クリムゾン・エンジェル 2

――― 紅い天使の冒険 2 ―――



結局、推敲してないや(^^ゞ



第2話 「紅い天使」


真紅のドール―――紅い天使が飛燕と化して海賊船を襲う。
海賊船は対空砲火で迎え撃つ。
が、無駄なことはわかっていた。
紅い天使の動きは並みのドールのそれとは全く違っている。
常識では考えられない動きだった。
対空砲火のことごとくを、紅い天使はカタナで弾くという信じられない真似をする。
その反応速度も驚きだが、弾くカタナにも驚嘆する。
単分子鋼や超振動ブレードでエネルギー弾を弾くのは不可能だ。
なにか聞いた事もない全く別なシロモノだ。
「失われたテクノロジー」という言葉が頭をよぎる。
紅いドールといい、あのカタナといい、まず間違いない、失われたテクノロジーの産物だ。
そんなものが一体どこにあったのか。
まるで遊んでいるかのように対空砲火をかわし続ける紅い天使をみながら 海賊船最後の生き残り(大尉と呼ばれていた男)は、苦々しい笑いをもらした。
もはやこれまでだろう。
ただ動かすだけならともかく、ひとりきりではこの艦では戦えない。
ブリッジをあとに格納庫へ向かう。
どうせ海賊、捕まれば生きてはいられまい。
どうせ死ぬならドールドライバーとして最後まで戦う。
それが元軍人としての矜持だった。

紅い天使は出てきたドールを一瞬で、十文字に切り裂いてみせた。
敵に一矢報いることさえ許さない、圧倒的な強さだった。

紅い天使はこうして海賊を殲滅してのけた。
5人の海賊は、紅い天使ただ1機のために壊滅の憂き目を見た。
それは、最初のダウナー機を撃墜してからわずか10分足らずの 出来事に過ぎなかった。


第三惑星号ブリッジ―――
オペレーターが船長に告げる。
「紅い天使から通信です」
「出してくれ」
メインスクリーンに紅い天使のドライバーの上半身像が大写しになった。
途端にブリッジ内のそこここで男性クルーが熱く息を呑むのがわかる。
それも無理は無い。
スクリーンに映ったのは少女の姿だった。
紅い髪と瞳が印象的だ。
流れるような髪も、形の良い眉も、長いまつげにふちどられた瞳も、 そのすべてが血のように紅く美しい。
そして黒いフィットスーツを内から持ち上げる超爆乳。極薄のスーツは ふたつの可愛らしい突起さえ見て取る事ができる。
あどけない顔つきだけに、かえって蠱惑的だ。
ある種の男の趣味には垂涎モノだろう。
天使のように無垢で、娼婦のように淫猥。
ドールの狭いコクピットの中、耐Gシートにすっぽりと収まった少女の姿は 、神が男たちのために造られた生きたビスクドール。
そうも見えた。

少女は、濡れた赤い舌先で唇を湿らせると、静かに口を開いた。
「船長、約束どおりこの海賊船は貰っていいよね?」
砂糖菓子のように甘い声だった。
そのくせ、熱い吐息のように聞く者の心をざわめかせる。
ブリッジクルーたちが少女の姿と声にうっとり見惚れてしまうのも やむを得ないことと言えた。
そしてこの少女こそが、数々の伝説を持つ紅い天使、として知られる人物なのだった。

「オーケイ、わかった、嬢ちゃん。約束だものな。 我々はきみのお陰で助かった。もし嬢ちゃんがいなければ、我々の積み荷は 船ごと奪われていただろう」
船長がそう言うと、
「ついでに俺達全員の命もね」と、ブリッジ内の誰かが言った。
船長はそれを聞いて苦笑しながら
「いまのを聞いたかね、嬢ちゃん? 彼のいう通りだ。きみは我々の命の 恩人でもある。海賊船は嬢ちゃんのもんだ。我々―――わしらにとっても オーナーにとっても全損の海賊船に用など無いしな」
そう言ってウインクしてみせる。

もちろん海賊船は全損などしていない。
それどころか驚異的なまでに無傷に近い。
遅くも「大戦」前期には作られたと思われる戦闘艦だ。
今ではもう2度と作ることの出来ない貴重な船だ。
本体だけなら第三惑星号など足元にもよらないほどの値打ちがあるだろう。
それを船長は全損と言っている。
どういう意味かは考えるまでも無い。

