2008年9月30日 第14号(通算229号)
『作業所だより』最新号より
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                      ラーメン完売後、居眠り君を囲んで「三本締め」、リズムが合ってないでしょう?
主張/靴隠しから


 ある日の夕方が近づく頃でした。みんなの更衣室のあたりから「靴がない」という一番若いK君と「あんたどこで脱いだのや」というHさんのやりとりが私たちのいるところに聞こえてきました。

 店長と二人、やり取りを聞きながら「居眠り君ではないな」「ウン、あいつはそういう系統のいたずらは一切しなくなったもんな」「どうやらアイツやなあ」「そう思う」などと話し合っていました。

 ついと立ち上がった店長、つかつかと騒いでいるみんなの中に入り、あやしいとにらんだ彼に「こいつ目が悪いのや。靴をなくして困ってるんやって。探したってくれや」と頼みました。頼まれた彼、「ハイ」というなりバケツに手を突っ込み「あった〜!」

 もう少し探すふりでもすればいいのに、まっしぐらにバケツに行ったのが面白かったです。

 靴を隠すにいたるにはいろいろとあったと思うのです。K君は一番の新参者なのに、水鉄砲で先輩たちに水をかけてキャーキャー笑って喜んだりしているのですから。そんな彼の行為に腹を立ててやったに違いありません。

 店長も「誰かが隠したやろ!お前か?」ではなしに「目が悪いから探してあげて」と正義感を掻き立てる依頼をしました。それに対して彼は共感・共鳴し、自分がやったことも忘れて自分の手で靴を出してきた・・・純情というか、世の中こんな人たちばかりで動いていたら新聞社もテレビ局も困ってしまうでしょうね。

 いわゆる「健常」といわれる子ならこうはいきません。教師時代にも靴を隠した子どもに向かって「君らは人に見つけられたから悪かったのか?やったことが人にばれようがばれまいが、悪いことは悪いのやろ。見つからなかったら別にかまへんと考えているのとちがうか?」などと話しかけたことが多かったものです。

 大人の世界はもっとひどい。カビや農薬にまみれた米を紛れ込ませて高額で売りさばくなんて、「見つけられたから悪かった」の領域をはるかに超えてひどい!食品偽装の極地とも言えるでしょう。金に目がくらみ、「命を守る」という当たり前の正義感をすっかり破棄して、世間にばれないように仕組むのですから。

 さて、この後、靴を隠した方も隠された方もあっさりしたもの。ありがとうでもなく淡々と靴を履いて帰って行きました。隠した彼を呼びつけて、話を聞いたり説教したりも必要ありませんでした。

 こんなまともな人たちと、自立して生きる力を一緒に求めるという私たちの営みは、どこまでも正義感に根ざしたものでありたいものです。世間に良いと認められ、求められる物を売る・・・私たちの作業所が食品偽装から一番遠いところにある理由です。

福祉大会一連の取り組み


 9月14日は島本町福祉大会でした。私たちは模擬店でラーメン屋と焼き芋屋をするだけですが、町の福祉大会の全体像はもっと大きなものです。

 まずホールでは開会式典があり、そこでは例えば金婚式を迎えたご夫婦や町の福祉関係で功績を積んだ人の褒章が行われます。それが終わると各種団体が芸を披露したり演奏したり舞台関係が3時ごろまで展開します。一方ふれあいセンターの建物では、お年寄りの趣味や作品、福祉大会のポスターなが展示され、健康相談なども行われ、また各地区のご家庭から提供された品物で安くて人気の高いバザーが開かれます。そして外では私たちが参加する模擬店が開かれるわけ。

13日はお弁当85食の製作


 大きな行事ですから、前日から大勢の人たちが集まって準備しますので、私たち島本障害者共働作業所にその人たちへのお弁当の仕出しの注文をしてくださいます。

 今年は9月3,4日に収穫されたばかりの鷲野さんの新米をメインにしてお弁当を作りました。食べてくださる方の多くが比較的年配の方だとのことで、動物性たんぱく質は味卵と三重県産の鰯の生姜煮だけ。後は飯田農園のカボチャやオクラ、ナスなどの精進揚げに、今年徳之島の奥村さんから種をもらい飯田さんが初めて作られた赤瓜入りのスパゲティーなど。デザートにつけた亀岡の西村果樹園の「竜宝」という大粒のブドウの甘かったこと。例によって鰯や卵以外は生産者の明らかなものだけの弁当でした。

 その前の11日には作業所で作るお昼ご飯に鰯の生姜煮や赤瓜のサラダなど試作してみんなで食べているのですから、準備作業も早くから始めていました。仕出し弁当の単価が500円。これをコンビニ弁当から考えれば結構よい値段だということになるでしょうが、手作りする側に立つと利益を出すにはお金のかかる食材は使えないということになります。結局安い食材に手をかけて美味しく仕立てるという作業になるのです。

 7時から作り始めて11時半の納品時刻にはきっちりと85食作り終えました。食品偽装が大流行し、今ではスーパーで販売するお米にまで事故米が含まれているおそれのある世の中。私たちの作ったお弁当の出来栄えはともかく、一切偽装のないお弁当であったことは胸を張って自信をもって言えます

そして14日のラーメン・焼き芋屋


 前日には弁当つくりと平行して、スープや味卵を仕込みました。弁当の納品後は応援団がネギを刻んでくれました。私たちは3時ごろから現場に鍋釜を持ち込み、店のレイアウトを決めてすぐに取り組めるようにセットしました。

