2008年7月8日 第8号(通算223号)
『作業所だより』最新号より
 前号を読まれてない方はここ、222号へどうぞ
                         徳之島・奥村農園からパッションフルーツを送っていただきました!
主張/自分で言うことこそ


 ある日のことでした。タクの顔見知りの方が野菜のお買い物をしてくださいました。親しみを込めて「タクちゃん」「タクちゃん」の連発。一見ほのぼのとした情景だったのですが、当のタクはブスッと不機嫌そうに受け流しておりました。そう、あまり好きでもない女性から熱烈なアプローチを受けている男性と言った雰囲気。

 突然タクが思い切ったように言いました。

 「あのー、ボクもう大人やから『ハヤシさん』言うてほしいねん。」

タクは心臓バクバクさせながらだったのかもしれません。でも、生まれて初めて「タクちゃん」を自ら拒絶できました。これまでも私たちとの話の中で本当はちゃんとした姓を呼んでほしいのだということは言っていましたが、実際に作業所の店先で出会う顔見知りのお客様たちは「タクちゃん」の連発。自分ではどうしようもなくてその都度不機嫌になっていました。


 しかし、自分からきっぱりと言えたのです。しかもそのお客様はタクのその要求に対して

「そうやねえ、大人に『タクちゃん』はおかしいわねえ。ごめんなさいね」と謝ってくれました。

 こうして分かってもらえたことで、彼の自信につながりました。一人の大人としての自覚につながるきっかけをつかむことができました。

 そしてもう一方から見れば、そのお客様の意識を変えることができました。親しみを込めて呼びかけているつもりでも相手を傷つけている場合があることを理解してくださったようです。これからはきっと、「障がい」者に声をかけるときには相手の立場を考えてくださることでしょう。

 私たちはまた、この日常の些細な出来事から「障がい」者自身が声を出し要求することの大切さを再確認できました。

 実は二年前の一七一号の主張でもこの問題を取り上げておりまして、このときはタクは自己主張できず、店長が「二三才にもなってタクちゃんタクちゃんなんて呼ばせるな!」とタクを通して呼んだ人に働きかけたことがありました。しかし、本当の理解にはつながらない違和感が残りました。あれに比べて今回は、タク自身の要求でしたから本当に自然に「ごめんなさいね」と謝ってくださいました。

 彼らはうまくしゃべれないのだから、代弁して言ってやるというのはある程度しかたのないことなのですが、「障がい」者自らが発言し主張していくことの迫力と大切さを学ぶことができました。

6月経営委員会報告
長い盆休みはこうして決まった
               


 7月4日は経営委員会でした。この前日から居眠り君は「経営委員会の始まる前に家に帰って犬の散歩をさせ、その後家で飯を食ってから経営委員会に出たいから帰らせてくれ」と申し出ていました。しかし、以前に同じようにして帰った後出てこなかったことがありますから、「前歴があるから却下!」とふざけて言って認めませんでした。

 ところが当日になってもまだしつこく言うから店長が「そうするかどうかはお前の自己判断。自分で決めなさい」と言いました。しめたとばかり帰ってしまって・・・その後は携帯に電話しても出ず、経営委員会をサボってしまいました。土日が休みだから、二日も間をあけば、ほとぼりも冷めて叱られないだろうとでも考えたのでしょう。

 彼ら「障がい」者従業員が経営委員のメンバーであることは、自分たちのことは自分で決めるという点で大事なことだと思います。でも、話の内容が難しくて付いて来れない場面もあるのは確かです。あくびをして寝てしまう人もいます。それでも彼らが決定の場にいることは大事にしたいと考えています。

 会議は例によって【報告事項】として、紫陽花弁当のことや最近の野菜の状況、生協の売り上げ報告などがされたあと、委員会のメインである【検討事項】に移りました。

 9月の北海道旅行の件が楽しく提案されました。そして次は「お盆休みの取り方」です。どちらも「障がい」者従業員にとって楽しい話です。私たちが前もって話し合っていたのは、8月10日から始まる週の野菜の会の配達を中止し、13日から17日までの5日間を休業にしようかというものでした。

 ところが、住民の経営委員さんから「暑い夏にあくせくせんでも、ゆっくり休みを取らはったらよろしいがな」という発言。そこで司会をしている私が「障がい」者従業員に発言を求めると、一人を除いて「休みは長いほうがいい」と言います。一人だけ「休みが長いとすることがなくて困る」という人がいましたが少数派です。

 と、店長・・・「問題は8月11・12日の月火を出勤するかどうかということや。そうや、この二日間休んだからと大きな減収になるわけでもないし、休も!9日の土曜日から夏休みや」なんと、5日間の予定が9日間とほぼ倍増してしまいました。

 この日は寝てしまう人も出ず、楽しい話題に終始し、最後が長期間の休業に決定するその経過に「障がい」者従業員は参加していたのです。ところが一人だけ、家で新しく買ったゲームにうつつを抜かしていた(らしい)居眠り君はこの決定に参加しませんでした。会議が終わってからの話・・・あいつには今夜の決定を黙っておこうか、あいつだけ11日にも出勤させてやりたいな・・・みんなクスクス笑いながら別れました。

 何が大事か理解できないのが「障がい」者なのでしょうが、他の人は今は理解できなくても「大事なことだ」と言われて参加しているのです。それを「どうせオレが出たってわけの分からない話ばっかりやし」となめてかかる彼、それも力量のひとつなのかも知れませんがなんとか分かってほしいものです。

