9.11以降、書店には中東・イスラームのコーナーが設けられ、概説書が容易に手に入るようになった。しかし粗製濫造の感もある。
なかから厳選した10冊を。

Amazon.co.jpも取捨選択ぶりが書店の棚のようで面白いです。参考に。
「イスラーム」
蒲生 礼一 著
岩波書店 1958年 初版
出版からすでに半世紀も経っているものの、記述が正確で、入門書としてはいちばんのお薦め。
教義から、歴史、生活文化を網羅している。

「イスラームの日常世界」
片倉 もとこ 著
岩波書店 1991年 初版
教義を紐解いても、過去か、異国のことのようで身に迫らない。
そんな時、この本はイスラームと供にある、身近な国の女性の生活を活写して、共感と共にイスラームを知ることができる。

「メッカ 聖地の素顔」
野町 和嘉 著
岩波書店 2002年 初版
巡礼に訪れたことがなければ、ムスリムもあまり知らないメッカの姿をおさめた新書版写真集。
年間数百万にのぼる巡礼者を捌く、閉ざされた石油王国サウディのインフラにも迫る。

「イスラームとアメリカ」
山内 昌之 著
中央公論社 1995年 初版
何故アメリカはイスラーム圏を標的に据えるのか。イスラーム的民主義とアングロサクソン的民主主義は共存できるのか。
外交地図から読む、イスラームの今後。

「コーランの世界観」
牧野 信也 著
講談社 1991年 初版
コーランに記された、天地創造と終末を、アラビア語の構造から分析する。
世界は「無」から創造されたのか、「有」から創造されたのか。後者ならば神以前にあった
「混沌」とは何か?

「イスラーム生誕」
井筒 俊彦 著
人文書院 1979年 初版
預言者ムハンマドが誕生した時、アラビアの地はどういうところであったのか。
イスラームが「無道時代」と呼ぶ、砂漠の騎士道精神と、そこに生まれながら、その土壌に一撃を加えたムハンマドを対比させる。

「イスラーム文化」
井筒 俊彦 著
岩波書店 1981年 初版
シーア派とスンニー派は何を異にするのか。
それを読み解くには歴史的経緯だけでは不十分であり、ペルシア的文化風土に育まれた思考形態から、シーア派を考察する。

「預言者の妻達」
アーイシャ・アブドッラハマーン
日本ムスリム協会 1977年
累計12人いた、預言者ムハンマドの妻達一人一人を紹介しながら、彼女達がどのように生活していたのかを、いきいきと描いている。
各モスク、左記協会で入手可能。

「いまを生きる人類学ー
グローバル化の逆説と
イスラーム世界」

大塚 和夫 著
中央公論社 2002年 初版
イスラームの浸透した社会で、外部(西欧社会)から問題と見られることを、人類学の視点から解析する。
女性解放、世俗化、開発がキーワード。
アンチイスラームも、ムスリムも持つべき「他者」の視点。

「日本人はなぜ無宗教なのか」
阿満 利麿 著
筑摩書房 1996年 初版
日本人は「無宗教」かもしれないが、「無神論」者ではない。生活の隅々に意識されない「神(々)」がいきており、それをして「宗教」に反発を抱かせるのだ。
ムスリムとくらしながら、イスラームへ共感できない方は必読の書。