(『薬学図書館』Vol.52、No.1、pp.69-72、日本薬学図書館協会、平成19年1月)≪ニューフェイス新入会員紹介≫愛知学院大学歯学・薬学図書館情報センター
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1.愛知学院大学の歴史と概要
平成17(2005)年に薬学図書館協会に加入した新入会員「愛知学院大学歯学・薬学図書館情報センター」の紹介をします。
愛知学院大学の学生数は約12,000名です。薬学部・歯学部・歯科衛生学科のある名古屋市内の楠元キャンパス,附属病院のある末盛にキャンパスのほかに,名古屋市東郊の日進にメインキャンパスがあります。日進キャンパスにある心身科学部には,医療系の学部として健康科学科があります。
愛知学院大学は平成18(2006)年の「日本の大学トップ100」では,75位にランクされています1)。その歴史は明治9(1876)年に曹洞宗の道元禅師の教えを建学の精神として「曹洞宗専門学支校」が名古屋市大須に開設されたのが始まりです。平成18(2006)年に創立130周年を祝い,各種事業を催しました。
大学は戦後まもない昭和25(1950)年に愛知学院短期大学を楠元キャンパスに創設し,3年後の昭和28(1953)年に愛知学院大学を創設しました。大学最初の学部は商学部です。その後,法学部を昭和32(1957)年に開設し,中部地区初の歯学部ができたのは昭和36(1961)年です。昭和45(1970)年には文学部を新設しました。心理学科と宗教学科でスタートした文学部は現在では,歴史・日本文化・国際文化を加えた4学科体制になっています。心理学科は平成15(2003)年に分離独立し,心身科学部となっています。商学部から平成2(1990)年に経営学部が独立しました。総合政策学部が平成10(1998)年に情報社会政策学部として増設され,薬学部が平成17(2005)年に増設されました。すべての学部に対応する8つの大学院研究科博士課程を設置しています。平成18(2006)年に短大に3年制課程の歯科衛生学科を新設しましたが,平成19(2007)年には,文学部にグローバル英語学科を,商学部にビジネス情報学科を,経営学部には現代企業学科を新設します。
文科系の学部は昭和50(1975)年に日進キャンパスへ移転しました。
2.愛知学院大学図書館の歩み
愛知学院大学の図書館は,昭和25(1950)年に短期大学図書館として楠元キャンパスに開設されました。商学部が開設されるに及んで,愛知学院大学附属図書館となり, 文科系学部の日進キャンパス移転と伴に,新キャンパスに中央図書館が完成しました。中央図書館は地下1階地上3階の閲覧棟と書庫棟(積層式6層)に分かれ,書庫棟の蔵書収容冊数は100 万冊。総座席数は1,200 席で当時としてはかなり大規模な図書館でした。平成14(2002) 年の大学開学50 年の記念事業として図書館の増改築計画が策定され,従来の図書館機能を充実させながら,新たに情報センターの機能を付加した図書館の実現が計画されました。そして,平成16(2004)年3月に新館(地下1階・地上7階)が完成し,そのうち,
地下1階から3階までを図書館が使用し,4階から上がロースクールになりました。本館(旧館)の全面改修が行なわれ,閲覧席総数1,500近くの新しい「図書館情報センター」が誕生しました。
現在の図書館情報センターの蔵書数は,単行書約76万冊,学術雑誌は,和雑誌・洋雑誌・大学紀要を併せて約8,000種です。視聴覚学習センターが併設され,約2万タイトルの視聴覚資料を所蔵し,一度に60名の視聴が可能です。
愛知学院大学の図書館では,昭和27(1952)年短期大学図書館時代から文部科学大臣委嘱の司書・司書補講習が行なわれ,有能な多数の図書館員を輩出しています。また,昭和28・29・31(1953・1954・1956)年には,文部大臣委嘱の図書館専門員養成講習会も実施されています2)。『大学ランキング2007年版』では,図書館費が32位にランクされています3)。
3.歯学・薬学図書館情報センターの概要
愛知学院大学附属図書館が日進キャンパスに移転した後,楠元キャンパスには「愛知学院大学附属図書館歯学部分館」が残り,平成17(2005)年に「歯学・薬学図書館情報センター」に組織変更し,日進キャンパスの「愛知学院大学図書館情報センター」と連携をとりながら主に医歯薬学系の図書館サービスを全学に提供しています。
センターの蔵書数は,約130,000冊です。蔵書の特徴としては、次のような点があげられます。
(1)自然科学系総合雑誌「Nature」が1869年の創刊号以来全号揃っている。
(2)1880年代に刊行された歯科学の古典書(洋
書)32冊が歯科資料展示室に別置され,閲覧可能
である。
(3)厚生労働省関係の統計資料が揃っている。
単行書は,約50,000冊です。10,000冊を開架し,主に教育・学習用としています。内訳は,歯科学関係が約25,000冊,医学関係が15,000冊であす。4,000冊程度を講座配架(上限基礎講座100冊・臨床講座に250冊)とし,主に研究用の利用に供しています。
