離婚に関わる基礎知識
離婚の増加傾向
近年、離婚件数は増加の一途をたどり、3分間に1組が別れています。この点、家庭裁判所に離婚の申立てをしているのは、約7割が女性からです。
これら離婚急増の背景は、女性の経済的・精神的自立が最大の要因と考えられています。結婚や家庭生活が人生の全てではなくなり、夫や子供のために自分の人生を犠牲にするよりも、「自分らしく生きたい」と、離婚に踏み切るケースが増えているようです。
最近では、結婚20年以上の夫婦が離婚に至る「熟年離婚」が離婚件数全体の4分の1を占め、その中でも夫の定年をきっかけに妻から夫に離婚を切り出す「定年離婚」もかなりの勢いで増加しています。
離婚理由はいろいろですが、多くを占めるのは「性格の不一致」、「異性関係」です。以前は、夫の浮気が圧倒的に多かったのですが、最近では女性の浮気も増えているのが現実です。
離婚する前に決めておきましょう
・未成年者の子供がいる場合は、どちらが親権者になるか決めなければなりません(離婚届けには親権者を記入する欄があり、この欄を埋めなければ離婚届けを受理してもらえない為)。 ただし、すでに結婚している未成年者、成人した子供がいる場合には必要ありません。
そして、養育費をどういう方法でいくら払ってもらうか、面会の形はどういった形で行うか話し合っておく必要があります。
・離婚後の姓を旧姓に戻すかどうか。
・慰謝料や財産分与などの金銭的な問題。
・離婚後の生活設計を立てておく。
・市区町村の役場や福祉事務所に離婚後どのような援助が受けられるのかを事前に聞いておく。
離婚の方法
離婚には以下の4通り方法があります。
| @協議離婚 |
夫婦の話し合いだけで離婚する方法で、離婚全体の90%を占めます。双方の合意の下に役所に離婚届を提出し、受理されると離婚できます。 |
| A調停離婚 |
夫婦の一方が離婚に合意しない場合、家庭裁判所に調停を申し立て仲介してもらう方法。何度かの調停を経た後、お互いが合意したら離婚が成立します。 |
| B審判離婚 |
調停で合意できなかったとしても家庭裁判所が離婚を必要と認める場合、職権で離婚の審判を下すと離婚が認められるという、ごくまれに取られる方法。ただし、審判が下って2週間以内に、夫婦のどちらかが異議の申立てをすれば審判は破棄されます。 |
| C裁判離婚 |
家庭裁判所での調停・審判が成立しなかった場合、地方裁判所に離婚の裁判を起こし、その判決にしたがい離婚する方法。
ただし、裁判を起こす為には、民法で定められた「離婚原因」が必要となります。 |
@協議離婚について
・未成年者の子供がいる場合は、どちらが親権者になるかを決めなければなりません。
・いくら話し合っても親権者が決まらない場合は、家庭裁判所に調停の申立てを行い、調停・審判によって決めてもらうことになります。親権が決定した場合は、養育費に関する取り決めも同時に行っておくことを勧めます。
・慰謝料、財産分与、養育費の金額の支払い方法を決めても、口約束だけでは何の法的拘束力も持ちません。金銭面に関してトラブルが起こったときのことを考えて「公正証書」を作成しておくと効果的です。これにより相手が約束を破ったときに強制的に財産や給与を差し押さえて、約束事を履行させることができます。
・相手が公正証書の作成を拒否した場合は、「念書」という形で一筆書いてもらうとよいでしょう。公正証書のような法的拘束力はありませんが、裁判を起こせば念書をもとに支払いを命じる判決を得ることも可能です。立会人など第三者の署名捺印があればなお効果的です。
・離婚届は本籍地か、所在地(離婚を届け出るときに住んでいた地)の市区町村役場の戸籍係に提出します。
・離婚届はきちんと記載されていれば簡単に受理されてしまいます。この点、離婚届を勝手に一方的に出されてしまう危険性があります。そこで、そのような事態が少しでも考えられる方には、「不受理申出制度」の利用をお勧めします。この制度は、本籍地または所在地の役場に「不受理申出書」を提出すると、その後に提出された離婚届は受理されないというものです。有効期限は6ヶ月、ただし何度でも提出可能性です。申出を取り下げるには、「不受理申出取下書」を提出すれば可能です。
・夫婦の一方に離婚の意思がない場合、離婚届が役場に受理され、戸籍に登録された後でも離婚は無効にすることができます。
A調停離婚について
・協議離婚を目指しても話し合いがつかない場合は、家庭裁判所で調停委員を交えて話し合う「調停離婚」を行うことになります。
・家族間のもめごとに関しては、「調停前置主義」といって、裁判の前に調停を受けるように制度で決められているので、調停離婚を飛ばして裁判離婚に持ち込むことはできません。
・調停離婚においては離婚の理由は問われません。
・調停で話し合われる問題は、離婚の意思や子供の親権、慰謝料、財産分与、養育費などです。このうち、慰謝料・財産分与・養育費などに関しては、希望しなければ話し合われないので、きちんと解決したい場合は離婚の調停と一緒に申し立てます。
・離婚することで合意に達したら、「調停調書」を作成した時点で離婚は成立します。
・どれだけ時間をかけても夫婦の意思が一致しない場合は、「調停不成立」ということで調停は終了します。
・調停は夫婦の一方が家庭裁判所に申し立てます。相手が住んでいる場所、所在地の家庭裁判所であるという点に注意が必要です。
・調停は20〜30日に1回開かれ、結論は約半年後に出されます。
B審判離婚について
・審判離婚は、調停離婚と裁判離婚の中間的なものです。
・審判離婚は@当然離婚が相当だと考えられるのに一方が離婚に合意しない場合、A両者が審判離婚を求めた場合、B片方がいったん合意したあとに気持ちを変え調停への出頭を拒否した場合など、担当してきた調停委員の意見を家事審判官が聞き、審判で離婚を決定します。
・審判に不服がある場合、審判が下っても2週間以内に異議を申し立てれば審判は効力を失い離婚は成立しません。
C裁判離婚について
・裁判離婚は調停の後でなければ起こせません。
・裁判での判決には強制力があるので、片方が離婚に応じたくないといっても判決を拒否することはできません。
・裁判離婚の場合、裁判を起こして離婚を認めてもらう為には、民法で決められた「離婚原因」が必要です。離婚原因として挙げられているものは、@不貞行為、A悪意の遺棄、B3年以上の生死不明、C回復の見込みのない強度の精神病、Dその他、婚姻を継続しがたい重大な事由です。
・裁判には相当の時間と費用がかかります。弁護士を立てる必要がありますし(約9割が弁護士に依頼)、一審で終了して も早くて1年、最高裁まで上告すれば3〜5年はかかります。
・「和解勧告」といい、裁判が進行する中で裁判所からしばしば和解による解決を勧められることがあります。
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