もし、彼女がいなかったなら、どうなっていたか?
海賊船を無傷(に近い状態)で拿捕出来たのは誰の働きか?
総ては彼女だ。
彼女ひとりがやってのけた。
それを考えれば、融通の利かせようなど幾らでもあった。
最悪、オーナーに総てを正直に報告しなければ済む話だ。
船長は繰り返した。
「海賊船は嬢ちゃんのもんだとも」

船長の言葉に、少女は目許をほころばせた。
それがまた男心をくすぐらずにはおかない。
「ありがとう、船長、そしてみんなも」
「礼を言うのはわしらのほうさ。じゃぁ、わしらは行くよ、元気でな」
「そちらも」
通信が切れ、少女の可憐で愛らしく――しかも淫靡な――姿がスクリーンから 消えてしまう。
ブリッジの中が唐突に味気ないものになってしまう。
世界から色が消えてしまったようだった。
明かりが消えたよう、とはこの事かとブリッジクルーの誰もが実感していた。
男の性中枢に直接響いてくるような、不思議な魅力を持った少女だった。
誰かがしみじみと漏らした。
「あの子、えっちぃですよねぇ…」
ふーっとため息をつく。
それがあまりにも切なそうだったのがおかしくて、ブリッジ内に笑いが広がる。
「たしかにな」
船長も失笑しながらそう言ったあとで、
「さぁ、赤い天使の耐爆コンテナを射出してやれ。彼女とはここでお別れだ」
命令をくだす。
心の中で、
いやぁ、まったくなぁ、あの身体は反則だろう―――
そう思いながら。

30分後、
第三惑星号はTAS翼を拡げて加速を開始、ゆっくりと離脱していく。
赤い天使は受け取った耐爆コンテナの中身を海賊船の左舷デッキ内への移送をしながら その後ろ姿を見送った。
移送が終わると紅い天使はコンテナを船から押しやった。
コンテナは緩やかに船から離れていく。
どうやら耐爆コンテナーは放棄することに決めたものと見える。
海賊船のドール格納デッキは左右両舷にあり、それぞれに3機程度のドールが 収容できる広さがあったが、さすがにドール輸送用の耐爆コンテナーまでは容易には 入りきらない。
そう判断したのだった。

紅い天使のドール機体が格納デッキの片隅に跪いた。
すでにデッキ内は機密され、空気が満たされている。
ドライバーがドールを降りるのだ。
あの、紅い髪の美少女が。

ぎゅぼっ。
粘着質な音をたてて紅いドールの胸郭がわずかに開いた。
同時に、ごぼ、びちゃ、と音を立てて、なにやら粘液がこぼれ落ちる。
粘液の一部はほとんどゼラチンに近い。
それが、どろり、と溢れ出る。
それは間違ってもドールに使われている潤滑剤なんかの類では無かった。
もっと―――なにかもっと生物的なものだ。

ドールの胸郭がさらに大きく開いてコクピット内部を晒す。
だが!
そこにコクピットは無かった。
それはドールのコクピットなどではなかった。
赤く蠢く生物質の肉…そう形容するしかない。
肉と襞の塊が、粘液にあみれている。
そしてその中央。
ひときわ大きな肉のあわい目に、人の顔が白く、わずかにのぞいていた。
血と粘液にまみれた、人の顔だ。

いやそうではない。
それこそ、このドールのコクピットの中から第三惑星号ブリッジと通信していたはずの 紅い髪の少女だった。
血と見えたのは鮮やかなまでに紅い髪のせいだった。

しかし、いま少女は粘液にまみれ、紅く蠢く襞のあいだに埋もれている。
意識は無いようだった。
第三惑星号のスクリーンに映ったコクピットはいったい何だったのか!
意識を失ったままの少女のからだが、肉のあわいめから徐々に出て来る。
顔だけ見えていたのが頭が出てき、剥き出しの白い肩が出てき、ついで、華奢な上半身が ゆっくりと押し出されてくる。
そう、それはまさに押し出されてくるのだった。
襞が蠕動し、一糸まとわぬ白い少女の裸身をゆっくりと押し出す。
豊満な胸があわいめを出るとき、ぶるんと揺れて粘液がひときわ大きく飛び散る。
その胸に、大きさこそ違うが真紅のドールのそれと同じクリスタルが、光っていた。
ブローチでもペンダントでもない。
それは直接、少女の白い胸肌にくっついているようだった。
いや。
ただ貼り付いているのではない。それは少女のやわらかな胸肉に半ばを没している のだった。

