himさんに書いていただいた三楽稽古会の案内です。
★三楽稽古会
三楽稽古会は、大人同士の普段のお稽古ではなかなか出来ない基本稽古や申し合わせ稽古を主体とした「大人のための基本稽古会」です。
地稽古の時間も最後にありますが、これは「打った、打たれた」に囚われず、それまでに行って来た基本と申し合わせ稽古の成果を総合的に試す場です。「自分の剣道」を作り上げることを目的として、各自の課題克服について取組んで頂きたいと願っております。
基本的に、お稽古の模様はビデオに撮影致しまして、お稽古終了後の三楽寿司での第二道場で反省会となります。各自、自分のイメージと実際の姿を重ね合わせ、また新たな自己の課題を見つけて頂きたいと考えております。希望があればダビング(実費で)致します。
上記の趣旨にご賛同頂ける方であれば、原則として「参加は自由」ということでありますが、何分にも第二道場「三楽寿司」のキャパシティーの問題がございますので、参加につきましては、幹事への申し込みをお願い申し上げます。
★お稽古の概要
三楽稽古会は、原則として第二日曜日(午前)と第四日曜日(午後)に開催致します。会場の都合により変更となる場合もございます。
原則として、第二日曜日(午前)=基礎コース、第四日曜日(午後)=応用コースと致します。
◎基礎コース
基礎コースは、基本となるお稽古メニューに重点を置いた時間配分を致します。面を着けずに子供たちがやっているような竹刀打ち,足捌きのお稽古をはじめ、切り返し・正面打ち・突き・小手といった基本メニューに時間を割きます。
一本一本を正確に、大切に打つ、しっかり打ち切る等・・・「流したお稽古」をしないことに重点を置きます。
◎応用コース
応用コースは、申し合わせ稽古メニューに重点を置いた時間配分を致します。もちろん、切り返し・正面打ち・突き等の基本メニューも行いますが、その時も含めて、基立ちと掛り手の攻め合いを意識して取組んで頂くことになります。
申し合わせ稽古では、基立ちも本気で掛り手に向かって打ちに行く・・・掛り手は、その本気の打ちにどう対応するか?に取組む・・・地稽古の1シーンを切り取って来たかの状態での取組みをお願い致します。
その緊張感を出す、あるいは実際の試合や地稽古ではよく見られるシーンを想定して、メニューによっては「基立ちが掛り手の打突を防ぐ」ということを導入しております。基立ちが防ぐことが出来ないような攻めを意識すると同時に、防がれた時にどう対処するか?・・・捨て切って打ち切ったのであれば、その姿勢を堅持する・・・あるいは、ニの矢を放つ・・・臨機応変の対処・・・それをまたビデオで確認し、正しい対応であったかどうか?をチェックする・・・そういう取組みを行っております。
★お稽古の進め方
三楽稽古会は「大人のための基本稽古会」ですので、若者のように「ヘトヘトになるまで体に叩き込む」・・・といったお稽古の進め方は原則として致しません(自ら望む・・・ということを妨げることはございませんが)。一本一本を大切に、十分に自分の状況を考えながらお稽古を進める方法を採ります。
参加者の1/3〜1/4の人数を基立ちとし、掛り手⇒基立ち⇒掛り手・・・を順次交代しながら、お稽古を進めて行きます。疲れたら途中で抜けて休んで頂いて結構です。また、「自分には必要ないお稽古メニュー」と感じたのであれば、これも抜けて頂いて結構です。各人「必要とするお稽古を必要なだけ」取組んで頂きたいと考えております。
お稽古のビデオは、全景を撮影すると各人が非常に小さくしか映りませんので、基立ちの列をいくつか指定して(2〜3列ほど)、重点的に撮影するようにしております。あとで自分のお稽古の模様を確認したければ、積極的にその列で取組んで頂くことをお勧め致します。
★お稽古に取組む姿勢について
