無法者は迷宮を目指す(2000/10/18)
「どうしてくれるんですか!おかげで無一文じゃないですか!」
歪王がなじるように言う。
「無一文どころか、は・だ・か!すっ・ぱ・だ・か!」
角角角があきれ果てたという調子であとを受ける。
でもちょっぴり楽しそうでもある。
「あー、うるさい。俺だって頭痛いんだ…うう…」
さら夫が頭を押さえながらうめく。
「あん。さら夫さまぁ、大丈夫ですかぁ?」
かすみが気遣わしげに言う。
「あんたのは飲み過ぎじゃあ!!」
かすみをのぞく全員の突っ込み。
ここは第二リルガミン市にほど近い、荒れ地のはずれ。
6人の男女(女はひとりだけだ)が、身体にコモを巻き付けて、第二リルガミン市を目指して、とぼとぼと歩いている。
この一行、コモ以外はなにも身につけていない。
まるで乞食同然の有様だが、これが今のさら夫達6人のパーティーである。
ワードナを倒して、ひと財産を築いた筈の彼らだったが、いったいなぜこうなったのか?
話はこうである…。
なんだかんだで300万近く稼いだ彼らは金を山分け、パーティーを解散することにした。
さら夫は修行の途中でみつけた別の遺跡を目指すことにし、むろんかすみもそれについて行く。
角角角とべちょもそれに乗った。
が、けん1はいったん家に帰って愛する妻子としばらく過ごすことにした。先行きはそれからまた改めて考えるという。
歪王は、生まれ故郷の島の命運がかかっている。
急ぎ島へ戻るということだった。
「じゃ、6人がこうして顔をあわせるのもこれが最後かもしれないねぇ」
遠い目をしてさら夫が珍しく殊勝なことを言った。
たまたまけん1や歪王の帰る方向も、さら夫たちの次なる目的地、第二リルガミン市までは同じである。
ではそこまでみんなで一緒に行こうということになった。
「俺がおごるぜ!」
さら夫が景気のいいことを言う。
お座敷馬車を仕立てて、第二リルガミン市までの7日間程の旅を宴会しながら行くことになった。
がたがたと揺れる馬車の中ではあったが、これがなかなか楽しい旅で、一行は飲んで飲んで飲みまくった。
もう、酒を飲んでるんだか酒に飲まれてるんだかわけがわからないぐらいに、飲みまくった。
で、今朝。
いつのまに全員寝てしまったものか、ぐーすか大いびきをかいていたわけだが(かすみ嬢は「かすみ、いびきなんてかかないもん」と主張しておりますけれども)、はっと目覚めてみると…
全員身ぐるみ剥がれて道ばたに転がされていた。
お座敷馬車など影も形もない。
とんだくもすけお座敷馬車だったらしい。
怒り心頭の一行だが、相手はとっくに姿も見えない。
しょうがないので、一緒に捨ててあったコモを身体に巻き付けて、こうしてとぼとぼ歩いているというわけだ。
「それにしても…裸に剥かれるまで気づかないとはなぁ」
「睡眠薬でも盛られてたんでしょう」
「でしょうねぇ」
「かすみも裸、みられちゃったのかな。くすん…」
「……」
かすみの発言に一同それぞれに想像してしまう。
ごんごんごんごん!
「想像してんじゃねえ!」
さら夫のゲンコが4人の頭を襲った。
☆
第二リルガミン市、第二ギルガメッシュ亭。
ざわざわとした酒場の喧噪が、突然ピタッとおさまった。
全員の目が入り口に集中する。
妙な一行が入ってきたからだ。
コモに身をくるんだ6人組。
乞食か?
先頭に、見るからに凶暴そうな、犬歯のめだつ人間の若者。
それにぴとっとくっついたまま顔を耳まで真っ赤に染めたエルフの娘。
南方出身とひとめで分かる黒い肌の大柄なエルフ。
北方種とおぼしいエルフは妙に泰然としている。
こびとにしては巨人といっていい体格の、にこやかなホビット。
そしてしんがりに、もうひとり人間の若い男だ。
言うまでもない。さら夫たち6人だ。
ぞろぞろと裸同然の6人は全員の注目を集めずにはおかなかった。
金も無いのに酒場に来たのは、腹も減ったしとりあえずは腹ごしらえ、という考えだった。
「お金もないのに大丈夫なんですか?」
歪王が不安そうにたずねるのへ、
「だぁいじょぉぶっ」
さら夫がドンと胸を叩いていてみせたものだ。
それを見てかすみも「だぁいじょぉぶっ」、
胸をぼよん、と叩いてみせた。
といっても、さら夫に何か特別いい考えがあったわけではない。
いざとなったら食い逃げしちまえ、
それくらいの考えしか持っちゃいなかった。
しかし、天は自らたすくる者をたすくとはよくぞ言ったもの。
「ああああああっっっ!!!」
「ああああああっっっ!!!」
酒場で飲んで居たヤツの中に見た顔が!
