2009年2月4日 第23号(通算238号)
『作業所だより』最新号より
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| 寒さに耐えてポッチリ咲いたイチゴの花・・・収穫まで後2ヶ月以上 |
| 主張/従業員と利用者の差 |
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9日の調理実習は会話ができないR君の当番でした。彼が何を作りたいかが伝わらないから、毎回適当にメニューを考えて作っていますが、この日はラーメンの残りがあるというので熱いラーメンにしました。彼は自分が調理当番だということは理解できており、調理の出来ることは少ないけど私のそばから離れようとせず一緒に作りました。

正午よりも早めに仕上がり、四人分ずつ二回に分けて作って丼を皿に載せて食卓に運ばせましたが、足が不自由なためラーメンをひっくり返しそうに思うのか、ためらいが強くて運べませんでした。後の彼自身が食べるのを作った時、彼のだけは「自分で食べるのだから自分で運べ。ひっくり返したら腹ペコのまま過ごしたらいいのだから」と自分で運ばせました。
わずか数メートルの鍵型に曲がった通路を、一歩が数センチの足の運びで神妙にゆっくりと運びます。見ている仲間たちがハラハラしながら、食べる手を止めて注視しています。食卓まで50センチほどになったとたん、我慢しきれなくなった仲間の一人が立ち上がってテーブルにラーメンを置くのを手伝いました。「あーぁ」と言いながらR君汗を拭く格好をして少し冷めたラーメンを食べました。
その日の午後は暖かい日でほうれん草などの収穫作業でした。収穫作業が終わって帰る車の中で店長が「重度の障がい者なんていくらでも作れますな」とプリプリ。話を聞くと、公立の作業所の集団がふれあいセンターで何かがあったのか、指導員やボランティアの人たちと大勢で畑のそばを通って帰って行ったのです。
「車が止まっているよ」「あんまり道の端を歩くと危ないよ」なんて分かりきったことを、いちいち口に出して注意しながら歩いていたそうです。「あんなもん、車に当たったらええんや、畑に落ちたらええんや!痛い目にあって身に付けていくんや。まるで何かが起こったときに突っ込まれないための注意に聞こえてしまった・・・霞ヶ関の官僚の責任逃れと同じことや!あんな調子で口出しされた障がい者はどんどん重度になってしまいよる。」
店長のブツブツ言うのを聞きながら、昼休みのうちの作業所の光景を思い出していました。何も持たずに歩いてもギクシャクしか歩けないR君が、熱々のラーメンをお皿に載せて緊張の固まりになって運んでいる姿。そして息を詰めてそれを見守る仲間たちの姿を。そこにはバランスをとって歩こうとする自然な努力があったし、それを見つめる仲間意識が育っていました。
このことを、作業所の掲示板で報告したら、九州のネット仲間から「それが『従業員』と『利用者様』の差なのでしょうね」と喝破されました。
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悪魔カレー顛末記
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1月も終わり出勤してきた店長、憮然とした表情で「昨日帰ったはずのタクが5時40分頃に居眠り君に100円取られた言うて飛び込んできたのです」と報告。しばらくして出勤してきた二人を坐らせて、話を聞きました。“被害者”のタクはポツポツ昨日の夕方の出来事を話しますが、“加害者”の居眠り君は考え込むそぶり。野菜の配達日で収穫作業があるため、二人の問題は私に任せて店長は畑に飛び出して行きました。
相変わらず無言の居眠り君の足を思いっきり踏んづけて「痛いやろ?踏んだ私は痛くないんや。タクは踏まれた側・お前は踏んだ側やからそうして考えるそぶりで済ませられるんじゃ!」と怒鳴りつけてみました。
それでも考えているそぶりに「なんやねん、あの時にお前がやったのは悪魔の仕業で、今のお前には分からんとでも言うのか?」というと「そうですわ!今は善人ですから思い出せないんです」とにこやかに言いました。どこかであった事件の犯人みたい!