そもそもお稽古は、「自分にとってのお稽古」であるのと同時に、自分以外の参加されている「すべての方々にとってのお稽古」でもある・・・という認識の基に、基立ち・掛り手いずれのポジションであっても手を抜かないで頂きたく存じます。掛かっている時だけが自分のお稽古ではなく、基立ちである時も間合いの計り方・掛り手に打つキッカケを与える・等、自分のお稽古として取組む課題は存在します。そして、常にその裏返しとして自分以外の方々のお稽古が存在していることを自覚して下さい。そう思えば、決して手は抜けないはずです。
★お稽古メニュー例
基礎コース,応用コース、それぞれで行っているお稽古メニューの一例を紹介致します。構成としては、「基礎コースのみのメニュー」「基礎・応用共通のメニュー」「応用コースのみのメニュー」という区分になります。
◎基礎コースのみのメニュー
1.足捌き・・・足捌きは、すべての技のベースとなる基礎中の基礎です。いくつになってもしっかりと取組むことが必要です。
@摺り足
摺り足を行う上で気をつけることは「左足が右足を追い越さない」・・・これを意識するために、前後に開いた左右の足の間に竹刀を挟んで前後の摺り足進退を行います
上体を真っ直ぐに保ちながら、正面を見据えて摺り足を行います。
前提となる中段の構えの時の足のスタンスは、通常「左足は軽く踵を上げる」と教えられますが、実はこれが必要以上に踵を上げ過ぎ、ヒカガミが曲がる要因に繋がることがあります。
両足のスタンスは、両足を揃えた位置から右足を一歩踏み出し、その状態で体に重心を踏み出された右足と残された左足のセンター部分に置く・・・そうすることで自然と左踵が浮きます。その状態をキープするという意識が良いように感じます。ですから「左踵を上げる」という意識は必要ありません。その状態で、両足に重心を下ろすような意識で、踏ん張ってみる・・・その時に左右のつま先側の足の平に地面を感じることでしょう。その状態で、摺り足を行ってみて下さい。
A踏み込み足
打突に繋がる踏み込み足です。意識としては、左足(左足の平〜左フクラハギ〜左太もも〜左腰に繋がるライン)で体を前に押し出す感覚。
その押し出しにより、その場に止まれなくなった右足を前に踏み込む感覚。
右足の踏み込む(着地)と同時に、体を上に突き上げる感覚で、上体を起こします。その時に左足はバネの原理でスッと体に追随して来ます。この上体を上に突き上げる動きと、左足がバネにように体に追随して来る動きを併せて「二次跳躍」と呼びます(「一次跳躍」は右足を踏み出した瞬間をいいます)。
二次跳躍は、体を上に突き上げる動きと、体を前に進める動きの両方が含まれており、前に進める余勢によってタタッと前に進みます。
これが右足の踏み込みを含めた「ト〜ンタタッ」という面打ちの踏み込み足になります。
一方、小手打ちの踏み込み足は、小手を打った時には、その前面にお相手が立っていることから、そのままでは前に進めません。その小手打ちが十分でなければ、次に面打ちに変化する(つまり小手-面)・・・そのためのエネルギーを溜めておく必要があります。従って、面の踏み込み足が「ト〜ンタタッ」という前方に力を解放する踏み込みであるのに対し、小手打ちの踏み込み足は「トタタッ」と短く激しく、内側に力を内抱させる踏み込み足になります。
この「面の踏み込み足」と「小手の踏み込み足」の二つを組み合わせたものが、「小手−面の踏み込み足」ということになります。
B回り足
打ち抜けて行き、振り返る時に使う足捌きです。振り返る時は、前進中に振り返るのであれば、先に出ている「右足」を中心にしてクルリと振り返ります。後退中であれば、後ろ側に出ている左足を中心にクルリと回ります。回転方向はいずれも「時計回りとは反対回り」です。
よく、ジャンプして振り返る(中高生に多い)とか、バタバタ足を踏み代えながら振り返る(オッサン)とか、振り返ってからズルズル下がるといったことをされる方がおられますが、正しくありません。正しくは、進行方向に出ている足を中心にクルリと振り返ることです。
