リルガミンサーガその6

―――リルガミンの遺産編 2―――

2年半の沈黙を破ってついに再開!!(^^;)
さら夫とかすみの愛と冒険の物語、完結編!!!

忘れちゃいないよ作戦会議 (2003/04/24)

「もしかしたら!」
魔法の羊皮紙でダンジョンのマップを検討していたさら夫が突然声を張り上げた。
ここはいつもの第三ギルガメッシュ亭。
ごつい木製の長テーブルをふたつくっつけて一行14名が作戦会議の真っ最中のことだった。

一行14名。
随分と増えたものだがしょうがない。
今度のダンジョンは、どうやら1フロアごとに一種の結界が働いているようで、善人が入れないフロアと悪人が入れないフロアとが交互にあるからだ。
さら夫たちのように善人ばかりが集まったチーム ではすべてを探索することが出来ないのだ。

そこで悪のP小隊――と言ってもPとサトは徹底的にノンポリなので結界には本来引っ掛からないのだが――を呼び寄せて、これで2チーム12人。

ただし、P小隊には若干の入れ替わりがあった。
盗賊アリムラはこっちへ来てからというもの、ダンジョンには潜らず、街でいろいろ荒稼ぎをしているらしい。
かわりにP小隊の大きな戦力となっているのが綾音というエルフ忍者だ。
これで13人。

最後のひとりは会計係として雇った中国エルフのレイファンテンチューさんだ。
赤いチャイナ服のよく似合う、頭の両サイドのお団子の とっても可愛いエルフのお嬢さんだ。
これで14人。
(詳しくは下記の 「現在のステータス」 をご覧いただきたい)
大所帯となった一行である。

現在、さら夫たちの本隊は2階の探索を終え、4階の探索を始めたところ。
P小隊は3階の探索を終えたところなのだが、実はここで困った事態に立ち至った。
P小隊の探索した3階には上のフロアへ通じる階段が無かったのだ。

いや、正確に言えば3階は1ヶ所(2ブロック分)だけ踏破していないところがあるのだが、そこは手前がワープゾーンになっていて先に進めない。
この未踏破部分に階段があるのだろうか?

一方、4階の探索を始めたさら夫たちは1階への直通階段を発見。
そこは、1階の、湖で隔てられた小島へと続くもので、他からはまったく隔絶された場所であった。
そしてそこに、イヴィルチーム用の階段も発見。
だが、完璧に途絶されたその場所へどうやって行けば良いというのか?
そこへ行くにはグッドチーム用のフロアを経由しなければ行くことが出来ないというのに。

そこで一行は会議を開き、魔法の羊皮紙に映しだれたマップを前に唸っていたというわけだったのだが・・・。

「なにかわかったんですかぁ?」
かすみが甘ったるい砂糖菓子のような声でさら夫を見上げる。
きらきらと潤んだように光る瞳には、さら夫への絶対の信頼が窺える。

それを横目で見る歪王は人知れずうるうると心の中で涙を流す。
「かすみちゃん、人生あやまってるってば〜〜〜〜」 と。

そんなことにはお構いなしにさら夫はマップの一部を指し示す。
「ここ見て、ココ」
さら夫が示すのは1階部分にある湖と小島のところだ。
中央に小島があって、真っ黒な湖がそれを取り囲み、そのこちら側に砂浜が拡がっている。

「この湖をわたれれば上へ上がれるんですけどねぇ・・・」
誰かが溜息まじりに言う。
それをきいたさら夫がにやりと笑う。
「それだよ。この湖はわたれるんだ」
その自信満々な態度はどこから来るのだろう?
疑問に思わないのは本人をのぞけば、かすみくらいのものか。

「いいかい?」
と、さら夫は言う。
「この魔法の羊皮紙は歩いた部分が自動的に記述されていくスグレモノだ。裏にはホラ、凡例まで載ってる」
嘘のようだが本当だ。
この印は通路、この印は壁、この印はドアと、いちいちコトコマカに載っている。
さすが魔法の羊皮紙というべきか、はたまたここまで便利なのはさすがにイカガナモノカと言うべきか。
なにせ一方通行路の印まで自分で確認するまでもなく自動的に記述してくれるのだ。
きっとこのようなマジックアイテムの無かった世代は我々を軟弱者とそしるに違いない。げらげら。
「いやそれはさておき、この凡例の湖のとこ見てよ」
と、さら夫。

