12.「応益負担・定率負担」を障害者福祉に導入することの非合理性  社会保障審議会障害者部会委員、東京大学助教授、福島智氏は2004年12月14日の社会保障審議会第二二回障害者部会配布資料において、つぎのように述べています。「応益負担は、いわば『目に見えない透明な壁に囲まれた刑務所』に{無実の罪}で収監されている状態にも似た存在の障害者から、日常的に保釈金を徴収するにも等しい。」と。また、障害者(児)を守る全大阪連絡協議会の塩見洋介さんは、「5.12 障害者自立支援法を考えるみんなのフォーラム」において、次のように発言しています。 第一に「応益負担」は、障害が重く多くのサービスを必要とする人ほど、多くの負担金の 支払いが求められます。これは「障害が重い」と言うことだけで特別に税金を上乗せす るようなものであり、障害が故の苦しみをさらに増幅する許し難い負担方式と言えます。 第二に「応益負担」は、障害者本人やその出身家庭の所得状況がサービス利用の可能性を 大きく制約します。同じ障害者であっても、裕福かそうでないかということが、社会参 加や自立の機会・可能性に大きな影響を与えます。まさに、福祉を受ける権利や法の下 の平等などの憲法原則にも抵触する負担方式といえます。義務教育が無償なのはこうい った不公平が起こらないためなのではないか。 第三に「応益負担」による利用料徴収は、福祉事業者が行われなければならないことから、 本来「よりよい暮らし」を目指して共同・連帯すべき障害者と事業提供者が、「金銭」 によって対立させられ、分断させられる可能性が広がるということです。これではこれ までの豊かな福祉実践の蓄積も台無しになりかねません。 第四に「応益負担」は、福祉サービスを「個人の消費財」としてとらえ、その恩恵は障害 者「個人」だけに還元されると見ていることです。社会福祉制度の充実は、その国の住 みやすさ、グレードを測るものさしであり、その拡充は社会そのものの評価を引き上げ ます。「応益負担」をいうならば、社会全体が受け取るこうした「益」にこそ着目すべ きであり、その費用は全額公費で捻出すべきです。   このように、障害者施策への応益負担導入は、障害者・家族がかかえる苦しみを2倍 3倍に拡大するものであり、およそ「福祉」の名にはなじみません。