2.竹刀打ち・・・これは子供のお稽古では定番の「竹刀を持って並んで、それを打つ」竹刀打ちです。基立ちを3人〜6人並べて、「面の連続」「小手−面の連続」など、子供の頃を思い出して取り組みましょう。
早く打つ必要はありません。一つ一つの動作を確認しながら、バランス良く取組むことが第一です。
気をつける点は、手と足のタイミングです。振りかぶりの時には左足を動かさず、一歩で打つことを心掛けましょう。
また、連続打ちの途中でも、左足が右足を追い越さないよう、摺り足と踏み込み足を意識して取組んで下さい。
*以降、面を着けてのお稽古になります。
◎基礎コース・応用コース共通のメニュー
1.切り返し4種
@大きな打ち切り”切り返し”
一般的にやられている一息で行う切り返しでは、どうも「早く打とう」という意識が先行して、自分の竹刀が基立ちの竹刀に十分な打撃を与える前に引上げ(振りかぶり)に意識が行ってしまっているケースというのが見受けられます。
切り返しの本来の目的は、心肺能力を上げたり、ウォーミングアップのためにやるのではなくて、「切り返す手の内を作る」ことにあります。そのためにはしっかりと「打ち切る」という状態が必要不可欠です。まず、この大きな打ち切り”切り返し”で、しっかりと打ち切る感覚を掴んで頂きたいということでやっております。一本一本、スパンッスパンッと打突点で止めるくらいの気持ちでしっかり打ち切ることが肝要です。
A跳躍切り返し
@では、打突点で止めるくらいの気持ちで打っていますから、ヒットの瞬間というのはかなり力が入っているものです。ある意味「入力」の感覚を感じることが必要です。この@で入った力をAの跳躍切り返しで抜きます。今度は「脱力」の感覚を掴む番になります。
ポイントですが、跳躍する足のスタンスは中段に構えた時と同じです。その歩幅が乱れないように跳躍を繰り返すことが必要です。そして、跳躍した頂点で基立ちの面をヒットし、着地した時には振りかぶった状態になります。
実は、肩から上腕に力が入っている方は、これが非常に難しい(^_^;跳躍している動きと面を打つ動きが同期化し難いのです。下半身は、跳躍することで「体を上方に向かわせる力のベクトル」を与え、上半身は竹刀を振り下ろすことで「体を下方に向かわせるベクトル」を与えるという非常に不安定なバランスの中で、体の軸がぶれることなく切り返しを続けるには、無駄な力を抜くことが必須の条件となります。
「早く打たないと着地してしまう!」・・・この気持ちが力を入れてしまう原因になります。
ポイントは、無理なく振れるタイミングで跳躍する・・・感覚的には、ボクサーが行うスピードボールによるパンチングや、フットワークを養う縄跳びのようにリズミカルに行うことです。その点では、子供はコツを掴むのが大変早いです。うちの倅も、最初はゲロゲロしながらやってましたが、今は恐ろしいスピードで悔しいくらいに鮮やかにやります。これは敵いません。
最近は皆さん大変お上手になられましたが、ちょっと気になるのは、跳躍して打った瞬間に体が「く」の字に曲がっている方がおられます。それは、十分な脱力をせずに体の屈伸によって打ってしまっている(脱力しなければ出来ないはずの跳躍切り返しを、有り余る腕力で強引にやり通してしまっている感じ)・・・う〜ん、人間は困難に直面すると進化するもんだ・・・
B三点切り返し
@とAの「入力」と「脱力」の調整です。
まず、一足一刀の間合いから一歩出て基立ちの正面をスパーンと打ちます。その打った位置から足は動かさず「手の内の切り替え」を意識してパパーンと左右面。そこで基立ちが一歩下がりますので、追いかけて正面打ち・今度は右左面を同様にパパーンと打つ。これを2回繰り返します。
ポイントは、正面打ちは大きくゆっくりと、左右面は手の内を利かせてコンパクトに早く・・・この緩急が大事です。決して同じリズムではありません。パーンパンパンというリズム・・・Hide.さんの場合は、パーンパパンと非常に切り返しが早いです。この切り返す手の内を会得するためのメニューです。
