2008年4月1日 第1号(通算216号)
『作業所だより』最新号より
 前号を読まれてない方はここ、215号へどうぞ
                                   
                               タケノコが出始めました・・・これから暖かくなります!
主張/人間の変革


 作業所でやっている取り組みは昨日も今日も変わりませんが、会計年度としては今日から新しい年度になります。来年度、つまり二〇〇九年度からは「障害者自立支援法」が完全実施され、新知事の下で少なくとも大阪府の補助金は止まってしまうことがほぼ確実となりました。この一年が今の場所で、これまでのような作業所運営の最後の年になるかもしれません。

 
私も定年退職直後からここにお世話になって九年が終わり、一〇年目に入りました。この間、初めは四名だった「障がい」者が、入れ替わりはあったものの八名になってそれぞれが年を重ねてきました。ボンボンのようなひ弱な感じだった人が逞しく成長し、同じように年を重ねて老化するに至った私たちを助けて力仕事は一手に引き受けてくれるとか、若いと思っていた従業員が老眼鏡の話をしだすなど、年月の経過を感じております。

 また、「働きにきている」という意識が出てきて、それぞれが自分独自の仕事や役割を欲しがるようになったようにも思います。それは朝の野菜を仕入れに行く助手だとか野菜ごとの処理の役割、配達の場面での台帳の整理役、焼き芋の製造など自分を出せる場面を要求し始めました。

 昨年の秋、居眠り君が自分の母校の小学生達を前にして、自分の生い立ちを講演するという場面がありました。それはそれでいろいろな問題はあったものの、二面に取り上げたカナダ在住のS先生から「あの記事はとても感動して読みました」とのメールをいただきました。

 カナダでは「スピークアウト」と言って、養護施設で育った人たちが自らを公衆の面前で語る取組みがとても重視されているそうです。それは日本でも被差別部落や在日朝鮮・韓国の人たちの間で「語り」として取り組まれてきたことですが、知的「障がい」者の語りはとても珍しいし感動したとのこと。

 メールは過去を総括しこれからの人生に展望を持つという点で、施設出身の人たちにももっと重視するべき取組みだと締めくくられておりました。

 「そう言えば・・・」と付け足しのような書き方で始めるのは失礼なんだけど、人前で自分をさらして語って以来、居眠り君の自暴自棄的とも言える態度が極端に減ったような気がします。彼のやる「居眠り」は病的のようにも見えるしまだ手の施し様はないけど、仕事に対する良い意味でのこだわりがでてきたと言えるかもしれません。

 「障がい」者自身の自立を促し、ささやかではあるけど彼の小さな変革を促す取組みが、「障害者自立支援法」の名の下、私の一〇周年とともに消えてなくなることは何とかして避けたいと思っています。

カナダからの便り


 私たちの島本障害者共働作業所の前身である「1号店」時代、つまり「障がい」者の働く事業所として取り組んでいたときの社長にあたる仕事を引き受けてくださっていたSさんは今、カナダのトロントにお住まいで、そこで小さな保育所を経営していらっしゃいます。そんな彼から作業所だよりの215号の「主張」を読んだよという便りがメールで寄せられました。遠い国なのにこの点インターネットはすごいものですね。

 とても参考になるし考えさせられる内容でしたので、Sさんにお断りして掲載させていただきます。


「不審者情報」が寄せられるたびに緊張するというお話を読んで、カナダと日本との違いをしみじみ感じました。日本は「違い」を認めにくい国で、「違う」人はとても住みにくい国だということを。

 カナダ(特にトロント)に住んでいると、ここは違う人ばかりが住んでいるのかと思うことがしばしばあります。移民で構成されているカナダでは、皮膚の色、言語、文化習慣、身体の大小等々違うことばかりです。

 皮膚の色にしても、例えば黒人といっても限りなく白に近い人から、闇夜で出会うと気づくのに遅れてしまいそうな黒い人まで、それはそれは実に様々な黒人がいます。言語はおそらく80以上の言葉が飛び交っています。衣装も実に様々で黒いベールで素肌を見せない人、白いベレー帽のようなものを頭にちょこんと乗せたユダヤ人、ターバンのインド人、髭の人(髭を剃らないという文化圏からの人)等々。面白いのは真冬でも防寒服を着てない人(極寒の地から来た人)、初夏でも分厚いコートを着ている人(暑い国から来た人)がいることです。

 身体の大小も半端でないです。小錦みたいな人はざらで、恐ろしく背の高い人、極端に背の低い人もいます。障ガイ児、者もどこでもみかけます。数えあげたらきりのないくらい違う人たちが住んでいます。

 ちがうといえば、この国では生まれたときから、ちがうことが当たり前なのです。身近なところでは両親の目の色、髪の色、皮膚の色がちがうし、体格も著しくちがうカップルも多いからです。物心ついたら町中にはもっとちがう人がうようよしてります。

