− 流星群 解説 −
by 内山茂男 (日本流星研究会)
| 活動期間 | 11月10日〜11月23日 | |
| 極大太陽黄経 | 235.27度 | |
| 極大日時 | 11月17/18日 | |
| 極大ZHR | 100 + | |
| 対地速度V∞ | 71 km/s |
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| ×:札幌, ○:東京, △:宮崎 |
| それぞれの薄明開始まで |
母天体 55P/テンペル・タットル彗星が1998年2月に回帰し、その前後で大出現および活発な出現を見せました。特に、2001年には日本でも大出現が見られ、 多くの人が流星雨を見たことと思います。
しし群の輻射点が東の地平線から上ってくるのは23時前後。基本的に、明け方に見られる流星群です。対地速度は V∞ = 71 km/s と、 最も高速な流星群で、痕を残すものも多いです。また、同時期に活動する“おうし群”も時々見られ、その速さの違いがおもしろいです。
2004〜2008年の日本での出現数を見ると、太陽黄経235〜236.5度付近でピークとなり ZHR は 20〜30 程度です。しし群は過去の経験と大きな期待があるせいか、 寂しい出現のように言われてしまうところがあるようですが、ZHR30 であれば3大流星群に次ぐ立派な流星群活動です。 今後の出現数はどのようになっていくのでしょう。この程度で安定するのでしょうか? それともまだ出現数が減少するのでしょうか? これからも、しし座流星群の観測は重要です。
2009年は1466年トレイルと1533年トレイルによる出現が、複数の研究者により予報されています。
その1人、フィンランドのEsko Lyytinen氏らは、彼らのモデル計算による出現数予測を
IMOの機関紙WGNに発表しました。
下のグラフの左側が1466年トレイル、中央が1533年トレイル、
右側が両トレイルに通常のしし群を加えたものによる出現数(ZHR)予測です。
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| 1466年トレイルによる出現予測 | 1533年トレイルによる出現予測 | 両トレイル+通常しし群による出現数予測 |
2本のトレイルは重なっていて、両方のトレイルの流星が出現します。合成された極大は太陽黄経235.535度、
これは日本時間 11月18日 6時28分 になります。これは、東日本では日の出直後です。
予測されるZHRは、1466年トレイル分が 65、1533年トレイル分が 60、通常の出現分が 20で、合成ZHRが 145 となっています。
実は、2008年にも1466年トレイルが接近しました。このときの出現は、Lyytinen氏のモデル計算ではZHR 45ですが、 観測されたZHRは100程度です。 Lyytinen氏らのモデルでは、最近の若いトレイルの観測データをもとにして計算していますが、この2008年の結果から彼らは 「1466年トレイルは最近のトレイルよりダスト密度2倍程度」と考えています。そして、 これらのダストを放出した頃には母彗星の活動が今より活発だったのかもしれず、 1533年トレイルもモデル計算の2倍程度出現する可能性があると書いています。
さて、ZHR予測がありますので、これからHRを計算してみました。
(HR:1時間あたりに1人が見られる流星数)
右図はその結果です。ここに示したのは、観測地は関東地方、最微星は6.0等の条件です。
(国内ならどこでも大きな違いはありません。
ただし、最微星が変わると大きく変わります。)
右のグラフのHR(A)がLyytinen氏らのモデル計算によるZHRから求めたHR、
HR(B)がトレイル成分を2倍にしたZHRから求めたHRです。
夜半前に輻射点が東の地平線から顔を出すとしし群の流星が出現し始め、「輻射点の上昇+ZHRの上昇」のため、
明け方に向けて流星の出現数(HR)が増えていきます。
もともとZHR予測は難しいもので、予測の半分程度になったり、 2倍程度になったりすることはよくあることです。 ですから、このグラフに示した出現数は参考程度に見てください。 それでも、18日薄明開始前には日本でもHR100前後(50〜150?) の出現があるかもしれないということですから、注目して観測したいものです。
参考文献
Lyytinen E. and Nissinen M. (2009): “Predictions for the 2009 Leonids from a technically dense model”, WGN 37:4.
J. Vaubaillon 氏もここ数年良いトレイル予測を発表している研究者です。彼の当初の予報では、
短時間にZHR 1000〜1500程度の出現になるだろうということでしたが、その後ZHR 500程度に修正しました。
発売中の天文雑誌11月号でもこの値を取り上げている場合があります。しかし、最近はZHR 200程度に修正しています。
Vaubaillon氏の発表
(英語)。
彼の発表によると、1466年トレイルのピークは、06時43分JSTでZHR115、1533年トレイルのピークは6時50分JSTでZHR80、
合計するとZHR200程度ということです。
ただし、2008年の1466年トレイルのピーク時刻は彼の計算による予測より1時間程度遅れているので、
2009年もピークが30分〜1時間遅れるかもしれない、と書いています。もし出現が遅れると、日本での出現数は少なくなるでしょう。
彼の発表にはZHR曲線はありませんが、ダスト分布図が発表されています。
これを見ると、ダストトレイルによる出現数の増加は3時前(JST)から始まり、
薄明開始の頃から急速にダスト密度が増加していくように見えます。
ですから、東日本より西日本のほうが薄明開始が遅い分、やや多くの流星が見られるかもしれません。
10月31日に国立天文台でしし座流星群ミニシンポジウムが開かれ、Vaubaillon氏の発表もありました。
ここで、ピークの2時間前(日本での薄明直前)の出現数予測の質問があり、彼は少し考えてから「ZHR50程度」と答えていました。
また、ミニシンポジウム後に個人的に、「Lyytinen氏らは、1466年トレイルで、ピーク前後で非対称な出現予測をしているが、
これについてどう考えるか」と質問したところ、「非対称な出現になる理由がわからない」
(私の英語力が不十分なため不確実)という返答でした。
このように、出現予測(出現時刻・出現数)は完全ではありません。
しかし、通常のしし群より多くの出現が期待できることは確かです。そして、どの程度の出現となったのかは、
観測データの集計によって明らかになります。
11月18日未明(17/18日)は、晴れたらぜひ観測しましょう。
(その前後の観測も重要です)
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※ このページの輻射点マップ および 表のデータは、 IMO(国際流星機構)のIMO Meteor Shower Calendar 2009をもとに作成しています。
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