民主党群馬県連の現在 2 上毛新聞の論説
「経理問題の説明責任を果たし、政党としての機能を復活させるための知恵を絞るべきだ」。
これは昨年10月16日の『上毛新聞』の「論壇」からの引用だが、筆者の言わんとするところは、「民主党群馬県連の内紛」について、「不正経理問題」の真相究明はしばらく棚上げして、正常化優先で「政治決着しろ」ということだった。
これに促されたというわけではないが、私も不正経理の真相解明は必要だが、近づく参議院選挙や地方選への対応を考えれば、県連の正常化を優先すべきだと判断したので、党本部組織委員長の県連正常化への努力に積極的に協力することとした。
直島組織委員長の仲立ちで、参議院各総支部を代表する角田氏と、衆議院小選挙区各総支部を代表する私が、話合いを重ねて合意し、昨年11月11日に共同声明を発表して、県連活動は正常化した。その合意内容には、公表部分と非公表部分があったが、重要な合意事項は次の通りだった。
1、不正経理(「不適正な会計処理」と記述)の事実を認め、県連三役(富岡会長、茂木会長代行、黒沢幹事長)は辞任する。
2、全ての県連役員の任期は終了していることとし、次期党大会までの暫定執行機関として、総支部長(国会議員と公認候補)による「最高執行役員会議」を設置する。
3、一連の不正経理問題の再調査を行い、政治資金収支報告書を修正する。
4、内部告発者である女性事務局員の職場復帰を、早期に無条件で実現する。
5、公認候補でない総支部長は、不正経理調査の結果と修正報告書の届出をまって退任することとし、問題のあった総支部は解散等の措置をとる。
6、不正経理の責任者である黒沢幹事長の処分問題は、不正経理の調査結果をまって最高執行役員会議で決定する。
この合意を受けて、昨年11月から今年1月初旬までの間、県連は正常に活動していた。「正常に」というのは、最高執行役員会議が定期的に開かれ、政治的な決定が遅滞なく行われていた事実をさす。実際、前述の合意事項のうち1から5番目までは、全て、着実に実行された。
とくに、昨年の12月29日には党本部組織委員会の強い指導の下に、「不正経理調査報告書」(正式名称「不適正な経理処理への対応について」)が発表された。これは最高執行役員の全員が了承した上で公表されたものだ。
その内容は、「司直の介入を招かない表現にしてほしい」との党本部の指導を入れた上で、一連の不正経理事件は、自殺した事務局長と女性事務局員の過失ではなく、黒沢前幹事長の故意によって引き起こされたものであったことを正面から捉え、それぞれの疑惑について「前幹事長の責任は重大」と明記して、黒沢前幹事長の法的政治的責任を明らかにしたものだった。
また、数々の不正が発覚した1区と5区の総支部については、それぞれの総支部長が退任するのに伴い、従来の不正経理担当者が復権しないようにという配慮から解散することとした。
この調査結果を受けて、不正経理の内部告発者である女性事務局員の復職も実現し、県連の日常的な事務処理は遅滞なく行われることとなった。
要するに、正常化合意事項のなかで年を越して残された課題は、不正経理問題報告書で「責任重大」と断罪された黒沢前幹事長の処分問題のみとなっていた。
これについて、柿沼3区総支部長は「除名処分が相当であり、公認も推薦もありえない」、角田参議院議員は「厳しい処分はダメ、県議選も公認を」と主張が対立しており、「黒沢問題」は年明けの最高執行役員会議での協議に持ち越しとなっていた。
ところが、今年1月中旬、角田前参議院議員の北朝鮮関連団体からの不正献金疑惑が発覚した。疑惑発覚後、角田氏はいずれの場においても不正献金疑惑の真偽について説明しようとせず、最高執行役員会議の開催そのものも拒否するに至った。
角田氏のボイコットで最高執行役員会議が開らけなかったので、統一地方選挙も、知事選も、参議院選挙も、県連としての対応が決められなかった。したがって各総支部長が(党本部の基本方針を遵守しながら)、独自に対応せざるを得なかったのである。
さて、8月6日付けの『上毛新聞』の「論壇」は、再び「参議院選挙と民主党県連」と題する論説を載せている。
「参議院選挙は『政治とカネ』が注目された。労組系も自らの不正経理・献金疑惑を説明する義務がある。同時に、県連正常化に向け、両者が早急に話し合う場を持たなければならない」
いかにも俗耳に入りやすい喧嘩両成敗的な内容で、昨年十月の論説と良く似ている。しかし、「論壇」子は、私たちに具体的にどうしろと言っているのか、よくわからない。
「県連の正常化」とは、昨年11月の合意に沿って「最高執行役員会議が定期的に開催される状態を回復すること」にほかならない。なぜなら、「民主党群馬県総支部連合会」の名称が表すとおり、県内の衆参各総支部の集合体が民主党県連なのであり、党本部が認める総支部の代表者(国会議員と次期公認候補者)がメンバーであるがゆえに最高執行役員会議は正統性を有しているのである。したがって上毛「論壇」子の言う、早急に持つべき「話し合いの場」とは、最高執行役員会議の枠組み以外には存在しないのである。
私たちは、この1月以来文書では三度にわたり、口頭では数え切れないくらい、「最高執行役員会議の開催」を求めてきた。そのつど「角田氏が開催に反対している」という理由で拒絶されてきた。参議院選後は国会議員による非公式協議も提唱しているが、反応がないのが現状だ。話し合いの場が設けられないまま今日に至った責任は、「両者」ではなく、一部の人が「自らの不正経理・献金疑惑を説明する義務」を果たしたくないから、だったのではないだろうか。
この辺の事実関係について上毛「論壇」子はどのように考えているのだろうか。
私が関わった昨年11月の正常化合意へのマスコミの評価は散々だった。もともと不正経理を追及してきた大手の新聞からは、「真相究明より正常化優先」などと叩かれたばかりか、政治決着を勧めていたはずの『上毛新聞』にまで、「『政治決着』との見方を覆し真の正常化に踏み出せるか……」と疑問を呈される始末だった。
新聞社でも「訳知り」の論説委員と正義感に燃えた現場の記者の間には、大きな意識の違いがあることを知らされた。そして党内外の世論は現場記者の正義論の方に大きく影響される。実際、その後党内の不正経理徹底究明派とマスコミが呼応して、更なる不正疑惑が発覚していった経緯がある。
だから、うかつに、喧嘩両成敗的な上毛「論壇」子に乗せられて、不正経理問題の決着の仕方を誤ると、またまた大変なことになるのではないかと強く危惧している。
上毛「論壇」子にもご賢察いただきたいところだ。
(平成19年8月23日 記)