蔵書うち約80,000冊が製本雑誌(洋雑誌50,000冊・和雑誌30,000冊)です。
製本雑誌は,歯科学関係が21,000冊,医学関係が57,000程度です。
平成18(2006)年度の学術雑誌の購読数は寄贈等を含めて,和雑誌・洋雑誌ともに約380タイトル合計760タイトル程度です。視聴覚資料は,700点弱でほとんど講座に配架されています。また,学位論文,本学学術情報フロンティア推進事業研究関係資料の収集・保管についても配慮しています。
平成18(2006)年度に契約した主なデータベースはScience
Direct・Blackwell・医中誌Web・Medical Online等です。Scopusも導入し,「SciFinder Scholar 2006」を利用できるようにしました。
閲覧可能な電子ジャーナルは1,370タイトル強です。ホームページのトップページから,利用可能なデータベースや電子ジャーナルへのリンクを張り,各種データベースへのナビゲーション機能の充実を図っています。末盛キャンパスに分室があります。閲覧席は,楠元135席・末盛が55席です。
薬学部増設に伴う組織変更により,平成17年(2005)年度から新しい体制のもとで,全スタッフ一丸となって「利用者満足向上」のためのシステム作り,仕組み作りに努力しています。そのひとつが平成17(2005)年に策定した中長期計画で,「教育課程に準拠した情報提供支援システムの構築」を推進しています。
電子ジャーナル等の普及によって,どこからでも図書館資料をタイムリーに入手することのできるシステムが求められています。医歯薬学系図書館の利用者は特にその要望が強いと思われます。このような状況のなかで,薬学部の増設により利用者が量的・質的に増加しました。この図書館サービスの高度化・多様化に対応するシステムの構築が中長期計画の目的であり,その内容は次のようなものです。
1.業務を外部委託することにより,単純化した図書館の業務から専任職員を解放する。
2.専任職員をゼネラリスト的マネージャーとして活用する。
3.定型業務のスキルを安定させて開館時間の延長等サービスの向上に努める。 4.教育課程に則したレファレンスサービスを充実する。 5.教育課程を考慮して分類体系を整備する。
平成18(2006)年は歯学部の標準教育モデル・コアカリキュラムと薬学部の専門教育に対応したサービスを充実させ,平成19(2007)年度以降開館時間の延長を含むサービスの拡充を図る計画です。さらに,専任職員の資質を向上させるために,スタッフ・ディべロップメントを推進しています。
また,薬学部の増設に伴って,東海地方の薬剤師会会員の方にも資料の貸出を始めました。
平成14(2002)年度から歯学部歯学科の「標準教育モデル・コア・カリキュラム」が学年進行で実施され,平成18(2006)年度は5年生まで適用されました。教員と図書館が協力して,教育課程に沿って学生の教育・学習支援の効果をあげることを目的として実施してきた従来の指定図書制度は,予算の関係から同一図書が3冊程度しか揃えられませんでした。これをさらに充実させて,同一図書を複数整備し,歯学部のモデル・コアカリキュラムと薬学部の専門教育開始に対応した指定図書・課題図書の整備・充実を図っています。これによって, 学生が図書資料を活用しながら自ら学習する場としての学習をせざるを得ない雰囲気ができることを期待しています。
これらの活動を基に申請した平成18(2006)年度に2件の大学教育高度化推進特別補助が採択されました。1件は「教育課程に準拠した情報提供支援システム構築の推進」でもう1件は「教育課程に準拠した指定図書・課題図書の整備・充実」です。
また,教育課程を考慮した分類体系を整備するために,平成16年(2004)年4月受入資料からは,分類底本をNDC新訂9版とし,歯科学資料は,「愛知学院大学歯科学関係分類表」による独自分類によって資料の大系的整備に努めています。
他大学との協力については,私立大学CANコンソーシアムに参加しているほか,東海地区大学図書館協議会,東海地区医学図書館協議会,東海地区薬学図書館協議会の加盟館として,大学間の協力に努めています。
平成19年(2007)年度は機関リポジトリ−の構築にも取組む予定です。現在の「歯学・薬学図書館情報センター」のスタッフは専任職員が教授兼任のセンター長以下5名,委託会社社員5名の計10名です。センター長は,図書館に対する理解も深く,他の9名は全員司書・司書補の有資格者です。また,専任職員のうち3名は,ヘルスサイエンス情報専門員の認定を受けており,積極的に薬学図書館協議会の委員会活動にも参加しています。委託会社の社員と専任職員はビジネスパートナーとして,同じように研究会・研修会等に参加しています。平成18(2006)年の第13回医学図書館研究会でもその成果を発表しました。
注)
1)日本の大学トップ100『週刊東洋経済』平成18年10月14日,33頁。
2)根本彰「戦後図書館学論:「学」と「現場」が分離した頃」『図書館情報学のアイデンティティ』日本図書館学会研究委員会,平成10年,122頁。
3)大学図書館図書館費『大学ランキング2007年版』朝日新聞社,平成18年5月11日,145頁。