失踪宣告について
なぜ失踪宣告という制度があるのか
もともと人の戸籍を消す為には、当事者の死亡が確認されなくてはなりません。そして、死亡を確認する為には本人の死体がなければなりません。とすると、失踪者の場合、戸籍上は永遠に生き続けることになってしまうのです。
これによって困るのは残された家族たちです。本人の死亡が確認されないかぎり、本人失踪後、何百年経とうが相続や保険金の支払いが行われないからです。住民税も生きている人と同じようにかかるのです。残された配偶者は、他に好きな人ができても再婚できません。
こういった不都合を解消するために、国が失踪宣告という制度を設けて法的に死亡を確認することを行っているのです(失踪宣告の申請は義務ではありません、別に申請しなくてもかまいません)。
※この点、「失踪宣告」制度は、専ら生死不明の場合に関するものです。しかし、死亡は確実だが死体確認ができない場合については、戸籍上死亡の扱いがなされる「認定死亡」の制度が用いられます。
失踪宣告の種類
失踪宣告には2種類、@危難失踪とA普通失踪があります。
@危難失踪は事件や事故に巻き込まれて生死が分からなくなる失踪であり、
A普通失踪は危難失踪以外の失踪です。
失踪宣告の申請方法
@危難失踪の場合、その事件・事故があった時から1年以上経過すれば失踪宣告ができます。
A普通失踪の場合、失踪宣告を受ける為には、音信不通になってから7年以上経過していなければなりません。
そして、失踪宣告を申し立てできる人間は「利害関係人」だけです。
「利害関係人」とは、財産相続人や妻・夫・子供などのこと。つまり、まったく関係のない人間が、むやみに失踪宣告を申請できない仕組みになっているのです。
(失踪宣告の申請方法)
利害関係人は所定の様式にしたがって用紙に記入し、近所の家庭裁判所に申し込みます。弁護士に頼んだりしなければ費用は3,500円くらいしかかかりません。
申請を受けた家庭裁判所では、本当にその人物が7年間(危難失踪の場合は1年間)消息不明なのかどうかを調べます。そして、それぞれのケースにもよりますが、危難失踪で2〜3ヶ月、普通失踪で8ヶ月くらい後に失踪宣告がなされ、法的にその人物の死亡が認定されます。一度失踪宣告がなされて法的に死亡が認められれば後は普通に人が死亡した場合と全く同じです。順次、財産相続などがはじまることになります。
離婚に関して
離婚に関しては失踪宣告よりも緩やかな対応が用意されています。
一方的に配偶者に失踪された者にとって、7年という月日は長すぎます。その間、ただひたすら失踪者が帰るのを待っているのではあまりにも辛く不自由なことから、民法770条3項では3年以上配偶者の生死が明らかでない場合の離婚を可能としています。 したがって、これを利用すれば失踪後、3年で離婚することができます。
失踪宣告後、本人が帰ってきたら
失踪宣告後、本人が帰ってきた場合に備えて失踪宣告取消の申し立てができるようになっています。
手続きは、本人や家族が「実は生きていました」と家庭裁判所に申し立てるだけです。この費用も2,000円程度しかかかりません。
これで基本的には身分も財産も、失踪前の状態に戻るわけですが、残念ながら全てが元に戻るわけではありません。まず、配偶者が離婚手続きをしていて、別の人間と再婚していた場合、再婚の方が認められることになります。また、財産についても同じような処置が取られ、既に財産が分配されていた場合、既に費消された分は取り戻すことが出来ません。
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