もう一つのポイントは、パパンの左右面の時は、膝を柔らかくして「心持ち膝の屈伸が入る感覚」で体を運用して下さい。上体だけで左右面を打とうとすると肩に力が入ります。
基立ちは、「左右面を受けたら一歩下がる」というタイミングで動いて行きます。決して、掛り手の打突中にズルズル下がってしまってはいけません。
C胴切り返し
文字通り「胴の切り返し」ですが、スタートは逆胴の位置からです。前進4本・後退5本。
打ち方には、一本一本正面に振りかぶって大きく打つ方法と、手首・手の内を利かせてコンパクトに打つ方法・・・人によってそれぞれですが、基本はやはり一本一本正面に振りかぶってやるのが宜しいでしょう。~私はコンパクトタイプですが(^_^;
ポイントは、胴をヒットした時に竹刀が下側に流れないこと・・・パチーンと打った後に、その剣先が滑って基立ちの垂側に流れてしまう方は結構おられます。これはヒットの瞬間に手の内の締めが利いていない証拠です。
それから、打った瞬間に左右に上体が突っ込む方もおられますが、これはヒット時に左拳が体の中心から外れていることが考えられます。左右どちら側の胴を打つ際でも、体は正面を向いていて、肩を左右に振らないことが必要です。
あとは間合いですね。前進する時も後退する時も同じ歩幅・・・これは胴打ちを受ける基立ち側も気をつけなくてはいけません。
後退した最後の逆胴は、逆胴を決めるつもりで、引き切りながら下がって間を切り、残心を示します。逆胴を決める際のポイントは、引き切った際に左腋を空けないことです。左腋を締めて打って下さい。
2.正面打ち3種
@気持ちを切らない大きな正面打ち3本
これは一本一本打った時に構え直すことなく連続で打つ所謂「面の打ち込み」です。大きく振りかぶり、打ったら打ち抜ける・・・ここでのポイントは「もう振り返りたいなあ〜」と思う位置から更に2歩進んでから振り返りましょう。打ち抜けたつもりであっても、振り返ったらお相手はすぐ目の前・・・ということが往々にしてあります(^_^;しっかり伸びて、十分に打ち切ったスタイルを身に着けましょう。
ですから基立ちは、掛かり手が打ち抜けた後、ボヤ〜ッと突っ立っていてはいけません。抜けて行った掛かり手が振り返った時にそこから一歩で打ち込める間合いを計って追い掛けましょう。それが実際の地稽古・試合の中で抜けて行ったお相手の振り返りざまを狙えるかどうか・・・というところに繋がって来ます。(このメニューは応用コースではやらない場合もあります。)
A大きな正面打ち3本
今度は、一本一本、間合いと中心線を意識し大きな正面打ちを行います。
ポイントは、打ち間に入る(触刃→交刃)ところで、その間合い感と中心の獲り方を考えること。それから、打突動作に入る時に左足を動かさない(継がない)ように、スタンディングポジションから一歩で打突すること。間合いを詰める動作と打突動作の違いを意識してみて下さい。なんとなく前に出ながら振りかぶってしまうことのないようにメリハリを付けることです。
B小さな正面打ち3本
実際には、この前に「諸手突き3本」がメニューとして入ります。諸手突きの延長線上に「小さな面打ち」がある・・・というイメージで位置付けています。実際に使う機会が多いのはこの面打ちでしょうから、地稽古を意識した間合いへの入り方・中心の獲り方を意識することが更に必要となります。
基立ちは、掛かり手の攻め方を十分感じながら、どこで打たせるか・・・ちょっと中心を緩める・外す等のキッカケを掛かり手に与える・・・ということが出来ると、相手を引き出すお稽古にもなります。
正面打ちは、主にこの3種類です。
A・Bは惰性で打つことなく、一本一本を大切にし、常に「自分としての最高の面打ち」を目指しましょう。
竹刀を振り上げる動作ですが、どこの部分から動き始めるか?
