点子ちゃんとアントン役の二人の子役が見事にハマッているので驚かされます。 点子ちゃんを演じるエレア・ガイスラー嬢の笑顔は最高に可愛らしく、お金持ちの娘だけど気取ったところ が全くない、意思が強いおてんば娘のイメージ通り。
アントンを演じるマックス・フェルダー君も、真面目で母親思いのやさしい少年そのものという感じです。

魅力的なのは子供だけじゃありません。家政婦のベルタと家庭教師のロランス。この二人も、とっても素敵。 ロランスの人物設定は原作と随分違いますが、映画の方がずーっといいです。歌手を目指すフランス人、陽 気で明るい人物像。
それが後に点子ちゃんのストリートパフォーマンスへと繋がります。
原作では確かマッチ売りの少女になるのですが……。

ママが留守勝ちで寂しい点子ちゃんを慰めるのは、ベルタとロランスの不思議な踊り。ユーモアとサービス 精神満点です!
二人がいればママがいなくてもヘッチャラさ!と思うのだけど、なかなかそうもいきません。 いつも、そばにいてほしい。ギューっと抱きしめてほしい。
家出した息子を心配するアントンのママ、無事見つかって心から安堵する様子、二人の仲睦まじさや精神的 な結びつき、温かい雰囲気を肌で感じるにつれ、ママ恋しさがつのる点子ちゃんなのです。 見つめる点子ちゃんの目が痛々しく切なくなります。

カロリーヌ・リンク監督は、「可哀想な子供たちのため」とボランティア活動に忙しく家を留守にすること の多い母親だけを悪者にはしません。
仕事を理由に家庭のことは妻や使用人に任せきりの父親の無責任さ、妻の気持ちが外へ向く理由や不安をも キッチリと描いています。
「エプロン姿だけの私をあなたは嫌いになるわ」
妻のこの言葉に返す夫の愛情溢れる台詞は凄く素敵。
分かってるなあ、という感じです。

原作で好きだった場面、ベルタが泥棒をやっつける顛末とその後が楽しいシーンとなっていて嬉しかった です。色とりどりのボール。駆けつけた警察官もワインを飲んでお祝い。なんと泥棒までも酔っぱらう(笑)。
原作にはないけれど素敵だったのが、アントンの母親が特技を披露するシーン。
フープを使った演技と衣装が幻想的な雰囲気を醸し出していて、見惚れてしまいました。 全編に流れる音楽も印象に残ります。
でもやっぱり一番は点子ちゃんの歌でしょうか。

(原作:エーリヒ・ケストナー)
(1999年/ドイツ)----2001年9月某日@三越名画劇場

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