おたがいに指さしあって驚き合う顔と顔、人と人。
クモスケお座敷馬車の連中が、こともあろうにここで飲んでいた!
馬鹿なやつらではある。
☆
身ぐるみ剥いで放っぽり出す。
しかし金はギャンブルに遣ったとかで、ろくに残っちゃいない。
装備も売り払ったあとだという。
「あ〜、どうすんですよぉ〜」
歪王が泣いている。
けん1も「これじゃ家に帰れませんぞぉ〜」
「一稼ぎしないとねぇ…」べちょも同意する。
「わっはっはっ、この町にも掘り出し物がありそうでけっこうですなぁ」というのは角角角。
「ま、しばらく一緒にやろうよ。ここの迷宮もなかなかいいらしいよ。かすみ、部屋をキープしてこい」
「はい、さら夫さま!」
かすみがとてとてとてと駆けだして行く。
かくして次回より「ダイヤモンドの騎士編」のスタートと相成ります。
6人の新たな冒険を、乞うご期待!
1階制圧(2000/10/19)
「うわぁ、なんだかどきどきしますね、さら夫さま」
久しぶりの迷宮探索に、かすみは頬を紅潮させて言ったものだ。
「おまえもかわったねぇ。まえはあんなにびくびくしてたのに」
「え?いまでも怖いですよ〜」
きゃーきゃー言いながら、わざとらしくさら夫にしがみつくかすみ。近頃のかすみは5年分の愛を取り戻そうとしているかのようだ。
てなことをやってるうちに、あっというまに最初の鎧を手に入れた。
おそろしく防御の堅い鎧だ。
さら夫が身につける。
「でもよ〜、なんかイヤな予感がするんだよなぁ…」
さら夫は珍しく不安げだ。
「どうしてですか、さら夫さまぁ?」
「う〜ん、なんか…肝心なところで脱がされそうな気がしてなぁ。」
「???」
「あ、気のせいだとは思うんだけどな」
かすみを安心させるように笑顔で言う。
ふ〜ん、この男もかすみの前でだけはまともな人間らしい表情をみせるよなぁ…まわりのメンバーは心の内にそう呟く。
まぁ、昔からそうだったけどね。
☆
「これは…毒針ですぅ」
かすみが自信たっぷりに断言した。
そのわりには語尾が流れているが、かすみにしてはこれでも断言なのである。
パーティーは宝箱を前にしている。
どうせ1階、たいしたものも入ってないだろうし、うっちゃって行こうとしたのだが、
かすみがさら夫の袖を引っ張った。
「かすみ、宝箱あけられますから」
と言って。
さら夫は渋い顔をした。
以前、かすみにあけさせて危うく死なせかけたことがある。
それが頭から離れない。
「だいじょぶです。いつまでも昔のままじゃありません」
かすみはにっこり笑ってみせる。
「そうだなぁ…」
昔のままじゃないのはこちらも同じだ、とさら夫は思う。
いまなら、多少の失敗はフォローして十分おつりがくる。
かすみの頭を撫でながら「やってごらん」。
「はい」
かすみは嬉しそうだ。
そうして宝箱を調べて、これには毒針の罠が仕掛けてあると看破したのだった。
「あけられるかい?」
さら夫の声はまだ心配そうだ。
「もちろんです。ちょちょいのちょい…」
ところが。
ブーーーーーーーーっ!!!
警報だった。
モンスターが集まってくる。
「ひ〜ん、ごめんなさあい!」
かすみの泣き声がこだまする…。
少し後。
「今度こそまちがいありません、スタナーです」
かすみは胸を張る。
たわわな胸が力強く自己主張している。
その胸に目がくらんだわけでもあるまいが、
「…うん、信頼してるさ」
さら夫の目が優しく光る。
しかし。
ブーーーーーーーーーッ!!!!!
またしても警報だった。
モンスターの集まってくる足音がとどろく。
「ひ〜ん、ごめんなさいごめんなさい!」
かすみの泣き声が回廊に響く…。
さらにもう少しあと。
「今度こそ絶対ですってばぁ。これは絶対にガス爆弾!」
かすみはみんなの表情をうかがう。
今度こそはと、汚名返上を期している。
「うん、いいよ、あけてご…」
言いかけたさら夫の口をべちょがうしろからふさぐ。
「さら夫さん、もう少し冷静になりましょうよ。なにも宝箱なんか開ける必要無いんだし」
押し殺した声で言う。
目は全然笑ってない。
しかしそこに角角角と歪王が割り込む。
「まーまーまーまー、いいじゃありませんか。開けて貰いましょうよ」と角角角。この男はなんだか失敗するのを楽しみにしているフシもある。
「そうですよ、かすみちゃんがそう何度も失敗するわけありませんよ」と歪王。
そしてけん1が「う〜ん、ここは多数決で行きましょう。それが民主主義というものです。」
というわけで、5対1の賛成多数でかすみがあけることになった。
「えへへ」と嬉しそうに罠の解除にとりかかる。
あたたか〜い目で見守っているのは、さら夫だけだ。
ほかの連中は、歪王が全幅の信頼をおいているのを別とすれば、誰も本気で信頼しているわけでは無さそうだ。
べちょと角角角など少し離れたところに立っている。
案の定…
ブーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!