見ると 「湖」 の凡例はグレーゾーンとして示されている。
「ところが・・・」
さら夫の指が1階マップの湖部分をなぞる。
「ここはほら」

真っ黒のままだった。

「まっくろですぅ」
かすみが目を はてなマークにしてさら夫を見上げる。

「つまり・・・」
さら夫が言いかけるのを歪王がさらう。
「つまり、この上を我々は移動できるということですね――ふむ、さすが、さら夫さん」
歪王はさら夫がいいところをとられて少しムクレてることには気付いていないようだ。

湖をわたれる可能性にパッと明るくなった一行の顔だったが、しかし、
「でもどうやって渡るんですかな〜〜〜〜?」
最近めっきりアルコール漬けなけん1の陰気な声に水をさされる。

「うーん、問題はそこなんだよなー・・・」
再び沈思黙考タイムとあいなる・・・

と、突然 角角角が何か閃いたかのようにシパッと手を挙げる。
「はい、角角角さん」
さら夫が指名すると角角角は勢いよく立ち上がる。
「ほら、昨日手に入れたボトルシップ。あれはどうでしょう?」
「え? ボトルシップ?」

ボトルシップというのは言うまでもない、瓶の中に作られた精密なミニチュアモデルの船のことである。
それがきのうモンスターが落として言った宝箱の中にあったのだ。
なぜモンスターがこんなものを? という疑問は疑問として、非常に良く出来た模型だったのでそれをさら夫は売らずにとってあった。

「これ?」
ごそごそと椅子の背にかけた物入れの中から取り出す。
ビールの大瓶ほどのボトルの中に白い帆の美しい帆船が見事なまでに再現されている。
とてもミニチュアとは思えない素晴らしい出来だ。

「そうそう、これですよ、きっとこれですよ」
と角角角は目を輝かせる。
「 『ボトルシップ、行け!』 とかなんとか言ってですね、投げるんですよ、するとぴかっと光って巨大化するんですよ、きっともう、そりゃ絶対に!」
そういう角角角の目はすでに現世を見てはいない・・・。

早速ものはためしと、とりあえず本隊6名がダンジョンに上がる。
湖は近いし、迷うこともあるまいと灯りもつけずにざっざか歩く6人。
角角角は
「きっとですね、帆船がピンチになったときはこう 『もどれボトルシップ!』 とですねぇ・・・」
などと片手を掲げて親指と人差し指で中空にある鉛筆でも摘むかのような仕草をしてみせている。
こんなときの角角角は本当に嬉しそう楽しそうである。
それにしては宙に掲げた手の指の開きはボトルシップを摘むにはいささか狭すぎるようである。
果たしてなんの意味があるものやら・・・?
かすみは尋ねてみたい気もしたが、なんとなく長くなりそうな厭な予感がしたので思いとどまった。

「このへんかな?」
なにせ灯りを ともしてないので勘である。
だいたいのアタリをつけて立ち止まり現在地を地図で確認する――

「おおおおおお〜〜〜〜〜」
さら夫が驚きの声をあげる。
「どうしたんですかぁ、さら夫さまぁ?」
かすみがきょとんとした様子で尋ねると
「こ、こ、こ、こ、これ〜〜〜〜」
と地図を指し示されて、かすみも背伸びして地図を覗きみるや、
「おぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜」
これは明らかにさら夫の真似をした声があがる。

「どうしたのかなぁ〜、みせてごらん〜〜〜」
「どうしました」
「なにさわいんでんすか」
「ふーむ?」
全員が地図を見る。
なんと、一行はすでに湖上に立っていた!

