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『あゆ、あゆの捜し物、天使の人形、そしてタイムカプセルについて』
『羽根あゆ』という存在は、祐一の想いとあゆの想いと、その両者が交錯して生まれたものだと思います。そしてその際に天使の人形が、一種の媒介としての役割を果たしていたのではないかと考えています。だから祐一の前に現れた時のあゆの姿は…思い出の天使の人形の姿を象っているように思うのです。
はね付きリュック = 天使の羽根(翼)
ダッフルコート = 天使のローブ
カチューシャ = 天使のリング
ミトングローブ = 天使の人形の手の形
あゆは左利き = 人形の左の翼が残されていたこと
このように、列挙できる共通点が多く存在することがそう考える理由です。さらにあゆ自身がどれほど必死に探し続けても、天使の人形を見つけることが出来なかったこと…。天使の人形は、閉じ込められたあゆの心、あゆの想いを示唆しているのかもしれません。
あゆが探していた物は天使の人形でした。だからこれを言葉を変えて表現するならば…あゆは『本当の自分』(及びその記憶)を捜していたと言えるのかも知れません。そして祐一にも、一緒にそれを見つけ出して欲しかった(自分の事を、思い出して欲しかった)。だから祐一が天使の人形を見つけ出すことが出来た時、あゆは最後にもう一度だけ、祐一の前へ姿を現すことが出来たのではないでしょうか…。
天使の人形は7年間もの長い間、冷たく暗く…寂しい土の中で、たった独りきりで眠り続けていました。いつかもう一度、目覚める日を夢見ながら…。祐一が天使の人形を掘り起こした時、その姿は長い時間待ち疲れて、とてもぼろぼろになっていました。それは…傷つき、そして眠り続けていた『本当のあゆ』を例えた姿だったのではないでしょうか。けれど思い出の人形は、名雪の手によって再生されました。そのことは『本当のあゆ』もまた再生することを…長い眠りから甦ることを示唆しているのではないでしょうか。
さらにタイムカプセルの存在もまた重要です。あゆは『未来の自分』(あるいは他の誰か)のために、最後の願い事が残されたままの天使の人形をガラスの瓶に入れて埋めました。
それが掘り起こされること。
それは捜し物が見つかること。
…祐一の本当の記憶が呼び戻されること。
あゆを思い出すこと。
あゆに対しての、あの遠い日の想いを取り戻すこと。
目を背けて逃げていた…辛く哀しい過去の現実と、正面から向き合うこと…。
7年振りにタイムカプセルが掘り起こされ、天使の人形が再び祐一の手に戻ることで、人形に託されていた数多くの目に見えないものたちが…
ふたりのさまざまな想い…
あゆの願い…『ボクのことを忘れないで欲しい』
そして…あの日願った未来、幸せな再会の約束…『一つの希望』…
…それらが7年の歳月を経て、時を越えて甦ったのではないでしょうか? タイムカプセルに託して、あゆが未来の自分へと送った大切なもの…それは『再会の約束』と『幸せな未来』そして『もう一つの可能性』。そのための最後の願い、奇跡だったのではないでしょうか? あの運命の日が来るよりも前にタイムカプセルを埋めた事によって、もう一つの未来の可能性が、『希望』という名の光がそこに残されていたのではないでしょうか? だから…タイムカプセルというものの持つ意味が、ここでは充分に果たされているように思います。タイムカプセルは、何も『物』だけを未来へと送るわけではありません。それを未来へと託した人の『想い』が、そこには込められているのですから。
『以上』
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