「きゃ!ごめんなさあ〜い」
どうやら、かすみにはあまり開錠の才は無いようである。
ためしに、あなたも1度この迷宮に潜ってみるといい。
きっと今日もどこからか、罠解除に失敗した少女の悲鳴が聞こえてくるはずだ。
けど、気を付けて欲しい。
だからってその場にかけつけちゃぁいけない。
モンスターと間違えられて、彼ら6人にギッタンバッタンにやられちゃうからね。
特に人相の悪いアナタ。ご用心ご用心。
中立の鎧(2000/10/21)
ぱちり。
鮮やかな鍔鳴りの音を残して緋桜閃角が背の鞘に収められる。
緋桜閃角…俗に「神速の剣」と呼ばれる名刀のうちの一振りである。
同時に、首を飛ばされた最後のモンスターが、どうと音を立ててくずおれた。
かすみは顔を輝かせてさら夫を振り向く。
褒めてほしいのだ。
さら夫は苦笑しながら頭を撫で撫でしてやる。
かすみが目を細めて悦ぶ。
と、そこへ
「こいつら宝箱持ってますよ」
モンスターの死骸をひっくり返していた歪王が声をあげた。
かすみの目がきらりと光る。
再び、かすみの出番だ。
罠を調べて解除し、宝箱を開封する。
いまでもしばしば失敗するが、おおむね成功をおさめるかすみである。
が、今回はうまくいったようだ。
かちりと音をたてて宝箱があいた。
良かった。
今回は毒ガスなんかじゃ無かったようだ。
誰も口には出さないが、みんな安堵のため息をついている。
が、
中を確認したかすみはあわててばちんと蓋をしめてしまった。
「こ、こ、これ、ダメですぅ。開けられませんでした〜」
宝箱を背にかくすようにして言う。
「なに言ってんの、おまえ。いまあけてたじゃん」
「あ、あ、…じゃなくて、えとその…つまんないもんなんです、こんなの邪魔になるだけですぅ〜」
「ばか言ってんなよ、そこどけよ」
さら夫がかすみを押しのけて宝箱をあける。
かすみはぴゅうと部屋の隅に逃げている。
「なんだあいつ?」
言いながら中を見ると…
横から覗き込んだけん1が言う。
「おや、中立の鎧じゃないですか。」
「ほう、それはまたなかなかレアなものを」角角角が寄ってくる。
「中立の鎧ですか…ん?それがなんでかすみちゃん…?」
一同の頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
かすみはいつのまにかまた戻ってきていて、さら夫の背にしがみつくようにして、「見ちゃダメなんです〜」とぽかぽか叩いている。
「ああ、あのときの話か」
思いつくものがあったのだろう、さら夫の顔がほころぶ。
それをきいてかすみのぽかぽかがさらに早くなる。
「うえ〜ん、だめですってばぁ〜」
かすみは泣き声になっている。
☆
さら夫は憶えている。
あれはもう随分前のことになるだろう。
かすみの以前の愛刀・桜一文字という銘の小太刀をプレゼントした頃の話だ。
あの頃、ニンジャになりたがっていたかすみに、新しい鎖かたびらやらなんやらをまとめて用意してやった。
それと同じ時に、発掘してきたお宝の中に「中立の鎧」と呼ばれる鎧があったのだ。
この鎧、サイズ的に合わなそうだったこともあって、別パーティーのPちゃんにでもやろうと、さら夫は櫃にしまっておいたのだったが…
「さら夫さまぁ。さら夫さまぁ〜…」
酒場でみんなと飲んでいると、かすみの声がした。
振り仰ぐと階上の手すり越しに、シーツを身体にまきつけて首だけのぞかせたかすみが呼んでいる。
今にも泣き出しそうな顔だ。
「ちょっと行ってくる」
さら夫は席を立つと大股に階段を駆け上がった。
一緒に部屋に入る。
「どした?」
さら夫が尋ねると、かすみは消え入りそうな声で言った。
「…は、はさまっちゃったんですぅ〜」
目に涙が浮かんでいる。
「なにが?」
さら夫には話が見えない。
「ち……が。」
「え?」
「ち…びが…」
「は?」
「だから…だから、ちくびがはさまっちゃって痛いんですぅ〜」
かすみは身にまとっていたシーツを、はらりと落としてみせる。
かすみは素肌に中立の鎧を着ていた。
「ど、どうしたの?」
さら夫は目を丸くした。
話をきくとこうである。
お風呂上がり、ひとりで部屋に居ても退屈なので、ファッションショーじみたことを始めてしまったのだと言う。
お出かけようの服を着てみたり、新しい鎖かたびらを着てみたり。