ドールの胸郭を満たした不気味な肉襞はそれ自体意志ある者のように、じゅくじゅく粘液を 吐き出しつつ、少女の美しい裸身を押し出し続けた。
やがて、ぐちゃっ、と粘液の弾ける音と共に少女のからだがフロアに放り出された。
ドールが跪いているので、さほど高さは無い。
少女の体を包む粘液もまたクッションの役をしたろう。
全裸の少女は、粘液の広がるフロアに、胎児の姿勢で転がった。
ドールの胸郭がばくんと閉じた。
その胸に、クリスタルコアが意志あるもののように輝いている。

少女に意識は無いようだった。
美しい少女だった。
美しい顔立ちはあどけなさを残して可愛いいものだった。
その童顔とは結びつかないような綺麗なからだをしている。
綺麗で、淫靡だ。妖艶と言ってもいい。
ぐちゃぐちゃと粘液にまみれてこそいるが、肌は透き通るように白く、紅く長い髪が 幾筋も扇情的にまつわりついている。
繊細な肩の線は華奢で儚ささえ感じさせるが、それと裏腹に、豊かに盛り上がる双つの ふくらみは大の男の手にさえあまる大きさを見せている。
見事な豊乳だった。
しかもただ大きいだけではない。
絶妙のバランスとかたちであり美しさだった。
愛らしく、つんと尖った突起をのせたその双丘は、少しもそのかたちを崩していない、 みごとなものだった。
きゅっと引き締まったウエストからヒップへかけての曲線も少女らしからぬなまめかしさを 漂わせている。
それは確かに造化の神の造りたもうた、ひとつの傑作であるに違いなかった。

そのとき、少女の体に痙攣が走った。
意識を取り戻したようだ。
丸めていた体をさらに丸めて咳をする。
そのたびのフロアにびちゃり、と粘液の塊がはじける。
咳のたびに少女が吐き出しているのだ。
その量は尋常ではない。
おそらく胃の中どころか、肺の中にまで入っていたものと見える。
少女は咳をしながら身をおこし、顔をフロアにこすりつけるようにして 胃や肺の中の粘液を吐き出しつづける。
苦しいのだろう。
涙や鼻水までが頬を濡らし、顎をつたう。

それは溺れる者の苦しさと一緒だった。
この粘液は高濃度の酸素を含む。
このドールに乗っているあいだ、彼女はこの粘液を呼吸する。

おさまるまでに、しばらくの時間が必要だった。
が、咳はやがて荒い呼吸となり、苦しげに上下していた肩もやがてゆるやかな ものとなり、それんつれて呼吸もさらに静かなものとなる。
まだ、涙と粘液で濡れてはいるが、どうやらおさまったようである。

少女の胸に半ばを埋もれさせたクリスタルが輝いたように見えた。
と、少女は目をあけた。
ワインレッドの澄んだ美しい瞳だった。
強い意志の光がその奧に輝いている。
次いで、胸のクリスタルの周囲から、なにかが滲み出始めた。
黒い、液体のようなスライムのような物質だ。
それは水のように少女のからだの表面に流れた。
見る間に全身を覆っていき、クリスタルの部分だけ露出させて黒いフィットスーツとなる。
見た目は首まである超伸縮素材のレオタードのようなものだ。
おそらくは胸のクリスタルに記憶されるデータスーツの一種で、 手首から先はリストバンドと革手袋のような素材に、 足元はソフトブーツに変化している。
それは第三惑星号のブリッジと交信していたときに着ていたものと同じだった。
体のラインを強調しこそすれ、少しも隠すものではない。
臍のかたちどころか、下腹部の草叢のかたちさえそれとわかるほどだ。
多くの男にとっては罪作りなフィットスーツといえる。
少女はまだ粘液に濡れた髪を掻き出すと、 猫のようにやわらかな体で伸びをしてから、しなやかな動作で立ち上がる。
そして、跪いたままの真紅のドールに愛おしむような一瞥を送ったあと、くるりと きびすをかえしてデッキをあとにする。
くりくりと尻を動かしながら歩み去るその姿は、妖艶な猫のようだった。
ぷるんぷるんと美爆乳が揺れ、クリスタルがきらきらと光る。
しかし。
あとに残された真紅のドール―――その胸のクリスタルはいつのまにか暗く、 輝きを失っている。