よく、右肘(を曲げて)から振り上げ動作に入る方を見かけますが、この場合は十中八九右手に力が入っていますね。竹刀を振りかぶる時は、肩から先は「中段の構えを維持したまま」というのがHide.さんの理論です。つまり「肩始動」・・・意識としては、背筋で竹刀を引上げる感覚。
大きな面打ちと小さな面打ちの違いは、その肩を中心とした振り上げの仰角の違いだけです。大きな面打ちも小さな面打ちも理論的には打ち方は変わりません。大きな面打ちの仰角は、右腕が真上を指す位置まで、小さな面打ちの右腕の仰角はだいたい肩の高さ(地面と並行)くらいまででしょうか。実際には、背筋を使った「体の反り」というものも仰角に影響しているはずですが。
ヒットの瞬間は手の内の締めを効かせますが、感覚的に「手首を使う」と感じる方もおられるかも知れません。実際に「手首を使って打つ」と言われる方もおられますが、私はヒットの瞬間は確かに手首が入って打っているように見えますが、意識としては「手の内を使う」ものと理解しています。
また、振りかぶりから振り下ろしに切り替わる瞬間というのは、腕をムチのようにしなやかに遣うことで肘も曲がりますが、これを否定するものではありません。
打突後、打ち抜けて行く際に、打った竹刀の剣先が天を向いてしまう場合(私はこうなりがち)、極端な場合は剣先が後ろを向くくらいに振り上げてしまう方もおられますが、打ったままの形を維持しながら打ち抜けることが理想だと思います。
打ち抜けて振り向く際は、ばたばたと足を踏み代えたり、ジャンプしながら振り返ったりせずに、右足を中心にクルリと振り返りましょう。もちろん打ち抜けの際はすり足です。歩み足で歩いて抜けてはいけません。
振り返ったら、もう次の攻めに入ります。振り返った位置からズルズル後退したり、また構えを解いて気持ちを切ってしまってはいけません。「縁を切らない」ように、自分を励ましながら3本を一連の動きと捉えて、取組んでみましょう
3.突き
三楽では、突きが絡むメニューが3つあります。3つを常にやっている訳ではありませんが、基礎コースでは、諸手突きは必須、片手突きは状況に応じてやっております。また、突き−面の連続技は応用コースで取組んでおります。
普段のお稽古で、取り立てて突きを練習する機会はまずないと思います。三楽で初めて突きのお稽古をした・・・という方もいらっしゃいます。初めはおっかなびっくり・・・しかし、最近は皆さん情け容赦なく突いておられます。
@諸手突き
これは「突きを決める」というよりは、「中心への攻め」を意識して、小さな面打ちに繋げる目的もありましてやっております。
よく「腰から突け」と言われますが、手だけを伸ばして突いてもなかなか当らないです。突く時は、上体を真っ直ぐにして(前のめりにならないように)、左足で体を押し出すように一歩出て突きます。
大切なのは突いた後で、突いたらすぐに引く・・・ポイントは左足を残したまま突き、突いたらその左足で体を引き戻す感覚でしょうか。引いた位置で残心です。決して突き抜けるように突いてはいけません。実際には突き抜けることは出来ませんから、お相手に大きなダメージを与えてしまいます。突いたら引く・・・そう覚えておいて下さい。その左足の残し方・・・実際には少し動いていると思いますが、そこが各自研究のしどころです。
A片手突き
いつもやっている訳ではありませんが、実際には片手突きを出す機会の方が多いかも知れません。片手突きも中心を意識することは諸手突きと変わりません。
ポイントは、右手を放すタイミングですね。あまり早く放し過ぎると、方向が定まらず外すことがあります。右手は舵の役目を果たしますので、左拳が始動を始めたら右手の握りを緩め(まだ放さない)、左拳が右拳に当る瞬間に右拳の握りを放し右腰にとります。
「右手は舵」と言いましたが、ちょうど銃身のような役割と言った方がいいでしょうか。銃身に見立てた右手の握りの中を、弾丸となった竹刀が走って行く・・・そんなイメージでしょうかね。
片手突きの場合も左足は残したままです。残心は諸手突きと同じようにとります。その時は、素早く右手を竹刀に戻し、反撃に備えます。