それを角角角が骨董屋でみつけてきてくれた四次元三面鏡に映して楽しむ。
くるりと回転させると背中が映るスグレモノだ。
そのうち、櫃の中にPちゃん用の新しい鎧があることを思い出した。
どんなものだろうか、ちょっと着てみようと思いたった。
そこまでは良かった。
この鎧、非情に丈夫な金属プレートが何枚も折り重なるようにして構成されている。これにより、剛さと動き易さを確保しているわけなのであるが…
素肌にそれを着てしまったものだからたまらない。
ひょっとしたはずみで、プレートとプレートの隙間に乳首が挟まってしまったのである。
あっ、と思ったがもう遅い。
絶妙の具合にはまってしまって抜くに抜けない。
下手に動けばますますきつくなるばかりだ。
無理をするとちぎれそうに痛い。
で、泣きながらさら夫に助けを求めたというわけだ。
「う〜ん、こりゃ呪いかもしれんねぇ」
神妙な顔をしてみせるさら夫。
でもちょっと笑い出しそうだ。
少し動かしてみると、かすみが「痛いです〜」と泣き声をあげる。
だんだん冗談事では無くなってくる。
さら夫の表情も真剣になってきた。
「ちょっと待ってな」
言い置いて部屋を出るさら夫。
しばらくすると、ひとりの男を連れて戻ってきた。
かすみもどこかで見たことのある男である。
誰だろうと思って…すぐに思い出した。
カント寺院の寺男だ。
手先が器用なことで有名な男だった。
「これなんだけど」
さら夫が寺男にかすみと鎧をみせる。
「ああ…こりゃ厄介じゃのう…」
しかし男は持ってきた道具箱から工具を取り出すと、すぐに作業を始めた。
鎧の分解をするのだ。
「こりゃ難しいよ、鎧はダメになっちゃうかもしれんよ」
「いいさ」さら夫はあっさり言う。
「そのかわり、かすみにゃ傷ひとつつけんじゃねーぞ」
「ああ、わかっとる」
作業は小一時間かかった。
本当はもっと早くできたのだが、途中から目隠しをしたのだ。
「そんなことされちゃ仕事ができん」
寺男ははじめ拒否しようとしたが…さら夫が剣を鞘走らせるのを見ると…
「うん、わし、目隠しはわりと好きなんじゃ。ほら、やってくれ」
素直なものだった。
寺男には高額の寄進を寺にすることを約束して送り出す。
鎧はばらばらになってしまって使い物にならないので、裏の空き地に穴を掘って埋めた。
Pちゃんには悪いがこんなもの発掘しなかったことにしよう。
このことをさら夫は胸にしまいこんだのだった…。
☆
とまぁ、そんなことがあったのだった。
さら夫は思い出し笑いに、顔がゆるんでしまう。
みんなはあのときのことを知らない。
「なんなんです、いったい?」
「なんでもない、なんでもない。なっ、かすみ」
そう言うさら夫の背に、かすみは嫌々をするように顔をこすりつけている。
お宝発掘シリーズ(2000/10/23)
その1《魔法のワンド》
「これは魔法使いのワンドですぞぉ!」
鑑定結果をけん1が、自信たっぷりに断言した。
「魔法使いのワンド?」
「なにそれ?」
「…とダイヤと優しい奴ら?」
「それはワンダですぅ〜」
「なんにしても、魔法使いの、てんだから魔法使いのものだろうよ」
さら夫は角角角にその「魔法使いのワンド」なるものを手渡す。
受け取った角角角は、
「お…これはなかなか…手にしっくり馴染みますよ。」
軽く2〜3度振ってみる。
と…角角角の頭に中に声が響く。
『我を使うか?』
へ?
まわりをみても、誰もその声に反応していない。
やはり今のは自分だけがきいたのだ。
なんだ?
いぶかしんだとき、同じ声が再び響いた。
『力が欲しくば我を使うが良い』
ワンドだ!
この魔法使いのワンドが呼びかけているのだ。
なんだか知らないがすごそうなマジックアイテムではないか!
おうよ!力なら欲しいさ!
おまえを使ってやるともさ!
心の中で答える。
途端にぼぼん!と音がして雷にうたれたような衝撃が走り抜けた。
しかしそれは…
正に「力」のかたまりだった!
みるみる力が…魔法の力が全身に溢れてくる。
すごい!
迷宮に入って何度も魔法を使い、疲れて枯渇していた筈のマナなのに、いまやフルチャージされているのが実感できる。
いや、フルチャージどころではない。
フルチャージ以上に溢れかえっている。
「うおおおおおおおおお!」
角角角は叫んだ。
これはすごい!マジですごい!!