暗いので気付かなかったが一行はすでに湖上を歩いていたのだった。
そう。
いかな奇跡か妖しの技か、ボトルシップは湖の上を歩いて渡ることの出来るマジックアイテムなのだった!
角角角の予想は外れたがこれで問題は解決した!
冒険は次の段階へと進む。
――ただ、角角角の 「夕陽のバカヤロー!」 という言葉だけが湖面を渡ってゆく・・・夕陽は無いけど。


《現在(2003/04/24)のステータス》

さら夫
L12 善 君主 人間 20才 HP 117 AC −1
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:フレイムタン ヒーターシールド+1 バシネット ブレストプレート 鉄の小手 ボトルシップ
呪文(僧):9/7/5/4/5/0/0
EP:626065

かすみ
L12 善 忍者 エルフ 20才 HP 92 AC 1
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:プレートアーマー+1 ヌンチャク ヒーターシールド+1 宝石袋
EP:664975

歪王
L11 善 侍 エルフ 20才 HP 100 AC 0
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:バトルアックス+1 プレートアーマー サレット ヒーターシールド+1 鉄の小手
呪文(魔):8/5/2/0/0/0/0
EP:247464

べちょ
L11 善 僧侶 人間 20才 HP 89 AC 3
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:フレイル ブレストプレート ヒーターシールド+1
呪文(僧):9/9/7/5/6/3/0
EP:211538

けん1
L11 善 司教 ホビット 20才 HP 76 AC 4
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:メイス+1 ブレストプレート+1 ラウンドシールド
呪文(魔):9/7/3/0/0/0/0
呪文(僧):8/4/0/0/0/0/0
EP:211538

角角角
L11 善 魔術師 エルフ 20才 HP 61 AC 9
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:杖 魔術師のローブ
呪文(魔):9/9/7/5/3/1/0
EP:211538


綾音
L9 悪 忍者 エルフ 20才 HP 63 AC 1
力17 知恵18 信仰18 生命18 早さ16 運14
装備:プレートアーマー+1 バトルアックス+1 ヒーターシールド+1
EP:110935


L10 中立 戦士 ドワーフ 20才 HP 103 AC 0
力15 知恵17 信仰17 生命18 早さ18 運17
装備:プレートアーマー フレイムタン ヒーターシールド+1 鉄の小手 ボトルシップ
EP:108428

サト
L10 中立 戦士 ノーム 20才 HP 97 AC 1
力17 知恵17 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:サレット ヒーターシールド プレートアーマー 鉄の小手 バトルアックス+1
EP:108428

MA-2
L9 悪 僧侶 ホビット 20才 HP 65 AC 2
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
呪文(僧):9/7/5/4/5/0/0
装備:ヌンチャク ブレストプレート+1 ヒーターシールド 鉄の小手
EP:75169

あるづらー
L9 悪 司教 エルフ 20才 HP 56 AC 4
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運18
装備:メイス+1 ブレストプレート+1 ラウンドシールド
呪文(魔):9/5/1/0/0/0/0
呪文(僧):6/4/0/0/0/0/0
EP:75169

TO−Y
L9 悪 魔術師 ドワーフ 21才 HP 51 AC 8
力18 知恵18 信仰18 生命18 早さ18 運15
装備:魔導士の杖 魔術師のローブ
呪文(魔):9/7/5/3/2/0/0
EP:75169


アリムラ
L1 悪 盗賊 ホビット 20才 HP 8 AC 7
力13 知恵15 信仰13 生命15 早さ15 運15
装備:キュイラス+1
EP:0

テンチュー
L1 中立 戦士 エルフ 15才 HP 8 AC 10
力15 知恵10 信仰10 生命6 早さ9 運6
装備:ボトルシップ
EP:0
GP:907116


《ルールの確認》

【ルール1】

このPS版ウィザードリィ 「リルガミンサーガ」 はセーブが自由自在である。
ダンジョン内ですら、1歩ごとにセーブが可能である。

本来のウィザードリィを私はプレイしたことは無いのだけど、きくところによれば、ほぼリアルタイムのセーブだったらしい。
したがって、育て上げたキャラクターがモンスターの落とした宝箱の解錠に失敗、テレポーターの罠に引っ掛かって壁の中に実体化→全滅などという悲惨な事態もあった由。

いくらなんでもそれはツライだろう。(^^;)
が、さりとて1歩ごとのセーブ (実際に1歩ごとにセーブするかどうかは別にしても) というのも、あまりにも緊張感を殺ぐ。

そこで (これは3年前のプレイからずっとそうなのだけど) ダンジョン内でのデータ救済を目的としたセーブは、これをしないものとする。

特例として、ダンジョン内での別パーティとの合流を目的としたセーブ、これだけは認める。

もし、ダンジョン内で悲惨な事態に立ち至り、どうしてもリセットかけたい場合は、その探索行の直前のデータまで・・・つまりダンジョンに潜る前のデータまで戻すものとする。
その当該探索行で得た経験値はもちろん、アイテムも放棄することとする。

