2008年7月22日 第9号(通算224号)
『作業所だより』最新号より
 前号を読まれてない方はここ、223号へどうぞ
                         カラスと競争して競り勝って手に入れたトウモロコシ
主張/学校への期待


 私たち島本障害者共働作業所の「障がい」者たちは、パンやラーメン、野菜の配達・販売するためによく町内の学校の職員室に出入りさせていただいております。

 私たちは「障がい」者の自立を目的の第一に置いて取り組んでおり、それは日常の行動の隅々まで徹底したいと考えています。学校の職員室にパンや野菜の配達・販売に行くときも、作業所だよりなどを配りに行くときも、私たちは運転手に徹してなるべく職員室には付いて行かないようにしています。

 私たちが彼らの先頭に立って職員室に入って挨拶とお願いをすれば、なんとなく責任ある態度のように見えますが、一方で主役の彼ら「障がい」者は「お供の者」になってしまいます。そして教職員の方々は「障がい」者じゃなくて私たちに質問や問い合わせをされてしまいます。確かに私たちのほうが正確な情報を元に手際よく分かりやすくお答えできるでしょう。

 お客様にはそのほうが便利でしょうが、私たちは、お客様にはご迷惑になっても、なるだけ彼ら「障がい」者が主役になって、挨拶しお願いし、質問されて困りながらも自力で対応できるようにしたいと思っています。

 もちろん、一般の会社などなら、彼らがどんな対応をしてくるか怖くてとてもじゃないがやらせられません。言うならば、昔通っていた学校だし、毎週のように顔を出させてもらっているから、「障がい」者従業員を主役にさせてもらっています。職員室は彼らの恩師たちの働く場所であり、彼らが多少トンチンカンをやってのけても、失礼なことをやっても、受け容れは出来なくても少なくとも受け止めてはいただけると思うからです。

 そして、企業への就職も出来ず、と言って家庭に閉じこもりもせず、このような作業所で真面目に働いている彼ら成人した教え子たちの姿を見てほしいということもあります。彼らの姿は、今小中学生である「障がい」児たちの将来の姿であるかもしれない。

 さらに言うなら、作業所で売れなくて困っているような商品を、学校の先生なら買ってくれるだろうと押し売りまがいの甘えた販売は一度もしたことがありません。最近で言えば冬のタンカンの場合も、今の時期のトマトも、もうすぐ収穫が始まるイチジクも、世間でとても美味しいと言っていただいて初めて、学校の先生方にも食べてもらおうじゃないかということになります。

 私達にとって学校の職員室という所は、私たちと同じ視線で彼ら障害者を見てくださり、安心して彼らの行動に任せておける場所なのです。目にあまる行為があれば、どうぞ話してやってくださいますように。

 作業所は相撲部屋?              


 作業所では食事を作ってみんなで食べることが結構多いのです。毎週月曜日に調理実習に取り組みますし、隔週木曜日にはお昼ご飯を女性従業員が作って提供します。みんなはお弁当もいいのだけど、これはこれで楽しみなようです。

 問題は食べる量です。特にカレーなどになるとまるで「ここは相撲部屋か?」と思うほど食べてしまいます。9人で15合・・・まあ、20代から30代の若者ですから食べることに驚いていてはいけません。でも、ざるそば14玉に4合のご飯を炊いてまだ足りないものだから、思わず「大丈夫か?」と言ってしまいます。

 私など若いのと一緒の盛り付けでは死んでしまいますから、一応大食いと普通食いとに分けて盛り付けます。残りは足りなかった人のためのお代わり用として置いておきますが、これの“争奪戦”がすごい。いや、見苦しいとさえ感じるときがありますね。

 後の人の事を考えず、食べたいだけごっそりとよそうのを見ると思わず「まだ食べたい人がいるんやから、もうちょっと減らせ!」などとかけたくない声を思わずかけてしまいます。家庭では食事量の制限を受けている人が多いから、自由の効く作業所ではすきなように食べます。自己判断を育てることをテーマにしている作業所では本人の考えに任せる傾向があり、それをいいことに食い放題になるんですな。そんな「自己判断」は困るのですがねえ!

 やはり、仲間のことをふと考えて「あと食べたい人たくさんいますか?」とみんなに向かって声をかけるような感性みたいなのがないと、なんとなく動物っぽくて辛いもんですわ。

キャッチコピーの難しさ


 新しい商品(最近ではパッションフルーツがありました)を売り出すときには、お客様の心を捉える宣伝文句をつけた看板を作らねばなりません。それがこの辺りでは見ることのないパッションフルーツのような商品であれば「南の島の味と香り」とさらりと作れるのですが、どこにでもいくらでもある商品となると難しくなります。

 以前店長が「ドライブしていて『手作り卵』って書いてあった」と笑いながら報告してくれました。鶏卵をどのようにして手作りしたのか見てみたいなあと私も笑いましたが、売り手の「他の商品とは違うのだ」と言いたい気持ちだけは理解できました。