ああ、魔法使い一直線で来て本当に良かった。
滂沱の涙で思う。
これまで、やれ虚弱体質だの、やれ役立たずだの、やれ穀潰しだのと散々に後ろ指を指されまくってきたが、それもこれも今日この日まで。
もうそんなこと、誰にも言わせない!
ああ、生きてて良かった…。
第二ギルガメ亭に戻ってから、古代アイテム博物図鑑で確認する。
「魔法使いのワンド…魔法使いのワンド…と。…お、あったあった」
さすが古代の知恵の書である。
どんなアイテムも一発だ。
「なになに…魔法使いだけが持てるマジックアイテムである…と。…1回使うと100%の確率で『魔法のワンド』になるう???」
どういうことだ?
角角角は頭をひねる。
ナイフは普通、何度使ったってナイフだ。
100回使ったら爪切りになるなんてことは無い。
ワンドだってそうだろう。わざわざ特記するようなことじゃない。
「あ!もしかして!」
いやな予感が閃いた。
いそいで次のページを繰る。
果たして!
あった。
『魔術師のワンド』がもうひとつ載っているではないか!
そしてそこには、
「すべての呪文を忘れる〜!?」
あ゛〜、とんでも無い引っ掛けではないか。
角角角は涙する。
あの栄光のときは1度きりの効果だったのだ。
角角角は手元の魔術師のワンドをしげしげと見る。
いまや呪いのアイテムと化したかつての栄光のマジックアイテムを…。
2度目使わないで本当に良かったね。
その2《技能の護符》
「これは技能の護符ですぞぉ〜!」
自信たっぷりにけん1が断言した。
「技能の護符?」
「なによ、それ?」
「手先が器用になるんじゃないかなぁ?」
「ああ、罠の解除の成功率が上がるとか?」
「そうそう」
「どうなの、けん1さん?」
「いや、そこまではちょっと。私は、一介の鑑定士…じゃなくて司教ですからな。モノが何かは分かってもその効能までは管轄外なんですよねぇ、わっはっはっ」
「役に立たないです〜」
「おや、意外とキツイですな〜かすみちゃん、はっはっはっ」
笑って誤魔化すけん1だった。
取り敢えずリルガミンへ戻ることにした。
角角角の持ってる博物図鑑で確認することにしたのだ。
確認したあとで無ければとてもじゃないが、怖くて使えない。
「図鑑、持ってくればいいのに」
「私もそうしたいのは山々ですが、あれ、重くて」
角角角はそう言うが、本音は違うところにありそうだ。
迷宮に持って入って汚したり無くされたりしちゃかなわん、と思っているに違いないことを、さら夫はちゃんと察している。
さて図鑑によれば…
技能の護符の効果は、戦わずして多大な経験が得られるという、これまたけっこうなシロモノであった。
「でもなにこれ?使うと17%の確率で技能の護符が技能の護符になるって?」
「さてねぇ…前の魔法のワンドのこともありますし、ろくなことじゃ無さそうですが」
「ま、いいだろ。ためしてみよう」
そう言ってさら夫が技能の護符を身につけてみる。
と同時にさら夫の頭に声が響く。
『経験が欲しいか?』
角角角から聞いていたので別に驚かない。
決然と言い返す。
「おう、欲しいぞ」
『ならば我を使うが良い』
「使う!」
ばびーーーーんん!!!!
雷の衝撃が走る。
さら夫はみるみる経験が高まるのを感じた。
なんだよそれ?と思うかもしれないが、感じたものは感じたのだから仕方がない。
それ以外に表現しようの無い感覚である。
「おう!なんだか凄いぞ!いきなりベテランになった感じだ」
さら夫の表情が喜びに輝く。
技能の護符もなんともない。かわったところは無さそうだ。
「もう1度使ってみよう。使うぞ!」
言葉と同時に心に強く念じる。
ばびーーーーんん!!!!
再び雷の衝撃と共に経験が高まる。
う〜ん、いい感じだ。
「使う!」
ばびーーーーーんん!!!!
おおおおお!なんだかもう超ベテラン?て感じ?
笑いが止まらないってこのことか。
「さら夫さまぁ、なんだかいっそうたくましく見えますぅ〜」
かすみの目もハートマークと化している。
「よっしゃもういっちょ!使うぞ!!」
ばびばびばびーーーーーーんんん!!!!!!
さら夫の姿が忽然と消え失せた。
「あら?」
「さら夫さまぁ???」
ふたりはきょろきょろ部屋の中を見回す。
さら夫の姿は影も形もない。
「さら夫さん、消えちゃったねぇ。何処行っちゃったんだろ?」
「かすみ、酒場を見てきますぅ」
部屋を飛び出たかすみだったが、ほどなく戻って来て
「酒場にもいませ〜ん」
「妙だな…」
角角角は厭な予感がして図鑑をめくる。
「おお!!!」
さっきは気づかなかったが、技能の護符がもう1項目載っているではないか。
う〜ん、なんでさっき気づかなかったんだろう?