諸手突きの場合にも言えますが、突きは「下から突き上げる(スコップ突き)」ではなくて、剣先を上から下に落とす感覚で突くことが必要です。
通常は、大きな面打ちが終った後、諸手突きを行い、小さな面打ち⇒片手突きの順番で行います。小さな面打ちは、諸手突きの感覚の延長線上にある・・・というように理解して下さい。
4.小手打ち
最近、小手の一本打ちをメニューに加えることがあります。小手をしっかり打ち切って決めるのは、なかなか難しいことが最近分かりました。しっかり踏み込んで、パカッと打ち切ることを心掛けましょう。
足捌きの踏み込み足のところで説明致しましたが、小手を打つ場合の踏み込み足と、面を打つ場合の踏み込み足は違います。もし、小手を、面を打つ踏み込み足で打つと、基立ちはかなり痛いと思います。面打ちのようにボカ〜ンと打つと大変痛いですから、シャープに小気味良く打つようにして下さい。この時に、短く激しい踏み込み足が必要となります。この面打ちの踏み込み足と小手打ちの踏み込み足の違いをマスターして下さい。
あと、「小手はお相手の手元が上がらなければ打てない」です。お相手の小手に隙もないのに、無理矢理斜めから打ち込んでも何の意味もございません。お相手の手元を上げさせ隙を作る・・・小手打ちには、これが必須の行為となります。しっかり攻めて、お相手の手元を浮かせて下さい。基立ちも、そこのところを感じることが出来るか?・・・ここが大きなポイントです。
5.小手−面
別に特に変わったことをやっている訳ではありませんが、「小手−面」というのはどういう気持ちで打つことが多いのか?・・・ということを考えてみましょう。地稽古や試合の局面でも、小手-面はよく使われます。
小手-面には、二通りの使い方があると思っています。
@初めから「小手-面を打ち、面で決めてやる」と決めて打つ場合・・・この場合の小手打ちは、お相手を牽制するための「虚の打ち」となりますね。所謂「亘って行く小手-面」ですね。この場合は、小手打ちではなくても、例えばお相手の竹刀を払う・打ち落とす・巻くといった動きに代えることが出来ます。あくまでも狙いは面・・・そのための布石として小手を打つことになります。つまり「虚」の技と「実」の技の組合せということになります。
よく、この亘って行く小手−面を評価しない・・・という方もいらっしゃいますが、あまりそれに拘るのは如何なものでしょうか。要は「納得性」の問題だと思います。打たれたお相手が「参った」と思えば、それで「良し」ということのように思いますが。
Aもう一つは「小手を打ったけど、不十分なので更に面を打った」という場合・・・これはもう、小手を決めるつもりで打ち、外れたけどお相手も「ヤバ!」と思って居着いたところを面に乗る・・・そういったシチュエーションですね。つまり小手も決めるつもり(「実」の技)、面も決めるつもり(「実」の技)・・・二つの「実」の技を連続して打つことになります。
この@とAの小手-面には微妙なタイミング差が生じます。パパーンと打つか、パッ・パーンと打つか・・・どういう状況で打つ小手-面なのか?を自分で意識して取組んで頂ければ、と思います。
横から見ていて、「う〜ん、凄い!」と唸るような小手−面というのは、この実の技の組合せであることが多いように思います。単なる自分の好みかもしれませんが。亘ることだけを考えず、「小手も決めてやる。面も決めてやる。」という部分も取り入れてやりたいものです。自分で使い分けてみて下さい。
それから、小手−面の足捌きですが、小手を打つ際の踏み込み足と、面を打つ際の踏み込み足が違うことは既に説明致しました。言葉で説明するのが難しいのですが、小手の踏み込み足はストロークを短く激しく、面の踏み込み足はストロークを長く・・・ということなのですが、非常に感覚的な表現を使うと、小手打ちはパッと踏み込み、そのエネルギーが体の内に篭るように・・・面打ちはパーンと踏み込み、そのエネルギーが前方に開放されるように・・・ということです。
◎ 応用コースのみのメニュー
以下は応用コースでのメニューのご紹介となりますが、状況によっては基礎コースでも取組む場合があります。
応用コースでの一貫したテーマは「緊張感ある気を抜かない基本稽古とは?」です。
