2009年1月20日 第22号(通算237号)
『作業所だより』最新号より
 前号を読まれてない方はここ、236号へどうぞ
                           “レース状の葉っぱ”とはこういう状態を言います(コカブの葉です)
主張/「障がい」者の犯罪


 「障がい」者たちと仕事をしていると、幼いなあと思ってしまうときがあります。口げんかしたり叱られたりして拗ねてしまってみんなの中に入れないとか、思っていることが言葉で表現できなくて、伝えるのをあきらめたり、いたずらで表現したりするなどの様子を見ていると、「だからこんな作業所しか行き先がないんやなあ」などと妙に納得してしまいます。

 それにしても、最近「またか」と思われるほど「障がい」者の起こす犯罪が増えてテレビや新聞が伝えています。関東地方で幼い女の子を殺し、裸にして捨てたという事件も犯人は「障がい」者といわれる人だったと報じられました。

 彼は養護(支援)学校高等部を卒業して布団工場に勤めていたけれど、仕事内容が変わると同時に出勤できなくなったなどとやけにくわしく書かれていました。報道が中途半端なくわしさのため「障がい」者って何をするか分からない、不気味な人たちだという印象を世間に与えてしまいます。

 しかし、犯人とされた彼の言い分を報道を通して知ると「なんでこれが『障がい』者やねん」と考えてしまうのです。ちゃんと逃げ道を考えながら自分を分析し、肝心なところは「なぜか分からない」とぼかしております。自分が追い込まれている状況を判断しながら言葉を操作できているのです。

 あれだけの力量を持った人はうちにはおりません。それどころか、「お前がやったやろう!」と捜査員に怖い声で迫られれば、やってなくても「ハイ」と言ってしまいそうな人たちばかりです。世の中、あのように言葉を操れる人までが「障がい」者なんやなあと不思議な気持ちがします。

 これで女の子を殺害した彼が今後、「障がい」者だからと罰が一等減じられるようなことになると、ええんかいなと不安な気持ちになってしまう。大事なのは、なぜ彼があのようなひどいことをやってしまったのかが分析され報道されることなのです。その「なぜ」には、彼が養護(支援)学校に通うようになった経過まで含めた「なぜ」でないといけません。

 最近、刑務所でも判定が行われるのか、収容されている人たちには軽度の知的「障がい」者が多いと言われています。罪を犯した人の知力を調べるだけの調査にどんな意味があるのか知りませんが、「障がい」者だから危険だという雰囲気をばら撒く結果になりかねないのが怖いです。私たちの感覚からすれば、とうてい「障がい」者とは思えない言葉の操作の出来る人が、なぜそんな罪を犯すにいたったのか、その「なぜ」をこそしっかりと報道されなければ、「障がい」者差別の強化につながりかねないと考えます。

作業所新年会


 1月6日、この日は新年が明けた最初の仕事始めでして、夜は経営委員会を中心に新年会をやろうということになっていました。この始業日はいつもどおりの火曜日として過ごすことになっており、作業所だよりの発行と注文票の配布、それに野菜の配達日でもあり夜は新年会と、とんでもなく忙しい日となりました。

 前もって5日の月曜日に版下を作っておりましたので、朝から印刷をし、メンバーの半数は野菜の仕事をして、残りのメンバーは作業所だよりの折りや注文票の挟み込みの作業。午前中はそれらにかかりきりで、配達・配布は午後の仕事になりました。

 一日きりきり舞いして働いた後の夜は新年会・・・この日のメニューは北海道のアスパラガス農家の佐藤さんに送っていただいた鹿と熊の肉がメインです。佐藤さんは油代の値上がりなどもあって冬の農業のスタイルを変え、今冬は2月中旬まで休業状態で趣味のハンターを楽しんでいるとのこと。すでに12月末で熊を6頭、鹿は40頭以上仕留めたと話しておられました。その肉を作業所に送ってくださったのです。

 肉は3種類入っていました。刺身にして食べる鹿ロースと焼いて食べる鹿肉カルビ(佐藤さんご自身で味付けされた物)、それに火であぶって塩コショウして食べる熊の肉。付録として鹿と熊の缶詰が2個ずつ。味付け鹿カルビが2.5kg、熊の肉は5kg近くありましたので、これは新年会を開きみんなで楽しもうということになったわけです。

 一番好評だったのは鹿ロースの刺身でした。わさび醤油で食べたのですが、生姜醤油でも美味しかったと思います。マグロのトロみたいでした。ユッケのようにして食べても美味しかっただろうなと思いました。あっという間に食べつくされました。

 鹿カルビも美味しかった。特に焦げ目がつく前、ふわっと焼きあがった頃の味がなんとも言えず美味しかったです。これは佐藤さんご自身が編み出された秘伝の味付けだそうで、焼き肉屋には求められない味でした。熊肉の焼肉は、鹿に比べると評判が落ちましたが、ワイルドな味でした。