きっと、ページがぴったり張り付いてたんだな。
新しい本にはよくあることだ。
そうだ、そうに違いない。
でもこれ、新しい本か?
ま、いいや。細かいことなど気にしている場合でもあるまい。
「えーと…なになに…技能の護符…使うとロストする…ロストする!?」
「え?え?え?ロストするって???」
もう、かすみは涙目だ。
「ロストって、この世から消えちゃうってことさ。」
「そんな〜!さら夫さま〜!」
かすみがびーびー泣き出す。
「だから言ったんだよね」腕組みをした角角角がクールに言う「あんまり迂闊に使うな、って」
「言ってねーだろ!」
ぱしーーーーーーん!!!
どこから現れたものか、さら夫が角角角にハリセンを食らわした。
ぜーぜー息を切らしている。
「そんな…ロストしたんじゃなかったんですか。…汚いですよぉ」
後頭部を押さえながら角角角が不平たっぷりに抗議する。
しかしさら夫は、
「うるせ!俺がロストするわけないだろ!」
「そうですそうです」かすみも尻馬に乗る。「さら夫さまはロストしたりしません!」
「だって消えるの見たでしょう、かすみちゃんも」
「見てないもん!消えてないもん!さら夫さまはずっとここに居たものっ!」
「自分で酒場まで探しに言ったじゃないですか…」
なおも抗弁しようとした角角角だったが、
「あ、はい、そうですね、ずっとここにいましたとも、消えたりしてませんね、ええ」
ロスト説を撤回する。
そりゃそうだ。
喉元に刀を突きつけられりゃ誰でも物わかりは良くなるわなぁ。
というわけで、やっぱりそうそう都合の良いだけのアイテムなど無いというお話でした。
このあと角角角は「それでも地球は回ってるんだ」と言ったとか言わないとか。
その3《力のコイン》
「うん、これは力のコインですぞぉ〜!」
自信たっぷりにけん1が言った。
「いや、だからさ、なんなのよ、そのちからのコインて?」
「やっぱ腕力が上がるんじゃないの?」
「剣の腕前が上がる、って感じ?」
「うん、たぶんそう…じゃないかなぁ?」
「なんとなく眉唾ですぅ〜」
うん、かすみが正しいだろうなぁ。
ギルガメ亭に戻り、角角角の部屋で図鑑を調べる。
「力のコイン…力のコイン…と。…あ、ありましたありました」
角角角がページを示す。
みんなで覗き込む。
「力のコイン…転職することが出来る。使うと100%の確率で力のコインになる…か」
「おお、出たよ出たよ、また変なのが」
「いかにも怪しいねぇ」
「不気味ですぅ〜」
「だよなぁ。試してみたいけどこれはちっと怖いかも」
しかし。
「ふっふっふっ。だあいじょおぶ!」
角角角が満面の笑みで言う。
「実は先日ね、骨董屋でこんなものみつけてきたんですよ」
嬉しそうに水晶玉を取り出した。
「なにそれ?」
「遠見の水晶玉ですかぁ〜?」
「魔王のつぼじゃねーの?」
「どこがつぼですか!ど・こ・が!!どう見たって水晶玉でしょうが!」
「で、その水晶玉がなんなの?」
「いや、これがですなぁ…」
アイテムの説明をするときの角角角は本当に楽しそうだ。
黙ってきくことにする。
「これがですな、驚くなかれ、なんと予知の水晶玉なんですよぉ、ぐへへ…」
まぁ、ぐへへとは笑わなかったが、そんな感じ。
「さて、これ…力のコインを使うとどうなるか、水晶玉に手を当てて強く念じるんです…さぁ、みなさん手を繋いで」
「べんとらーべんとらー…」
「そこ、違う!」
そうこうしているうちに、水晶玉にぼお…と光が灯り始める。
最初はもやもやしたくすんだ塊のようだったが、すぐにはっきりしたかたちになる…。
☆
角角角は力のコインを装備してみた。
『転職したいか?』
コインが話しかけてくる。
おお!
これってもしかしてチャンス?
かつて適性テストで落とされた日のことを思い出す。
あの屈辱…うらみはらさでおくべきか〜。
って、もうたっぷり晴らしたけど。
憧れの鑑定士…いやさ司教になるチャンス!
これを逃す手は無いってもんよ!
『転職したくば我を使うが良い!』
そのコインの呼びかけに答える。
「おう!使うとも!転職するぞぉ!」
拳を天に突き上げる。
転瞬、
どどーーーーーーん!