基本稽古において、絶対的なお約束事は「打つのは掛り手、基立ちは打たない」ということですが、この絶対的なお約束事に胡座をかいて、緊張感のない基本稽古になってはいけない・・・打つ掛り手も、打たれる基立ちもギリギリのところで緊張感を持って取組むことで、初めて実戦に役立つ基本稽古になるものと考えます。基本稽古のための基本稽古にならないことが重要です。
そこで、この応用コースでは、各メニュー1回3本の打突の内1〜2本を基立ちが防いでしまう・・・ということを行います。いつ防ぐか?また3本とも防がないか?・・・それは基立ちになった方のオプションで結構です。
掛り手は、打ちを防がれた時にどう対応するか?・・・捨て切って打った打突であれば、そんなことは「知らん!」と打ち切るというのも一つの対応でしょうし、「どうしても一本獲る!」という気持ちを表したかったら二の技を出すということもあるでしょう。それを瞬時に判断するのは掛かり手ご本人です。そういうところに「自分の剣道観」というものが表れる場合があります。無理して次の打ちを出すだけが良いこととは言えません。また、防がれることを想定して、初太刀の気持ちを抜いて打つというのも褒められたことではありません。
「絶対に打つ!」という掛り手の気持ちと、「打たせてなるものか!」という基立ちの気持ちのぶつかり合いの中から、真の攻め合いを感じて頂きたいと思います。
ですから、一つ一つのメニューが基礎コースと応用コースで大きく変わる・・・ということはありません(時間配分は変わることがあります)。
応用コースとして加わるメニューは、強いて言えば「突き−面」の連続技くらいでしょうか。これは、諸手突きから面への連続技です。実際には、突きが外れてしまったり、不十分と感じた時に素早く面に転じる・・・失敗したところで気を抜かない・・・すぐに次の技を出せる態勢というものを意識したメニューです。
ただ、それだけではなく「真っ直ぐ突いて、真っ直ぐ面」という、やはり中心を抑えた打突を特に意識したメニューです。私の場合は、不思議と諸手突き一本のお稽古より、この突き-面のお稽古の方が突きが良く当ります。
突きがヒットすると、基立ちはその衝撃で少し体が下がりますので、そこをすかさず面に乗ります。突きが外れて、竹刀が基立ちの肩先を抜けてしまっている場合がありますが、慌てずに引き抜いて面を打つ・・・要は「しまった!」といって居着いてしまわないことが重要です。間合いが近くなり過ぎたら引き面でも構いません。まあ、突きがちゃんとヒットしていたら、本当は面を打つ必要はないのですが・・・
どのメニューにおいても、自分の打突が不十分だと感じたら、すかさず二の技・三の技を出すのはOKです。
また、掛り手の気持ちが抜けていると感じたら、基立ちが追い掛けて、掛り手の振り向きざまを打ち込む・・・ということも「あり」と致します。
常に気を抜かない・・・これを一つのテーマに掲げて、応用コースに臨んで頂けたら、と思います。
◎申し合わせ稽古
基本稽古のあとは「申し合わせ稽古」です。掛り手と基立ちの約束の中で技を出し合うお稽古です。
基本的には「攻め」というものを意識した取り組みでありますが、決して、掛り手が一方的に打つ・・・ということではなく、基立ちの方との遣り取りの中から打突の機会を掴んで行く・・・そのためのお稽古と考えて下さい。
1.面に対する技/小手に対する技
このメニューで決まっているのは、基立ちが「面を打って来る」・「小手を打って来る」・・・これだけです。どのように打って来るか?は、基立ちが考えること。
基立ちは、「形だけ面を打ってみる」「形だけ小手を打ってみる」・・・所詮は「掛り手に打たれるため」・・・ということではなく、思いっ切り掛り手の面を、小手を獲りに行く・・・本気で打ちに出て下さい。
掛り手は、この基立ちの「獲りに来た本気の打ち」をどのように捌くか?その取り組みこそが、実戦に活きたお稽古になるものと考えます。
掛り手は、応じ技(抜き技・返し技・すり上げ技など)に拘らず、基立ちが出ようとした兆しを捉えての出端技などもどんどん使って頂きたいものです。
2.竹刀の表裏・上下を使った攻め
