2009年3月3日 第25号(通算240号)
『作業所だより』最新号より
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鳥に啄ばまられて葉軸がやたら目立つブロッコリー、鳥の餌も端境期?
主張/ネットのつながり・広がり


 全く見知らぬ大阪府人権協会の人権支援部部長補佐のTさんから、ホームページを通してメールをいただいたのは今年になって間なしの1月8日のことでした。

 彼は徳之島出身で、この正月も徳之島に帰って子どもの頃から親しんだ闘牛観戦をしてこられました。そんなTさん、私たち島本障害者共働作業所のホームページに出会って「障がい」者の自立を目指す取り組みをする作業所が徳之島とかかわりを持ち、闘牛のページまで作られていることに驚いてメールをくださったようです。

 自己紹介の返信を送ってから、ほぼ毎日メールの交換をするようになっていきました。話題は徳之島のことや作業所で働く「障がい」者のこと、特に私たちがパンを仕入れている箕面の共働作業所「そよ風の家」についてもよくご存知でした。また、お仕事柄もあってハンセン病治癒者を受け容れる社会を作る運動や、部落解放運動との結びつきなども分かってきました。そんなメール交換をしているうちに、とうとう「現場の実践に学びたい」と2月4日にはわざわざ島本障害者共働作業所まで出かけてこられました。

 店長を交えて、私たちが「障がい」者の自立を目指し自己判断と自己決定を身に付けさせたいのだという話をしているとTさんの亡くなられたお兄さんが精神「障がい」者だったそうで「そうか・・・あそこで自己判断を大事にしてくれていたら死ななくてもすんだのかもしれない」と、周囲の人たちに自己判断能力を奪われているとすら言える状況について彼自身が話し始めました。

 その日はパンとラーメンをお買い上げになって帰られたのですが、その後のメールで「今度、府庁の雇用対策課で障害者雇用担当の課長補佐を連れて行ってよろしいか」とのこと。課長補佐ご自身が現場に学ばねばならないとおっしゃっているそうです。お断りする理由もないからどうぞお越しくださいと返信しました。

 翌朝店長にこの話をすると、行政の立場に身をおいていたことのある店長「えらいことでっせ、府庁の課長補佐なんて島本町の役場の人が行ったって会ってもらえませんよ。せいぜい主査程度が相手してくれるんですから」と言います。まあこちらからお願いしたのではなく、向こうから来たいとおっしゃっているのですから、私たちの取り組みのあるがままを見ていただければいいのです。

 ホームページがつないだTさんを通しての大阪府の障害者雇用担当者と小さな作業所とのこのかかわり。別にこのことで新しい展望が開けるとも思いませんが、「障がい」者の働く実態や課題、そこへの働きかけを知っていただくのは大事なことと考えます。

飯田農園の桜井地区の変貌
        久しぶりの飯田さんとの話から


 前日の夕方からの雨が予想以上によく降った20日の朝、飯田さんが「今日は雨で何も野菜を採ってませんから」と作業所まで足を運んで報告してくださいました。「これから竹の子までの間にやっておかなアカンことが一杯あるのに殺生な雨ですわ、畑に入られへん」とぼやきながら、久しぶりに農業の話になりました。


 「今年の端境期対策は結構うまくいきましたね。しかし、見ていると島本の農家では
飯田さんが一番たくさん野菜を作っておられるでしょう」と水を向けると、このたび、大阪府の『認定農家』として島本町から飯田さんを含めた4軒の農家が認められたというお話。その認定農家になると、エコ農産物を市場に出しやすくなるとか、農機具の購入に補助金が出るなど特典があるそうです。

 「農機具よりもなあ、肥料代の補助がほしいわ。去年から肥料代が値上がりして困ってます」とのこと。飯田さんは肥料代が上がったからと、野菜代を値上げしませんから私たちは助かっているのですが、「農協の肥料が高くてねえ、このごろはコーナンで買っています。コーナンへ行くとJAの帽子をかぶったのがたくさん来てますわ。コーナンもよう分かっていて、肥料売り場を広げました」と笑っておられました。農協よりも300円安いそうで、20本、30本と買うと大きな差になります。

 問題は、府の『認定農家』に指定されたと言っても、去年新設された島本駅の西側の緑地を見ると、なんとなく農業を続けることが風前の灯のように見えてしまいます。大丈夫、農業は続けられるのでしょうか。飯田さんのお話では島本駅の乗降客が14000人を目標にしていたところが半分ほどにしかならず、それを増やすことが課題になっているそうです。となると私の素人考えでは、駅の利用者を増やす手っ取り早い方法は住民を増やすことでしょう。