衝撃が全身を走る。
まるでヒーローの変身だ。
煙が腫れるとそこには新生角角角が!
なんと角角角はロードになっていた!!!
しかも、かなり高レベルのロードだ。
さら夫なんか目じゃない。
☆
「なんだよ、これは?」
水晶玉をのぞくさら夫はすっかり仏頂面になっている。
「いや〜単にヒーローの交代でしょう」
角角角がこれ以上ないくらい嬉しそうに…というよりむしろ勝ち誇ったように言う。
それを見てかすみもぷうっと頬を膨らませる。
「そんなのへんですぅ〜」
「ま、とにかく続きを見てみましょうよ、へっへっへっ」
☆
「う〜ん、ロードかぁ…悪くないけどねぇ…前列で戦うってのも、ちとなぁ…」
角角角は呟くと、もう1度『力のコイン』を使うことにした。
狙うのは司教か、せめて僧侶だ。
いや実際のとこ僧侶になるくらいなら別にロードでもいいのだが、後から斬られたり寝首かかれたりするのは趣味じゃないからね、と角角角は思っている。利口な男だ。
「転職するぞおおおおっ!」
再び右拳を天に突き上げる。
拳を突き上げることに別に意味は無いのだが、ノリである。
気分は大切だ。
そして…
どどどーーーーーーーーーん!!!
雷が落ちた。
本当に落ちた。
マジ、落ちた。
あとに残ったのは黒こげの死体であった。
☆
「うっひゃっひゃっひゃっ」
「おかしいですぅ〜」
「あちゃ〜」
「でもこれ、使えるねぇ」
「死んだってカント寺院に運びこみゃいいんだし」
「そうそうそうそう」
「てーわけで角角角さん」さら夫が言う。
おお!これで俺も司教になれるか!
角角角の目が輝く。
が!
「これ、も少し成長したらかすみに使わせるわ」
え???
「いったん僧侶にして…」
「やです!かすみ、ニンジャのままがいいですぅ」
そうだ、もっと言ってくれ、かすみちゃん!
「心配するな、かすみ。一度僧侶になって全呪文を覚えたところでもう1度ニンジャに転職だ。」
さら夫はとくとくと続ける。
「まぁ、それやるといったん死んじゃうけど、ちゃんと生き返らせてやるからさ」
「うわぁ、じゃ、かすみ、唄って踊れて回復呪文も使えるニンジャになれるんですねぇ〜」
「いや、唄って踊れるかはわからんけど」
「かすみ、嬉しぃ〜」
ぎゅっとさら夫にしがみつくかすみ。
ふたりの周りにはふたりだけの世界が出来上がっていた。
角角角の叫びが第二リルガミン市にこだまする。
「そんなバカなああああああああああああああああ〜っ!!!!」
ムンクの「叫び」はこのときの角角角の表情にインスパイアされたと専らの評判だ。
かなり信憑性はあると思うよ。
かすみの日記(2000/10/26)
かすみの日記帳より抜粋―――。
○月×日(天気 晴れ)
さら夫さまの活躍でコッズシールドを入手。
ご自分で使うのかと思ったら、かすみにくれるって。
でもかすみはニンジャ。身の軽さが身上なので、歪王さんにまわすことに。
○月△日(天気 晴れ)
コッズヘルムを入手。
コッズヘルムとは、思ってもいないところで出会ったのでちょっとびっくり。
でもそこはさら夫さま。
動じることなくコッズヘルムを倒し、従えた。
今度もご自分で身につけることなく、歪王さんにまわした。
なんて心が広いんだろう。
○月□日(天気 晴れ)
コッズガントレットとの戦いは本当に凄惨を極めた。
ティルトウエイトをびしばし使ってくるんだもの。
この戦闘で角角角さんとけん1さんが亡くなった。
でも、さら夫さまのがんばりで、なんとか勝利。
さすが、さら夫さま。大好き!
○月◇日(天気 晴れ)
順番が逆になっちゃったけどハースニールをゲット。
これは意外とあっさり勝っちゃった。
やっぱりさら夫さま、最高に強くてかっこいい。
かすみはさら夫さまのおそばにいられて本当に幸せ。
○月▽日(天気 晴れ)
ガントレットを装備した歪王さんの活躍がすごい。
ティルトウエイト使い放題なんだもの。
獅子奮迅の活躍っていうのはああいうのを言うのかもしれない。
だけど、ハースニールを使ってデーモン系のモンスターを斬りまくるさら夫さまはその百倍も素敵!
明日はいよいよ、6階の門番、スフインクスの前に行く。
彼(?)のなぞなぞに答えられるだろうか?