つまり 「トルネコの大冒険 2」 と同じくらいの緊張感でプレイしよってわけです。

まぁこれでもかなりヌルイっちゃヌルイけど、キャラが消えるのはどうかご勘弁。m(__)m


【ルール2】

このリプレイを書くにあたっては、ゲームで実際に体験したことのみを書くものとする。

実際にプレイして、さまざまな出来事 (主に戦闘) に遭遇するわけですが、その出来事を自分で作ったキャラ設定に照らし合わせて・・・自分でそれを解釈し、書く。
無かったことを創作したりはしない。

たとえば、初期の、さら夫をのぞいて全滅し、回復手段すら無いさら夫がどうやって生還するか?
というのも実際にあった話です。
モンスター集団を前にさら夫がほんのわずかだけHPを残して全滅。
当時のさら夫のレベルからすると到底生きて還れないと思ったわけですが一応チャレンジしてみたところが・・・

なんとまぁ、帰り道、モンスターとの遭遇はわずかに3度。
しかもそのうち2度は 「友好的なモンスター」 との遭遇ですよ。
このデータは使わないわけに行きませんよ。(笑)

きっとそのときさら夫は仲間の死骸を抱えて (どうやって5人もの死骸を抱えていたかは謎ですが/笑) 、ダンジョン内を息をひそめ、モンスターから身を隠しながら必死で脱出したのでしょう。
などと想像するわけです。

あるいはP小隊がアリムラくんの先導で道を迷ったりするエピソードがありますが、これも実際にありました。
PS版はオートマッピングなので本来、道を間違うなどありえないのですが、このときプレイしてて眠くて眠くて。(^^ゞ
ぼうっとしてて、それでつい、エレベーターへ向かうべきを階段を下りてしまったんですな。

これはもちろん、私自身のミスなんですが、リアルアリムラくんには方向音痴というネタがありまして、これはもうこのネタ使うしかない!と。(^^)

それとか、かすみが中立の鎧を着て呪われてしまう話。
あれも実際にありました。
なにせ私、ウィザードリィには (にも?) 詳しくありません。
中立の鎧を初めてみつけたはいいけど、これはいったいいかなるシロモノなのか?
さっぱりわかりません。
そこでギルガメッシュの酒場のステータス表示で、かすみに着せてみたわけですが・・・。
そしたら呪われてしまった。(^^;)
慌ててボルタック商店に飛び込んで呪いを解いてもらったわけですが・・・ ここで想像しました。
いったい、鎧に呪いがかかってて脱げないて、どんな状態???
それを想像して出来上がったのがあの話です。(^^)

あと、角角角さんの転職に失敗する話もそう。
私を角角角をいざ転職させようとして初めて中立キャラでは司教になれないというコトを知りました。
さてこの事実。ゲーム内キャラはどう感じたろうか?
それを膨らませたのがあの話です。

はたまた、ニンジャになったかすみが地下6階でさら夫を待ち受けていた、という話がありますが、これもホントにあったこと。
きたえあげたかすみを単独で地下6階まで潜らせ、最初の部屋まで入ったところでセーブをかけました。
もっとも、そこでの戦いは、これだけは唯一 「実際には無かったこと」 なんですが。(^^ゞ

そういうわけで、基本的に 「実際にあったこと」 しか書いてません。
もっともそれをやっていく関係上、自由のきく 「酒場での話」 が多くなってしまうという問題点 (?) 無きにしも非ず、ですがそこはひとつ、どうかご容赦ください。m(__)m



勘弁してよ大苦戦 (2003/04/29)

体力魔力とも十分な余力を見込む主義である。

4階探索中のこと。
そろそろ引き返して出直そうかと思っていた矢先、宝箱の罠解除に失敗してしまった。
かすみがその卓越した(笑)ニンジャ能力でもって罠をテレポーターと見込み、べちょのカルフォでもテレポーターと判断。
そこで当然かすみはテレポーターの手順で解錠を試みたわけだけど・・・
かすみって、けっこう不器用なんだよね。
パーティ内ではかすみの罠を調べる能力は信用しないのが通例になってるほど。
だから、べちょがわざわざカルフォをかけて確認したんだし。
とは言うものの、それでもかすみがパーティ内でいちばん手先が器用なのもまた事実だから、一同はかすみが解錠するのを息を呑んで見守っていたわけだ。
ところが例によって大失敗。
見知らぬ場所に飛ばされてしまった。
マップで確認すると、いまだ未踏破の、ぽつんと離れた場所だ。
困ったことになったと思ったけれど、ものは考えよう。
いずれ探索しなければならないのだ。
しかし、常々 体力魔力とも十分余力を見込む主義である。
一気にこんな場所まで来れたのはむしろチャンスというべきか。
ポジティブシンキングの一行は早速そのブロックの探索を開始した。