第2話「紅い天使」 了






1534. やっと書き始めw わいおう  2001/11/05 (月) 17:14

さら夫さんの書く文章は不思議と面白い。
それについて私なりに考えた事を少しばかり述べようと思う。

何かを主張するとき、必ず他の何かを切り捨てている、と誰かが言っていた。
それによって誰かをキズつけ、時には口論になり、やがて発言することに躊躇する人も出てくる。

ところがさら夫さんときたら、気持ちいいぐらいハッキリものを言う。
いや、さら夫さんなりに発言に気を遣っているのはよく分かる。

文章に気を遣う、遣わないとは別の次元の話と受け取って頂きたい。

そもそも小説にせよ、コラムにせよ、およそ作品というものは、その作者の個性を読んでいる、という見方ができよう。
大衆迎合の無個性な作品が面白いはずがないのである。
あとは、作者の感性と読者の感性が如何にマッチするか、であるが、 私としては、VFのサラ、DOAのかすみ、ここに書かれる作品の数々、 そしてさら夫さん本人が実際に話すこと、それらすべてに共通する「何か」を 私は非常に面白楽しく感じるのである。

それが何かというと、いまもってハッキリしないが、確かにそれは存在する。
その一部と思われるのが、さら夫さんの何かにつけて発揮される小気味良い 主張の数々である。

さて、ここで今回の小説に振り返ってみる。
今回の1と2話で、さら夫さん自信が面白い、と感じている部分はハッキリ分かる。 (ような気がするw)
その反対に、ど〜でも良い、と思っている部分も。
そして、まさにそのさら夫さん自信が面白いと感じている(と思われる)部分が 実に楽しげな主張を始めるのである。
そう、まるで居酒屋で楽しげに話す人が、その場の楽しい波動を創り出すように。

ここで、私がもっとこうならいいのにな・・という部分があるにはある。
が、しかし、以前のリルガミンの時の経験からハッキリ分かったことがある。
さら夫さん自信が、のめり込み、面白がり、ウキウキしながら書いた部分以外は 不思議と平凡なふつーの文章になってしまうようだ。

まあ実際にさら夫さんが書いてるところを見てる訳ではないので、 全部想像なんだけど(笑)

さて今回の作品の感想に入ろう。・・・っと時間切れ


1547. 感想の続き わいおう  2001/11/06 (火) 17:44

え〜と、感想なんだけど何から述べるべきか。結構悩む。
あ、まずこれだけは言っとくべきかな。
3話以降、1,2話のスタイルを気にせず、書きたいように書くべきだと思います。
それは前回言ったように、さら夫さんがのめり込んで、ウキウキしながら書いたものが結局は面白いから。

それが一番言いたいことだというのを踏まえて、感想をきいて下さいな。
「SF風味のヒロイックファンタジー」
それが第一印象。
なぜファンタジーと思うかって、物理特性を無視している点。
もちろん、異次元、異文明、遙かに進化した技術、それらを考慮した上でも実に荒唐無稽な部分がある。
がしかし。そんなものは実はどうでもいいのである。
イメージの世界で、面白ければなんでもアリなのだ。野暮なツッコミを入れるつもりは毛頭ない。
そういう心構えの上で、楽しもう。そこが「ファンタジー」なのだ。

次に感じたこと。登場人物が、やっとイメージができた段階であっという間に死んでいなくなる。
これは、小説の受け入れやすさ、のめり込みやすさといった観点からはマイナス点かも知れない。
小説の冒頭で登場する人物というのは、その小説の中で最も印象に残りやすい人物であり、物語の多くを引っ張る役割としては適任だからである。

がしかし。これはさら夫さんの書きたいものではないから仕方がないのである。
さら夫さんが惚れ込み、書きあげたい人物以外は、全部その中心人物のもり立て役もしくは観察者であり、中心人物の凄さ、格好良さ、魅力を出すための道具にすぎないのある。
ここが「ヒロイック」なのである。

つまり、さら夫さんの小説を読む姿勢として正しいのは、その中心人物に対して「すっげー!」「かっくいい〜」「うっひょ〜」と反応することだw。
脇役や端役に注目して、いぶし銀の魅力を見つけようとしても、そんな人物、あっという間にいなくなるのであるw。

うをっっと時間切れ。
次回はさら夫さんの書く文章の魅力に迫ってみようと思うw。






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