でもきっと大丈夫。
さら夫さまなら、どんな困難でもきっと乗り越える。
かすみは信じてるもの。
スフインクスの問答(2000/10/26>
人の頭を持ち、ライオンの胴体を持つ化け物…それとも精霊か?――スフインクスが6人の前に立ちふさがった。
彼は言う。
正しき答えを出した者のみがここから先へ通ることをゆるされる、と。
ヒントは6階にあるどこかの部屋に残された碑文。
みっつの部屋からそれを集め、答えを導き出せと言う。
「答えは、汝らの前にあり」
そう言ったきり、そっぽを向いてしまった。
6人は苦労に苦労を重ねてみっつの部屋を探し出し、手に入れた碑文は次のふたつ。
「冠をいただいた王はこれらが故に身を滅ぼす」
「力を崇拝した王は騎士なく棺に横たわる」
そしてみっつめの部屋には地の神ニルダの像が祀られていた。そこには光の杖がごろごろ転がっていた。
ヒントはこのみっつだ。
しかし6人には答えが想像もつかない。
もしかして1階の神殿に先に行かねばならないのか?
そうも思って行ってみた。
しかし何事もおこらない。
やはり、スフインクスの謎かけに答えるしか道は無いのだ。
「どうだ、わかったかね?」
スフインクスは、おまえらなど相手にならんという態度だ。
「か〜んたん!」
角角角が自信満々に言う。
「スフインクスの出す問題といえば古今東西ひとつしかありますまい。答えは簡単。ずばり人間でしょう」
「愚か者め!」
「ありゃ、違いましたか?」
「問題をよくきけ、馬鹿者が」
いったいなんだろうねぇ?
「ちから!」
「愚か者め!」
「ひかり!杖!」
「愚か者め!愚か者め!」
「ニルダ!地の神!騎士!」
「愚か者め!愚か者め!愚か者め!」
「ダイヤモンド!墓!墓地!時間!」
「愚か者め!愚か者め!愚か者め!愚か者め!」
「棺!死体!ミイラ!十字架!王!」
「愚か者め!愚か者め!愚か者め!愚か者め!愚か者め!」
「ぜーぜーぜーぜーぜーぜー」
「ぜーぜーぜーぜーぜーぜー、いい加減にせんかい!このバカモンどもが!」
「なこと言われたってなぁ…さっぱりわからんわ。もしかして俺ら、どっか部屋を見逃してる?」
「さてどうかな?そんなヒントは教えてやれん」
「ちぇっ、ケチ」
「ケチとはなんだケチとは!」
わいわい言っておりますうちに…
さら夫がぼそっと言った。
「ダイヤモンドの騎士…なーんてな」
「さら夫さま、それってタイトルにしか無い言葉ですぅ〜」
「そうなんだよなぁ…」
「それだ!」
唐突にスフインクスがさら夫を指さした。
「さすが歴戦の冒険者!正しい答えをお判りではないか」
「へ?」
言われたほうは目が点だ。
スフインクスは気にもしない。
「さよう。答えはダイヤモンドの騎士。その通りですぞよ、先へ行かれるが良い。ただしおひとりでな」
ひとりで納得してさっさと門の前からどいてしまった。
なんだよぉ、答えがダイヤモンドの騎士だとぉ?
「冠をいただいた王」だの、「力を崇拝する王」だののどこがヒントなんだよ!
むっちゃ腹立つ!!!
が、終わり良ければすべてヨシ。
6人はさっさと扉の中に入ってゆく。
さら夫を見上げるかすみのまなざしだけが尊敬の念に溢れかえっている。
ほかの4人はどっちらけ。
ま、無理も無い。
ダイヤモンドの騎士編・エピローグ(2000/10/26)
いったん宿に戻った6人は、相談する。
誰かひとりしか行けないならば、さら夫に行って貰おう、と。
そもそも今回の目的は、ニルダの杖なるアイテムを取り戻すことである。
そのために1階のニルダの神殿に行ったところが、
「ニルダの杖をリルガミンに返すには、この迷宮内のいずこかにある5つのアイテムを持ってきて我に差し出せ。その勇気と誠意をみせてくれたとき、我は再びニルダの杖をリルガミンに与えよう」
と言われたというわけだ。
その5つのアイテムとは、おそらくダイヤモンドの騎士の武器防具。
艱難辛苦の果てにようやく集め、いよいよニルダの神殿に再び行くときが来た。
すべての武器防具を身につけて単身、神殿に赴くさら夫。
果たしてそこでは、5つのアイテムと引き替えにニルダの杖を押し頂く。
勇者さら夫の前に1階のモンスターなど敵ではない。
あっさり地上に帰り、第二リルガミン市に平和を取り戻す。
これで話はすべておしまい。
しかしなんだか物足りない。
結局ここでも聖衣もムラサメブレードも手に入らずじまい。
いかん、これでは食い足りない。
「諸君!」
さら夫はいっせきぶった。
「ちょっといい話があるんだが。」
みんなを見回すさら夫の目はきらきらといたずらっ子のように輝いている。
どうやら冒険はまだまだ終わりそうに無い。
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