そうこうするうちに、いかにも妖しげな小部屋を発見。
テレポート後、既に何度かに渡る戦闘でだいぶ消耗してきてはいるが、それでもまだまだ余力は十分。
よほどのことが無い限りそうそう遅れは取るまいて。
「行くぜ!」
さら夫を先頭に一行は部屋になだれこむ。
果たして中にいたのは

 デルフ1体
 デルフズミニオン7体

いずれも初めて遭遇するモンスターだ。
どうやら、 「よほどのこと」 に立ち至ったらしい。
どんな技を使ってくるのか?
いや、確かめる必要なぞ無い、全力で殲滅する!
さら夫の頬に凶暴な笑みが刻まれる。
右手に構えた剣を振りかぶり、背にまわした左手が仲間達に指サインを送る―――

送れなかった!
敵の行動の早さはさら夫たちを凌駕した!
剣を揮う間もなく一瞬にして、さら夫と かすみが石化されていた!!
モンスターの恐るべき技だ!
歪王は歯噛みしながら柄にかけた手に力をこめる。
魔法を使うか?
剣で斬りかかるか?
瞬時に要求される判断。
歪王の魔力はこのダンジョンに入ってからというもの大きくレベルダウンを余儀なくされ、かつてのようにティルトウエイト連発というわけにはいかない。
さら夫とかすみを一瞬で石化した強力な魔法属性。
この敵はマハリトでは倒せまい。
歪王は判断をくだした。
居合い一閃、デルフめがけて斬りかかる。
頼む、べちょさん、角角角さん、あんたら高位魔法でデルフズミニオンを倒してくれ、デルフは私が倒してみせるから!!
それに呼応するかのように、べちょが、けん1が、角角角が呪文を詠唱する。戦闘時の高速圧縮言語による詠唱が周囲の空気を震わせる。
いずれもデルフズミニオンを狙って放たれる攻撃の念!
だが!
震える空気が、さらに新たな振動に侵される。
モンスターの放つ詠唱だ。
モンスターの唱える圧縮言語がこちらの詠唱に干渉し、魔法の発動を阻害する。
いや、それどころではない。
一部の詠唱は逆にこちらを圧倒し、敵を1体も倒せぬまま、べちょまでもが石と化す!

パーティに動揺が走る。
あっと言うまだ。
あっという間に3人までもが無力化された。
どうすればいい?
だがここで焦っても益はない。
勝利を信じて最後の一瞬まで全力を尽くす。それしか無い。

一瞬。
混戦の最中、震える大気を圧して角角角の詠唱が氷の刃のように響き渡った。
角角角の思念が優った瞬間だ。
デルフズミニオン7体の総ての体細胞が一瞬にして求心力を失い、爆裂。
塵と化す。

光明が見えた。
残るはデルフのみ!
もうもうと舞う塵の中、歪王の檄が飛ぶ。
「こいつに魔法はききません、武器で戦って!」
歪王の指示のもと、けん1、角角角と総勢3人がかりでデルフを取り囲んで斬りかかる・・・。

とどめは角角角の杖だった。
「へへへ・・・最近、杖術習ってんですよぉ〜」
ほんまかいな?
ふたりの視線をしりめに、へたりこみながら冷や汗を拭う角角角。

しかし問題は・・・
「どうやって生還するか、ですなー」
歪王がつぶやく。
それをきいて、けん1と角角角も頷く。
ステータス異常を治すことの出来るべちょも、チームの戦闘力の要たるさら夫とかすみも石化したこの状態で、果たして生きて還ることが出来るのか?

3人はマップを見て最短ルートの検討を始める。
石のスタチューと化したさら夫の頬に刻まれた凶暴な笑みはそんな3人を試すかのようだった。

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