 今、飯田農園のある辺りは「市街化調整区域」になっていて、住居を建てるには大きな制約をうけております。ところが2010年(つまり来年)には調整区域の見直しが検討されるそうです。島本町には「町づくり委員会」というのが作られていて、飯田さんも農業委員として出席しておられと言います。調整区域を外すにしても道路整備などをきちんとせずに成り行きに任せていてはごちゃごちゃしたややこしい街並みになってしまうと心配しておられました。その点を行政側にたずねても「その辺りは地権者の方々と相談しまして・・・」としか答えてくれないそうです。

 私たち島本障害者共働作業所の心配は、もしも写真のようなのどかな桜井のあの辺りが市街化調整区域から外されたら、上牧の駅前のようになるということ。周囲にどんどん高層住宅が立ち並び始めたら飯田さんも農業なんてやってられなくなるのじゃないかという心配です。その道すじがもう来年に出来てしまうかもしれない。もちろん、この不景気ですからバブルの頃のように一気に進むとは考えられなくても、困った事態になっていくことは間違いないでしょう。

水俣の甘夏が入荷・・・今年の状況


 海を捨てた水俣病患者たちが山に上がり無農薬ミカンを作って30年以上。作業所では水俣病を風化させてはいけないと、毎年水俣ミカンを仕入れて販売してきました。甘夏の生産から始まった彼らの取り組みは、その後世間の嗜好にあわせて色々な種類のミカンを生産するようになりました。作業所ではそれらを詰め合わせた「オレンジミックス」というのを30ケース以上仕入れて、ミックスされたミカンを種類ごとに選別し袋詰めして販売してきたのです。

 ところが水俣の生産者が営業努力を払ってミカンの種類がどんどん増えてきて、ミカンの見分けがつかなくなってしまいました。それにトータルして値段が高く、私たちは割引価格になるように何十ケースも仕入れて定価との差額を利益にしていましたが余りにも利が薄い。その原因は販売に手間取るうちに腐ってしまうのが出たり、お客様の好みに合わないミカンがいつまでも売れ残るという困った現象から、ますます利益が薄くなるわけです。

 もう一つ、水俣ミカンとタンカンの販売の時期がぴったり重なることがあります。タンカンは大勢のお客様が待ちかねてくださる人気商品であるうえに、徳之島での販売価格で送ってくださるから、送料を上乗せしてもよそでは売っていない商品、たまに見かけても屋久島や鹿児島市近郊のもので味が落ちる上に値段も高めですから、結構利益があがります。タンカンだけでこれまですでに360kg仕入れて、次の200kgの仕入れのタイミングを計っている段階です。水俣ミカンは割引価格にしなければ利益が出ないから一気に到着しますが、タンカンは様子を見ながら少しずつ送ってもらえることも有利です。

 そのため、今年は水俣ミカンの作柄がよくないこともあって、オレンジミックスを取りやめ甘夏だけの仕入れにしました。酸味の強いミカンをお待ち兼ねの方も結構おられるからです。仕入れを減らしましたが、私たちは決して「チッソ水俣」の問題から遠ざかる気持ちではありません。利益を上げる必要があることとタンカンと重なり多忙になること、さらに水俣ミカンの種類が増えてしまって素人判断による選別が難しくなったことが理由です。来年はどうするか、未定ではありますがお客様の要望と私たちの現実とで決めていきたいと考えております。甘夏以外の水俣ミカンのご入用の方はどうぞお申し出ください。水俣反農連から送ってもらいますので。(写真は左がタンカン・右が甘夏です)

作業所短信


*「かにツアー」に23人が参加

 3月14日に予定している夕日ガ浦温泉への「かに食いバスツアー」の参加者20名を募集しておりましたところ、従業員とその家族、応援団からの参加希望が相次いで、なんと23名になり締め切らせていただきました。

 今年のツアーは以前には行かなかった天橋立まで足を伸ばすコースになっており、人気が出たのでしょうか。

*3月19日、久しぶりの弁当仕出し

 小学校の卒業式の行われる日の、先生方の会食のお弁当の注文が入りました。久しぶりなので腕によりをかけて作ります。

 ただし、野菜が端境期でして種類が少なく、飯田農園の安全・安心・新鮮野菜をなんとか確保したいともがいております。献立会議はまだこれからですが、久しぶりなので楽しみです。

*「ふれあいバスツアー」今年も自由参加に

 4月24日に予定されている「ふれあいバスツアー」は、去年に続いて今年も島本障害者共働作業所は「障がい」者たちの意思による参加とします。一部税金を使って開かれる行事なのに、毎年参加して当たり前のように思う風潮はおかしいと思うからです。

 ただし、参加を希望する従業員は費用は全額個人負担ですが、出勤扱いとします。なお、今のところそれなら参加しないという人が多いようです。ま、かにツアーなど自前で取り組む行事がありますからね。

      


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