アスパラと馬の故里を訪ねて!
          今年は北海道を再訪します


 この話は、今年の5月から6月にかけて、北海道の新冠にお住まいの「佐藤さん」とおっしゃる農家から美味しいアスパラガスを60kgほど送っていただき、大好評を博したことから始まりました。初めは営業中心の話でして、来年もアスパラガスを送ってもらうのに佐藤さんの所へ一度ご挨拶に行かねばならないという話が、それじゃあみんなで行こうと広がり、いつの間にか話を聞きつけた馬好きの人たちから「それはよい話だ」と参加希望が寄せられました。新冠と言えば、名馬ハイセイコーの故郷でもある馬産地だからです。牧場見学が盛り込まれ、今ではどちらがメインの目的なのか・・・

 ぴいぷるしまもとでの話し合いで、日程は福祉大会が終わった後ということで9月21日出発のツアーを探しました。9月21日発「3泊4日で29800円」という格安ツアーを見つけました。ただし、宿舎は“APAホテル&リゾート札幌”というところに素泊まり3連泊となります。そこへ行動しやすいようにレンタカーを4日間借りて2万円増し。これを4人で利用すれば一人5000円、それにガソリン代やハイウェーの通行料・駐車料などで一人3000円も要らないかな?で、旅費(足代とベッド代)の総額は約38000円となります。(食費は別)

 3泊とも同じ札幌のホテルですから、阿寒へ行きたいといってもそらアカンわけで、あちこち総なめするような観光は初めからあきらめねばなりません。ただし、ホテルでは食事が出ませんので帰る時間に制約されないのがありがたい。趣旨から言って目的地から日高を抜くわけにはいきません。札幌から日高の新冠まで、有料自動車道を使って2時間余りだそうです。このコースでは佐藤農園や牧場の他に、二風谷のアイヌ資料館(人権派の参議院議員故萱野茂さんの根拠地)や襟裳岬ぐらいなら行けると思います。くわしくは一泊目にホテルで話し合い行動計画を作る予定です。

 今のところ分かっている日程は、「9月21日お昼から(時刻不明)伊丹空港を飛び立ち、羽田で乗り継ぎをして夕方新千歳空港着」「24日お昼前後(時刻不明)新千歳空港を出て、羽田乗り継ぎ伊丹空港に夕方着」だけです。

 費用は上記の足代ベッド代38000円に加えて必ず要るのが合計8回を越える朝昼晩の食事代です。何を食べるかによってこの経費は大きく変わってきます。北海道らしいものも食べたいし、おまけに酒をガブガブ飲めば天井知らずの費用になるでしょう。平均して一食2000円ぐらいと考えても15000円は用意しておかねばなりません。それにせっかく北海道まで行くのですから、お土産も要ると考えれば何もかも入れて6万円ぐらいはかかる覚悟はしておいたほうがいいかなと思います。

 人気のツアーらしくて、空きが少なくなっていたため20名分の予約を先取りしました。言い換えればこの企画「先着20名さまに限りご参加いただけます」です。去年は九州高原紀行、今年は北海道競争馬紀行どんな旅行になるでしょうか!


夏の初めの三つの取り組み


 早くも一年の半分が終わり7月となりました。もうすぐ学校の夏休みが来て、間なしに二つのフェスティバルがひらかれます。一つは毎年恒例、実行委員会主催の「反核・平和・人権フェスティバル」で、もう一つは小野薬品労組主催の「ふれあいフェスティバル」です。

 去年はこの両方が同じ日に開かれ、昼ごろから夜までフェスティバルのはしごをしました。ま、真夏の真昼間は「ふれあい」の方で涼しいケリヤホール、そして涼風のたつ前でしたが夕方から外の多目的広場で「反核・人権」でしたから助かりましたが。

 今年は別の日で、初めに7月26日(土曜日)「反核・平和・人権フェスティバル」が開かれます。以前は「おなかの足しになるもの」とラーメンやざる中華の店を出しておりましたが大赤字の取り組みとなり、一昨年ぐらいからあきらめて飲み物と野菜の販売をしております。野菜と言ってもナスやキュウリを売るだけでなく、トマトそのものをジューサーにかけてトマトジュースにして売ったり、スイカやトマトを冷してその場で食べられるようにして販売します。

 なお、作業所の応援団「ぴいぷるしまもと」は毎年本格的生ビールとそのあてになる食べ物(去年の場合はおでんでした)を売ります。この反核・平和・人権フェスティバルは夕方から夜にかけての取り組みです。

 さて、もう一つの一週間後の8月2日の「ふれあいフェスティバル」が今年もまた他のイベントと重なってしまっております。この日は「島本まつり」になっていて毎年、作業所でビアガーデンを開くことにしています。時間的にはお昼から夕方まで「ふれあいフェスティバル」に参加して、終わればビアガーデンの準備にかからねばならないというあわただしい取り組みです。

 「ふれあいフェスティバル」は労働組合主催ですから私たちはお客様で行って、ケリヤホールの舞台で大道芸のようなものが実演されている後ろで、各地の「障がい」者作業所と一緒に販売活動をするだけです。私たちはここでも野菜を売ります。「カレーセット」と名づけて、ジャガイモ・タマネギ・ニンジンを基本セットにして300円。それにナスとかオクラとかカレーに入れやすそうな野菜を2品加えて500円で販売予定です。それにスイカやトマトなども売り出します。

 夕方からの「ビアガーデン」は作業所前の駐車場をメイン会場にして開きます。もちろん本格的生ビールジョッキ一杯400円で、3杯分の回数券は1000円という格安値段。それにバイキング形式のおつまみが一皿200円です。これは黒字を出して儲けようというより、いつもお世話になっている方々にゆっくりくつろいでいただいて、平素出来ない四方山話をゆっくりしようかというのが目的です。

 さて、この三つの催しはどれもすべて住民の皆様に開放されております。どうぞご遠慮なくお越しください。(写真は去年のもの)


      


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