しゃあない、おかしいけど逃げ道は作ってやらないと。
「悪魔が引っ込んで善人が仕切っている今のお前が考えて、悪魔のお前がやったことどう思うんや」「お金返して謝らないとアカン」・・・ちゃんと分かっているのです。
そのとおりさせてから「お前の悪魔はこのでっかい腹に住んでいるんやろな」と言ってから彼の腹に口を近づけて言いました。「オイ!居眠り悪魔、今度目の前に出てきたら殴り飛ばして投げつけて上から踏みつけて半殺しの目にあわしたるからな、よう覚えとけよ」そして居眠り君には、「ええか、日本の法律ではお前を悪魔と善人と二人に分けて数えらない、お前は一人!悪魔がやったことでも善人がやったことでもすべてお前の責任。自分の中に悪魔が住んでることを自覚して行動せえ。悪魔が出てる時を目にしたら、善人のお前と違うんやから今言うたように、半殺しの目に合わしたるからな!」
居眠り君、分かったのか分からないのか大きくうなずいていました。ま、忙しい日なので中途半端な終わり方をしましたが、この“悪魔論”これから有効に使う予定です。
その後店長に報告したら苦笑していました。
そして彼が迫ったのはタクに、でした。なぜやり返さなかったのか、なぜ逃げてこずに金を取られたのか・・・事の原因はお前にあるというわけです。そうです、タクが強くならなければまた悪魔の居眠りが目を覚まします。タクは、小柄な自分は立ち向かえないと思い込んでいるようですが、客観的に見て敏捷なタクの方が、鈍重な居眠り君よりも強いはずなのですわ。彼に自信を持たせることも大事なことです。
帰りがけ、月曜日の調理実習の当番は居眠り君なので何を作る?という話になりました。「カレーにしようかな」というので店長が「まだ残っている熊の肉を使うか」というと彼「あっ、熊か!」すかさず私が「そうや、『あ、くま』の肉を食ってしまおう」
月曜日は悪魔の肉のカレーライスを作りました。写真の悪魔カレー、右側の皿が腹に巣食う悪魔用を含めた居眠り君用です。
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エピソード特集3(便りの埋め草)
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【行方不明になった携帯】
居眠り君がやってきて、「携帯電話があらへん」と店長に訴えました。前にも携帯電話をどこかで落として行方不明になり、大騒ぎをしたのです。一瞬「またか!」と店長が身構えました。私は、昼過ぎに彼が携帯をいじっているのを見ているし、その後出かけてないから「作業所のどこかにあるんやろ」と思っていました。
しばらくして居眠り君やってきて、店長に「ありました。さっきは疑ってすみませんでした」・・・疑った???
要するに居眠りの最中にポケットから転がり落ちたらしい。なのに彼は相談でもなんでもなく、店長が隠したと思って先ほどやってきて「携帯電話あらへん」と言ったのです。あれは「早く出してくれ」と言いに来たのですな。
事情が飲み込めた店長、「お前なあ!」と居眠り君につかみかかっておりました。
【若い彼ら】
作業所はワンルームマンションの一階フロアーを使っています。郵便受けは2階以上の住民と一緒になっているのですが、そこには時々出会い系の怪しげなチラシが入っています。それをゴミ箱に捨てておくのですが、従業員の誰かが必ず見つけてゴミ箱の一番上に置いて眺めております。
店長が上からゴミを乗せても、しばらくすると勝手に上に乗っているのです。「そんなにこれが好きなら持って帰れ。ベッドの上の天井に貼り付けて置けよ」と店長が犯人とおぼしき人に勧めるのですが、親の手前もあるのか頑として持ち帰りません。
今日は意地悪く私が目の前で破って捨ててやりました。と、不思議なことに、底の方から別の同系統のチラシを探し当てて、また一番上に乗っていました。エロ本のさわりのページをさっと開く若者の能力と同様、ゴミ箱の中のエロチラシをさっと探り当てる彼らは若い!