剣道における「攻め」を考えた場合、それは決して自分の側からだけの一方的なものではなく、その自分とまったく同じことを考えているお相手が向う側にいる・・・ということがあります。ですから「攻め合い」という言葉になる訳です。
竹刀の表裏・上下を使った攻め合いというのは、常に裏返しのお相手が向う側にいることを考えて取組むことになります。「攻めた」つもりが、実は「攻められていた」ということもあり得る・・・ということです。
その攻め合いの焦点になるのが「中心線の獲り合い」ということなのですが、その獲り合いにもいろいろな方法がありまして、ここで言う竹刀の「表裏・上下」を使った方法がベーシックなものと言えるでしょう。
自分の竹刀の表裏(右左)や上下からお相手の竹刀にプレッシャーを掛ける・・・その時にお相手がどのように反応するか?・・・それを見て打突の部位・タイミングを決める・・・そういうお稽古です。
ですから、基立ちも掛り手のプレッシャーの掛け方を十分感じて、どう反応するか?を決めて対応することになります。
言い換えれば、そこのところが分かっていないと、このお稽古は無意味なものとなります。
更に、その竹刀の剣先の動きに左右・斜めへの足の動きを加えることで、「中心線」というものが一直線上の「一次元」から平面上の「二次元」、更には空間上に広がった「三次元」・・・というようにどんどん広がった概念上にあることが分かって来ると思います。
3.見合い稽古
これは非常に高度で、大変難しいお稽古方法なのですが、2の「表裏・上下の攻め」に前後の動きを加え、掛り手が基立ちに「中心線の奪い合い」を仕掛けます。基立ちは何度か、その掛り手の攻めを外しながら間合いを切り、仕切り直しの状態に戻しますが、最終的には掛り手の攻めをかわし切れずに打ちに出る・・・掛り手はその出端を打って獲る・・・というシュチュエーションになります。
まず、これを行うには、「間合い」が分かっていること・・・触刃から交刃への攻め入り、触刃に間合いを切ることで仕切り直し・・・その距離感が分かっていることが必要です。ブッスリと竹刀が交差し合ったところでこれをやる意味はありません。打ち間への出入りがキーポイントです。
それから、掛り手の「攻め」を基立ちがしっかりと感じることが出来ること・・・何をされているのか?分からない・・・という状態では、このお稽古は成立しません。
更には、苦し紛れの基立ちの反攻を見切って出端に打つ・・・これも大変高度な技術とタイミングを掴む感性が必要です。
ただ、失敗しても良いのです。初めからパンパン決められる方などおられません。失敗を繰り返す中から、自分なりのタイミングと攻めを掴んで頂きたいと考えます。
慌ててやる必要はありません。掛り手・基立ちがお互いの目を見合って、しっかりお相手の気持ちを汲み取ることが必要不可欠です。お互いの目を見合う・・・これが「見合い稽古」の語源ではないかと・・・今度Hide.さんに聞いてみましょう。
言い換えると「合気(あいき)」になるためのお稽古です。
4.自由研究
これは、基立ちにお願いして掛り手の方が自由に技を研究する時間です。1回3本であることは、これまでのお稽古メニューと変わりませんが、この時に「ひたすら面を打ち込む」、また「打ち込み稽古をお願いする」というのも結構で、自由に時間を使って頂いております。
◎自由稽古
最後は自由稽古ですが、基本的にはこれまでにやって来た様々なお稽古で養ったことを、実戦で使ってみることが目的です。
よく、せっかくこれまで2時間近く基本稽古や申し合わせ稽古をやって来たのに、自由稽古になった途端に勝負だけに拘ったお稽古になってしまう・・・それでは時間の無駄です。これまでやって来たことを実際の立合いの中にどう活かすか?・・・そのことを考えて取組んで頂きたいと思います。
ですから、打たれたっていいんです。変に首を振って打突を避けたりすることは、お相手に対して失礼な行為であると認識して下さい。
正しく打って、正しく返され、正しく打たれましょう。
目先の勝敗にとらわれず、「自分の剣道」を作り上げることを目的と致しましょう。
結果にとらわれず、プロセスにこだわりましょう。
以上をすべてビデオに収め、第二道場でその姿を見て、自分の課題を確認する・・・それが三楽稽古会です。
以上![]()