虚影の群れ
 

           人の群れの中に 一人たたずむ
           何かに脅え 何かに憧れ
           流されていく人の中に
           私は 道端の小石になる
           砂上の楼閣を目指して
           進み行く先に 刃をかざし
           小石は 転がる
           風化する砂の夢は
           姿を変えて 再び戻る
           繰り返しの世界

           人の群れは 袋小路を知らず
           私は 行く末を知らない
           蹴られ 踏まれ それでも
           探すべきものを 求める
           見えないものに 手を振り
           沈む夕日に 歓喜する
           果てることのない世界が
           人の群れをつくりだす
           一人たたずむ私に
           虚影は消える
           真実は 偽りの向こうにある
                      
                                                (1991.6.17)