 佐藤さんが自分で山に入り、仕留めて持ち帰って解体し、熟成させて自分で味付けされた珍しい肉を堪能させていただきました。求めてもどこの肉屋にも売っていない肉です。私は鹿肉を食べた経験がありますが、もっと獣臭かった覚えがあるのです。しかし佐藤さんの肉はほとんど臭みがなかった。解体するときのコツがあるのだとおっしゃっていました。思えば去年、佐藤さんの美味しいアスパラガスに出会い、そこから始まった交流が、こんな形に展開してしまったことが驚きであり感動でもありました。

 新年会は一番遅い人で日付が変わる頃まで続いたようでした。

新年会こぼれ話


 鹿肉のロースを刺身に切ろうとして、マイ包丁がないことに気がつきました。年末の生協店頭販売で居眠り君が持ち出したままでした。

 作業所には野菜用と焼芋用の専用包丁があり、そのうえ誰でも使える包丁が4丁ありますが、切れ味の点で不満のある私と退職した女性従業員がマイ包丁を持ち込み、居眠り君も真似をしてマイ包丁を買い求め、彼のも入れて3丁が他の包丁とは別にして置いてあります。彼は、焼芋用が見つからないからと、公共の包丁を無視して、マイ包丁置き場から自分のを取らずにわざわざ私の包丁を持ち出したのです。

右の写真の上が私の物で下が彼のマイ包丁・・・違いは明らかでしょう。

 店頭販売中にそれがばれたのですが、「なぜ、私の包丁を持ち出したのか説明しろ」と要求するだけで強くは叱りませんでした。私は「一番良く切れるのを選んだ」という彼の答えを期待し、そこから包丁を研ぐことの大切さを知ってほしかったのです。

 しかし彼は答えないまま、他人の包丁を無断で持ち出したことへの反省もないまま、年が明けるまで放ったらかしにしたらしい。新年会に集まった方々にお断りしてから彼を怒鳴りつけました。「アッそうや」とつぶやくように言って、大きな体を縮めるようにして焼芋の窯に取りに行きました。窯から取り出した私の包丁は、焼き芋を切り分けたままの無残な姿。芋がガチガチにこびりついています。

 再び怒鳴りつけられ、慌てて洗いますがちょっとやそっとでは落ちません。仕方ないからわたしはみんなの使える包丁で、鹿肉を切りました。「今度竹の子のシーズンになったら、土にまみれた竹の子の底を、お前の包丁でバシバシ切ったるからな!」と宣告するのがやっとの私でした。叱られた彼は、せっかくの新年会なのに、酒も飲まず大好きな肉もほとんど食べず、身を縮めて過ごすことになりました。

年明けの野菜達


 寒さが本格的になってきました。例年とおり新しい野菜は育たず、正月用の野菜の残りを収穫しております。先細りなのにそれを使うしかない・・・言うならば、先代の遺産を食い潰す道楽息子の心境です。

 でも今年はネギやニンジンが結構たくさん植えつけてあり、里芋類もストックがまだありますので、なんとか「野菜の会」を休会するまでには至らない模様です。

 残りの野菜も乏しく情けない姿です。巻頭の写真は残りわずかなコカブのレース状になった葉っぱです。また、残り少なくなった大根もとても大きくなってしまって、店頭でご覧になったお客様が思わず笑い出すほどの姿です。

 乏しくなることを見越して植えつけてあるほうれん草や小松菜、それにブロッコリーなどは寒さに震えて成長が遅く、収穫にいたるまではもう少し日数がかかりそう。ブロッコリーなんて、3月温かくなってから収穫期を迎えることになるでしょう。温かくなってからでは遅すぎるのです。一気に成長し、あっという間にトウが立ち、花を咲かせてしまうから収穫期がやたら短くなってしまいます。春先の野菜は収穫に追われます。

 春野菜の植え付けも終わっていますが、定植したえんどう豆やソラマメの葉っぱを小鳥が食べてしまうのに困っています。他にも青い野菜はあるのに、幼い豆の葉っぱを狙い撃ちして食べてしまうのです。貧相になった豆の苗たち、寒そうに見えます。(写真右)

 しかし、なんとか「旬の野菜を味わう会」を休会することなく、全員に300円会員になっていただくことで切り抜けられるだろうと話し合っております。ただし、同じような野菜ばかりが続くことになり、会員さんにも我慢を強いでることになるしょうか。

作業所のマンション側に防犯カメラが


 年末に光通信と共に防犯カメラが設置され、その画像をモニターして記録するためのパソコンも置かれました。このパソコン、電源を落とさなければインターネットなどに使ってもよいと言われていますので腕まくりしているのですが、新年早々電源を切ったのがおりまして大騒ぎ・・・光るスイッチを見ると自然に手が出る人がいるのですねえ。

 どのように復活してよいか分からなくて、業者に来てもらい復活してもらいました。それ以来本体を奥におしこめて電源スイッチを隠し、モニターだけを前に出しました。出来れば箱でもかぶせておきたい心境です。

 なお、無線ランでつなげば、ワープロとして使っているこのノートパソコンも外部につながるはずだし、作業所のネット環境は一段とよくなることになりました。また、防犯カメラのパソコンを使って作業所のホームページをみんなが覗くこともできています。

      


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