 当日朝の8時に現地に行くと、もう店長が来ていて鍋釜に水を張り湯を沸かし始めていました。私は店の名前を貼ったり飾りの仕事をしたり、“なると”や味卵を切る仕事に取り組みました。9時になると応援団や従業員が続々登場し焼き芋を窯に入れて焼き始めました。

 今回は働き盛りの若手応援団が旅行中だったり、元作業所の専従だったベテラン主婦が、親戚の怪我で遠くへ行っておられたりして手不足は否めなかったけど、なんと20代の青年が一人手伝いに駆けつけてくれ大助かりでした。これまでから2,3回下働きに来てくれていたのですが、今回は湯がいた麺の水を切る作業に一挙に昇格!また、彼はセンスがよくて、すぐに色と太さで麺の上がりを見分けることが出来るようになりました。なんと結局彼が最後まで同じ仕事をやり通してくれました。

 「ソーリ、ソーリ!」で有名な女性代議士もお供を連れずに一人でぶらりと食べに来てくれました。領収書代わりの割り箸を手にしてたった一人で行列に並んでくれている庶民性が彼女の人気の秘密でしょうね。

 さらに大東市にお住まいのネット仲間が、服部緑地へお孫さん連れで遊びに行った帰りに立ち寄ってくれました。渋滞に巻き込まれ到着がラーメンの完売後になりそうだということで、注文数を確保し小さなコンロで湯を絶やさずに待ちました。ご夫妻とお孫さんとで召し上がったラーメンの感想。「このラーメンはラーメンの原点のあじですな。作業所のラーメンは島本町で食べると特に美味しい」・・・そりゃそうでしょう。二日かけてスープをとっていますから。

 3時になって会場にトラックを入れられるようになり、力を合わせて後片付けと積み込みを終え、恒例の三本締めをやって解散しました。荷物下ろしにはちゃんと応援団が作業所まで来てくれて無事終わり、あとは作業所で夕方おそくまで反省会でした。


 写真左から、本格的に調理道具をそろえたラーメン屋・焼き芋屋の面々・これすべてラーメンを食べてくださるお客様・「ソーリ・ソーリ!」の代議士さんもお客様・はるばる大東市から駆けつけてくださった亀八さんご夫妻とお孫さん

連載@北海道へ行きました!


 話は6月にさかのぼります。九州のネット仲間で競走馬の厩舎を経営する方が、作業所の取り扱い品目に北海道のアスパラガスを入れてみたらどうかという話を持ち込んでくれました。そして5月から6月初めにかけて北海道の農家が作られた美味しいアスパラガスを販売し、お客様からはとても美味しいと絶賛されました。

 そんなことから、来年以後も送っていただくお願いをするために、個人的に北海道まで行ってアスパラ農家を訪ねようとしたのですが、農家の場所が馬産地の新冠・・・毎年1月には金杯を、11月にはエリザベス女王杯を目指して皆で淀の競馬場に押しかける馬の好きな応援団ですから、たちまち「みんなで行こう」となって今年の旅行は『馬とアスパラと美味いもんツアー』ということに衆議一決しました。

 新聞広告に「北海道の旅、フリープラン」というのを見つけました。札幌のリゾートホテルに3泊し飛行機代を含めて29800円というのです。早速申し込みました。以前の北海道旅行も安かったけどこれも安い!

 しかし、安い話にはウラがやっぱりありました。3泊4日なんだけど出発がお昼で、羽田で乗り継ぎ到着が16時過ぎ。帰りも同様で実質3泊2日。そういうからくりの覚悟はできていましたが、「飛行機の乗り換え」なんてやったことがない「障がい」者もいるのだから、それも楽しいだろうということになり、総勢19名で出発しました。

 9月21日の出発当日、朝は台風の流れの雨模様で、その台風の名残を追いかける感じで北に向かって移動しましたが、旅行全体としては「移動の時に降られる」状態でした。羽田での一時間弱の待ち合わせも楽しく過ごし、定刻に新千歳空港着陸。

 レンタカーを8人乗り2台と5人乗り1台を借りました。ツアーにはsクラスの車が5人に1台(つまり19人だから4台)で割引価格となっていますが、@運転手が4人揃わない、A身体の太いのが多いから窮屈だ、Bガソリンや通行料金を考えると台数を減らして大きな車にしても費用はたいして変わるまい、という理由で大きな車に変えました。結果的には少しは高くつきましたが、体は楽でした。

まずは宿泊先の「アパホテル&リゾート札幌」へ。私はハイウェーを使うのかと思ったら支笏湖回りで下の道を走りました。支笏湖に寄ったものの夕闇の迫る時刻でトイレ休憩したのみ。東の地方は夜明けが早い代わりに夜が早く来ます。ホテルに着くなり風呂は後回しにして車に分乗した三つのグループに分かれて、食事に出ました。

 ホテル近くの「とんでん」という地方チェーン店に2組、回転寿司に1組と分かれました。どちらも土地の産物を多く使ったメニューが多くてまずまずの食事にそれぞれが満足してホテルに戻り、それぞれが“リゾート”のたくさんあるお風呂に浸かって一日目を終えました。二日目以後の詳細は次号から連載で報告します。

      


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