【「汚い!」・・・かな?】
店長は昼食提供日の中華丼を大きなスプーンで食べました。他の全員は箸で食べました。食べ終わった店長、「片付けておいてな」とみんなが食べているテーブルに食べ終わった食器を置きました。それぞれが食べ終わって、R君だけが残りました。
ふと彼の食べているのを見たら、スプーンで食べています。
店長「おい、なんでお前がスプーンで食べてるんや?ひょっとしてそのスプーン、ボクが使ったスプーンちがうか?いややなあ・・・コイツ!」私「よろしいがな、彼の使ったスプーンで食べるのならイヤやろうけど、その逆に店長の使ったスプーンなんだから」店長「いや、それでもイヤや。ボクの使ったスプーンを洗いもせずにRが使うなんて汚い!」私「その感覚って、女の子の感覚と違うの?女の子の使ったスプーンをお父さんがそのまま使って嫌がるのと似てるで」で、爆笑になりました。
なお、R君だから汚いと感じるのか、他の人でも同じように汚く感じるのかは聞きそびれました!(笑)
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作業所短信
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★ タンカンが着きました
徳之島の幸果樹園から今年もタンカンが到着しました。手始めに160kg送っていただきました。葉ずれなどの傷があるため贈答用には向かない物を回してもらっていますが味は同じです。早速試食・・・相変わらずコクと香りのある糖度14度のタンカンです。美味しいと思いました。
ただ今販売中です。小粒(J寸)が1kg500円、大粒(2〜3L寸)は800g500円と、「障がい」者にも分かりやすい値段設定になっております。どうぞご注文ください。小粒ですと500円で6つ、大粒ですと3つぐらいの見当になります。たくさんのご注文には配達もさせていただきます。
★ 3月14日夕日ケ浦温泉にかにツアー
毎年恒例のバスツアーの季節が来ました。一昨年は浜坂にかにを、昨年は小浜市にフグを食べに出かけましたが、どちらももう一つという感じ。その前に行っていた夕日ケ浦温泉が一番美味しかったというので、リバイバルさせることになりました。
少し遠いのですが、新しい道もできたということで今年は天橋立まで寄ってくれるツアーにします。費用は9,980円で、かには食べたいわ温泉に入りたいわ、おまけにお土産屋にもよらなければいけないわで、大変忙しい日帰りバスツアーですが、「障がい」者従業員たちの楽しみでもあります。
昨年から貸し切りバスではなくて乗り合い観光バスにしていますが、他の乗客とのトラブルもなく、旅行慣れしてきています。貸切にすると参加人数で費用が変わるから、主催者としては非常に使いにくい。乗り合いですからある意味気楽に計画できます。
★ 12日恒例の歯科検診を受けました
口腔保健センターから歯科医師や歯科衛生士がきて、歯の検診と磨き方の指導が行われました。この取り組みは、一斉指導ではなく歯科医が一人ひとりの歯を調べた後、衛生士がひざを突き合わせて歯の磨き方を指導してくれるのがありがたいです。
何かあれば歯医者に通院している人はいいのですが、何もなかったり多少のことでは我慢して行かない人には、年に一回ぐらいチェックされておかないと手遅れになってしまうおそれがあります。
この検診の直後にだけ三日坊主で歯磨きするという居眠り君、それなのに虫歯が一本もなく、歯科医をうならせていたのです。しかし今年はついに虫歯が2本出来ていました。歯医者が鬼の首を取ったように喜んだかどうかは知りませんが、長年の「歯を磨かない習慣」がついに変わる時がきたのでしょうか・・・神妙に「昼ごはんすんでから時間があるから歯磨きをする」と宣言しておりました。
しかし・・・同じようなこと去年も言っておりましたし、30年もかかって身に付けた習慣がそうもたやすく変わるものかとも思います。しばらく黙って観察させてもらうことにしましょう。
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