 私たちがこの土俵に上がってしまうと、作業所の商品が少しも「他の商品との差」を強調することにならないのが難しい。どの商品もがその点を強調する時代ですからね。この間、新聞折込の住宅公告を見て「無添加住宅」と書いてあるのに唖然としました。なんのこっちゃと読んでみれば、シックハウス症候群を引き起こさない昔ながらの素材を使っていますということらしい。

 売り出す商品のパンチ力あるコピーを考えていると知らぬ間に「手作り卵風」になってしまうのです。考えるときはうちの商品を買ってくださるお客様を考えるよりも、私のカミさんを頭に浮かべてしまうのですが、カミさんが取り込まれる言葉がいくつかありまして、つい使ってしまう。「手作り」「自然」「無添加」「健康」「無農薬」「エコ」・・・我が家のシャンプーは「無添加シャンプー」という名前のシャンプーですからね。


 しかし、これらの言葉も使われすぎて空しくなりました。普通、防腐剤や着色料など食品添加物を加えていない食品に「無添加」を使ってきたのですが、今では「無添○ら寿司」なんて店の名前にまでなってしまっており、住宅にまで使われるようになった。最早パンチ力も何もない言葉になってしまいました。

 その一方で食品偽造が次から次へと暴きだされて、表記してある内容のウソがさらけ出されている世の中です。だからこれらの言葉の土俵に上がること自体がはばかられるようになってしまっています。本当に難しい。

 作業所のこれまでの秀逸は「おばあちゃんが孫のために作ったミカン」(12月頃発売)ですね。長ったらしいネーミングですが、この中にうちのカミさんの好きな言葉が全部含まれてしまっています。「おばあちゃんが孫の食べるミカンに農薬や防腐剤など使うはずがない」と皆さん瞬間的に受け取ってくださるようです。だから今では「おばあちゃんのミカンはいつ入りますか?」と言いうように使われており、人気商品の一つです。

 他の商品との区別を強調する言葉探し・・・大変な仕事です。

(写真は最新のパッションフルーツの“手作り看板”)

作業所短信


 タクが遊んできました


 珍しくも7月7日から9日間休暇をとり、東京のおばさんのところへお母さんと遊びに行って来ました。ディズニーシーで楽しく遊んだ後風邪を引いて寝込んでしまったそうで、後は葛飾柴又の寅さんのところに行っただけだったとか。でも、楽しかったようです。アルバムを見せてくれましたが、楽しそうでした。

 しかし、驚いたのは9日ぶりに顔を出したその顔が真っ白になっていたこと。もちろん風邪を引いていたこともあったのでしょうが、それにしても白い!地肌が白いせいもあるのでしょうが・・・それに久しぶりの作業も動きが鈍くなっていました。わずか9日間休んだだけなのに、“労働者顔”から“ぼっちゃん顔”になっておりました。


 実習生M君が戻っていきます

 去年の4月、勤めていた工場が火事で焼けてしまい島本障害者共働作業所で実習していたM君、やっと会社が再建され軌道に乗り始めたようで、彼も9月から職場復帰することになりました。

 彼もすっかり作業所に慣れてしまい、元の職場に戻るのに少し勇気が要るようです。つまり「障がい」者ばかりの作業所と違って、本物の企業はそれだけ厳しさがあるのでしょう。作業所の1年半足らずの間に意識も身体もゆるんでしまったのか「メタボになったおなかを、それまでに治さないといけないんです」と本人が口にしています。引き締まった心と身体で職場に戻って行ってほしいです。

 8月2日ビアガーデンにお越しを

 毎年8月の島本まつりの夜は、作業所前の駐車場でビアガーデンをすることにしています。今年は2日がその日に当たります。

 私たちのやるビアガーデンは利益を目的にしておりません。(それでも不思議に黒字になってしまうのですが)いつもお世話になっていることへの謝恩と交流を目的にしています。一度、何もかも無料にして開いたらかえって遠慮されてしまった経験があるから、空き缶の中にお金を入れて飲み食いするということにさせていただきました。

 どうか普段の日はあまり話しこめないようなことでもゆっくり話を聞かせていただけませんか?皆様のお越しをお待ち申し上げます。

 今年の福祉大会は9月14日

 一回目の実行委員会が7月16日に開かれ、およそのことが決まりました。ほぼ例年通りです。毎年福祉大会の前日準備に集まる方々に提供するお弁当70食ほどの注文を受けていましたが、同じように準備しながらお弁当が当らない人がいることが今回の実行委員会で分かりました。「それは不公平だ」ということになりました。

 話し合いでは「ボランティアの活動だから手弁当で当たり前だ」「しかし、不公平があってはいけない」という原則だけが確認され「事務局一任」とされてしまいました。

 帰りがけ事務局長から「最大何食作れますか?」との怖い質問・・・「100までは経験ありますがしんどいです」とだけ答えておきました。どうやら今年の前日準備用弁当は100食かゼロかということになりそうです。私たちはゼロでもかまわないのですがね。ラーメンの仕込みと平行して100食の弁当はしんどいですから。

      


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