 我が園の親も母が日系人、父が他国系というカップルが圧倒的です。ヨーロッパ出身ではイギリス、スコットランド、アイルランド、ギリシャ、イタリア、リトアニア、旧チェコ、コソボの独立でもめているセルビア。ロシア、ウクライナ系、アジア系では中国本土からが多いです。黒人系もかつては何人かいました。もちろん両親が日本人もいます。彼らは研究者か企業からの派遣による家族で、いずれ日本へ帰る人たちです。

 したがって我が園は圧倒的多くの混血の子供で構成されていますから、ちがうことが当たり前で、日常的になっています。いま4歳のダウンの女の子が一人います。小柄で言葉のない子ですが、その子を「変だ」とか「おかしい」とか言う子は一人もいません。以前、自閉症の子も数人いましたが、ごく当たり前に、なんのへだたりもない仲間でした。

 カナダの国是はモザイクです。様々な人種や文化圏の人たちをモザイクのように組み合わせ、それぞれの文化を尊重し合って一つの国を形成しようとしています。これをマルティカルチャリズムと称しています。

 ここに同じ移民で構成された国のUSAとの大きな違いがあります。USAはメルティングポット(人種の坩堝)と称して、いわば人々をミキサーの中でかき混ぜてUSAという一つの異文化を形成しようとしています。戦争等の国家の危機的な状況下では、それなりに機能していますが、平和な時代になると色々と破綻がみえてきます。だから為政者は戦争を継続的なものにして、国民に危機感をもたらそうとしているのです。

それはさて置いて、カナダに住む小生もモザイクの恩恵を受けて、カナダにいながら日本語の保育所を州政府から認可してもらっているわけです。日本では考えられないことだと思いませんか。(後略)

 この後の私的な部分は省略いたしました。日本という国に住む私たち日本人には単一民族意識が根強くあります。現実には北海道のアイヌ民族は私たちより先に住んでいた民族だし、多数の在日外国人の人々も住んでおられるのですが、それは“特別なケース”みたいに受け止めてしまいがちです。だからSさんのこの報告を想像し理解することすら難しい。でも・・・「障がい」者理解ではなく人間理解を進めたいと考える私たちにはすごくうらやましい状況に思えたわけです。

端境期に突如野菜があふれた!


「旬の野菜を味わう会」の配達野菜に事欠くようになったのは2月でした。500円分の野菜を入れる会員にお願いして全員300円になってもらい、それでも野菜が揃わないから徳之島の奥村農園にお願いしてジャガイモやニンジンを送ってもらってしのいできました。

 それなのに、3月の春分の日を前にして突然気温が上がり春がやってきました。ふつうなら、「三寒四温」などと言って寒い日と暖かい日が交互に続く期間がしばらくあるものなのに、今年は寒い日が続くなあと思ったら一気に気温が上がってしまった。野菜たち、正直というかなんというか一気に色気づいてしまった。

 サラダ水菜は若草色をしてまだまだ小さいから収穫しても目方がでないし、ずっと大きくなるのを待って収穫を控えてきました。ところがふと見ると小さな体のままつぼみをつけてしまっているのです。「そろそろほうれん草が使えるなあ」と話していたのが、根の赤い部分がうえに上がりトウを立てる準備が完了している模様。これらはまだ一度も収穫していません。

 キャベツもそう。玉結びがフワフワだし軽いからもう少ししっかり巻くまで待とうと言っていたらアッという間に玉が縦長になっている。真ん中から花を咲かせる塔を立てる準備をしているのです。大きいのを選んで1度使っただけなのに・・・。

 収穫の終わったブロッコリーは花が満開で、そこへ私たちの変わりにミツバチが蜜の収穫に来ています。とり残した小松菜も大根も白い花を咲かせ花盛りの最中。春が来たぞ〜と謳歌しています。

 一見野菜があふれかえっているように見えますが、端境期の10日間ほどに現れた瞬間的な現象でした。私たちとしては乏しい野菜を少しずつ順に配達野菜にしていくつもりだったのが、一気に気温が上がり、一斉に野菜が育ってしまったわけ。この野菜を採りつくすと、畑には本当に野菜がなくなってしまうのです。店長が「一週間だけ500円会員を復活させたいなあ」とつぶやいておりましたがどうしようもない。トウが立ち使いようがなくなって畑に鋤きこまれるよりはと、野菜の会の配達野菜をいつもより多めに、また種類も増やすというサービスして処理しました。

4月第2土日は桜バザー


 毎年この日が桜バザーに決まっています。12日、13日はぜひとも大阪水上隣保間の桜バザーにお越しください。例によって私たち島本障害者共働作業所はラーメン屋をやり、「ぴいぷるしまもと」は主催者の道具を使ってポン菓子の製造直売をやります。諸物価高騰の季節ですが、ラーメンもポン菓子も値段は据え置きで頑張ります。

 場所が去年の場所とは変わり、以前事務所のあった建物に近くなります。目の前で演奏などが見える場所で、演奏に合わせてポン菓子を爆発させる予定です!

      


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